かつてイエズス会に独自のeメールシステムを構築する手助けをし、現在「デジタルイエズス会」との別名でも知られる技術系神父のロバート・バレサー神父が、『マインクラフト』で現実世界よりも有害な行為の少ないサーバーをバチカン市国で構築しようとしている。
「minecraft.digitaljesuit.com」は現在神父が独自に運営しているが、ゆくゆくは「バチカン公認『Minecraft』サーバー」として運営される可能性もある。
教皇の活動、バチカンの生活や文化などを報道するローマに本拠地を置く国際テレビ報道機関「ROME REPORTS」にて、ロバート神父がサーバーの運営理念を語っている。神父によるとこのサーバーのもっとも重要な目的は、技術的なことでも、あるいはゲームに関することでもなく、人々が独創性を発揮し交流する場を構築することにあるという。そしてその関係性は、きっと現実世界にも持ち込めうるものだと今後の展望を示した。
このサーバーは創造性を発揮したいが、他者に有害な行為をしたくないプレイヤーのために開かれている。現在はテスト中のため、実際にサーバーに入って遊ぶことはできるが、有害なプレイヤーの対処法などは具体的には明かされていない。実際に遊んだプレイヤーからのフィードバックも求めているため、いわばベータテスト中と言ったところだ。
興味がある方はMinecraftから「minecraft.digitaljesuit.com」サーバーにアクセスして欲しい。
Ok… I want to spin up a few servers in the Vatican for gamers who want a little less "toxic" and a bit more community.
— Fr. Robert Ballecer, SJ (@padresj) August 31, 2019
What should be my first server?
ロバート神父は当初バチカンのゲームコミュニティのため、どのゲームのサーバーを構築するかアンケートをとっていた。『マインクラフト』が過半数の票を集めたが、ほかにも同作以上に直接的な暴力によって生き残りを目指すサバイバルゲーム『Rust』や『ARK: Survival Evolved』、体が炎上したりバラバラになったりとコミカルながら暴力描写は強い『Team Fortress 2』と、キリスト教徒が見ると眉をしかめそうなイメージのあるゲームが並んでいることに驚かされる。
バチカン公認のARゲーム『Follow JC Go!』にも驚かされたが、保守的なイメージのあるカトリックは、イメージとは違いゲームに寛容なようだ。
ROME REPORTSでは「教会は新しい技術を用いて可能な限り多くの人々をつなげようとしている。問題が起きる可能性はあるが、教会はテクノロジーの持つ可能性を模索し続ける」とまとめている。
ビデオゲームにおいてコミュニティを破壊し、ゲームの価値を毀損する有害プレイヤーの排除は重要な要素だ。『Counter-Strike: Global Offensive』においてはAIによってそういったプレイヤーの検出を行っている。
例え神父が運営するバチカン市国のサーバーであっても、面白がったプレイヤーが入り込み有害な行為を行うことは十分考えられる。どういった方法で有害な行為に対抗するか、サーバーを管理するロバート神父の活動にも注目したい。
ライター/古嶋誉幸