第二次世界大戦を舞台にする『コール オブ デューティ』最新作は『モダン・ウォーフェア』の正統進化系か。ベータテストのプレイで感じた『ヴァンガード』の味

 『コール オブ デューティ』(以下、CoD)シリーズの新作についての話が聞こえてくるようになると、そろそろ秋が来るかなといった気持ちになる。「そろそろ『CoD』の時期だよな」という会話はFPS好きのゲーマーなら一度はしたことがあるのではないだろうか。

 いよいよ今年もやってきた新たな『CoD』こと『コール オブ デューティ:ヴァンガード』(以下、ヴァンガード)。今作の舞台は、2017年に発売された『コール オブ デューティ ワールドウォーII』以来の第二次世界大戦となる。現代戦とは一味違ったローテクノロジーな雰囲気には魅せられるファンも少なくないだろう。
 開発元は『ワールドウォーII』、『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』などと同じくSledgehummer Gamesとなる。しかし、ゲームプレイの面ではむしろ2019年発売、Infinity Ward開発の『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』同様のエンジンを使用していることもあり、そちらに近いものを感じた。

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 『ヴァンガード』のキャンペーンモードでは筆者が大好きな「スターリングラード」まわりのお話も描かれるということで喜んでいたのだが、今回はマルチプレイヤーモードのプレイフィールが体験できるテストとなる。9月11日から14日の先行プレイ、そして17日から21日のオープンベータをPS4、PS5版で遊んでみた。

 筆者のプレイ環境はPS4とPS5で、純正のゲームパッドを使用。フレームレートは60FPSとなる。
 なお、今まででもっとも筆者が長く遊んだ『CoD』は前述の『モダン・ウォーフェア』である。そのほかにも、ベータテストや『コール オブ デューティ ウォーゾーン』などで少しずつ遊んできた。『CoD』全作をプレイし尽くしてきたわけではないので、過去作を遊んだことがあるFPSプレイヤーとしての視点でレポートをお届けしたい。

 今回のベータテストは遊べるコンテンツがとても多く、すべてのモードについて列挙していくととても冗長になってしまう。そのため、移動や射撃といった基礎部分、そして銃のカスタマイズなどロードアウトに関する感想と、新モードである「PATROL」「CHAMPION HILL」の体験を主としてお伝えできればと思う。

文/久田晴
編集/ishigenn


「戦争」らしい動きとゲーム的なシステムのバランス

 まず最初にキャラクターを実際に動かして味わったのが、何とも言えない全体的な「重み」だ。伏せてから起き上がるときの動作の遅さだとか、グレネードを投げた後の銃を構えるまでの時間だとか、そういった部分がとても重く感じた。『CoD』は、こんなにリアル系のFPSだっただろうか、と思ってしまうほどに。
 『ヴァンガード』におけるキャラクターコントロールは、『Escape from Tarkov』のようなタイトルに比べればはるかにスポーティだが、動きのひとつひとつには確かに人間らしい重みがある。キルスピードの速さも相まって、予想外のタイミングで攻撃を受けた場合はまず勝てない。

 この「重み」は、プレイヤーの取るアクションにリスクリターンをつけるというデザインがされていると感じた。グレネードを使うにせよ、伏せながら射撃するにせよ、一定の強みがある行動を行った後には隙がうまれる。
 そして同時に、銃を担ぎ装備を身に着けた兵士のひとりとして戦う臨場感も生み出してくれている。戦場を自由に駆け巡る、というのにはほど遠いダーティな面を描いたデザインがされているように感じた。

 しかし、ゲーム的でアグレッシブなアクションもしっかりと用意されている。たとえば「タクティカルダッシュ」は遭遇戦には弱いものの、高速で移動し大胆な位置取りを可能にしてくれる。ダッシュから行えるスライディングも、アクション後の隙は大きいが、素早く移動しながら射撃もしやすいという非常に強い行動だと感じた。
 そして、本作から取り入れられた破壊可能な壁はなんとダッシュで突き破ることも可能。細かく射線を作ることもできる要素なのだが、あまり有効に使っているプレイヤーを見かけることは少なかった。

 このように「戦争」らしい重みを取り入れながらも、スピーディなアクションも取り入れられた本作の仕様は『モダン・ウォーフェア』をさらに洗練したような印象を与えてくれる。

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 また、FPSにおいて非常に重要となる「視界」について、重要なくだりがある。早期アクセス時点では、発砲時にブレのようなエフェクトで視界を奪われる仕様があった。この視界のブレはコミュニティから否定的な意見が多くあったらしく、オープンベータ時には削除されていたように感じた。

 たしかに銃撃の際に視界が確保しにくいのはリアルではあるが、やはり多くのプレイヤーにとってはストレスになっていたのだろう。一部のマップでは雪やチリなどの演出によってさらに索敵が困難になる。視界の中に動くものがあると、時折そちらに意識をつられてしまうのだ。

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雪煙や爆炎、そして視覚阻害のスモークなどがあわさると何も見えない

 このゲーム全体を通した視界の悪さ、転じて目による索敵の難しさは『CoD』に慣れている方ならそれほど気にならないのかもしれない。筆者自身がここしばらく『VALORANT』のような環境エフェクトの薄いゲームに傾倒していた、というのも一因としてはあると思われる。

 これらのエフェクトも上述の「重さ」同様、臨場感を演出する面ではすばらしい働きをしてくれる。地獄のような第二次世界大戦の雰囲気をしっかりと描き出しているが故に、ゲームのプレイには多少のストレスが付き纏ってしまう、というお話だ。

選べるチーム構成

 こちらは『ヴァンガード』で初めて登場したシステムだが、マッチングの際に戦闘の規模を選ぶことができる。6対6で昔ながらの『CoD』らしい「TACTICAL」、20人から28人での戦闘を行う「ASSAULT」、最大48人でにぎやかな戦場を楽しめる「BLITZ」の3つが用意された。

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 プレイヤーのスタイルや好みによってマッチングを選べるのは素直にいいと思ったが、少しマップとのちぐはぐさを感じずにはいられなかった部分もある。ロシアがモチーフと思われるマップ「Red Star」は、6対6で遊ぶには少し広すぎるのだ。
 「Red Star」の雪エフェクトも相まって、敵を非常に見つけにくい。会敵し、撃ち合う楽しみが大きく削がれてしまっている印象を受けた。

 逆に、比較的狭い室内がメインのマップである「Hotel Royal」での大規模戦闘は、ハチャメチャではあるがとても楽しい。3歩進めば接敵するようなハイスピードな戦闘を味わえる。
 何より、大人数の味方と一緒に走っている姿が戦争映画のひとコマのようでテンションが上がる。真面目に立ち回りと射撃を競いたい方にはおすすめできないが、ちょっとにぎやかに遊びたい、と思った時の「BLITZ」モードは、ぜひ試してみていただきたい。

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シリーズ恒例ともいえる豊富なロードアウトのカスタマイズ性

 ベータということで時間もレベルも限られているため、すべてを解放したわけでは無いが『ヴァンガード』でもシリーズ恒例の多彩なカスタマイズができる。3つのパークとフィールドアップグレード、キルストリークをプレイスタイルにあわせて整えられる。
 ロードアウトのプリセットもたくさん作ることができ、試合中にも編集できるので、マップや敵の特徴などによって使い分けるのもいいだろう。

 筆者は『コール・オブ・デューティ ブラックオプス コールドウォー』に登場したスコアストリーク「RC-XD」という爆弾つきのラジコンが大好きだったので、本作のフィールドアップグレードは「ゴリアテ」を主に使っていた。第一次世界大戦の戦車のような姿で戦場の真ん中をのろのろと走る様は、シュールかつ愛らしいものがある。

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見た目に反して走破性が低いのが玉にキズ

 そして本作は第二次世界大戦が舞台のためか、誘導式のランチャーが存在しない。そのため、敵のキルストリーク「偵察機」などへの対処、いわゆる「対空」がやりにくい。無誘導のランチャーでは偏差射撃が必要になるうえ、リロードも長く歩兵に襲われるとどうにもならない。
 プランのひとつとしては、パーク「オーバーキル」によってメイン武器をふたつ持ち歩き、ライトマシンガンで対空しつつサブマシンガンなどで地上戦を行う、といった策を取ることはできる。もちろん持ち替えや上を見上げている状態で襲われてはひとたまりもないのだが。
 こうした理由で対空が難しいため、お互いがレーダーをつぶされた状態で闘い続ける場面も少なくない。

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ジャミング中は左上のミニマップが機能しない

 武器のカスタマイズは最大で10個のオプションパーツを装備できる。パーツごとのメリット、デメリットはしっかりと明記され確認しながらカスタムできるので、自分好みの性能に仕上げていくことが可能だ。
 武器バランスについては、初期のアサルトライフル「STG44」を運用している方が多かったような印象だ。反動も激しすぎず、交戦距離もあまり選ばないオーソドックスに強い銃だった。

 筆者ががんばって使っていたのはマークスマンライフル「M1 Garand」。正直なところ強いとは思わないが、全弾撃ち切ったときの金属的な効果音が気持ちよく、第二次世界大戦の雰囲気を味わうにはうってつけの銃だと思う。室内などショートレンジの場面ではサブウェポン「Machine Pistol」が活躍してくれた。

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見栄えと性能を考えて自分好みの銃を作り上げることができる

新たなモード「PATROL」の不安はリスポーン

 今回のベータテストの目玉のひとつ、新たなPvPモード「PATROL」はまだ完璧に調整されているとは言えない状態だったが、面白い試みだった。
 ふたつのチームに分かれ、ひとつのコントロールエリアを取り合うモードなのだが、最大の特徴はコントロールエリアが移動し続けることだ。これによって、マップの中での主戦場が揺れ動き続け、独特の立ち回りが求められるようになる。
 また、最低でもひとりはエリア内に居続けなければポイントが入らないという仕様のため、ポイントを得続けるにはカバーリングポジションが少ない場所へも出ていかなければならない。敵もそれを分かっている以上、エリア内は次から次へとグレネードが投げ込まれる地獄のような場所になる。

 また、一か所に敵味方が集合するため索敵がより難しいものとなる。チームデスマッチやドミネーションといった既存のルールのように、およその境界線というものをはかりにくい。リロードのタイミングや潜む場所など、ほかのモードとは一味違う思考が求められる。

 一方で本モードでの懸念点は、リスポーンの位置関係に生じた問題だ。早期アクセス版では敵のすぐ隣にリスポーンしたり、リスポーン地点の後ろに敵がいたり、といった現象が確認できた。エリアが流動的なうえ、プレイヤーの立ち回りもそれぞれなので仕方のない部分もあるのだろうが、やはりリスポーンからの即時キルというのはあまり楽しくない。

 こうしたリスポーン位置の理不尽さについてはすでにコミュニティからも多くの意見が寄せられているようなので、今後の改善に期待したい。

「CHAMPION HILL」は小規模のガンゲームを楽しめる

 もうひとつの新モード「CHAMPION HILL」は、1ラウンド60秒の小規模なガンゲームを繰り返し、最後までライフが残ったチームが優勝となるモードだ。ロードアウトを選択することはできず、ゲーム中に得た資金で武器やパーク、キルストリークを購入してキャラクターを育てていく

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数ラウンドごとに一度購入ラウンドが用意されている

 所持している武器は試合中にもアップグレードでき、アタッチメントが追加されていく。また、敵をキルした際にはアーマーを奪い取ることも可能なようだ。

 筆者は腕に自信も無ければ友達もいないので、おもにソロモードで遊んだが、こちらはデュオやトリオのプレイの方が楽しいように思えた。1対1で戦うには広めのマップになるため、探し回っている内にラウンドの制限時間が潰えてしまう場面もあった。
 気心知れた友人同士で戦略を立てて買い物をし、連携を取った動きをできればかなり楽しいモードになると思われる。

『CoD』らしいゲームプレイと第二次世界大戦という最高の舞台

 武器マウントやタクティカルダッシュなど『モダン・ウォーフェア』のシステムを取り入れつつ洗練された『ヴァンガード』。ところどころ重くもあるが、爽快感もある体験はやはり『CoD』だな、という印象が何より強かった。
 同時に、PS5でのプレイの快適さも強く感じた。先行アクセスではPS4、オープンベータはPS5でプレイしたのだが、やはりフレームレートの向上を体で感じることができる。オープンベータでのアップデートによる視界エフェクトの変更なども影響したとは思うが、圧倒的に戦いやすかったというのが正直な感想だ。

 第二次世界大戦というモチーフの魅力は言うまでもないが、『ヴァンガード』はそれをしっかりと引き出し、『CoD』風味に味付けしている。長く続いたシリーズだからこその安心感と、さらなる進化を遂げるために編み出されたいくつもの要素が、どんな可能性を見せてくれるのか。今は、11月発売の製品版を首を長くして待っていたい。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。
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