今回紹介する『CONERU -DIMENSION GIRL-』は、ひと言でいうと「ちょっとヘンなゲーム(いい意味で)」だ。
なんといっても、操作するキャラの見た目がすごい。美少女が“ド根性ガエル”形式で宿っている。

本作は、戦闘用アンドロイドを操って悪の組織をぶっ倒しにいくのが目的の横スクロールアクションゲームなのだが、その戦闘用アンドロイドに、なぜか異次元からやってきた女の子と融合している状態で操作していくこととなる。
なんで美少女を胴体に融合させる必要があったんだろう……わからない。
わからないから、作者さんは多分『リンダキューブ・アゲイン』が好きなんだと勝手に妄想している。
加えて、世界観がカオスだったり、使えるスキルがランダムで変わったり、画面がうるさかったり、ハチャメチャなゲームではあるのだが、横スクロールアクションゲームとしての手触りは予想外に堅実。サクサク進むスピード感もいい。
そして、なにより伝えたいのが、このゲームの操作するキャラ(アンドロイドin美少女)のCVが小原好美ってこと。しかもフルボイス!!
ゲーム実況かっていうくらい話してくれるこねるちゃんの声を身近に感じながら、デートをする(こねるちゃんを体の中に入れたまま)。さいこーーー!
文/TsushimaHiro
編集/竹中プレジデント
CV:小原好美(フルボイス)が常に話しかけてくれるアクションゲーム
本作は“気持いいくらい画面がうるさい”横スクロールアクションゲームとなっている。通常攻撃、ジャンプ、よじ登り、一定時間無敵になるダッシュなど、ゲームシステムはシンプルにまとまっている。
効果がなぜかランダムな必殺技「こねるんビーム」という、イカれた要素については後述するとして……プレイしてまず目についたのが、操作するキャラクターのいで立ちだ。
これは、戦闘用アンドロイド「ソクラテス」に、異次元からやってきた女の子「こねる」が融合した状態。
どんな経緯で生まれた存在なのかは、これまた後述するので、ここではいったん「プレイヤーは美少女が“ド根性ガエル”形式で融合しているキャラを操作」しているとだけご理解いただきたい。
そんなわけで、操作するキャラにはこねるちゃんが融合しており、そのためゲーム中にめちゃくちゃ話しかけてくる。しかもフルボイス(CV:小原好美)で。

たとえば、道端で漫画を発見したときのことだ。


道端でマンガを読む際には、「どんな漫画が好きなの?」と質問を投げかけてくれるこねるちゃん。
そうだな~、俺ちゃんは恋愛漫画とか好きかな。最近だと『正反対な君と僕』とか……心情の描写が細かくてキュンキュンさせられるんだよね。
こんな感じで、イベントシーンはもちろん、移動中や戦闘中も含めて、さまざまな場面でこねるちゃんは話しかけてくる。
今さらだが、このゲームの目的は悪の組織をぶっ潰すこと。そのため、悪の組織の内部に潜入することもある。
……なのだが、こねるちゃんは終始ゆるい雰囲気。プレイするこちらも自然とリラックス状態でプレイを進めていくことになる。
なんだろうな……ひとりプレイ専用ゲームなのに、寂しさというものを感じさせない。常にそこに女の子がいて、自分のゲームプレイ画面を見てくれているような……寄り添ってもらっているかのような、そんな感覚に陥る。
というか、胴体の中に美少女がいることに違和感を覚えなくなってきている自分がいて怖い。
ちなみに、こねるちゃんの会話のバリエーションは非常に豊富なので、そこらへんはぜひ実際にプレイして確かめてみてほしい。
悪の組織を成敗するついでに“観光デート”する
そもそも、なぜ戦闘用アンドロイド(プレイヤーの分身であり、操作するキャラ)に美少女が融合することになったのか。
ときは、ゲーム開始時に遡る。
はい。培養ポット(?)の中にいるマッチョな肉体を持つのが戦闘用アンドロイド「ソクラテス」ね。
このゲームの世界観を説明すると、この世界の地球では、突如として現れた悪の組織「ヘイトフルーツカンパニー」によって、住民はたいへん迷惑していた。
そして、その悪の組織と戦い続けている「おつきみ博士」が、起動実験をしている謎のアンドロイドがプレイヤーの分身である「ソクラテス」なのだ。特撮ヒーローものっぽい設定だ。
しかし、このアンドロイド、999回目の起動実験を経ても動く気配を見せずにいた。そこに、ある日突然、なんの突拍子もなくいきなり「こねる」と名乗る女の子が体に宿る。
あまりにも突然の出来事だが、こねるちゃんが胴体にいることで、戦闘用アンドロイドが動けるようになったようだ。
これにはおつきみ博士も仰天。プレイヤーも仰天。……そもそも、なんでこねるちゃんは俺ちゃんの胴体の中に転移してきたの?
「次元旅行会社の人が 便を間違えちゃったのかも」
どうやら、本来であれば子猫ちゃんに転移するはずが、旅行会社の人の手違いで俺ちゃんの胴体に入りこんでしまったらしい。つまり、この子は「別世界から訪れた観光客」ってことか。
ただ、想定していた形ではないけど、地球に来れたことを喜ぶこねるちゃん。……あ、いいんだ。“ここでも”で良いんだ……。
ところが、安心安全に観光旅行が楽しめると思ったらそうはいかず。
ヘイトフルーツと1年以上戦ってきたおつきみ博士の命により、戦闘用アンドロイド「ソクラテス」と、(融合した)こねるちゃんは悪の組織打倒のために出撃することになる。
意気揚々と出発する「ソクラテスinこねるちゃん」だが、さっそくコソコソ話を始める。
「ねえねえ ソクラテス どうしよっか?」
「悪の組織討伐」以外に「地球観光」の選択肢が。………え? ここで倒しに行かない選択肢あるの?自由すぎない?
試しに「地球観光に案内しよう」を選ぶと、「やったー!ついでにヘイトフルーツやっつけちゃおっ」と、あくまで悪の組織打倒には前向きな姿勢を見せてくれた。
「二人でお出かけするのってさ 地球ではデートっていうんだっけっ?」
え?……///(トゥクンッ)い、いきなり何を言い出すんだよ……///
「たのしいデートにしようね~っ」
ギュンッッッ(心臓が締め付けられる音)
……こうして、俺(ソクラテス)と「こねるちゃん」のデートが始まったってワケ。
気分しだいで効果が変わる「こねるんビーム」
おつぎは、本作のゲームシステム面の特徴である「こねるんビーム」を紹介したい。
さきほども述べたとおり、本作には近接主体の通常攻撃、ジャンプ、よじ登り、ダッシュといった基本操作が存在するオーソドックスな横スクロールアクションゲームなのだが、そこに強いアクセントを加えているのがこの「こねるんビーム」だ。
端的に言うと、ランダムなタイミングで「使えるスキルが変わる」システム。
その内容も非常に多彩で、範囲攻撃を放つものや、ソクラテスの周囲を回転するもの、ただ猫を射出するだけのほとんど役に立たないものまで、ビームって言っていいのかすら曖昧な闇鍋状態だ。
一例として、今回の先行プレイで俺ちゃんが発見した一部の「こねるんビーム」は以下のとおり。
・ライウンさま
かみなりぐもを呼び出して範囲攻撃を繰り出す。
雑に発動しても当たるので、単純に使いやすい。
・ミニマムノヴァ
小規模なビッグバンを巻き起こす高威力スキル。
・ゴールドバー
金の延べ棒を射出して、敵に命中するとダメージを与える。
敵にぶつけるとお金に変えられる便利スキル。
お金は道中で回復アイテムのソーダを購入したり、武器を購入する際に使える。
・ロリポップアックス
巨大なキャンディを敵に投げつける攻撃スキル。
放射を描き飛んでいくが、デカいので当て辛いということはない。
・メタルサテライト
固い衛星が自身の周囲をくるくる回り続ける。
攻撃と防御を両方兼ね備えており、個人的にはかなり便利。
「当たりスキルだ」と感じた。
そして……
・ねこ散歩
文字どおり、ねこが出てくる。
敵に当たってもほとんどダメージが与えられない。
あんまり役に立たない。猫ちゃんもいきなり召喚されてびっくりしてると思う。
と、こんな感じでいろいろある。「こねるんビーム」が切り替わるタイミングはおそらくランダムなので、「使える時に使っとくか」と出し惜しみもせずにすむ。
これ、“アレ”だな……『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』のカイトの念能力「気狂いピエロ」のクレイジースロットを使う気分って、こんな感じなのかもしれない。
そのほかにも、こねるちゃんはデートの最中に「ドーナツ」を欲しがることがある。
ドーナツはステージに点在しており、一定の数量を獲得すると一時的に俺ちゃんともども無敵モードとなり、ジャンプ力が劇的に上昇。スピードも上がり、一部の壁を突き破る能力を得る。また、敵に与えるダメージは9999となる。
ただし、こねるちゃんはドーナツに対して好みがある模様。ドーナツもいくつか種類があるので、いずれ好物のドーナツを発見できるかも。
登場するモブキャラも個性つよつよ
操作するキャラクターも世界観もカオスな本作だが、登場するモブキャラも個性が強く印象深い。
たとえば、ヘイト・フルーツ・カンパニーの構成員を薙ぎ倒しながら先に進むと、シンジュクシティの市長に出会う。見るからにグラマラスな市長は、元・最強女子プロレスラーだという。マイク・ハガー市長のオマージュかな?
彼女の名前は「金色乃マチ」。シンジュクシティを治める元・女子プロレスラーで、江戸っ子気質の豪快な性格をしている。自らの肉体で戦い、何度も侵略に対抗してきた武闘派の人物だ。
市長以外にも、本作にはヘイト・フルーツ・カンパニーの敵であるモブキャラにも個性豊かな面子が揃っている。なかには、ソクラテスを先輩呼ばわりするヤツもいる。
彼らはヘイト・フルーツ・カンパニーの構成員で、ソクラテスと似たアンドロイドだ。基本は陽気で暴力的。装着するお面で知性レベルが変わるとのこと。
ボコボコに殴り飛ばす対象でありながらも、どこか親しみのもてるキャラクターをしているのだ。
そもそも「亜空間こねる」って誰?
めっっっちゃ今さらだけど、「亜空間こねる」って誰やねん? って方に向けて、彼女について紹介しておきたい。

公式サイトによると、「亜空間こねる」とは次元旅行好きな多次元宇宙生命体である。
物質に”受肉”することで次元を超えて観光をすることが可能。手違いによって、戦闘用アンドロイド”ソクラテス”に受肉するとのこと。
……あ、これ受肉してたんだ!? そんな、『Fate』のサーヴァントみたいなことしてたんだ、こねるちゃん……。
クリエイターHYPERSPACE (Eallin Japan)氏を中心に「想い=重力は次元を超える」というコンセプトのもと、次元を越境し、探求する少女達との体験を“コネクト”するクリエイティブ・ブランドGBXD(GRAVITY BEYOND X DIMENSION)出身の次元少女だ。

こねるちゃんのほかにも、Gravity Beyond Xにはさまざまな仲間がいるらしい。たとえば、宇宙の惑星を旅ながら音楽を制作するシンガーソングライター「メトロミュー」。
修学旅行で地球を訪れることになった宇宙高校生のアバター型の次元少女「ミカ アストロメリア」。この子も自分の身体に”受肉”して貰うことで観光することができるらしく、おばあちゃんに土産話をしたがっているようだ。
受肉の設定を持つキャラクターは、こねるちゃんだけではない模様。もしかしたら、いずれアストロメリアちゃんと融合して“修学旅行”を楽しめるゲームを遊べる時が来るかもしれない。
それにしても……「次元を越境し、探求する少女達との体験を“コネクト”する」……なんだか難しいことを言う。一種の哲学のような。
そういえば、本作のもうひとりの主人公である戦闘用アンドロイドの名前は「ソクラテス」、西洋哲学の礎を築いたという哲学者と同名だ。
ソクラテスといえば、「何も知らない」ということを自ら認めることが真理を探るための道のりであるという「無知の知」という姿勢を見せた哲学者だ。
さて、このゲームでいう真理とは何だろうか?
………ん~~~~………わかんないっ(笑)。
ただ、ひとつ言えるのは、そもそもひとりプレイ用のゲームって本来は孤独なものだと思う。
でも、孤独だからこそ自分としっかりと向き合いながらゲームに没頭できるし、楽しめる。だからこそ、シングルプレイ用のゲームはRPGとかも含めて今でも多くの人たちに親しまれてるし、愛されているはず。
孤独だけど、寂しさを感じない。そこには、プレイヤーと開発者との間に発生する暗黙のコミュニケーションが存在しているようにも思えるからだ。
このゲームは、そんなソロプレイヤーに対しての優しいアンサーを出してくれているのかもしれない。「ひとりプレイ用ゲームでも、誰かと一緒に観るのって楽しいよね」って。友人にチャチャを入れられながら遊ぶゲームみたいに。
次元を超越して、孤独の世界に遊びに来てくれたこねるちゃんとデートが楽しめるアクションゲーム。それが『CONERU -DIMENSION GIRL-』なのではないだろうか。
そんな本作は、2025年5月29日よりSteamストアページにて発売中。価格は2980円。6月11日までリリースセール(20%オフ)により2384円となっているので、ストアをチェックしてみてはどうだろう。
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