“かめはめ波”より強ぇえのはどれだ? Fate、ナウシカ、ラピュタ、ヤマト…第一回チキチキビーム破壊力選手権!【空想科学ゲーム読本】

 筆者のところには「かめはめ波を打ちたいんだけど、どうすればいいですか」という質問がいっぱい来ます。

 人間も体から熱エネルギーを出しているから、それを手のひらに集めれば……と思うものの、実際には蓄積するのが難しい。そんなふうにマジメに答えると「期待したのに、実現できないのッ!?」と叱られることも。そう言われましても~。

 かめはめ波を打ちたいあなたも、叱られて残念な私も、ぜひやるべきなのが『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』である。

 このゲームはもう、実に爽快。かめはめ波をドッカンドッカンぶっ放しながら、『ドラゴンボール』の世界を旅していく。うひゃひゃひゃ~、やっぱりかめはめ波はキモチいい。悟空や悟飯になった気分ですなあ。

かめはめ波の威力はどれくらい?

 しかし、ドッカンドッカンやっているうちに、やはり考えたくなる。
 このかめはめ波、いったいどれほどの威力があるのだろうか。

 マンガ『ドラゴンボール』において、かめはめ波は最初のうちは山を吹き飛ばしたり、武道会の会場にクレーターを作ったりする程度だったが、やがてスケールアップ。
 実際に破壊したなかで最大のものは、なんとである。

地球から月を破壊できてしまう「かめはめ波」の威力はとはいかに
(Photo by Getty Images)

 これ、いったいどれほどの破壊力なのか?

 マンガやアニメには、これと同じようなビーム状の技や兵器がいろいろ出てくる。それらと比較しながら、かめはめ波の威力に迫ってみよう。

イラスト/近藤ゆたか

 なお、ここでは比較しやすいように、それぞれの威力をエネルギーの単位「J」で表現する。「J」は「ジュール」と読み、エネルギーを表す世界共通の単位なのに、なぜかイマイチ知られていない。
 でも、こういうときにもメチャクチャ便利な単位なので、もっと浸透してもらいたいと思うのだ~。

<比較1:『Fate』>エクスカリバーと比べると?

 かめはめ波による月の破壊。
 それをやってのけたのは、第21回天下一武道会における亀仙人。月を見て大猿になった悟空を元に戻すために、かめはめ波最大出力(マックスパワー)で、月を跡形もなく破壊した。
 月の直径は3500km。地球の4分の1を超えるわけで、これを破壊するとは、あまりの威力である。

 まずはこれを、本コーナーでも以前に計算した『Fate』のエクスカリバーと比較してみよう。

セイバーの必殺技、エクスカリバー
(画像は『Fate/EXTELLA』公式サイトより)

 「Fate」シリーズでは、セイバーが「エクス」と唱えて、聖剣エクスカリバーを大上段に振り上げ、「カリバー!」と叫んで振り下ろすと、眩いビームが放たれる。これによって、体高100m、体重37万tはあろうかと思われる「海魔」を消滅させたこともある。

 このとき放たれたエネルギーは、熱に換算して2300億キロカロリー。エネルギーの単位ジュールに換算すれば、960兆Jとなる。

 では、かめはめ波のエネルギーは、どれほどか。

 前述どおり、月の直径は3500km。重さは7400兆×1万t。この大きさの天体を木っ端微塵に破壊するエネルギーは、12兆×1兆×1万J。

天体をも破壊する「かめはめ波」のエネルギーを求める数式

 アラビア数字で書くと、120,000,000,000,000,000,000,000,000,000Jが28個!
 エクスカリバーの960兆Jを同じ表現にすれば960,000,000,000,000Jだから、かめはめ波の圧勝ということになる。

<比較2:『風の谷のナウシカ』>巨神兵のビームと比べると?

 エクスカリバーよりすごそうなビームには何があるか?
 たとえば、『風の谷のナウシカ』の巨神兵のビームはどうだろう。

(画像はAmazonより)

 その劇中、「火の七日間」で世界を焼き払っといわれる人工生命体・巨神兵。強引に復活させられた一体が口から放ったビームは、地平線を薙ぎ払い、多数の火球を発生させた。

 火球とは、高温高圧で広がるドーム状の衝撃波で、これが生じる爆発の場合は、広がる半径と時間から、エネルギーが求められる。

 『ナウシカ』の画面で測定すると、火球は0.1秒で半径1kmほどに広がっている。しかも、単発ではない。薙ぎ払った角度と、火球の間隔から計算すると、一撃で16個の火球が発生したと見られる。ここからエネルギーを計算すれば、880,000,000,000,000,000Jが16個。
 なーんと、巨神兵の恐るべきビームも、かめはめ波には遠く及ばないのだ。

<比較3:『天空の城ラピュタ』>ラピュタの雷と比べると?

 では、同じ宮崎アニメ『天空の城ラピュタ』から、ラピュタの雷(いかずち)はどうだろうか?

(画像はAmazonより)

 空に浮かぶ城・ラピュタの底面から放たれる光弾の威力はすさまじく、ラピュタ王家の末裔・ムスカによれば、『旧約聖書』でソドムとゴモラの町を滅ぼした「天の火」も、『ラーマヤーナ』で語られる「インドラの火」も、このラピュタの雷のことだという。

 劇中では、こちらでも火球が発生し、わずか1秒ほどでラピュタが浮かぶ高さにまで膨張した。

上空に高く伸びる積乱雲
Image by Bidgee.  Licensed under the terms of cc-by-2.5.)

 ラピュタが積乱雲のなかに浮かんでいたことから、その浮遊していた高さを7kmと想像すれば、火球が1秒で広がった半径も7kmということになる。
 すると、エネルギーは9,400,000,000,000,000,000Jが17個。おお、巨神兵のビームを上回った。しかし、かめはめ波には届かない!

<比較4:『機動戦士ガンダム』>ジオン公国のソーラ・レイと比べると?

 『機動戦士ガンダム』に、とんでもない兵器が登場した。

(画像はAmazonより)

 ジオン公国の最終兵器「ソーラ・レイ」。スペースコロニーを丸ごとレーザー砲に改造したという!
 『機動戦士ガンダム大事典』(ラ・ポート)によれば、アムロ・レイが生まれ育ったサイド7のコロニーは直径6.5km。ソーラ・レイもこれに肩を並べる大きさだったとすれば、東京スカイツリーを10本並べても足りない超巨大レーザー砲ということになる。
 これほど巨大なレーザー砲は、きっとものすごい威力であろう。

 ソーラ・レイについては、「出力」が明らかになっている。それは、8500万GW(ギガワット)。
 「ギガ」とは「10億倍」のことで、日本の総発電力をこの単位で表すと、100GWとなる。ソーラ・レイはその85万倍というのだから、これはなかなかすごそうだ。
 ただし「GW」は「出力」の単位である。出力とは、1秒間に放たれるエネルギーなので、「W」の単位に直して照射時間をかければ、「J」を単位とするエネルギーとなる。

 8500万GW=85,000,000,000,000,000Wだから、10秒間照射したとすれば、エネルギーは850,000,000,000,000,000Jになる。
 やややっ、これは0が16個だから、0の数が同じ16個で「88」から始まる巨神兵のビームにわずかに及ばないことになる。無念!

 ソーラ・レイが、かめはめ波と同じエネルギーを放つには、4万6300年の連続照射が必要だ
 この最終兵器、あまりの大電力を使うため、連続使用はできないと言われていたから、それほどの連続使用は無理だろうなあ。

<比較5:『宇宙戦艦ヤマト』>波動砲と比べると?

 事ここに至っては、いよいよあの「砲」の出番だろう。そう、『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲!

(画像は「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」予告篇より)

 波動砲が最大の威力を見せたのは、木星でオーストラリア大陸ほどもある浮遊大陸を破壊したとき。浮遊大陸は、バラバラになり、赤熱しながら消えていった。
 おそらく「蒸発」してしまったものと思われる。単なる「破壊」を超えた現象だから、すごいエネルギーが注ぎ込まれたと思われるが、それがいったいどれほどか?

 画面を見ると、浮遊大陸は、上下の高低差が差し渡しの4分の1ほどだ。これでオーストラリア大陸と同じ面積があったとすると、密度が地球の岩石と同じなら、重量は620京tである。

オーストラリア大陸の面積は8,600,000平方キロメートル。東京ドーム1億6千万個分以上もの広さを誇る

 前述したように、月の重量は=7400京tだから、月のほうがはるかに重いが、岩石を蒸発させるには、破壊するより大きなエネルギーが必要だ。
 さて、波動砲のエネルギーは、かめはめ波のエネルギーに比べて、どうなのか?
 計算して、2つを並べると、次の通り。

かめはめ波 120,000,000,000,000,000,000,000,000,000J
波動砲   300,000,000,000,000,000,000,000,000,000J

 おおおおっ、やっとのことで、かめはめ波を上回った!

イラスト/近藤ゆたか

結論。「波動砲>かめはめ波」に決定…!

 というわけで、破壊の実績からエネルギーを計算すると、かめはめ波はエクスカリバーよりも、ソーラ・レイよりも、巨神兵のビームよりも、ラピュタの雷よりもすごいが、宇宙戦艦ヤマトの波動砲にはやや及ばないという結論となりました。
 すごいよね、そんな威力のモノを個人が放てるなんて。

 そして、そんな大エネルギー波をホイホイぶっ放せる『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』って、ムチャクチャすごいゲームであります。やっててキモチいいはずだ!(了)

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著者
理系作家。空想科学研究所の主任研究員として、書籍の執筆を続ける一方で、各地での講演、ラジオ・TV番組への出演など精力的に活動。2007年には『空想科学 図書館通信』の無料配信を始め、現在も継続中。代表作『空想科学読本』シリーズは、現在17巻まで刊行。明治大学理工学部の非常勤講師。2017年6月17日、角川文庫『空想科学読本 正義のパンチは光の速さ!?』発売。
空想科学研究所公式サイト:www.kusokagaku.co.jp
Twitter:@KUSOLAB
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