2025年6月13日(WPN店舗では6月6日)、『マジック:ザ・ギャザリング』の世界へと、『ファイナルファンタジー』シリーズが次元を超えてやってくる。
それが、初代『FINAL FANTASY』から最新作『FINAL FANTASY XVI』までのナンバリング全16作品を網羅した、かつてないスケールのセット『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』だ。
クラウド、セフィロス、ティナ、ビビ、ライトニング、ユウナ、そしてチョコボや召喚獣たちが、『マジック:ザ・ギャザリング』のカードとして描かれる。
両シリーズをご存じの方はもちろんのこと、『マジック:ザ・ギャザリング』しか知らなくても、『ファイナルファンタジー』しか知らなくても、きっとみんなが楽しめる。そんな最新拡張セット『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に収録されるカードの先行公開を……お届けしようッ!
ということで、本記事ではWotC社さんからお預かりした貴重な1枚を、世界最速で独占公開させていただきます!
新規カード《世界を救うものまね中、ゴゴ》
《世界を救うものまね中、ゴゴ》 (2)青
伝説のクリーチャー ― ウィザード
(X)(X), (T):あなたがコントロールしていて起動型や誘発型である能力1つを対象とする。それをX回コピーする。それらのコピーの新しい対象を選んでも良い。この能力はコピーできず、Xは0にできない。(マナ能力は対象にできない。)
では、俺も世界を救うという
ものまねをしてみるとしよう。
『マジック:ザ・ギャザリング』の世界に、“ものまね”を得意とするあのキャラクターがやってきた。それが《世界を救うものまね中、ゴゴ》だ。
ゴゴは『FINAL FANTASY VI』より参戦するキャラクターで、仲間加入時の印象的なセリフや、直前のキャラクターの行動を真似する“ものまね”能力が印象に残っているプレイヤーも多いだろう。
本カードには、日本人アーティスト・佐久間竜一氏によるアートが魅力的な「キャラクター」ボーダーレス版も存在する。
こちらはボーダーレスかつ、パントマイムらしき動作をしているゴゴが大きく描かれている特徴的な一枚となっている。多くのキャラクターに共通デザインのボーダーレス版カードが用意されているので、ナンバリングごとやシリーズ全体でコレクションするなど幅広い楽しみ方もできる。
このカード最大の魅力は、なんといっても「起動型」や「誘発型」である能力のX回コピー。ゴゴの特徴的な“ものまね”を再現した起動型能力となっている。
類似効果としては『ユニバースビヨンド:Doctor Who』で登場した《数学の天才、アドリック》や、『ゼンディカーの夜明け』で登場した《石成エンジン》といったカードが存在するが、Xの値次第でどんな豪快な結果でももたらせそうなゴゴの能力は、こうしたコピー能力のなかでも群を抜いていると言えるだろう。


自身の能力はコピーできず、Xを0にすることもできないなど能力を起動する上で多少の制限はあるものの、一説に“『マジック:ザ・ギャザリング』の醍醐味のひとつ”とも言われるコピーが好きな回数おこなえるというのはかなり魅力的。『マジック』プレイヤーなら誰もが、魅力的なコンボを探してカードリストに向き合ってしまう、そんな効果だ。
かく言う筆者もそのひとり。ここからは、テーマ別に《世界を救うものまね中、ゴゴ》と組み合わせることで、おもしろいシナジーを生み出す可能性を秘めたカードたちを考えていきたい。
なお、記事の特性上『ファイナルファンタジー』コラボのカード、とりわけあまり複雑でないものを中心に紹介していく。より複雑なコンボについては、識者の方々による今後の研究を頼らせていただきたい。
《ジャボテンダー》と組み合わせてパワーを底上げ!?
まずご紹介したいのは、『FINAL FANTASY VIII』より参戦するカード《ジャボテンダー》。攻撃するたび、ターン終了時まで+9999/+0の修整を受ける超火力が魅力的なクリーチャーだ。

トランプルを付与したり、《投げ飛ばし》や《チャンドラの火の目覚め》などとのコンボが期待されているカードだが、注目すべきは“針万本”が誘発型能力である点。
大抵の場合《ジャボテンダー》を出した次のターンで7マナは用意できるはずなので、《ジャボテンダー》が攻撃する際に《世界を救うものまね中、ゴゴ》の能力をXが3になるように起動することが出来る。すると、針万本が追加で3回コピーされるので、ターン終了時まで+3万9996/+0の修整を受けることが可能となる。
おっきいね!
これに加えて『ミラディン』で登場した《ロクソドンの戦鎚》と組み合わせるなどすれば、4万/7という化け物じみたスタッツが完成。トランプルと絆魂がおまけで付くため、「対戦相手をなぎ倒しつつ約4万点のライフを得る」なんて芸当もできるだろう。

テクいこともしてみたい!《召喚:シヴァ》、《虎の影、百合子》
脳筋パワープレイも悪くないが、カードゲームらしいテクニシャンな使い方もしてみたくなったので、次の項では少しだけひねった使い方を見ていこう。
ここでご紹介するのは《召喚:シヴァ》、『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する召喚獣「シヴァ」をモチーフとしたカードだ。
タップと麻痺カウンターで妨害しながら、最後にタップ状態の敵の数だけドローする英雄譚クリーチャーで、相手のクリーチャーを足止めしながら最終的には手札枚数でカード・アドバンテージを得ることができる非常に魅力的な仕上がりになっている。

英雄譚が持つ各章の能力は、伝承カウンターが置かれることで“誘発”する。そのため、《世界を救うものまね中、ゴゴ》の起動型能力で問題なくコピーが可能となっている。
複数回効果を発動することで、1体のクリーチャーに対して複数の麻痺カウンターを乗せることが可能になるほか、麻痺カウンターを全体にばら撒くことで相手のアンタップを抑制し、3章のドロー能力も強化できる。状況に応じて使い分けたい1枚だ。
つづいてご紹介するのは《虎の影、百合子》。本セットでも継承史カードとして野村哲也氏による「ユフィ・キサラギ」のイラストで登場している、ディミーアカラーの伝説のクリーチャーだ。

低コストで統率者領域から自身を戦場へと出すことが出来る能力である上忍術が強力で、統率者戦において非常に高い人気を誇る1枚。
自身の忍者クリーチャーにドローとライフを減らすサボタージュ能力を与える効果も魅力的で、《召喚:シヴァ》同様《世界を救うものまね中、ゴゴ》のコピー効果と組み合わせることでゲーム後半に余ったマナソースを活かした大きなアドバンテージを受けることが可能だろう。
全ては運任せ!?「エインシャント・メタリック・ドラゴン」サイクルで20面ダイスを振りまくれ!
脳筋! テクニック! ときたら、次はなんだろう? そう、運に任せたギャンブルだ!
本セットでは天野喜孝氏によるイラストで継承史カードとしても収録されている《エインシャント・カッパー・ドラゴン》を紹介しよう。

《エインシャント・カッパー・ドラゴン》は『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い
』登場したエルダー・ドラゴンクリーチャー。『マジック:ザ・ギャザリング』と同じくウィザーズ・オブ・ザ・コーストが手掛ける『ダンジョンズ&ドラゴンズ』とのコラボセットで登場したカードで、なんと戦闘ダメージを与えるたびに20面ダイスを振り、出目に等しい宝物を生成するという豪快な能力を持っている。
この能力を《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーすることを考えてみよう。1度でもコピーすれば、生成される宝物・トークンの理論値は最大40個となり、2回なら60個、3回なら80個……。なんだか何でも出来てしまいそうな数の宝物・トークンが生成できてしまうではないか!
さらに、《エインシャント・カッパー・ドラゴン》には同様の効果をもつ「エインシャント・〇〇・ドラゴン」仲間が多数存在する。どれも20面ダイスを振ることで強力な能力を発揮するカードばかり。
出目の数だけフェアリー・ドラゴン・トークンを生成してみたり、ドローしてみたり、墓地にあるクリーチャー・カードをリアニメイトしてみたり、+1/+1カウンターを置いてみたりとやりたい放題だ。運に自信のある方はぜひ挑戦してみてほしい。
(画像はCommander Legends: Battle for Baldur’s Gate Card Image Galleryより)
ルールの穴を突け! インスタント/ソーサリー呪文もコピーしちゃおう!
なお、冒頭で説明した通り《世界を救うものまね中、ゴゴ》でコピーできる対象は、自分がコントロールしていて起動型や誘発型である能力に限られる。では、それ以外のもの、たとえばインスタントやソーサリーなどの呪文は本当にコピーできないのだろうか?
答えは否。この問題は『破滅の刻』で登場した《大群の諜報》のようなカードを用いることで、この制約を間接的に回避することが可能となる。

《大群の諜報》は青含む合計7マナと非常に重めなカードだが、自身の唱えるインスタントやソーサリーである呪文をコピーすることが出来る。要は「なにかをコピーする誘発型/起動型の能力」をゴゴでコピーしてしまおうという作戦だ。
このようにフィルター的役割を果たすカードはまだまだ存在するので、相手の呪文や能力をコピーすることなども考えてみてもいいかもしれない。
ちなみに、筆者が個人的に注目したいカードは『未来予知』で収録された《呪文織りの渦巻き》だ。

《呪文織りの渦巻き》は墓地にあるインスタント・カードにエンチャントするという、なんとも目を疑いたくなるオーラカード。「あなたがソーサリー呪文をプレイするたび」という誘発型能力で始動し、エンチャントされている墓地のインスタント呪文をコピーしてプレイする……というそれだけと言われればそれだけのカードなのだが、どのプレイヤーの墓地を参照しても構わないという幅の広さが魅力だ。
この能力で使用したインスタント・カードはゲームから取り除かれ、オーラ自体はまったく別のインスタント・カードにつけなおされるので、《世界を救うものまね中、ゴゴ》の能力で出がらしになるまでコピーしまくったあとは新たな便利カードへつけなおそう。ボードゲーム的感覚でプレイされることも多い統率者戦では大活躍すること間違いなし!?
なお、そんな突拍子もない効果から、開発部のヘッド・デザイナーであるマーク・ローズウォーター氏から直々に「再録機会:ありえない」と明言されてしまっているカードではあるが、ぜひ使ってみたいカードのひとつだ。

追加ターンや踏み倒しといった強力な起動型能力も、有望な“ものまね”候補
さて、今回は《世界を救うものまね中、ゴゴ》とうまく組み合わせられそうな能力について、誘発型能力を中心に紹介してきた。だが『マジック:ザ・ギャザリング』の世界には非常に強力な効果を発揮する“起動型能力”も数多く存在している。
起動型能力としては《時間流の航海士》や《時の支配者、テフェリー》などが持つ追加ターンや、《不屈の巡礼者、ゴロス》などの踏み倒しをコピーするのがシンプルに強そうに感じられるが、おそらく今後の研究・開発によって、発見されていく驚きのコンボが、『マジック:ザ・ギャザリング』の長大な歴史を感じさせてくれることだろう。


以上、《世界を救うものまね中、ゴゴ》の独占カードプレビューをおこなわせていただいた。
本カードはスタンダード環境に収録され、幅広いフォーマットで使用可能となっているので、ぜひ様々なデッキに組み込んで使ってみてほしい。
そんな《ゴゴ》も収録される最新拡張セット『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』は、6月13日(WPN店舗では6月6日)より発売予定となっている。プレインズウォーカーの諸君に、クリスタルの加護があらんことを。
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IMAGE ILLUSTRATION: © YOSHITAKA AMANO