谷間を滑空するアクションゲーム『Superflight』を開発したGrizzlyGamesが、ミニマリストストラテジーゲーム『ISLANDERS』をSteamにてリリースした。価格は620円。4月12日まで発売記念特価として10%オフの558円となっている。
『ISLANDERS』は自動生成された島にさまざまな建物を設置し、都市を拡大していくゲームである。こう聞くと『シムシティ』や『シティーズ:スカイライン』を思い浮かべる人もいるかもしれないが、本作では道路を敷いたり地区を設定して自由に都市をデザインするのではなく、プレイヤーはランダムに配られる建物を限られた土地の上に設置していくことになる。
人口や資源、お金といった概念も簡略化されており、建物を設置すると増減する「スコア」が本作のすべてだ。プレイヤーは建物を設置してスコアを既定値まで伸ばし、次の建物パックを手に入れていくことになる。これを繰り返し、建物を設置するごとに増加する画面右下の「島の絵のゲージ」を満タンにして次のステージに向かうのが、本作の基本的な流れだ。
単純にスコアの高い建物を敷き詰めて配置していけばいいわけではなく、それぞれの建物には「シナジー効果とその影響範囲」が設定されており、それを考慮しなければならない。たとえば複数の農地を設置してから、農地が範囲内にあると設置時のスコアが上昇するシナジーの建物をそこに置けば、バラバラに置くよりも高いスコアが獲得できる。逆に範囲内にあるとスコアがマイナスになってしまうシナジーも存在している。
ひとつの島に設置できる土地には限りがあるため、最後にはどこにも建物を設置することができなくなる。それまでに次の島へと移らなければならない。次の島に移れず、設置する建物もなくなってしまうとゲームオーバーだ。適当に置いたり、見栄えだけを気にすると、すぐに都市計画はご破産となってしまうだろう。
配布される建物はランダムに選ばれたふたつのセットとして提示され、プレイヤーはどちらかひとつを選ぶ。木こりに関連した建物がセットになった「ランバージャック」や、ビールを醸造する施設がセットになった「ブルワリー」など、さまざまなセットが登場する。スコアが伸びていけば、上記のようなタワーやサーカス、マーケットといった影響力の大きな建物も登場する。
しかし前述したように、さまざまな建物が登場するとはいえ『ISLANDERS』はシティビルダーではなくミニマルストラテジー、もっと言えばパズルゲームに近く、計画的な都市計画は楽しめないことは購入前に事前に把握しておいてほしい。ただ、手軽に遊べて可愛らしいミニチュアの町がいつの間にか出来上がっているというのは楽しい経験だ。ロケーションも豊富で、陸地がほとんど無い群島や雪の降る極寒の島、砂漠地帯など、鑑賞しているだけでも楽しい。
GrizzlyGamesは本作の要望を広く集めており、フォーラムでも早速要望が寄せられている。「完成した町を保存して見返す機能が欲しい」や、「新しい建物を追加してほしい」といった有用に見える意見も多く出ている。GrizzlyGamesがこういった意見を聞き入れてゲームがさらに拡張されていくことに期待したい。
手軽に遊べるゲームだが、ハイスコアを目指そうと思うと奥深いゲームプレイが待っているだろう。価格も安く、多くの人に受け入れられるシンプルなゲームプレイの『ISLANDERS』は多くのプレイヤーにおすすめしたいゲームだ。
ライター/古嶋誉幸