ゲーム開発スタジオを抱える通販大手のAmazonは、マルチプレイゲームを台無しにする有毒なプレイヤーをグループ化し、その傾向にあるプレイヤー同士を同じマッチで戦わせる特許を米国特許商標庁(USPTO)へ出願した(特許リンク)。海外メディアgamesindustry.bizが報じている。
有毒(Toxic)なプレイヤーとは、ゲーム中に暴言などの嫌がらせをするプレイヤーだ。チーターのようにシステムを改変してゲームを台無しにするのではなく、ほかのプレイヤーの気分を害することでゲームを台無しにする。
同特許は2017年末に提出されたが、2020年10月に米国特許商標庁によって承認された。公開された文章によると、従来のマッチメイキングはプレイヤーの能力に基づいてグループを作る事に焦点を当てており、つまり、スキルがマルチプレイゲームを遊ぶプレイヤーの楽しみの主要な、または唯一の要因であると想定していたと記されている。
しかし、Amazonは、それは素朴な考え方であり、プレイヤーの楽しみは一緒に遊ぶほかのプレイヤーの行動に大きく依存する可能性を指摘。ほかのプレイヤーが冒とく・侮蔑的と感じる表現を使用したり、望ましくない行動をとったりする傾向などは無視されていたが、それこそがゲームの楽しみを大きく損なう要因であると看破している。
一方で、あるプレイヤーは暴言などは気にしなくてもゲームからすぐに退出することを「有毒」としたり、他者はその逆であったりと「有毒」な行動がプレイヤーによって異なり定義することが難しいことも認めている。
この特許では、有毒なプレイヤーを除外することも目標だが、全体を通してみるとむしろ「自分の好みの行動を取るプレイヤーと一緒に遊べるようにマッチングする」という意図があることが読み取れる。有毒な行動の除外はその中のジャンルのひとつだといえるだろう。
マルチプレイゲームで有毒な行為に悩まされたことがあるプレイヤーは多いだろう。この特許を取り入れたゲームがいつプレイヤーに届くかは不明だが、そういったプレイヤーにとっては夢のある技術といっていい。Amazon Game Studiosはマルチプレイゲーム『Crucible』の開発を先日断念したものの、現在はMMORPG『New World』の開発を進めている。
ライター/古嶋誉幸