株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は5月10日(水)、2022年3月期の決算情報を公開した。
公開された資料(PDF)によれば、政策保有株式の見直しによる資産効率の向上のため、同社は保有する任天堂株式の半数相当を、496億円で売却するとのことである。
DeNAと任天堂は2015年3月より業務資本提携を結んでおり、『スーパーマリオラン』や『マリオカートツアー』といったスマートフォン向けのゲームを共同開発してきた。株式の一部売却こそ行うものの、今後も両社間の事業を中心とした関係の強化へと段階を進めていくという。
今回の売却による業績影響については現在精査中。2023年3月期の連結業績における税引前当期利益までの各段階利益への影響はないとしており、同時に2023年3月期個別決算においては投資有価証券売却益約386億円を計上する見込みであるとのことだ。
また、DeNAの2022年度3月期の経営成績については、全連結会計年度比で、ゲーム事業は減収となったもののライブストリーミング事業が成長、スポーツ事業も回復を見せた。
同社グループの売上収益は1308億6800万円(前連結会計年度比4.5%減)、営業利益は114億6200万円(同49.0%減)、税引前当期利益は294億1900万円(同5.9%減)、当期利益は305億3200万円(同19.1%増)を記録した。
セグメント別では、ゲーム事業が売上収益746億9700万円(前連結会計年度比18.2%減)、セグメント利益は115億9600万円(同38.5%減)と減収減益。既存のタイトルを中心とした事業運営となり、ユーザーの消費額が全連結会計年度比で減少したことが影響したようだ。収益基盤の強化に向け、新規タイトルのリリースや費用構造の筋肉質化、固定費の最適化を図るとしている。
上で挙げた任天堂との連携強化のほか、集英社との連携強化を掲げており、互いの強みを活かし広くエンターテインメント領域で協力していく姿勢を示している。集英社ゲームズとも連携し、コンテンツの共同開発、出資を実施していく構えだ。
ライブストリーミング事業にあっては、売上収益346億6400万円(前連結会計年度比43.2%増)、セグメント利益34億8400万円(同32.9%減)を記録。国内のライブ配信プラットフォーム「Pococha」が堅調に推移し、バーチャルライブ配信アプリ「IRIAM」をはじめとする、新たなジャンルへの挑戦も進歩したという。
「Pococha」についてはグローバル版の取り組みも進捗しており、特に米国での課金ユニークユーザーは大きく増加傾向にあるようだ。今後も成長軌道に乗せるべく、2023年3月期は成長投資もふくめて注力していく姿勢を示している。
そのほか、スポーツ事業が売上収益147億1200万円(前連結会計年度比14.7%増)、セグメント損失は25億7500万円(前連結会計年度は35億8900万円の損失)。ヘルスケア事業が売上収益30億円(全連結会計年度比42.9%増)、セグメント損失は6億2400万円(前連結会計年度は11億9400万円の損失)をそれぞれ記録した。
2023年3月期の連結業績予想については、合理的な数値の算出が困難との理由で開示は見合わせている。
ゲーム事業については下期を中心に5本程度の新規タイトルを予定。業績のアップサイド要因となる可能性もあるが、貢献期間などを考慮すると業績貢献は既存タイトルが主体となる見通しである。
ライブストリーミング事業については、国内の「Pococha」は収益部門としてのさらなる成長、強化を図るとのこと。グローバル版のサービスや新たなジャンルでの取り組みなど、非連続な成長に向けた挑戦も積み重ねていく姿勢を示している。これらの投資は、通期でのセグメント損益の黒字を確保しつつ、機動的かつ規律をもって行っていくという。
同社の決算情報に関する詳細については、公式のIR情報ページなども参照されたい。