『EVE Online』のCCP Gamesは、1万人が同時に参加可能な技術デモ『EVE: AETHER WARS』を発表した。公式サイトではテスター登録も行われている。価格は無料。テストはGDC 2019会期中の現地時間3月20日にスタートする予定だ。
『EVE: AETHER WARS』は、『EVE Online』や『EVE: Valkyrie』のようなゲームではなく、CCPによる将来的な大規模マルチプレイのための技術デモという位置づけとなっている。Hadean社と共同で開発したクラウドベースのシミュレーションエンジン「Aether Engine」を利用した大規模なマルチプレイを実現している。
技術デモとはいえきちんと遊ぶことが可能で、1万人のプレイヤーが宇宙船を操り、デスマッチを繰り広げる内容となっている。撃墜されても復活可能で、制限時間までにもっとも多くの敵を倒したプレイヤーの勝利となる。
『EVE Online』は2003年にリリースされた宇宙を舞台とするMMORPGだ。プレイヤーは自分の宇宙船に乗り、戦闘から生産、採掘、商売など自分の望む生活をおくることができる。多数のプレイヤーが参加する宇宙戦争がときおり勃発することでも知られ、2018年1月には6000人以上がひとつの戦闘に参加する大規模な戦闘が発生。もっとも多くのプレイヤーが参加した単一の戦闘としてギネスワールドレコードに登録された。
ただし、これはCCPにとってもプレイヤーにとっても、手放しで喜べるものではなかった。2016年にアップデートされた「TRANQUILITY TECH III」と呼ばれるサーバーでは、これほど大規模な戦闘を完全に再現することが出来なかったからだ。サーバーの応答遅延による不快なゲームプレイは、華やかな数字の裏で大きな技術的課題を突きつけることになった。
『EVE:AETHER WARS』で得られた知見は、将来的に『EVE Online』にも反映されると発表されているが、どのような形で反映されるかは明かされていない。しかし、『EVE:AETHER WARS』で1万人のプレイヤーが参加できる巨大な戦場を再現するのは、上記の技術的な課題をクリアする目的であることは間違いない。
現在、『EVE:AETHER WARS』は公式サイトで参加者を募集中だ。1万人が同時に参加できる戦場を提供する「Aether Engine」で、ギネス記録に挑戦してみるのはいかがだろうか?
ライター/古嶋誉幸