「ジュネーブ諸条約」(ジュネーブ条約)を破ることができるゲームと破ることができないゲームをただただ紹介していくTwitterアカウント「Can You Violate The Geneva Conventions?」が海外で話題となっている。
「Can You 〇〇?シリーズ」は海外で流行しているミームのようなもので、「Can You Pet the Dog?」というゲーム内の犬と触れ合うことができるか検証するアカウントも存在している。今回はその流れを汲んだ新たなアカウントとなっている。
You can violate Article 32 of the Fourth Geneva Convention in Grand Theft Auto 5. pic.twitter.com/JZOL7QfzxE
— Can You Violate The Geneva Conventions? (@ViolateGeneva) April 24, 2020
※『Grand Theft Auto V』は当然、「破ることができるゲーム」と判定されている。
ジュネーブ諸条約とは、1949年にスイスのジュネーヴで締結された4つの条約を指す。戦闘の手段や方法を規制し、敵対行為に参加していない人々を保護し、武力紛争の影響に歯止めをかけるため、人道的理由から、さまざまなルールを設けている。
つまりこのTwitterアカウントは、ジュネーブ諸条約に反する「非人道的行為」がゲーム内でできるかどうかを検証していくものとなっているのだ。
初投稿は、『スーパーマリオ64』のさむいさむいマウンテンでのマリオを検証。スターを獲得するために子供ペンギンを崖から落とすマリオの行動に焦点が当てられており、この虐待行為が非人道的であるためか「条約を破ることができるゲーム」とされている。
You can violate the Geneva Conventions in Super Mario 64. pic.twitter.com/CM3mjRwkQ1
— Can You Violate The Geneva Conventions? (@ViolateGeneva) April 23, 2020
立場が変わって、次のツイートは『マリオメーカー2』のマリオを捕虜として見た場合を検証している。本ツイートでは、マリオに対する待遇が「第3ジュネーブ条約の第19条と第20条」に反していると主張している。
以下の防衛省・自衛隊の公式サイトの引用を読んでみると、捕虜は安全を確保した状態で戦闘地域から後送されなければいけないらしい。つまり『マリオメーカー2』でジュネーブ諸条約を守るためには、マリオに危害を加えるオブジェクトの配置を避けなければいけないのだ。
第十九条〔捕虜の後送〕
捕虜は、捕虜とされた後できる限りすみやかに、戦闘地域から充分に離れた危険の圏外にある地域の収容所に後送しなければならない。②負傷又は病気のため、後送すれば現在地にとどめるよりも大きな危険にさらすこととなる捕虜に限り、これを一時的に危険地帯にとどめることができる。
捕虜は、戦闘地域から後送するまでの間に、不必要に危険にさらしてはならない。
第二十条〔後送の条件〕
捕虜の後送は、常に、人道的に、且つ、抑留国の軍隊の移駐の場合に適用される条件と同様の条件で行わなければならない。
抑留国は、後送中の捕虜に対し、食糧及び飲料水を充分に供給し、且つ、必要な被服及び医療上の手当を与えなければならない。抑留国は、捕虜の後送中その安全を確保するために適当なすべての予防措置を執り、且つ、後送される捕虜の名簿をできる限りすみやかに作成しなければならない。
捕虜が後送中に通過収容所を経由しなければならない場合には、その収容所における捕虜の滞在は、できる限り短期間のものとしなければならない。
You can violate articles 19 and 20 of the 3rd Geneva Convention (safe evacuation of prisoners) in Super Mario Maker 2. pic.twitter.com/qcKFh5GMeN
— Can You Violate The Geneva Conventions? (@ViolateGeneva) April 30, 2020
逆にジュネーブ諸条約を破ることのできないゲームとして挙げられているのは『アサシン クリード II』だ。
理由はルネサンス期に条約は存在していないからだと言う。条約が存在していないからと言って、非人道的行為が許されるかどうかは疑問が残る。
You cannot violate the Geneva Conventions in Assassins Creed II (they did not exist during the Renaissance). pic.twitter.com/fmwEvFf6TL
— Can You Violate The Geneva Conventions? (@ViolateGeneva) April 25, 2020
おもにFPSでたびたび問題にあげられる赤十字(※)にまつわる『House of the Dead』のネタもツイートされている。「第1ジュネーブ条約の第24条」によると、ユニフォームに赤十字またはその他の医療シンボルマークを付けている人は非戦闘員と見なされ、発砲してはいけないとされている。一方で、そもそもゾンビは医療関係者なのかどうかがリプライ欄では議論されているようだ。
※赤十字
赤十字の印象的なマークの使用については赤十字社と法律などに基づいて認められている組織に限られているため、無許可で使用した『Prison Architect』が英国赤十字社から通達を受けた。『Halo』シリーズに関しては当初回復アイテムに赤十字マークを使用していたが、続編では同アイテムのシンボルを「H」に修正した。
You can violate article 24 of the 1st Geneva Convention (protection of medical personnel) in House of the Dead: Overkill. pic.twitter.com/bgcZjRzTgg
— Can You Violate The Geneva Conventions? (@ViolateGeneva) April 28, 2020
あえてゲームを現実世界のルールや倫理観にあてはめて検証していく手法は多くのメタゲームでも利用されており、今となっては多くのゲーマーが当たり前のように消費し楽しんでいる。この調子で「Can You Violate The Geneva Conventions?」は更新され続けているので、読者もフォローをし、自らもジュネーブ諸条約と照らし合わせながらゲームをプレイしてはどうだろうか。
文/tnhr