アメリカ合衆国ミネソタ州に拠点を置くデベロッパーのDeer Dream Studioは、料理をテーマにした心理的ホラーデーティングシム『Cooking Companions』のKickstarterキャンペーンをスタートした。目標額は7500ドル(約800万円)。発売は10月を予定しており、Steamではストアページも開設されている。
15ドル以上の支援でSteam版のゲーム本体、75ドル以上でゲームに登場する「キャベツの人形」、250ドル以上でオリジナルのまな板などがもらえる。
本作は“心理的ホラーゲーム”を名乗っているが、日本語のテーマソング「Koi No Radio」とともに、4人の男女と可愛らしい食材を擬人化したキャラクターが登場するトレイラーからホラーの要素は感じられない。しかし、本作は『P.T.』や『アンティル・ドーン 惨劇の山荘』、そして『ドキドキ文芸部!』を楽しんだプレイヤーが次にやるべき作品だという。
プレイヤーをびっくりさせる要素や過度な暴力表現、即死選択肢のような極端な難度はない。サウンドデザイン、未知への恐れ、そしてゲームを終えた後も尾を引く恐怖の構築を目指す。可愛らしい食材のマスコットキャラクターにも意味があるようで、「食材と会話すると狂気にむしばまれる可能性がある」と注意されている。「おべんとうばこのうた」のように、にんじんさん、さくらんぼさんと食材を人間のように扱うのはよくないようだ。
ゲームの舞台はポーランドからスロバキアにまたがるタトラ山脈の奥深くにある山小屋だ。動物好きで素粒子物理学を学ぶ学習意欲旺盛なマライア、学者のようにみえるが簡単な算数もできないアナトリー、薪割りが好きで親切な山男グレゴール、扱いが難しく半分満たされたコップを見ると「足りていない」と考えるタイプのカリン。天災により閉じ込められた男女4人は、物資が少ないなかで生き残らなければならない。
具体的にどういったものかは明らかにされていないが、ゲームの物語は東ヨーロッパの民間伝承から影響を受けているという。東ヨーロッパの民間伝承には、山に潜み子供をさらう魔女「バーバ・ヤーガ」、家に住み着き怠け者を食らう「キキモラ」、ベッドの下に潜んで子供を連れ去る赤い目と長い手の「バウバス」など、家や山に潜む妖怪が数多く存在する。
未知への恐怖をゲームの特徴のひとつに挙げているだけに、山小屋で出会う恐怖についてはゲームの説明で一切触れられていない。どういった伝承がベースになっているかは、プレイしてからのお楽しみといったところだろう。
キュートな見た目とうらはらに、プレイヤーを恐怖に落とし入れる『ドキドキ文芸部!』と近い印象の、かわいいキャラクターやマスコットが多数登場するホラーゲーム『Cooking Companions』。実在の場所で現実に存在する民間伝承をベースにした物語は、民俗学や都市伝説を好む方にもおすすめできるだろう。
はたしてどういった恐怖がプレイヤーに襲いかかるのだろうか。ゲームに興味を持った方はKickstarterで支援したり、Steamのウィッシュリストに追加して、ゲームの発売を待ってほしい。
ライター/古嶋誉幸