中国の昆山(コンザン)警察は、現地時間3月26日に開いた記者会見にて、中国の巨大企業テンセントと連携して84億円もの利益を得た悪質なチート販売業者の逮捕を発表した。複数の高級車を含む約51億円もの資産を押収したという。BBCニュースが報じている。
上海のメディア界面によると、テンセントが地元警察と連携することになったきっかけは、テンセントが開発する中国版『PUBG』(PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS)こと『和平精英』(Game for Peace)のチートツール「鸡腿挂」(鶏の足)だという。これを含む複数のチートツールを世界的に販売していたこの組織は、テンセントによる通報から壊滅に至った。テンセントも捜査に協力し、腾讯游戏安全中心(テンセントゲームセキュリティセンター)から多くの人員を投入し、事件解決に貢献した。
Weiboの『和平精英』公式アカウントによると、警察はこの調査の中で犯罪組織のトップである人物の存在にたどり着いたという。国内外で数十億円の利益を得ていたこの人物も逮捕。ロールスロイス、フェラーリ、ランボルギーニなどの高級車を押収した。くわえて、組織の世界的な活動を統括する人物、コードネーム「九条杠」も逮捕。29億円相当の仮想通貨や不動産、自動車を押収。この人物は、月給3000元(約5万円)の小さな会社で働く“表の顔”を持っていたという。
逮捕された容疑者によると、この犯罪グループはもともと海外からチートツールを購入し、中国内の代理店として始まった。その後グループは成長し、ツールの販売からプロモーション、フォーラムの運営など多角経営の総合的なチートツール販売代理店となった。
この大規模な作戦は、蘇州公安局の指導の下昆山警察が6省9カ所が舞台となった。トップを含む複数の容疑者の逮捕だけでなく、計17のオンライン取引サイトなどのプラットフォームが閉鎖に追い込まれたと伝えられている。
巨大企業の協力の下、ゲームを破壊する犯罪組織のひとつが壊滅に至った。しかし、残念ながらこれでチートとの戦いは終わりではない。今後もチートとの終わりなき戦いは続く。
ライター/古嶋誉幸