PCゲームを販売するGOG.comは、自社が展開するストアクライアントの新バージョン「GOG Galaxy 2.0」を正式に発表し、βテスト参加者の募集を開始した。テスト期間は未定だが、登録者に対し参加への招待が順次届くとのこと。
これまでDRMフリーを特徴とするGOG.com用のクライアントという側面が強かったGOG Galaxyだが、バージョン2.0はGOG.comで購入したゲームだけでなく、PC・コンソール問わず対応したプラットフォームでユーザーの所有する全てのゲームを一括管理する野心的なクライアントとなっている。
ユーザーはマスターライブラリにPCやコンソールのゲーム情報をインポートし整理することが可能で、各ゲームのプレイ時間や実績なども追従できるほか、PCゲームであればインストールやローンチもGOG Galaxy 2.0経由で操作できるようになるという。
このほか、マスターライブラリでは、フィルタリング、タグ付け、並べ替えなどでゲームを管理することが可能になる。現状でもGOG.comのライブラリではジャンル、対応OS、対応言語などで詳細なフィルタリングができるが、2.0ではさらに強力にリストを管理できるようだ。
またGOG Galaxy 2.0では、ゲームと共に各プラットフォームのフレンドも一元管理出来るようになる。誰がどんなゲームをプレイし、いつ実績を取得したかなどが表示されるアクティビティフィード、プレイ時間や実績の取得状況などを比較できるリーダーボードが実装される。今後はフレンドリストを一本にまとめてオンライン状況を確認できるようにし、クロスプラットフォームチャットにも対応予定となっている。さらに今後はフレンドやコミュニティで人気のゲームも発見できるようになるという。
ただし、各プラットフォームのすべての機能を利用するには対応するクライアントのインストールも必須となる。たとえば、Steamのクラウドセーブやゲームに対する自動更新といった機能は、もちろんSteamのインストールが必要だ。
2.0ではプライバシー保護にも力を入れており、ゲームクライアントが不正にユーザーのデータを盗み出すスパイ行為や、データの第三者への共有をしないことを宣言している。他のプラットフォームのプライベートな情報は、接続を中止した時点でサーバー上から全て削除できるという。
これまでにもRaptrや小規模だがGeforce Experience、あるいは手動での登録になるがSteamなど、プラットフォームを越えてゲームライブラリを管理するソフトウェアは存在していた。しかし、フレンド情報まで一括管理できるクライアントというとGOG Galaxy 2.0が初めてだろう。特にPCゲームでは新しいプラットフォーム戦争とも言える状態でクライアントが林立し、ユーザーの求める利便性が失われつつある。そんな中、この様な取り組みが行われるのは歓迎できる。
ただしGOG.comは現在統合可能な全てのプラットフォームへ参加を呼びかけているというが、技術的に複雑なプロジェクトであり、実現には時間がかかると予想されている。よって、正式に提携する前にコミュニティの手でもそれを行えるようにするという。言い方は悪いかもしれないが、「コミュニティが主導でやった」という形でプラットフォーム間をリンクさせるというわけだ。
はたしてGOG Galaxy 2.0は、混迷するプラットフォーム競争においてどのような立ち位置を築くのか。興味がある方は公式サイトからテストへの登録を行い、開始を待ってほしい。
ライター/古嶋誉幸
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