「悪魔」が好きになる?
もちろん、ただ「悪魔と戦うだけ」ではありません。
ライドウには、「探偵」というもうひとつの顔があります。
この「(探偵としての)捜査パート」がメインストーリーにおいて重要なのが、ちょっと意外でした。いや、当時のあの『葛葉ライドウ 対 超力兵団』の独特なパッケージから、まさか探偵業をするゲームだとは想像できなくて……怪獣とかと戦うのかなと思っていました。
実際のところ今作のメインストーリーは、ひとつの怪事件を追っていく形で、さまざまな展開を見せていく。その中でライドウは探偵兼デビルサマナーとして、霊的現象を含めた怪事件の謎を解き明かしていく。
そしてもちろん、捜査にも「仲魔の力」を使うことができる。
人間が入り込めないような場所は、悪魔に単独捜査をしてもらったり。
なにか怪しい場所を見つけたら、雷電属の悪魔に現場検証をしてもらったり。
戦いだけでなく、探偵業においても、仲魔と一緒に頑張ります。
なんか、それに付随してなのかはわからないのですが……このゲーム、悪魔にすごい愛着湧きませんか? いや、他のタイトルで悪魔に愛着が湧かないとかそういうことではないのですが、今作は特に「悪魔(仲魔)」のことが好きになっている気がします。なんでこんな悪魔が好きになるんだろう。
ゲーム全体を通して、「仲魔」と連携する要素が多いから、より「仲魔」として愛情が湧いてくるのかもしれない。いま「仲魔意識」というカスみたいなジョークが脳裏に浮かんだのですが、カスなので引っ込めておきます。とにかく悪魔への愛着がすごい。
デビルサマナー的にはお馴染みかもしれない「忠誠度」の概念も、なんか今作においては愛着を引き立たせる要素として効いている気がする。戦闘が終わった時に、みんなライドウのことがいかに好きか語ってくるんですよ。こんなの好きになっちゃう。
ピクシーとかリリムみたいな美女っぽい悪魔はもちろんのこと、「ウコバク」みたいなザ・悪魔って感じの悪魔にすら愛着が湧いてくる。悪魔にも人間にもモテモテとか、さすが葛葉ライドウだぜ。
しかも、これだけ悪魔に愛着が湧いちゃってるから、「悪魔合体」もそういう気持ちになるんです!
悪魔合体時、合体元の悪魔が「手紙」を残してくれることがあります。
共に戦ってきた悪魔から、最後に手紙を残してくれる。たとえば自分の場合、ジャックフロストが「さようなら」と、ただ一言だけ記した手紙を残していった。なんか泣けてくる。
これ自体は特にゲームの進行を左右するシステムじゃないのですが、なんか心に来る! 一緒に捜査して、共に戦った仲魔が合体して別の悪魔になるとか……悪魔合体はなんてヒドいシステムなんだ!! と、アトラスの根本を問いただすかのようなことまで考えてしまう。
仲魔の域を超えた、並々ならぬ愛着が湧いてきます。
オマエはペットやない。オレの「家族」や……みたいな。
まあそれはそれとして合体するんだけど。
ホントですよ、やってみたら悪魔のこと好きになってくるから!!

圧倒的な「世界観」
一番重要なことを最後に書くなという感じですが、やっぱりこのゲームは「世界観」だと思います。
やっぱり大本が「デジタル・デビル」なこともあり、どちらかというと現代や近未来を舞台にすることも多いアトラスのRPGですが……今作は「大正二十年」が舞台。デジタルなんて言ってる場合じゃないのです。だから、悪魔も「封魔管」で封じ込める。
この「大正二十年の帝都で、デビルサマナーとして戦う」という世界観にピンと来てしまった方は、もう迷わず手に取ってもいい。そのくらい、時代設定と、その背景に合わせた世界観づくりに凝った作品だと思います。
いい意味で、「これがやりたかっただけだろ」系作品だと感じました。
各話の演出、それぞれの街並み、電車で行ったり来たりする移動システム……これでもかと「大正二十年の帝都」が堪能できる。一旦デビルサマナーとか置いといて、純粋に「大正ロマンを楽しむゲーム」としてもいい線行ってるのではないか、とすら思えてくる。
だから、すごく「雰囲気がいい」ゲームなんですよね。
「雰囲気がいい」ってイージーな誉め言葉すぎるけど、もう今作はそれがドンピシャの言葉なんじゃないだろうか。大正二十年の帝都を駆ける、デビルサマナー葛葉ライドウ。それを体験できるRPGというだけで、唯一無二の価値がある。
ただ、そんな「大正時代」だけでは終わらない。
もちろん、悪魔や神話的な存在が襲いかかってくる!
特に驚いたのが、「ラスプーチン」ですね。
もう悪魔じゃなくて「人」じゃないかと。
なんと、あのラスプーチンが「ダークサマナー」としてロシアから参戦。
正義のデビルサマナー葛葉ライドウに立ちはだかるは、悪のデビルサマナーラスプーチン。いまこそ「デビルサマナー 葛葉ライドウ対ラスプーチン」の火蓋が切って落とされる。うわーアトラスっぽい。
しかもこのラスプーチン、CV武内駿輔。やたらと声がカッコいい。そうか中田譲治がゴウトだからね。いやなんでもないこっちの話。このラスプーチンとの戦いを通し、葛葉ライドウはタイトルにもなっている「超力兵団」の謎に迫っていく……というお話。
「超力兵団」の話も結構好きなのですが、果たしてこれはどこまで言及していいものなのか。「超力兵団計画」という謎の計画が動いており、そこにはダークサマナーだけでなく国の陸軍まで関わっていて……あたりの展開なんか、すごくワクワクします。やっぱり、オカルト要素に国家が絡んでくると楽しい。
これ、自分だけが勝手に感じていたら恐縮なのですが……
このゲーム、ちょっと、いやだいぶ「特撮」っぽいですよね?
それこそ謎のオカルト事件に軍が絡んでくるところもそうですし、ストーリー中で度々対峙する謎の怪人「赤マント」なんか、もうだいぶ特撮っぽい。しかも、どっちかっていうと昭和の特撮映画のニュアンス。ほら、『海底軍艦』とか『妖星ゴラス』あたりの……これ自分が勝手に感じてるだけでしょうか!?
自分が特撮好きなのもあるかもしれないのですが、この「昭和特撮感」にかなりワクワクしました。元の『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団』っていうタイトルがゴリゴリに特撮映画っぽいので、多少なりともエッセンスは含まれているだろうと思っていたのですが……想像以上に特撮の味がします。
だから、自分の中では「大正+デビルサマナー+特撮」が、この『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』というタイトルの主な構成要素なんじゃないかとすら思ってます。ああ、最高ですね。こういうのを「都合のいい解釈」と言うのかもしれませんが! でも、この要素のマッチングが素晴らしい!
「人によっては刺さるゲーム」みたいな言い方があるじゃないですか。
まぁ、このゲームもそれに近いものではあると思うのですが、それ以上に「人によって刺さるの、“刺さる”範囲が広いゲーム」だと感じています。きっと、誰もが「ああ、こんな奇天烈な世界観を楽しめるのは自分だけだ……!」と感じている。でもみんな好き。私もそう思う。
なんだか、段々「これは自分の趣旨趣向のために作られたゲームなんじゃないか」とすら思えてくる。たぶん、多くの人がそう思ってる。オリジナル含め、『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』にはそういう魔力があるんじゃないか。一度この世界に入ってしまえば、もうズブズブ。そんな魔力がある。
初プレイだった自分ですらそう感じたのだから、オリジナル版の『葛葉ライドウ』シリーズを楽しんでいた人はよりズブズブになれる……はず。
ていうか、これ「Remastered」って言ってるけど普通にリメイク級だよね?
オリジナル版から『P3R』ぐらいの変貌遂げてるよね?
そのくらい、この頑張り方で「Remastered」と名乗っているのは奥ゆかしすぎるんじゃないかと思えるくらい、もしかしたらこのゲーム自体がライドウくらい物静かで恥ずかしがり屋だから「Remastered」と名乗っているのではないかと思うくらい、気合いの入った「復活」でした。
「リカーム」って言ってるけど、実際はサマリカームみたいなゲームだと思います。自分のような初プレイの人間もどっぷり浸かれるし、オリジナルを愛してくれた人にも丁寧な作りをしている……と感じました。とにかく、しっかり丁寧に作られています。
そんな『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』は、2025年6月19日に発売予定です。Nintendo Switch、PS5とPS4、Xbox Series X|S、Steam……と、もうだいたいのプラットフォームで遊べます。話題のNintendo Switch 2でも遊べるんですって!
そしてなにより、これを「RAIDOU Remastered:アバドン王奇譚」に繋げるために買うしかない!
いや「アバドン王奇譚」はないか。
自分で書いといてタイトルダサすぎてビビったよ。
もっとこう、「VS King Abaddon」みたいなカッコいい感じになると思う。これで本当に「アバドン王奇譚」になったら気まずすぎてアトラスに顔向けできないよ。
初プレイだった身としても、やりたいです。
『対アバドン王』の「Remastered」、やりたいです。
だからこそ、『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』を遊ぼう!!