スウェーデンの家具メーカーIKEAは、PCゲーム向けの商品を開発するASUSのブランドRepublic of Gamer(ROG)と提携し、ゲーミング家具を販売することを発表した(公式サイト)。上海にあるIKEA製品開発センターが主導して開発し、2021年2月に中国で、同10月に世界中で約30種類のゲーミング家具を販売する。
具体的な製品は紹介されなかったが、IKEAの持つ家庭用家具のノウハウと、ROGの持つゲーミング製品の知識を組み合わせ、手頃な価格で人間工学に基づいたゲーム用家具とアクセサリーを販売するという。
ROGは以前、ゲーミングチェア「ROGチャリオットコアゲーミングチェア」を販売した実績がある。ゲーミング家具といえばまず思い浮かぶのはゲーミングチェアだが、30種というとイスだけでなくかなり幅広いアイテムになりそうだ。
IKEAは「世界人口の1/4(25億人)がゲームを楽しむが、家庭用家具に関するゲーマーのニーズはこれまで無視されてきた」と語る。家庭用家具がゲーミング体験とその周りの生活をどれだけ変革できるか、真剣に考えている。
IKEAは昨年、3Dプリント技術でパーソナライズされた医療用器具を開発するUNYQと協力し、ゲーマー個別のニーズに対応する製品ラインを発表したが、次なるステップは本格的なゲーミングギア開発のノウハウを持つROGとのコラボだった。
上海のIKEA製品開発センターは、プロゲーマーやゲーム愛好家とともにゲーミング家具への需要を調査。家庭用家具に求められる高品質な体験を生むゲーミング機能を割り出していったという。両社が目指すは、「ゲームに完全に没頭できる完璧なゲーム空間」だ。
IKEAといえば組み立て式で、どんな部屋にもマッチする比較的落ち着いた家具を販売するメーカーというイメージが強い。一方ROGの製品のイメージカラーは赤と黒。ビビッドで1677万色に光るイメージだ。
ASUSのイメージによれば、生まれるのはきっと可変型ゲーミングチェアのような自己主張の強いものになるだろう。IKEAのイメージなら、ゲーミング枕「NeOchi PillOw」のような、生活空間にさりげなく存在するゲーミング製品になりそうだ。
25億のゲーミング人口にリーチさせるなら、自身をゲーマーと考えないカジュアルなゲーマーにも届く商品を目指すことも十分考えられる。ゲーマーの意見を取り入れた家具とは、いったいどんなものなのになるのだろうか。
生活空間にさりげなくゲーミングが存在するのか、あるいは薄暗いLANパーティに持っていっても負けない自己主張の強い製品になるのか。両社の追い求める「ゲーム空間」ははたしてどちらのイメージになるのか興味は尽きない。