テンセントは自社が展開するゲームクライアント「WeGame」を世界向けに展開する「WeGame X」のベータ版をリリースした。ブラウザからアクセスできるストアフロントもオープンされている。昨年夏に「WeGame」のグローバル展開を示唆していたテンセントだが、これがその第一歩となるようだ。
ベータ版では、ストアに中国のインディーゲームやテンセントの傘下であるNEXT Studioのフリーリズムゲーム『Nishan Shaman』など、22本(そのうち近日リリース予定が5本)のタイトルが並んでいる。
本家中国の「WeGame」では現在約170タイトルがリリースされており、かなり少ない印象だが、公式サイトでは今後リリースされるAAAタイトルの予告として、Deep Silver、Larian Studios、Hello Gamesの参加が発表されている。ただしどういったタイトルがリリースされるのか、具体的なタイトルは不明だ。
ストアページを確認すると、Steamなどでも見られる一般的なストア機能が搭載されていることがわかる。ページにはゲームの基本情報、スクリーンショットやムービー、ユーザーレビュー、ユーザータグなどがひととおり配置されている。また、返金ポリシーもすでに公開されており、Steamと同じく購入2週間以内、2時間以下のプレイタイムの場合は返金可能となっている。
Steamとの違いとしては、ローカライズされているかどうかはゲームの特徴リストからわかるものの、どの言語に対応しているかは現状ではわからない点が挙げられる。フォーラムが見当たらないのも大きな違いのひとつと言えるだろう。
またWeGame X独自の機能として、クライアントにはTwitterライクなソーシャル機能が搭載されている。Steamのアクティビティにも少し似ているが、フレンド以外のユーザーのつぶやきも表示されるようになっている。こちらも現在ベータ版のため書き込みは少ないが、ハムスターのスタンプやネコの写真なども見られ、必ずしもゲームに関係したものだけが書き込まれているわけではないようだ。
気になるのは、やはりテンセントが40%の株を保有するEpic GamesのストアサービスEpic Games Storeとの競合だ。国外はもとより中国でも話題になっており、中国のゲームメディアGamerskyのコメント欄では「Epic Games Storeはどうなりますか?」、「父と子の争いになった。」などの書き込みが続いている。
ValveがSteam Chinaを中国で展開しようとしているなか、現在中国で2億人以上のユーザーを抱えると言われるWeGameが、今後どのような形で国外展開をはかるのか。急速に混迷を極めるゲームプラットフォーム事業の今後に注目したい。
ライター/古嶋誉幸