ウルグアイのゲームデベロッパーRetro Nerveは、『Kung Fu UFO』の開発資金を募るクラウドファンディングキャンペーンをIndiegogoにて開始した。同作はセガが1988年に発売したゲームハード「メガドライブ」で動作する新作として開発されているタイトルである。
クラウドファンディングでは、25ドル以上の支援でゲームのROMイメージが、50ドル以上の支援でメガドライブ用のカートリッジが配布される。70ドル以上の支援でボックスと説明書もついてくる。開発の進捗としては、主人公の動作といったコア部分はほぼ完了しており、現在はステージの設計やボスやザコ敵を配置する作業に入っているという。
『Kung Fu UFO』は、80・90年代のSF映画やカンフー映画に影響を受けた、16bitの2Dアクションゲームだ。
プレイヤーは南米のとある小国で育ったアジア系の少年Yongとなり、正体不明の盗賊にさらわれた母親を助けるために世界中を旅する。タイトルにUFOとついている通り、エイリアンも登場し、物語は彼の家族や過去だけでなく地球や銀河規模の戦いに発展するという。
戦闘では、パンチとキックを使ったコンボと敵の攻撃を防ぐブロックに加え、スペシャルアタックやパワーを利用した攻撃手段も用意されている。敵は人間だけではなく、エイリアンも主人公Yongの行く手を阻むようだ。ゲームを進めるごとにYongはパワーアップしていき、攻撃手段も増えていく。
2Dアクションゲームらしく手に汗握るボス戦や、バラエティに富んだボーナスステージも用意されているが、ボーナスステージにはバイクや飛行機を運転するシーンもあるという。このほかにも探索やパズル要素もあることが明らかにされている。
『Kung Fu UFO』を開発するRetro Nerveは、Sebastian Abreu氏とJavier Leal氏の2人のゲーム開発者が所属する、南米ウルグアイに拠点を置くデベロッパーだ。本作ではもうひとり、コンセプトアーティストのLuis Arellano氏を迎えて3人で制作している。
デベロッパーとしてはこれが処女作となるが、Abreu氏はコンポーザーとして30以上のゲームソフトに携わり、6年間ゲーム開発学校で教鞭を取ったという。Leal氏はゲームデザイナーやアーティストとして10年以上ゲーム開発に携わるベテランだ。
2019年12月発売予定の本編に先駆け、Indiegogoのキャンペーンページではアルファ版のデモも公開されている。メガドライブ用ということで、配布形式はROMのみとなっている。プレイするにはメガドライブ用のエミュレーターか、あるいはROMデータを書き込めるカートリッジが必要だが、気になったプレイヤーはぜひ触れてみてほしい。
またIndiegogoでのキャンペーン向けに、ゲーム映像だけでなく開発風景や、なぜか開発者がギターを弾く様子まで収録した、どこか90年代の懐かしい雰囲気が漂うトレイラーも公開されている。
近年復刻ゲーム機や互換機の人気がさらに高まっており、レトロゲーム機向けに新作をリリースするデベロッパーも増えている。さらに南米は近年でも頻繁に互換機が発売されるほどメガドライブの人気が高かった地域で、今後も『Kung Fu UFO』のような作品は定期的に登場していくのかもしれない。本作の完成は2019年12月と少し遠いが、ほとんど日本の裏側に位置するウルグアイでレトロゲーム開発に燃えるデベロッパーへ支援してみてはいかがだろうか。
文/古嶋誉幸