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『崩壊:スターレイル』のFateコラボでアーチャーとアベンチュリンの関係に萌え萌えしたので、lack先生にイラストを描いてもらいました。ちなみに、タイトルは「アーチャーに着地を任せるアベンチュ凛」です

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闇を払い進め この身失うとも

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いい感じに流れができたので、ファイノンの話をしようと思うんですけど。

いや、ファイノンのこと書かないと終われないでしょう。
Fateコラボもよかったけど、ファイノンなしに終われるわけがないでしょう。

あぁ……いざファイノンのこと考えたら落ち込んできた……。
せっかくFateコラボで楽しげな空気を作ったのに、なんか一気に葬式みたいな気分になってきた。あんなに楽しげな空気だったのに!! どういうバージョンなの? 3.4はこっちの情緒をどうしたいの?

実は私、『崩壊3rd』の「ケビン」というファイノンのそっくりさんみたいなキャラが大好きで、事あるごとに「スタレにケビン顔を実装してほしい」とは言っていたんです。それこそオンパロスが始まる前に、それだけで記事を書くくらい。まさかこんなことになるとは思わなかった。

ということで、ver3.4における私の落ち込み具合についても書いてみる。

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結論から言うと、オンパロスはギリシャ神話的な世界ではなく、1台のコンピューターによる演算によって生み出された、データの世界だった。黄金裔たちの戦いも、永遠に繰り返されるプログラムでしかなかった。みんな、オンパロスという名の実験場で、神託という名のプログラムに従い、旅という名の演算を繰り返してきた。

まあ……うん、ここもいろいろ言いたいんだけど一旦後回しだ!

永遠に繰り返される演算の中、ファイノンとキュレネは「鉄墓」の復活を阻止するべく、「永劫回帰」という無限ループに突入する。ファイノン……もとい「NeiKos496」は、「カスライナ」に転生する。カスライナはこの状況を打開する者が現れるまで、フレイムスティーラーとして33550336回のループに突入していった。

「オンパロスはデータ世界説」と「フレイムスティーラーはファイノン説」自体は、そこそこ前から言われていたけど……思ってた以上の地獄だった。「33550336回」って数字がデカすぎて逆にワケがわからない。「気が遠くなる」とか、そんなレベルじゃない。

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ちなみに、思わせぶりに登場した「カスライナ」という名前は、ついさっきもチラッと話していた「ケビン」というキャラの本名である「ケビン・カスラナ」をセルフオマージュしているものだと思われる。今週の艦長発狂要素。もっと言えば、この「カスラナ」という苗字自体が大事なものなんだけど……これ以上は割愛!!

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そして、私たちプレイヤーは「カスライナの約3355万回のループ」を追体験する。

カスライナがフレイムスティーラーだったということは、それはつまり「かつての仲間だった黄金裔たちをその手で殺していく」ということ。カスライナの手で、私たちの手で、黄金裔を殺す。火種を奪う。ver3.4には無数にエグいところがあるけど、個人的にはここが一番エグいと思う。

サフェルとザグレウス、ニカドリーになったモーディス、タナトスになったキャストリス、エーグルになったヒアンシー……火種を継いで神になった仲間たちを、皆殺しにする。終わりのない永劫回帰のなかで、徐々に精神が壊れていくカスライナ。こっちまで心が痛い。

目から光は消え、仲間は失い、希望は潰えた。
それでも、何度でも繰り返す。

こういう無限ループって、「いつか奇跡が起きるかも」という希望が提示されてることが多いと思うのですが、カスライナの永劫回帰に関しては「鉄墓の誕生を阻止すること」が最大の目的だから、「このループはいつか終わるかも」という希望すらない。

ループしつづけることが目的の一部だから、終わりなんて最初からない。
焼鳥の兄ちゃん、噓だよな?

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声がどんどん暗くなっていく……

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ここで話したいのが、「ファイノンのバトル性能」について。

個人的に、純粋な「強さ」というよりかは、「ファイノンの物語をバトルシステムで再現してる」ところがめちゃくちゃいいと思ってるんです。「このキャラの性能がすごい」大賞をあげたい。

ファイノンの性能をザックリ解説すると、

・火種を12個集めて「カスライナ」に変身する
・仲間からのサポートを引き継いで、1人で戦う
・火種を集める→カスライナに変身→また火種を集めるのループを繰り返す

といった感じ。

この「必殺を発動すると、1人で戦い始める」というのがバトルシステム的にも前代未聞なんですが……まあ、この性能って完全にストーリー中のファイノンと同じなんですよね。

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仲間たち(黄金裔)とともに、火種を集める。
火種を集めて、「カスライナ」になる。
みんないなくなって、ひとりで戦い続ける。
圧倒的な力で、世界を終わらせる。
また、火種を集めるループに突入する。

なんでバトルシステムのこと考えてるだけで悲しい気持ちにならなきゃいけないの?

この「バトルシステムへの文脈の乗せ方」、かなりすごいと思う。
RPGって、「感情的なストーリーの軸と、論理的なバトルシステムの軸が交わった瞬間」が一番面白いジャンルだと思ってるんですが……ファイノンの性能は完全にそうだと思う。「たった1人で戦い続ける」という唯一無二の性能が、ちゃんとストーリー的に意味のあるものになっている。

でも、冷静に考えるとツラい気持ちになってくる。
なぜかバトルまで苦しくなってくる。
ファイノン、ひとりで戦わなくていいんだよ。

しかし、性能が強いから、デイリーでもファイノンを使ってしまう。毎日素材集めに駆り出され、こっちでも終わりのない戦いを繰り広げるファイノン。今度は「デイリー周回」という名の永劫回帰に囚われた。鬼!悪魔!HoYoverse!!

俺は悪くねえ! 俺は悪くねぇっ!!

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「もうどっちがボスやねん」って感じ。

傷だらけのガラスの心が 忘れかけた熱を灯す

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「この星は英雄を待っていた」。

オンパロス編のキャッチコピーとなっていたこれ……重みがヤバいことになってる。本当に、オンパロスは、ずっとずっと、3355万回のループを繰り返して、「英雄」の到来を待っていた。

ver3.4のメインストーリーは、「この星は英雄を待っていた」を筆頭に、「これまでオンパロスで語られていた言葉・セリフの重みが変わってくる」ところが面白い。

たとえば、ファイノンの継承した神権である「世負い」とか……もともと重い単語だったのに、オンパロスの真実を踏まえると、尋常じゃなく重い。間違いなく、ファイノンは「世界を背負って」いた。

本当に、オンパロスという世界の運命そのものを背負っていた。「世界を背負う」ってこれくらい大変なことなのかもね……ハハ、ハハハ……(乾いた笑い)

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あとは、「一緒に英雄になろう」という言葉。
これ、かなり最初にファイノンが言ったセリフなんですが……。

3355万回のループの果て、ついに英雄が現れた。
それは、ファイノンが夢見ていた「英雄」であり、「相棒」でもあった。

ファイノンは、そんな「英雄」にオンパロスの未来を託す。
黄金裔の愛した世界を救うために。

一緒に救世主になろう、ファイノン。

もう、ここまでの言葉の重みがすごいことになってる。
「大丈夫だよ相棒。オレも、これから頑張っていくから」───じゃないんだよ! 「一緒に」って言ったじゃん! ヤバい、ホントに書いてて泣けてきた!!

で、このクライマックスで流れるアニメとか……もう『崩壊:スターレイル』ってすごいゲームだと思います。なんか、私は過去最高にスタレに入り込んでる気がする。

最初は、ただのデータだった。
それでも、世界を守るために、仲間を救うために、終わりのない永劫回帰を繰り返した。3355万336回のループと、4億260万4020個の火種。彼の怒りが、彼の炎が、神に傷をつける。しかし、神は殺せなかった。まさに、「ファイノンの人生」を5分に凝縮したアニメーション。

諦めなかった正義と、燃やした怒りと、果たしたかった救世の終着点。もう、いまこの瞬間は『崩壊:スターレイル』が一番面白いゲームだと思いました。

「この星は英雄を待っていた」。
それは輪廻を打ち破る開拓者に向けた言葉でもあり、終わりのない演算から生み出された「英雄」に向けた言葉でもあるのかもしれない。ただのデータでも、神を殺してみせる。刃を届かせてみせる。

もう、過去イチ面白いと思います。
ver3.4、今までで一番面白かったです。

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(画像は【崩壊:スターレイル】ショートアニメ「聞け!神に祝福されし山頂で開かれた狂宴を!」 – YouTubeより)

走り出すその理由が たとえどんなにくだらなくても

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正直……私、ver3.4が来るまではオンパロスよりピノコニーの方が好きだったんです。

もちろんオンパロスも面白いと思うけど、やっぱり『崩壊3rd』からの要素を前提にしている感じが強かった。「スタレオリジナルの物語」という意味では、ピノコニーの方が断然よかった。でも、ver3.4で「オンパロスの話」として独立した。

『崩壊3rd』由来でもない、十三英傑でもない、「黄金裔たちの物語」として自立した。この「オリジナルになった」ことそのものに、私は感動してしまったのです。まさに、「コピーから生まれた本物」。うおお、Unlimited Blade Works!!

ケビンじゃなくて、「ファイノン」が好きになった。
エリシアじゃなくて、「キュレネ」が好きになった。
オンパロスが、ついに「オンパロスの物語」として動き始めた。

うん、いまの『崩壊:スターレイル』は間違いなく最高潮だ。

この物語をリアルタイムで追えてよかった。
いや、正直めちゃくちゃすごいと思ってますよ。もう、「ピノコニーのリアタイ時の盛り上がり」って再現不可能だと思ってたんです。そこに追いついてきた。いや、むしろそれ以上を叩き出してきた!!

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特に、オンパロスの真相とともに解放されるデータベースとか、すごい。

カスライナが約3355万回のループを繰り返していた時のデータが記録されているのはもちろん、それより以前の「オンパロスに人類が誕生する以前の時代」まで記録されている。文明の誕生以前、知的生命の誕生以前、無脊椎動物が地上を占拠していたころの時代まで……もう気が遠くなる!!

つまりこれは、「惑星の歴史そのもの」を演算しているとも言える。
生命が誕生し、知的生命体が生まれ、文明が発展していく……その果てに訪れる世界の終焉。単純な「神話の再現」をしているのではなく、より大きなスケールで「生命の過程」を再現しているのだ。

正直「こんなにデカいスケールでやっちゃって、ネタ切れ起こさないの?」とは思う。

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『崩壊:スターレイル』の得意分野のひとつに、「尋常じゃない設定の膨大さ」があると思っている。そして、オンパロスはその「設定の膨大さ」を逆手に取ったようなトリックを仕掛けている……気がする。

この「ファンタジーの世界かと思ったら、実はSF的な設定に基づいていました」というギミックそのものは多くのRPGで行われているけど……オンパロスの場合、その「ファンタジーの世界かと思ったら」の部分に異常な物量の設定が仕込まれている。

結局データの話なのだから、ある程度はダミーっぽい感じでもよさそうなのに、それはそれとしてオンパロスの神話的設定の部分にはRPG1本分くらいの物量がある。「モネータとサーシスが……」とか「ゴーナウスとニカドリーが……」とか、もう普通に神話ひとつ分のストーリーがある。

だから、「オンパロス=データ世界説」自体はうっすらと理解していても、「いや、この物量から考えて、本当にSF関係なく神話テーマでやろうとしているのでは……?」と本気で思わされる。いや、「騙される」かな? とにかく、設定における「助走」の部分だけで世界一周してるような感じだと思う。

きっと、開発チーム内の誰かが「神話を再現しているデータ世界の話を作るから、大前提の神話もそのまま1本分作っちゃおう!」と言い出したのだろう。気が狂っている。気が狂ったゲームだ。改めて、『崩壊:スターレイル』はどうかしていると思う。焼鳥の兄ちゃんはどうかしているのだ。

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で、一番重要なのは「ここからどうなるか」ってことですよ!

オンパロスは1年かけてストーリーが展開される。
もう、ここまでで尋常じゃない物量を食わされたのに、まだ折り返し地点!
むしろ「ここから」とすら言える!!

あぁ……うん……なんていうか……『崩壊:スターレイル』についてきてよかったです。贔屓目抜きに、すごいゲームですよこれ。あと半年かけて、ここからの物語を見れるとか、極上の体験だと思う。

だから、Fateコラボから入ってきた新規ユーザーさんにも言いたい。
『崩壊:スターレイル』のメインストーリー、超面白いですよ!!

「いい物語」において舌が肥えまくっているであろうTYPE-MOON好きのみなさんを唸らせるであろうストーリーが、いまここで展開されている! そう、まさにいま! リアルタイムで更新されている! だから、オンパロスの話もやってみてください!

『崩壊:スターレイル』、すごいゲームだぞ!!

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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