ゲームだけど衣食住はタダじゃない
そんな平和な日々を過ごしていたニコちゃんの元に、「ドウォン市税務課」から一通のお便りが届く。どれどれ。えーと……、公共料金支払いのご案内?
この未払いが2日続くと電気の供給が停止し、4日で給水も停止、そして1週間で実物資産の競売、つまりプレハブ小屋は差し押さえとなる。
そんなところがリアルなのか。
せっかく建てたプレハブ小屋を奪われてしまってはたまらない。
練習に明け暮れて、お金を消費し続けているわけにもいかなそうだ。
そんなことを考えていると、ニコちゃんは室内にあるパソコンをおもむろに起動し、作曲をし始めた。楽器能力のレベルが2に上昇したことで、このようなことも行えるのだ。
そして出来上がった曲を販売することで収入を得て、無事に納税ができた。このときはマジで危なかった。
パソコンがあれば、楽曲のほかにも執筆、動画制作など、さまざまな仕事を行って収入を得られる。駆け出しの頃は低価格でしか成果物を売れないが、各能力のレベルが上昇すれば、自分一人が食っていける分くらいは稼げるようだ。
ちなみにZoiが持っているスマートフォンを通じて求人情報が確認でき、それによると正社員として就職できる職業は消防署、アイドル、秘書、法律事務所、記者、大学教授、防衛省、システムエンジニア、プロゲーマー、なんでも屋など。アルバイトに関しては、コンビニやショップのレジなどの職種が確認できた。
これらの職に就くとZoiは自動で出勤し、安定した収入を稼ぎつつ、それぞれに応じた能力が上昇する。また、そこでの出会いを通じて、また違った人生を歩むようにもなるのだろう。
ライバルは充実した機材でミッチリとトレーニング
筆者はニコちゃんとは別にもう1人、青年のZoiを作成してみた。
彼はプロのアイドル養成事務所に通う、アイドルの卵である。気質は「野心家」で、ストイックにプロを目指す、ニコちゃんにとってのライバルキャラが欲しいなと考えた次第だ。
ちょっと、彼の人生も観察してみようか。
アイドルの卵の朝は早い。
午前中はボイストレーニングを3セット、ダンストレーニングを3セット。昼食を済ませたら、筋トレや運動を3セット、再びダンスを3セット、さらにはパソコンに向かってアイドルプロデュースの勉強も行う。
諸々のトレーニングが終わるのは深夜で、自宅に帰る時間すらもったいないのか、青年は事務所のソファで睡眠をとる。こういったストイックな日々を続けて、アイドルへの道を邁進しているのだ。
一方その頃、ニコちゃんも、ストリートで能力を高めていた。
ライブに参加したことで自信を得たのか、メキメキと歌唱力を鍛えて、歌える楽曲のレパートリーも着実に増えている。自らがヴォーカルを担当する野良ライブまで開催したことには驚かされた。
そうして公演能力がベルが10に達したニコちゃんは、「歌唱コンテスト」への参加権を獲得した。承認欲求が高めのニコちゃんは“人気者”になるべく、迷わず参加を決意する。
そうしたある日、ストリートでさんざん歌ってお腹がすいたニコちゃんは、ちょっと休憩して屋台でおでんを食べる。「さぁ、もう一曲歌おう!」と、広場に戻ったところ、そこには“例の青年”がいて、圧倒的な歌唱力を披露していた。
自らが生み出した2人のZoiの初遭遇。
いったいどうなるのか……。
するとニコちゃんは青年に興味を示し、しばらくのあいだ音楽に関する談笑が続いた。そして広場で一緒にコラボ共演を行ったのだ。いいぞいいぞ。
……だが、筆者には別の思惑もあった。
実は青年も、ニコちゃんと同じく、公演能力がレベル10に達している。つまり、この2人は、のちに歌唱コンテストで競い合うことになる。……というか、2人が同日の歌唱コンテストに出場するように、筆者が全部仕向けていたのだ。
役者を複数名登場させられる本作では、こういう遊び方もできる。
公共料金の支払いすらままならない貧乏生活からスタートし、リモートワークで日銭を稼ぎつつ大舞台を目指すニコちゃん。一方で、プロによる指導を受け、ストイックに自身を磨き上げる青年。果たして、勝つのはどっちだ?
ついに歌唱コンテストが開催
青年との出会いから数日が経ち、ニコちゃんは来たる歌唱コンテストに向けて、自宅で作曲をしたり歌のレパートリーを増やしたりしている。路上ライブを通じて友人になったチョン・ヒソンちゃんからは応援メッセージも届き、ニコちゃんもやる気満々のようだ。
そしてついに、「エリート大会マネジメントチーム」から、歌唱コンテストの開催日時の連絡が届く。これまで培った実力を披露するときが、ついに来たのだ。
意を決して、自宅を出発するニコちゃん。
また青年も同じく、コンテスト会場へと向かっていた。
……あれ?
コンテストの行方を固唾をのんで見守っていたところ、突如として筆者のカメラワークは路肩に放置されてしまった。もしかして、コンテストの本番映像って見れないの!?
思わず肩を落としてしまったが、まぁ、現在の本作は早期アクセスなので仕方がない。しばらく街を眺めて、2人が戻ってくるのを待つことに。
すると、2人がコンサート会場から戻ってきた。
本作のZoiがどこまで自発的に動くのかを見てみたかったので、筆者は直接操作をせずに、固唾をのんで見守った。
……あれ、なんかめちゃくちゃ意気投合してない?
Zoiたちの会話は謎の言語で交わされるため、話の詳細までは分からないが、どうやら楽曲関連の話題で盛り上がっているようだ。
2人を観察しているとカフェに移動して、推しのアイドルや、歌についてのこだわり、お互いの共通の趣味などについて、延々と語り合っていた。どうやら、先ほどまではライバル同士だった2人のあいだには、歌唱コンテストを経て“戦友”のような絆が芽生えたようだ。
後日、ニコちゃんのスマホに、歌唱コンテストの結果がメールで届く。
結果は“入賞”で、賞金として1000ミャオが振り込まれていた。
2人の関係がその後どうなったのかは、読者の想像にお任せしよう。
筆者は、まるで長編ドラマを見たような気分で彼らの観察を終えられた。
Steamスコアは「非常に好評」。新たなライフシムに期待
人生シミュレーションゲーム『inZOI』は、Zoiの外見・内面を設定することで、それに応じた形でさまざまな人間ドラマを描いてくれる作品である。
今回のプレイでは、「インフルエンサー生活を夢見る女の子」と「野心家かつストイックな青年」を競わせた結果、戦友となるという結末に至ったが、仮に2人の“気質”や“希望する人生”が違っていたら、また異なる結末を迎えていただろう。
Zoi同士によって生まれるドラマの幅広さは、少なくとも今回プレイした限りでは、その全貌が把握できないくらいだ。
たとえばZoi同士のあいだには、共存、権力、安全、挑戦、成就、自立、規範遵守、出会い、快楽、伝統のそれぞれに対し「価値観」のスコアが存在する。さらに、プレイヤーがその気になれば、単一の家族だけでなく“複数の家族”を操作できるという。都市全体のキャラクターたちを、プレイヤーが役者として仕込むことも可能なのだろうか?
筆者は本作をプレイして、たっぷりと人間観察欲を満たすことができた。現在は早期アクセス中で、これから製品版のリリースに向けてどのように進化するのか楽しみだ。
ここまで本記事を読んでくれたあなたも、もし本作に興味を持ったら、『inZOI』を通じてさまざまな“人生”を観察してみてはいかがだろうか。