一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会は、ゲーム開発者を対象に在宅勤務に関するアンケート調査を行い、その結果を発表した。
本調査は新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務を行う開発者が増えている中、ゲーム開発に携わる人たちの在宅勤務の実態を把握し、開発者と勤務先企業それぞれの対応に役立つ情報を提供することを目的としている。
調査概要は以下となるのでチェックしていただきたい。また、質問はすべてで45個となっている。
1. 調査名 「ゲーム開発者の在宅勤務に関するアンケート調査2020」
2. 調査期間 2020年5月19日〜6月7日
3. 調査方法 インターネット調査
4. 調査対象 ゲームプロデューサー、ゲームディレクター、エンジニア、アーティスト、テクニカルアーティスト、サウンドクリエイター、ゲームデザイナー、品質管理(QC)・品質保証(QA)・テスター・デバッガー、役員/管理職などに従事する商業ゲーム開発者
5. 有効回答数 1,012名
アンケートは性別、年齢、職種からはじまり「Q13.新型コロナウイルスによる在宅勤務の有無」から自宅勤務に関する調査へとつながる。全体のうち94.6%が在宅勤務になったと答えており、Q15-1の現在も継続しているかどうかに関しては、96.3%が持続(~6/7回答)と答え、開発者のほとんどが自宅勤務を経験しているということが分かった。
「Q18. 勤務先の在宅勤務対応に対する満足度」では「大いに満足している」は29.5%、「満足している」は47.4%と回答されており8割近くは在宅勤務にメリットを感じている。一方「不満を感じている」は6.3%、「大いに不満を感じている」は1.5%と回答されており、不満の意見も多少はあることも忘れてはいけない。
「Q19. 在宅勤務の導入で良かった項目 (複数回答)」で半数以上が挙げた項目が「在宅での仕事のやり方が適切に示されスムーズに移行できた」、「在宅勤務のタイミングが適切であった」、「在宅勤務の機器手配、NW手配が適切であった」の3点。
一方「Q21. 在宅勤務の導入の際に困った項目 (複数回答)」で3割ほどの方が挙げた項目が「在宅勤務の機器手配、NW手配が適切でなかった」、「在宅勤務における勤怠管理、人事評価等の情報提供が適切でなかった」、「在宅勤務のタイミングが適切でなかった」となっているため、組織や個人の単位で感じ方の差が生まれ、課題が残っていることが分かる。
「Q23. 在宅勤務での仕事の生産性の変化」に関しては、生産性の向上と低下は半々となっており在宅勤務に必ずメリットがあるわけではないと物語っている。
具体的に「Q24. 生産性が上がったと感じる項目 (複数回答)」で挙げられたのは、時間に関する項目だ。「通勤時間が減り、時間を有効に使うことが出来る」、「在宅にてマイペースで時間配分ができる」の項目から、自由に時間を使えることに対するメリットを強く感じた。
一方「Q26. 生産性が下がったと感じる項目 (複数回答)」で挙げられたのは、コミュニケーションや環境に関する項目だ。「オンライン会議では業務上のコミュニケーションが十分にできない」の回答数は半分ほどで、対面のコミュニケーションを好む方が多いことがわかる。また「PCやネットワーク環境がオフィスに比べ十分でない」、「子供や家族が近くにいると、なかなか仕事に集中できない」など、家庭の環境による差が問題となっていることが明らかとなった。
「Q34. 通常勤務になった際の在宅勤務の希望」では「オフィス勤務と併用したい」が最も多く回答されている。在宅勤務にメリットを感じている方は多いが、オフィスでのコミュニケーションや環境に強いメリットを感じている方が多いということが明らかとなった。
今回の調査から、自宅勤務のメリットを感じている方がたくさん存在していることが分かったが、まだまだ課題が残っているため、オフィスを失くすという選択はまだ主流にならなそうという印象を持った。これらの結果を参考にして、より良い労働環境が生まれることを願いたい。
文/tnhr