2月22日に小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウにタッチダウンを成功させたころ、ゲームの世界でも宇宙のはるか彼方の一点を目指し、壮大な旅を続けるプレイヤーたちがいた。
Frontier Developmentsが開発するスペースコンバットシム『Elite: Dangerous』で、銀河の果てを目指して旅立ったコマンダーDeluvionは、太陽から6万5788.34光年離れた天の川銀河の端で燃料を使い果たし立ち往生してしまう。2018年11月、その場に留まることを余儀なくされた彼は、プレイヤーたちの集まる掲示板に自身の旅の最後の様子を書き込み、人生とともに旅を終えることになるはずだった。
しかし、MMORPGの側面を持つ『Elite: Dangerous』には、そういった燃料切れで立ち往生してしまったコマンダーたちを助ける集団が存在した。その集団「The Fuel Rats」に所属するコマンダーのひとりが、掲示板に彼の救出作戦「Operation Beyond the Dark Edge」が進行中であることを投稿。コマンダー5名が2500トンの燃料、600機を超える無人機を運ぶ、『Elite: Dangerous』史上でも稀に見る大作戦だ。
太陽系から「6万5788光年」で立ち往生した宇宙船、5人の有志が救出へ。宇宙戦闘シム『Elite: Dangerous』でSF映画のような救出作戦が進行中
https://twitter.com/DeluvianTheDark/status/1099012427683950592
救出チームのひとり、コマンダーHighway Warriorは1週間前から救出作戦の進行度をTwitchに投稿。救出作戦のクライマックスである2機の救助艇によるタッチダウンは、2月23日21時(日本時間で24日朝6時頃)に予定された。
ランデブーの様子は、救出を待つコマンダーDeluvionと救出を行うチームの両方が行った。普段決して多いとは言えないTwitchの『Elite: Dangerous』の視聴者数だが、救出作戦のライブストリーミングを行ったコマンダーHighway Warriorのストリーミングは多くの人々に見守られた。
※コマンダーDeluvion視点、30分頃から最終アプローチ。
※コマンダーHighway Warrior視点、35分頃から最終アプローチ
救出作戦開始から飛行時間にして600時間に及んだ史上最大の救出作戦は成功。生命維持装置など最低限の設備以外のシステムを落としていた、コマンダーDeluvionの愛機「ロシナンテ」は、90日ぶりにすべての機能がオンラインに復帰した。
最初に目指したのは、スタートから42日目に痛恨のミスにより燃料切れを起こすきっかけとなった因縁の「OEVASY RG-Y D0」星系だ。そこにはランデブーには参加しなかったものの、救出作戦に参加したコマンダーFalcon JSDFの母艦など、ほかのメンバーも帰還を待っていた。
https://twitter.com/DeluvianTheDark/status/1099103219102425088
太陽時で西暦3305年2月23日22時00分、コマンダーDeluvionが深宇宙への旅を始めてから133日目。コマンダーDeluvionは事前に用意していたシャンパンの栓を抜き、祝杯をあげた。
ライター/古嶋誉幸