1C Entertainmentは3D Realmsと提携し、オールドスクールFPS『Ion Maiden』をPlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switchでリリースすることを発表した。現在Steamで早期アクセス中のPC版を含め、全てのプラットフォームで2019年第2四半期(4月~6月)に正式リリース予定だ。
テキサス州サンアントニオで1月18日から20日まで開催されるPAX Southでは、本作の新しいレベルがプレイアブル展示される。
プレスリリースではさらに気になる情報として、オリジナルのQuake Engineを使用した未発表の新作の制作も発表されている。
Voidpointが制作する『Ion Maiden』は、主に90年代後半に使用されていたBuild Engine製の完全新作FPSだ。『Duke Nukem: Mass Destruction』として開発され、最終的に名前が変更され2016年にリリースされた『Bombshell』の前日譚となる。主人公はBombshellことShelly Harrison。ネオDCを舞台にトランスヒューマニストの巨魁Dr. Jadus Heskel率いるカルト軍団との戦いを描く。
『Duke Nukem 3D』や『Shadow Warrior』のエンジンとして知られるBuild Engineは、Doom Engineと同じく2.5Dのゲームエンジンだ。ゲームの見た目は3Dだが、内部的には2Dとして処理されており高さの概念が無い。具体的には、向いている方向さえあっていれば、たとえ相手が自分より高い場所にいても弾丸が当たるようになっている。
近年、過去の名作を現代の技術で追いかけるオールドスクールなFPSの新作がひそかにブームとなっている。オールドスクールの定義はゲームによってさまざまだが、大まかにはマップ内を走り回り、強力な重火器で大量の敵を倒して回るようなFPSでよく使われている。
たとえば10月18日にリリースされた『Project Warlock』はオールドスクールFPSとして紹介され、スプライト表示のモンスターと戦う2.5DFPSの見た目まで再現して話題となった。同じ2.5Dグラフィックでも『Project Warlock』はUnity Engineを使っているが、今回の『Ion Maiden』はゲームエンジンまでオールドスクールの新作FPSということで一部ファンの注目を集めているわけだ。
そして前述の通り1C Entertainmentによれば、オリジナルのQuake Engineを使った新作も制作されているという。Quake Engineといえば初の完全3D FPS『Quake』に使われたゲームエンジン。3D Realmsとの関係に絞れば、同社が長年にわたり開発していた『Duke Nukem Forever』は、もともとQuake Engine並びにQuake 2 Engineで制作されていたことが思い起こされる。
なお、『Quake』を生み出したid Softwareのゲームエンジンといえば「id Tech」シリーズがよく知られているが、Quake EngineとQuake 2 Engineはあわせて「id Tech 2」とまとめられている。
ここまで考えると、紆余曲折を経てお蔵入りとなった3D Realms製『Duke Nukem Forever』への再挑戦ではと期待が膨らむが、こちらも続報を心静かに待ちたい。
文/古嶋誉幸