フロム・ソフトウェアのゲームは“間違いない”!
――それまで加三さんご自身は、ゲームにまったく興味がなかったのに、なぜ息子さんは、還暦のお祝いにゲーム機を贈られたのですか?
加三:
それはええ質問や。息子はこっちの人間性を知っとるねん。なんでも好奇心を持ってるとか、おもしろいと思ったら年齢関係なしに、それを認めるとか。そういうのを知っとるから、あの親父やったら、60歳でもゲームをやるやろなと。
――さすがは親子ですね。じゃあそこから、どんどんゲームにハマっていった?
加三:
『エースコンバット』をクリアして、ほかにもゲームをやろうと思うて、その時分に出てた名作と言われてるゲームを調べて。『バイオハザード』とか、『トゥームレイダー』とか。それから『キングスフィールドⅡ』【※】。
加三:
『キングスフィールド』は『Ⅱ』からやったんやけど、もうチンプンカンプンで(笑)。
――プレイヤーをつき離すような作風は、当時から変わらないですからね。
加三:
チンプンカンプンやけども、フルポリゴンの3Dの画面が、ほんまにリアルで。自分が考えたこともないような、想像の世界に入っていける。人間が体験できんようなことを、架空のことやけども体験できたっちゅう、あれはスゴいと思うな。
――仮想の世界を味わってしまったんですね。
加三:
仮想とちゃうねん、現実のようやねん。こう言うと若い子に悪影響が出ると思われるけど、こっちぐらいの歳になると、完全にゲームの中の世界って分かってるわな。けど、それでもやっぱり、あの体験はスゴい。
――なるほど。そうやってプレイステーションのゲームにハマって、今はPS3で遊ばれているんですよね。ハードの世代交代に合わせて、ゲームをどんどんと追いかけていったわけですか?
加三:
こっちはハードよりも、内容を追っていくねん。フロムが好きやから、フロムのゲームが出たら、ハードが変わっても絶対やるわな。
――やっぱりそうなんですね。
加三:
フロムでやってへんのは、『アーマード・コア』【※1】。あれは合わんかった。けど、それ以外はやってる。『シャドウタワー』【※2】もなかなか大変やったな。
いちばん印象に残ってるのは、『デモンズソウル』【※】。あの中に、城壁の回廊を進んでいって、そこに出てくる敵を倒しながら、次の城に入っていくところがあるねん。ところがそこに、飛竜が襲ってきよんねや。まぁ一応、走って逃げたらいけるわな。けど、飛竜をいっぺん、やっつけたろと思うて。
あのゲームは、矢を3種類ぐらい買えるねん。それを999本やったか、全部マックスに持って、それから延々とやった。飛竜の体力が2〜3000ぐらいやけど、矢が1本当たっても、ダメージは10か20や(笑)。
――それで、飛竜を倒したんですか?
加三:
倒した。2〜3時間かかったな。
――プレイのテクニックはもちろんですけど、その根気もスゴいですね。そうやってフロム・ソフトウェアのゲームをずっと追いかけて、その結果として『ダークソウル』【※】にたどり着いているのが、さすがだと思うんですよ。
加三:
フロムのゲームは間違いない。フロムはサービス精神がぜんぜんないねん。1回クリアして2回目をやっても、オマケも何もなしで、またイチからやり直しや。
――でも、それがいいんですよね?
加三:
それがええねん(笑)。