アメリカのニュース雑誌TIMEが2010年代における最高のゲーム10本を発表した。「パーソン・オブ・ザ・イヤー」でも知られるTIMEは、2010年代のビデオゲームをどのように見たか確認して欲しい。
『Grand Theft Auto V』
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』
『Fortnite』
『ダークソウル』
『League of Legends』
『Pokémon GO』
『Minecraft』
『The Elder Scrolls V: Skyrim』
『Portal 2』
『Disco Elysium』
『Grand Theft Auto V』は「市場で最も経済的に成功したビデオゲーム」としてリストされた。TIMEによると利益は60億ドルといわれており、アメリカで史上最大の興行収入を持つ映画『風と共に去りぬ』や『スターウォーズ』フランチャイズ全体の売り上げを超えるという。文化的影響も計り知れず、多くのプレイヤーに愛される一方、暴力的なゲームの最右翼として様々な批判、論争の中心となった。
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、任天堂が競争の激しいオープンワールドスタイルのゲームでも面白いものが作れることを証明し、Nintendo Switchのキラーソフトであることが評価されている。
『Fortnite』は『PUBG』が100人バトルロイヤルジャンルの火付け役となったと認めつつ、『Fortnite』の文化的影響は極めて大きな点を評価。多くの若者に愛され、Ninja氏のようなストリーマーを生み、ここで築いた富がEpic Games Store設立につながった。
『ダークソウル』はアメリカのロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」のファーストアルバムのような作品だと評している。誰もがそれを遊んだわけではないが、遊んだ人すべてに影響を与えているという。難しいが公正な難易度、ストーリーテリング、操作性はほかのゲームデベロッパーにも多大な影響を与えた。
リリースは2009年末だが、『League of Legends』はeSportsのゴールドスタンダードだとしている。オンラインで配信されるトーナメントは、スーパーボウルより多くの視聴者を獲得している。一方、Riot Gamesは複数の告発から発展した問題を理由に、2010年代のもう一つのテーマである「性差別」の代表であるともしている。
『Pokémon GO』がリリースされて数ヶ月は、この惑星すべてがNianticのARゲームに夢中になったとしている。プレイヤーは毎日の生活の中で冒険し、プレイしていない人でもゲームを中心にしたニュースとして様々な情報が流通した。
『Minecraft』は2009年にリリースされたが、2010年代の文化の柱として成長した。子どもを持つ家庭なら『Minecraft』を知らない人はいない。発売から10年経った今なおYoutubeでは最も視聴されているゲームだ。
『The Elder Scrolls V: Skyrim』はコンソールの世代を重ねながら移植され、VRやNintendo Switchでもプレイできるようになった。また、熱心なModコミュニティの存在も評価されている。
『Portal 2』はストーリーや一人称視点パズルゲームとしてのゲームプレイが高く評価されている。その一方、『Portal 2』のリリースはValveがこれ以上革新的なゲームをリリースしない10年の始まりとなった、ほろ苦いものだとしている。
短評の中でもTIMEが特に評価していると見受けられるのが『Disco Elysium』だ。2019年後半にリリースされた2010年代を締めくくるにふさわしいゲームだと評している。過去を浸したようなゲームだが、その視線は未来を向いている。「何かが終わり新しい何かが生まれる特別な時間である、年代の変わり目にしか来ない種類のビデオゲーム」だという。
1999年のビデオゲームにも見えるが、古いRPG形式に新しい命を吹き込んだ。ゲームというメディアならではのユニークなストーリーは、すべてのビデオゲームが芸術である方法を強調するとTIMEは絶賛している、
2010年代、Playstation 4やXbox Oneといった現行世代のコンソールがリリースされ、徐々にデジタルセールスがパッケージを上回っていった。eSportsやストリーミングといったゲームを観る文化、クラウドゲーミング、VRやARといった概念が大きな力を持った10年だ。果たして、2020年代のゲーム文化はどのようなものになるだろうか。
ライター/古嶋誉幸