2019年にフィリピンで開催される「東南アジア競技大会」にて、eスポーツが正式なメダル種目となることが発表された。同大会は東南アジアスポーツ連盟によって主催されており、国際オリンピック委員会(IOC)とアジアオリンピック評議会が監督役を務めている。
eスポーツを採用するにあたり、東南アジアスポーツ連盟はアメリカのゲーミングデバイスメーカーRazerとの協力関係を築くことも明らかにしている。
東南アジア競技大会は2年に一度開催されており、現在は東ティモール、ブルネイ、タイ、カンボジア、シンガポール、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、ベトナムの11カ国が参加。1959年からのべ29回にわたり開催されてきた。
アジアオリンピック評議会が主催のアジア競技大会ひいてはオリンピックへと繋がる、同地域のスポーツ分野において重要な国際大会となっている。日本国内での知名度は低いが、著名な日系企業もスポンサーとして参加しているほか、第29回目の大会ではカンボジア代表である猫ひろしがマラソン種目に参加し6位となったことでもニュースとなった。
IOCが関与する競技大会でのeスポーツ採用はこれが初めてではなく、2018年にはより規模の大きいアジア競技大会にてeスポーツがデモンストレーション種目として採用され、『League of Legends』や『ウイニングイレブン 2018』、『Star Craft 2』など6タイトルが選出された。
2022年には東南アジア競技大会に続き、正式なメダル種目としても採用される予定。同大会に向けて評議会は、中国の大企業アリババのアリスポーツとの提携もはたしている。
国内外のプロサッカークラブが続々と参戦するなど、近年に入ってフィジカルなスポーツとの垣根が急速に取り払われつつあるように感じられるeスポーツ。一方でIOC会長トーマス・バッチ氏は、暴力表現がある“Killer Games”はオリンピックでは受け入れられないというスタンスを貫いてきた。著作権の問題やそもそも従来のスポーツと同列にすべきなのかなど現在も議論は続いているが、双方のスポーツが同一の場に集まる大会がまたひとつ増えたことになる。
文/ishigenn