フォントファイルで『ポケモン』のようなゲームを遊ぶ。そんな極まったプロジェクト『Fontemon』が公開された。海外メディアGamespotが報じている。
開発したのはマイケル・ミュレット氏。氏はリレー走のようにコードを複数人で書き上げる「コードリレー」というプラットフォームを運営している。
『Fontemon』フォントファイルは、氏のGithubで公開されている。このわずか1メガバイトに満たないファイルでゲームが遊べるのだ。もっと簡単に遊びたい場合は、ウェブプレイヤーも公開されている。ほとんどの場合はこちらで遊ぶのが簡単だろう。PC上でどのように動くかは、こちらの動画が詳しい。
『Fontemon』は3匹の「フォンテモン」から1匹を選び、彼とともにジムリーダーと戦う小規模なゲームだ。『ポケモン』のパロディゲームということは、説明するまでもないだろう。
見た感じでは、フォントファイルを使ってパラパラ漫画を再生するだけに見える。文字入力のスピードがそのまま画面のフレームレートとなるのも面白い。
しかし、ゲーム中には御三家のフォンテモンを自分で選んだり、技を使ったりするときに選択肢が登場する。その都度選択していくと、エンディングまで変化するという。フォントでゲームをほんとに遊べてしまう。
フォントファイルなので、バックスペースキーを押せば物語を巻き戻すことが可能だ。もし選択肢を間違えたら少し戻ってやり直そう。
ミュレット氏はGithubにこのゲームについての記事を投稿している。記事によると、英語を話す平均的な人々はフォントを「1.文字を入力する」(これをキャラクターと呼ぶ)、「2.文字が画面に表示される」(これをグリフと呼ぶ)と理解しているだろうとしている。日常的なタイピングであればそれは正しい。が、氏はフォントの実力はそれだけではないという。
「入力されたキャラクターをグリフとして画面に表示する」とひとくちにいっても、その方法はさまざま。ビットマップやPNG画像を表示することさえ可能だ。『Fontemon』はキーボードで「a」を入力して表示されるグリフ「a」の代わりに、ゲーム画面を表示している。
また、通常キーを複数回押すと「aaaaaaaaaa」といった表示になるが、フォントファイルには「合字」という機能がある。これは複数のグリフをひとつのグリフに置き換えるものだ。これを利用して、ゲーム画面は「aaaaaaaa」のように横に伸びず、常に一定の位置に表示されている。
選択肢も合字だ。御三家を選ぶ場合は、直前に入力されたキーと「a」、「b」、「c」の合字をそれぞれ用意すればそれぞれのストーリーに分岐していく……ということなのだと予想するが、もはや氏のブログを読んでもきちんとした知識を持たない筆者には何を書いているのか把握できない。
とにかく、フォントファイルは選択肢によって分岐する物語まで表現できるということだ。
『Fontemon』はウェブからでも、スクリーンショットのように画像エディターなどを使ってローカルでも楽しめる。とにかく驚くことが多いので、ぜひ一度プレイしてみてほしい。