Retro GamesとKoch Mediaは、レトロPC「コモドール64」の復刻コンソール「THEC64」を欧米諸国で12月5日に発売することを発表した。
価格は120ドル。本体の名前と同じく64本のゲームがはじめからインストールされており、BASICでのプログラミングや、USBメモリ経由で外部のプログラムの動作にも対応している。2018年には復刻ミニコンソールとして「THEC64 Mini」がリリースされており、こちらは本体となるキーボードが機能しなかったが、THEC64はキーボードも完全に動作する。
なおRetro Gamesは、2016年にTHEC64のための資金をクラウドファンディングで集めようとして失敗したが、今回Koch Mediaがパブリッシャーとなり3年の時を経てプロジェクトを形にした。
THEC64はHDMI経由にて720pの解像度で家庭用テレビに出力できる。ブラウン管を再現した走査線の表示やどこでもセーブ機能など、復刻コンソールとして一般的な機能が揃っている。コモドール64だけでなく「VIC-20」(日本ではVIC-1001として販売)モードも搭載。本体となるキーボードだけでなく、ゲーム用のジョイスティックも付属する。
収録される作品は、ジェフミンター氏の開発した『Gridrunner』や、日本でも発売され30周年を記念したリメイク版も発売された『Boulder Dash』などのクラシック作品から、2017年に発売されたシューティング『Galencia』まで、多彩なラインナップとなっている。完全なリストは公式サイトで確認してほしい。前述のとおりUSBメモリ経由で外部プログラムを動作させることもできるので、itch.ioで販売されているコモドール64用ゲームもプレイできると思われる。
コモドール64はコモドール社が1982年にリリースした家庭用コンピュータだ。1994年の終売までに公式には1250万台を売り上げており、一時は「世界で最も売れたコンピュータ」と言われていた。「Raspberry Pi」公式マガジン「MagPi」によれば、21世紀に入った現在はRaspberry Piに抜かれ、コモドール64は世界で4番目に売れたコンピュータであるとされている。
それだけに海外での知名度は高く、前述のitch.ioを含めて2019年現在でも少量ながらゲームの移植や新作のリリースが行われている。たとえば農業シミュレーションゲーム『Farming Simulator 19』のコレクターズ・エディションには『Farming Simulator 19 C64 Edition』が含まれており、こちらは公式サイトで単品でも販売されている。1プレイが1分で終わるアクションゲーム『Minit』も、コモドール64用カートリッジのリリースを予定している。
「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」から人気が沸騰し、今後は「メガドライブミニ」や「PCエンジンミニ」の発売も予定されているさまざまな復刻コンソール。THEC64はプログラミングができて外部プログラムが動作するため、復刻レトロコンピュータとしてのオリジナリティを持っている。THEC64は海外で12月5日発売予定だ。
ライター/古嶋誉幸