いま読まれている記事

『ロードス島戦記』が12年ぶりに復活。『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』が8月1日に発売決定、100年後のロードス島が舞台

article-thumbnail-190621d

 KADOKAWAは水野良氏が執筆した小説『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』を8月1日に角川スニーカー文庫から発刊すると発表した。価格は税込み734円。全328ページ。イラストは左氏が手掛けている。『新ロードス島戦記6 終末の邪教(下)』が刊行されてから、およそ12年ぶり『ロードス島』シリーズとなる。

 新作『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』は、水野良氏による全編書き下ろし。舞台はパーン、スパーク、カシューといった英雄たちが活躍していた時代からの100年後のロードス島。英雄たちの血脈を受け継いだ子孫たちの物語になり、『ロードス島戦記』を代表するヒロイン・エルフのディードリットが引き続き登場しそうだ。

 日本のハイファンタジー小説の金字塔、あの『ロードス島戦記』が12年振りに帰ってくる。1988年の小説発刊以来、日本にハイファンタジーとライトノベルの魅力を広め、テレビアニメ、ビデオゲーム化してメディアミックスの先駆けともなった。シリーズの発行部数1000万を超える人気作だ。

 『ロードス島戦記』は安田均氏が中心になっクリエーター集団・グループSNEのテーブルトークRPGから始まった。安田均氏は日本にテーブルトークRPG、コンピューターRPG、アドベンチャーゲームの普及の立役者である。当時、グループSNEには小説『ロードス島戦記』を書くことになる水野良氏も所属していた。

 テーブルトークRPGを普及のため、安田均氏は卓上プレイの様子を、キャラクターのやり取りとして活字化して発表する「リプレイ」を考案して、雑誌『コンプティーク』に掲載。これがライトノベル的な一種の読み物として好評となり、テーブルトークRPGの人気に火をつけた。『ロードス島戦記』はそのなかでプレイされた世界観のひとつだ。

『ロードス島戦記』が12年ぶりに復活。『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』が8月1日に発売決定、100年後のロードス島が舞台_001
(画像はAmazon『ロードス島戦記1 RPGリプレイ集呪われた島編 ロードス島戦記RPGリプレイ集呪われた島編 (富士見ドラゴンブック)』より)

 このリプレイから独立し、水野良氏が小説として書き直し、1988年に発刊したのが小説『ロードス島戦記』だ。剣と魔法の世界「フォーセリア」の中にあるロードス島では、30年前に起こった魔神戦争が終結したのも束の間、その先の戦争で活躍した英雄たちが国を従えて、緊張状態が走っていた。

 そのころザクソン村の若き青年・パーンは、ゴブリン退治をきっかけとして仲間と共に冒険の旅に出ることになる。様々なトラブルに巻き込まれながら、生涯を共にするエルフ・ディードリットとの出会いや、親しかった仲間との別れの果てに、ロードス島ははるか昔から「灰色の魔女カーラ」の暗躍によって戦乱が絶えないことを知る。

『ロードス島戦記』が12年ぶりに復活。『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』が8月1日に発売決定、100年後のロードス島が舞台_002
(画像はAmazon『新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)』より)

 『ロードス島戦記』は、このパーンと灰色の魔女カーラとの戦いを軸としつつ、魔神戦争の英雄たちが遺した国々の戦争はどうなっていくのかの壮大な物語が描かれる。最終二巻では、パーンに変わって新たな主人公スパークが登場。様々な英雄や戦争によって成長して、人々から「自由騎士」として称えられるまでに到ったパーンを、若者スパークの視点から語られる。

『ロードス島戦記』が12年ぶりに復活。『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』が8月1日に発売決定、100年後のロードス島が舞台_003
(画像はAmazon『ロードス島伝説 亡国の王子 (角川スニーカー文庫)』より)

 続いて、水野良氏は前日譚となる30年前に起こった魔神戦争を描いた『ロードス島伝説』を発表。魔神の封印が説かれ、ロードス島全土が恐怖に叩き落とされた魔神戦争。その混沌が集結する裏側では、個性溢れる英雄たちを従えたナシェルという存在があった。なぜ彼は歴史の表舞台には登場しないのか?『ロードス島伝説』ではそのナシェルの身に起こった壮絶な運命を描いている。

『ロードス島戦記』が12年ぶりに復活。『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』が8月1日に発売決定、100年後のロードス島が舞台_004
(画像はAmazon『新ロードス島戦記1 闇の森の魔獣 新装版(角川スニーカー文庫)』より)

 次に水野良氏が着手したのは『新ロードス島戦記』だ。『ロードス島戦記』の最終二巻で主人公だったスパークを、新たなシリーズの主人公と据えている。平和を取り戻したロードス島の南東に位置する暗黒の島マーモを舞台に、新たなマーモ公国の王となったスパークが島の安定を目指す物語だ。

 そして、新作『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』ではこれら英雄たちが活躍した世界から、約100年後が舞台となる。このようにこれまで約30年間のスケールで描いていた『ロードス島』シリーズだが、ここにきて新作では100年後という大きく時間が経過している。

 魔神戦争、英雄戦争、邪神戦争、第二次邪神戦争で平和を取り戻したロードス島だが、人間関係や情勢も様変わりしているに違いない。いったいどのような新しいロードス島の物語が待っているのだろう。発売の8月1日まで胸を膨らませて待つことになりそうだ。

 この新作の発売を記念して、7月29日から31日にはニコニコ生放送でアニメ『ロードス島戦記』の一挙放送を実施。初めて『ロードス島戦記』に触れる人や、改めて予習したい人には最適な放送といえるので、チェックしておこう。

ライター/福山幸司

ライター
『ロードス島戦記』が12年ぶりに復活。『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』が8月1日に発売決定、100年後のロードス島が舞台_005
福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

Amazon売上ランキング

集計期間:2024年4月20日07時~2024年4月20日08時

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ