プラチナゲームズは3月13日、自社エンジン「プラチナエンジン(仮)」に関する開発スタッフインタビューを公開した。同スタジオは創立当時から自社エンジンを改良して使用してきたが、この「プラチナエンジン(仮)」は2年前から開発がスタートし、現在は6人から7人ほどで構築している新ゲームエンジンになるという。
インタビューの対象は執行役員・CTO/技術戦略グループ グループ長の大森 亘氏、技術戦略グループ チーム長の大寺 毅氏ら数名で、技術的な観点から見た同エンジンの立ち位置とゲームエンジン開発について話している。
鋭意開発中のプラチナゲームズ自社エンジン「プラチナエンジン(仮)」の開発スタッフインタビューを公開しました。 ゲームエンジン制作に興味のある方、開発に携わりたい方はぜひ読んでくださいね。https://t.co/WA2qdt3GBq#Platinum4
— プラチナゲームズ公式アカウント (@platinumgames_j) March 13, 2020
インタビュー内では新エンジンの開発経緯として、近年のゲームのレベルがより一層高まり、より多くの物量やバリエーション、より豊かな表現力を求められるようになった時代背景を受け、「これまで手作業でコツコツやっていたことをもっと簡略化・効率化できるようにしていかなければ、いずれ自分たちのつくりたいものがつくれなくなってしまう」と危機感を抱いていたことが伝えられている。
また本エンジンの特徴として、グラフィックの表現力だけでなく「効率的に多くのものをつくれること」と「表現的に新しいことに挑戦しやすいこと」が挙げられており、開発者の大寺氏と大森氏は以下のように述べている。
大寺:ゲームエンジンの性能をアピールするとき、見栄えが良いこともあって「グラフィックの表現力」がよく取り上げられます。しかし僕らの場合、つくっているのは「あくまで“ゲーム”エンジン」という認識です。グラフィックをないがしろにするわけではありませんが、それ以上にゲームを面白くするために、AAAタイトルに取り組んでいくために、エンジンがなすべきことは他にもあると思っています。
大森:「ゲームのつくりやすさにプライオリティを置いている」というのは、大きな特長だと思います。「こういうアクションはどうだろう」というプロトタイプのフェーズをとても速く回していけることにもなります。ひとつ例を挙げれば、実はプラチナゲームズのプログラマーは、他社に比べて少し特殊な動き方をしていて、アニメーションを直接コントロールする環境があり、アクションゲームの価値を決めるうえで重要な役割を担っているんです。従来のエンジンでも、付随するアセットの制御は基本的に各アーティストがコントロールできるようになっているので、プログラマーが非常に動きやすいんですね。ここはプラチナゲームズの強みでもあるので、新エンジンでも活かしていきながら、アーティスト側が自分たちの工夫でさらにいろんなことを試していけるようにできたらと考えています。「効率的に多くのものをつくれること」、そして「表現的に新しいことに挑戦しやすいこと」、これらを「プラチナエンジン(仮)」で叶えていけたらと考えています。
大森氏は具体的な例ひとつとして「開発スタッフにとって不要な作業はすべて排除するという考え方ですね。単純ですが、データを変換する際にボタンを押す回数を減らしたり、変換されたらすぐさま反映したり、編集途中でもリプレイできるようにしたりといった細かいところまで目を配っています。もともとDCCプラグインの設定を担当していたこともあり、アーティストの視点を踏まえて監修するようにしています」ともコメントしている。
インタビュー内では、開発チームのメンバーがそれぞれの視点から「プラチナエンジン(仮)」でのテーマを語っており、全文は公式サイトからご確認いただきたい。
プラチナゲームズは現在、東京に開発拠点を構え、神谷英樹氏による完全新作タイトル『プロジェクト G.G.』を発表したりと、新たな試みのためのターニングポイントに立っている。その一環として「プラチナエンジン(仮)」の開発も進めており、未来を見据えた大きな動きを見せつつある。
今回のインタビューでは、ゲームエンジン開発にはまだまだ人手が足りないことも伝えられている。プラチナゲームズは現在、東京の勤務地の中途採用を行っており、腕に自信のある方は門を叩いてみてはどうだろうか。
文/tnhr