アメリカSFファンタジー作家協会は、第56回ネビュラ賞のゲームライティング部門のノミネート作品を発表した。受賞結果は現地時間6月4日(金)から6日(日)にオンライン開催されるネビュラ賞のセレモニーで発表される予定だ。
Join us 6/4-6/6 for the 2021 Nebula Conference! Many of today's finalists will be taking part in our professional development panels geared toward established and aspiring writers, and of course, we'll announce the winners at the 56th Annual Nebula Awards! https://t.co/6ABr57snnZ pic.twitter.com/zaj9X9ZWgs
— Science Fiction and Fantasy Writers Association (@sfwa) March 16, 2021
※ノミネート作品を伝えるアメリカSFファンタジー作家協会のツイート
ノミネート作品は以下のとおり。
・『Blaseball』 Stephen Bell、Joel Clark、Sam Rosenthal (The Game Band)
・『Hades』 Greg Kasavin (Supergiant)
・『Kentucky Route Zero』 Jake Elliott (Cardboard Computer)
・『The Luminous Underground』 Phoebe Barton (Choice of Games)
・『Scents & Semiosis』 Sam Kabo Ashwell、Cat Manning、Caleb Wilson、Yoon Ha Lee (Self)
・『Spiritfarer』 Nicolas Guérin、Maxime Monast、Alex Tommi-Morin (Thunder Lotus Games)
1966年からはじまった長い歴史を持つネビュラ賞は、作家、編集者、評論家などで構成されるアメリカSFファンタジー作家協会の会員の投票で受賞作品が決定される。SFとファンタジー作品が対象だが、特にSFの分野ではもっとも権威のある賞といわれている。
ゲームライティング賞は2018年11月に新設が決まり、おもな対象はビデオゲーム、テーブルトークRPG、インタラクティブな小説や映像、ゲームツールキットなどが含まれいる。いくつかの指標によれば、「インタラクティブ、またはプレイアブルな物語主導の作品(言葉を使わないゲームも対象)」、「少なくとも1人のライターがクレジットされている」、「新バージョンであっても大幅に変更が加えていれば選考対象」となるそうだ。ただし、前提としてネビュラ賞は、アメリカで英語言語にてリリースされた作品に限られている。
2019年度は『ゴッド・オブ・ウォー』などを退け、Netflixのインタラクティブ映像作品『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』が初のゲームライティング部門受賞作品となった。また2020年度は『Disco Elysium』や『アウター・ワイルズ』などがノミネートされる中で『アウター・ワールド』が受賞している。
今回のノミネートはインディーゲームが目立つ結果となっており、ブラウザ野球シミュレーションホラーゲーム『Blaseball』や、死者の魂を船で送るマネジメントゲーム『Spiritfarer』、The Game Awards 2020にもノミネートされたローグライク・アクション『Hades』、選択肢によって香水にまつわる物語が自動生成される『Scents & Semiosis』、文学的な雰囲気が特徴のポイント&クリックアドベンチャー『Kentucky Route Zero』がノミネートされた。
またネビュラ賞としては早くも常連となっているChoice of Gamesから『The Luminous Underground』が選考対象になっている。Choice of Gamesとは、選択肢が数多くあるアメリカ独自のノベルゲームで、グラフィックや音楽、効果音は使われていない。LGBTQがテーマとなっている作品が多く、アプリから簡単にゲームが作れることもあり、数多くのユーザーが創作をしている。
ほかのゲームアワードと比較しても一風変わったノミネートとなっており、どのように結果となるのか興味深いといえるだろう。受賞結果は現地時間6月4日から6日に発表される予定だ。
ライター/福山幸司