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初動でつまづいたインディーゲームを“賛否両論”から“非常に好評”まで立て直した開発者に「ぶっちゃけなにがあったのか?」を聞いたら、生々しい話があふれ出た。「安さで選んだ翻訳が炎上し、再翻訳に160万円かかった」

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株式会社メタスラ結成。スマホゲームの開発を経て、いざPCゲーム市場に参戦

中島氏:
『剣と勇者とレベル上げ』に続いて『ローグダンジョンウォーカーズ』がヒットしてくれたお陰で収益のめども立ち、いよいよ「ゲームを作って飯を食っていこう」と決意して会社を立ち上げることにしました。

——グラフィックを担当されている古澤さんはこの時点で活動にくわわったのでしょうか。

中島氏:
実際には、『ローグダンジョンウォーカーズ』の時点でキャラを描いてもらっていたりはしたんですが、本格的に一緒にやりはじめたのは起業のタイミングですね。

『シーファンタジー』開発者インタビュー。Steamの評価を賛否両論から非常に好評まで立てなおしたインディーゲームの開発秘話_008
(画像はローグダンジョンウォーカーズ – Google Play のアプリより)

——そしてメタスラとして初のゲームである『シーファンタジー』の開発が始まるわけですが、開発期間の1年半というのは当初から決めてあったんでしょうか?

中島氏:
いや、正直なところ、ゲームを作り始めた時はいつも「どのぐらい期間がかかるか」は考えてないです。制作に終わりが見えてきたあたりで「この日にリリースしよう」みたいなことを決めて、その日に向かって頑張っていくというスタイルで作ってました。

くわえて、当初の予定では『シーファンタジー』は2025年の2月に発売しようと考えていたんです。ただ、ちょうど同時期に大作ゲームの発売が複数予告されたことで、「これはズラさないと危ないぞ」と思い、1ヶ月早めてのリリースとなりました。

結果として開発終盤はかなり慌ただしくなったのですが、『ローグダンジョンウォーカーズ』と同様に、「時間をかけるほどコケた時のリスクも大きくなるから、なるべく早く作ろう」という意識はずっとあったので、なんとか対応できました。

——ゲームのディレクターは中島さんが担当されたんでしょうか。

中島氏:
はい、企画から進捗管理まで基本的に私が見て、私が決めてましたね。

——それまで作っていたスマートフォン向けアプリと、Steam向けのゲームの違いで、開発時に苦労した思い出などはありますか?

中島氏:
各種コントローラーへの対応には、けっこう苦労しましたね。とはいえ、スマホはスマホで機種ごとに画面の比率が非常に細分化されているので、その対応をしなくていい分、ラクとも言えます。どちらにせよトレードオフですね。

プラットフォームの違いよりも、ゲームのコンテンツ量をいかに用意するか、プレイが単調にならないよう、どう工夫するかなどの方でいろいろと試行錯誤をしましたね。

『シーファンタジー』開発者インタビュー。Steamの評価を賛否両論から非常に好評まで立てなおしたインディーゲームの開発秘話_009
(画像はSteam:Sea Fantasy / シーファンタジーより)

発売直後に「賛否両論」となり、初動から大きなブレーキ。でも「釣りフェス」が開催された際にはけっこう売れた

——会社を設立し、1年半の開発期間を経て『シーファンタジー』が完成し、いよいよ発売となったわけですが、発売直後のユーザーの反応はいかがでしたか?

中島氏:
冒頭でも述べましたが、中国語翻訳の出来が悪いということで不評を受けてしまったのは想定外でしたね。

それ以外にも、ゲームの難易度についてネガティブな反応がありました。

飯島氏:
『シーファンタジー』には、ゲーム終盤に登場するいわゆる“裏ボス”がいて、これは相当難しく作ったんですが、どうも「難しすぎた」らしくて、その部分で不評が多かったんですよね。

中島氏:
開発中の私たちとしては「裏ボスならこのぐらい難しくていいだろう」と思っていたんですが、どうもやりすぎだったようなので、急いで弱体化しました。

——進行不能バグや挙動の不具合ならまだしも、「裏ボスが強すぎる」という理由で不評が来るのは珍しいように思いますね。

中島氏:
そうですよね。いちおう発売から一週間はバグや不具合対応のために準備していたんですが、そういったレビューはあまりなくて。

むしろ「裏ボスが難しすぎる」だったり、「釣りと関係ないアクションが難しすぎる」など、難易度の部分で反応があった結果、一時はSteamでのレビュー評価が「賛否両論」になってしまいました。

急いで対応しましたし、結果として今では「非常に好評」まで持ち直してもいるのですが、初動で「賛否両論」になってしまったというのは売り上げの面で大きなブレーキになったのは間違いないと思いますし、今後のゲーム制作では改善していきたい部分でもあります。

『シーファンタジー』開発者インタビュー。Steamの評価を賛否両論から非常に好評まで立てなおしたインディーゲームの開発秘話_010
(画像はSteam:Sea Fantasy / シーファンタジーより)

飯島氏:
「難しすぎる」という不評はあっても「簡単すぎる」という不評はなかったので、これは大きな学びになりましたね。

中島氏:
また、ゲームのリリース直後には「体験版と製品版で印象が違う」という意見もありました。

たしかに、『シーファンタジー』は体験版の範囲では釣りあげた獲物を相手にしたシンプルな目押しバトルが中心でしたが、それ以降のゲームプレイではミニゲームやアクション要素なども多く、ユーザーさんに与える印象として「思っていたのと違うな」という感覚を抱かせてしまったのかもしれません。

——発売直後はどの程度売れたんでしょうか?

中島氏:
最初の一週間での販売本数が1万本ですね。そこからは一日100本程度で落ち着きました。

——そう聞くと、ゲームの売れ行きはかなり初動にかかっているように思えますね。ほかに目立って売上の増したタイミングはありましたか?

飯島氏:
2025年の6月にSteamで「釣りフェス」と題したセールイベントがおこなわれました。この時はけっこう売り上げが伸びましたね。フェス期間中に3000~5000本ぐらいは売れたと思います。

中島氏:
まさにゲームジャンルとしてど真ん中だったこともあって、特設ページでも目立つ位置に『シーファンタジー』が来ていたようなんです。

飯島氏:
仲間内では「僕らのためのフェスじゃん」と話していましたね。

大型アップデート、配信者との取り組み。ゲームを発売した後にできることもしっかりと実施

——『シーファンタジー』の発売後は、どういった取り組みをおこなわれたのでしょうか。

中島氏:
大きなものとしては、大型無料アップデートを実施して「魔界編」を追加したことでしょうか。

中島氏:
このアップデートによってストーリーを綺麗に終わらせることができましたし、またゲームのボリューム自体も、価格と比べて非常に満足感のある量を用意できたと自負しています。

本作を配信してくださっているユーザーさんからの反応も非常によかったので、実施した甲斐があったなと思っています。

飯島氏:
発売後の施策という意味では、それこそ配信者であるしんじさんとのコラボ企画もやらせていただきましたね。

中島氏:
しんじさんは本当に初期から『シーファンタジー』を楽しんでくださっていて、2025年のBitSummitの会場でお話させていただく機会があり、「ゲームに自分を登場させていいよ」と許可までいただけたので、張り切ってゲーム内に実装しました。

中島氏:
そしたら、コラボアップデートのプレイも配信していただいて……ゲームの発売後はなかなか情報の露出の機会がないので、非常にありがたかったです。

また、BitSummitではソニーのPlayStation担当者の方から声をかけていただき、PS5移植版を出す際のアドバイスをいただけるなど、イベント出展ならではの成果もありました。

Steamでの注目度を左右するウィッシュリストは発売時で4万2000件。「トップページに載ったタイミングで一気に増えた」

——Steamではウィッシュリストの数字が売り上げにも大きく作用するというデータもあるようですが、『シーファンタジー』のウィッシュリスト数はどれくらいだったのでしょうか。

中島氏:
発売直前の時点でのウィッシュリスト数は4万2000件でしたね。

ただ、一定のペースで増えていったというよりは、発売直前の一週間で一気に増加した印象が強いです。

——その要因はなんでしょうか?

中島氏:
発売日が近くなったタイミングで、Steamのトップページの「話題の新作」欄に『シーファンタジー』が掲載されたことが大きいと思います。やはりSteamで目立つためには、いかにしてトップページで紹介されるかというのが大きいのでしょうね。

また、ゲームを発売してから実感したこととして、「発売後もウィッシュリストは増えていく」という部分に驚きがありました。

現時点で『シーファンタジー』のウィッシュリストは9万6000件となっていて、それだけの方が本作を気にしてくださっているんだな、とありがたく思っています。

——そういった発売後のウィッシュリスト登録者は、やはりセールなどを待って購入している層なのでしょうか?

飯島氏:
はっきりしたことはわかりませんが、確かにセールをすると今でも1日100本程度はゲームが売れるので、そういった方々が購入してくださっている可能性はありますね。

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編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest
編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ライター/編集をしています。
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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