アメリカのノースカロライナ州、ローリーを拠点とするInfuse Studioは、自社初のゲームとなる『Spirit of the North』のデビュートレーラーを公開した。
『Spirit of the North』は三人称視点のアドベンチャーゲーム。プレイヤーはアカギツネを操作し、オーロラの守り手である精霊のメスのキツネとともに、空に伸びる真っ赤な雲のような道を追いかけて旅することになる。トレーラーでは普通のキツネに加え、まるで精霊と融合したように青白く光る文様の浮かんだキツネの姿も映し出されている。
ゲームの舞台となる世界はアイスランドに影響を受けている。 ツンドラや氷に閉ざされた洞窟、美しい山岳地帯や古代遺跡らしき場所も登場するようだ。プレイヤーは旅を続けるなかで、彼らの仲間やこの荒廃してしまった世界のことについて深く知ることになるという。
本作のストーリーはさまざまな北欧の民間伝承から着想を得ている。ダイアログやナレーションは用意されておらず、ビジュアルのみで物語を示していくそうだ。 プレイヤーはこの世界を歩き、観察し、さまざまなパズルを解いていきながら、古代の文明が滅んでいった理由について推察していくことになる。
開発者のひとりであるTayler Christensen氏は、本作の穏やかなペースはプレイヤーが立ち止まって周囲の環境について考えるように意図されたものだとしている。そして謎に包まれた過去から精霊の仲間について理解し、主人公たちの目的を見つけることができるという。
本作の開発を行うInfuse Studioは、これまでUnreal Engine 4向けのアセットを開発し、販売してきたデベロッパーだ。メンバーは3D環境アーティストでありブループリントも担当するTayler Christensen氏と、同じく3D環境アーティストであり本作ではそれ以外も担当しているJacob Sutton氏のふたり。 また音楽を手掛けるJoseph Gifford氏をスタジオ外から招いている。
2015年にふたりの3D環境アーティストが設立したこのスタジオは、2016年より視覚的なストーリーテリングだけで進行する美しいゲームを目標として、本作の開発をスタートした。共同設立者のひとりであるJacob Sutton氏は、「共同設立者のふたりはどちらもアーティストであり、ゲーム開発では通常アーティストが行わないさまざまなことを行う必要があった。だが、このような経験はふたりにとって意味のあるゲームを開発する上で素晴らしい学習経験だった」と述べている。
『Spirit of the North』は現在PlayStation 4で先行販売されることが発表されている。発売時期や今後のほかの対応プラットフォームについては明らかとなっていない。
キツネと民間伝承といえば、近年では『Never Alone』のことを思い出す読者も多いだろうか。 『Never Alone』はアラスカに住むイヌピアットの人々に伝わる伝承が描かれていた。どちらも氷に閉ざされた大地が登場し、ふたりの主人公が協力して困難を乗り越えるゲームだ。同作が日本でも話題になったように、 北欧神話は国内外で人気のあるジャンルだが、北欧の民間伝承が描かれるのは非常に珍しい。果たしてこの美しい世界でどのような物語が描かれるのか、続報に期待したい。