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キーボード界のカンブリア紀大爆発前夜か。磁気スイッチ+ラピッドトリガーがもたらすコモディティ化の波が世界を、そして日本を飲み込む。上海で目撃したカスタムキーボードの最前線をレポート

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14億人の市場が起こすコモディティと日本市場への影響

中国のキーボードメーカーが続々と磁気スイッチ式のキーボードに参入することで、クオリティの向上とともに、激しい価格競争とコモディティ化が急速に進んでいる。つまり、先ほど述べた磁気スイッチにおける「高価」という欠点は次第に解消されつつあるのだ。

しかも中国で普及しているキーボードの大半は、(簡体字や繁体字のような)独自配列ではなく、US配列である。つまり、ZFXに大量出展されたこれらの製品は、販路の確保と技適(技術基準適合証明)さえクリアすれば、直ちに輸出可能な準備が整っている。

いわば今回のZFXは、磁気スイッチ+ラピッドトリガー搭載キーボードが世界中に溢れ出すカンブリア紀大爆発の前夜状態といえるのだ。

FPSの常識を塗り替えた「ラピトリ」キーボードが世界を制覇する日は近い_024

じっさいに会場内で磁気スイッチ式キーボードを片っ端から試打してみたが、その打鍵感には驚かされた。長年REALFORCEを愛用し、こだわりを持つ筆者ですら、「もう、これで十分なのでは……?」と思えたのだ。

しかも、同じ磁気スイッチでもメーカーごとにチューニングが違っており、日進月歩で進化している最中にあるという。
押し心地の滑らかさや反発力を重視したものもあれば、“クリック感”を持たせたユニークな製品まであった。非接触がウリの磁気スイッチで、あえてアナログな感触を組み込むという執念。どのようにしてあの感触を再現しているのだろうか?

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ただ、zFrontierの主催者は、現在の磁気スイッチの課題についても冷静に分析していた。

課題のひとつは安定性で、磁気検知という性質上、湿度などの環境変化がセンサーの精度に微妙な影響を及ぼす可能性はゼロではないとのこと。もっとも、現在の定番であるMXスイッチが10年以上の歳月をかけて熟成されたように、磁気スイッチのクオリティも、今後さらに高まっていくだろうとの見方を示していた。

そしてもうひとつ挙げていた課題がブランド力である。いかに高性能とはいえ、無名のブランドのキーボードに対して、現在の普及価格帯である1~3万円前後をポンと出すのを躊躇する人は多いだろう。今後は価格がこなれるだろうが、それよりも先に、信頼ある大手ブランドへOEM供給するキーボードメーカーも出てくるかもしれない。

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国産キーボードの雄REALFORCEが直面する課題

ZFXの会場には、日本が誇るREALFORCE(東プレ)のブースも出展されていたので、上海の販売代理店の担当者に現地でのリアルな反応も聞いてみた。

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彼らによれば、REALFORCEの静電容量無接点方式による圧倒的な高品質、そして「Made in Japan」ブランドは、中国でも極めて高く評価されているという。だがいっぽうで、明確な課題もあるとのこと。

まず、中国で流通するキーボードの中でも群を抜いて高価であること。そして、設定ソフトが中国語非対応や、カスタマイズ性の低さといった、ローカライズとユーザビリティの面での弱点があるそうだ。
これらにより、中国におけるREALFORCEは、一部の富裕層や極めて強いこだわりを持つプロフェッショナル向けの「特別な製品」という位置付けに留まっているとのこと。

そこに対し、今回のZFXでは製品力で肉薄し、かつ自由自在なカスタマイズが可能な磁気スイッチ勢が大量に押し寄せたのだ。東プレをはじめとした日本のメーカーにとって、相当な脅威になるであろうことは想像に難くないだろう。

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確かに、今回のZFXの盛り上がりを目の当たりにしたいま、REALFORCEの仕様も世界基準に歩み寄ってほしいと感じたのは事実である。

一例を挙げると、同社のゲーミング向けフラッグシップモデルの『REALFORCE GX1』シリーズにおいても、東プレは依然としてキースイッチの固定(基板への直接ハンダ付け)にこだわっている。

さすがに、デコ盛りキートップやバックパネルの交換までは求めないが、キースイッチを個別に交換できる「ホットスワップ」への対応は切実なニーズであろう。それは単なる故障時のメンテナンス性にとどまらず、自分好みの打鍵感のキースイッチに入れ替えるという自由度において、(少なくとも中国市場では)避けられない潮流となっているからだ。

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ちなみに、中国のキーボードメーカーのなかには、メカニカル式と磁気式の両方のキースイッチに対応したハイブリッド基盤を研究しているところもあるという。もしこれが実用化されれば、「WASDキーだけを磁気スイッチにしてラピッドトリガーを利かせ、それ以外は打鍵感が好みのメカニカルスイッチにする」といった使い分けも可能となる。そんなデバイスの未来が、すぐそこまで来ているのだ。

静電容量無接点方式という、磁気スイッチに引けを取らない高い技術を持つ東プレが、いかにそのアイデンティティを更新していくのか。いちファンとして、名門の次なる一手に注目したい。

ZFXが示す中国デジタルホビーの底力に圧倒

めくるめくカスタムキーボードの世界と、本格的に世界制覇に向けて動き始めた磁気スイッチ。当初は「WePlay Expoのついで」という軽い気持ちで足を運んだZFXだったが、図らずも時代が動く瞬間に立ち会ってしまったような衝撃を受けた。

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日本でも磁気スイッチを搭載したキーボードの新製品はちらほら登場しており(※Amazonの製品一覧)、少しずつではあるが浸透しつつある。すでにラピトリの恩恵を受け、スコアを伸ばしているFPSコアゲーマーの読者もいるだろう。

だが、今回のZFXで目撃した中国メーカーたちが、その圧倒的な物量とスピードで日本市場へとなだれ込んでくるのは、もはや時間の問題だ。磁気スイッチは「知る人ぞ知る高性能デバイス」という枠を飛び越え、一気にメインストリームへと駆け上がるだろう。ゲーミングデバイス界を揺るがすこの巨大なうねりから、当面目が離せそうにない。

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……とはいえ、電ファミ読者のなかには「キーボードにそこまでこだわる意味がわからない。キモい!」とドン引きしている人も少なからずいるだろう。

まぁ、そんな方はとりあえず、zFlontierの公式サイトでも紹介されていたこちらのASMR動画でも見ていってほしい。

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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