Mojangは2009年に公開された『マインクラフト』の10周年にあわせ、本作の売り上げが全プラットフォームで1億7600万本に到達したことを発表した。『テトリス』の累計販売数として広く伝えられている1億7千万本を抜き、「世界でもっとも売れたゲーム」になったのではないかという国内外の報道が続いている。ただし、『マインクラフト』が『テトリス』を超えたとは単純には言えないようだ。
英語圏向けWikipediaの「もっとも売れたビデオゲームのリスト(List of best-selling video game)」に掲載された情報を含め、報道では『テトリス』の売り上げは1億7000万本とされている。この数値は、2009年の英ガーディアン紙による取材と2010年のElectronic Artsの公式発表を単純に合算した数値だ。しかし2014年のVenture Beatの取材記事や権利を管理するザ・テトリス・カンパニーの公式表記では、『テトリス』のゲーム群の売り上げは「約5億本」ともされており、直近のデータとしては後者の方が正しいと見られる。
それ以前に、開発会社やパブリッシャーが異なる『テトリス』というゲーム群の売り上げをひとつのタイトルと比較することは難しい。一方で、『マインクラフト』が「ひとつのゲーム企業から複数のプラットフォーム向けに販売されたタイトル」として世界最大の売り上げを達成していることは間違いない。比較対象としてより良いゲームは、2013年9月に発売されてから1億1000万本を出荷販売したことが発表された『グランド・セフト・オートV』や、8287万本を売り上げた『Wii Fit』、5000万本の『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』だろう。
2019年9月末に行われた「Minecon 2018」では、『Minecraft: Dungeons』の発表にあわせ、『マインクラフト』の販売本数は1億5600万本であることが発表されていた。発売から10年以上が経過しているにも関わらず、わずか9ヶ月でさらに2000万本が販売された計算になる。MojangはさらにARゲーム『Minecraft Earth』を発表し、現地時間9月28日に「MINECON 2019」も開催する予定となっている。10年前のビルドを体験できる『マインクラフトクラシック』や10周年記念マップもリリースされ、さらなる盛り上がりを見せている。
なお20年目となる2029年には火星でのリリース、さらにクリーパーが現実世界に逃げ出すことが“リーク”されている。さらなる新しい10年で、『マインクラフト』がどのように進化していくか楽しみだ。
ライター/古嶋誉幸