安心してください、RPG撃ったらちゃんと“全てが”ぶっ壊れますから。
※ほんのちょっとだけ壊れないオブジェクトもあります
さまざまなFPSにおいてRPGやC4での爆撃は華々しいロマンである。
しかし、しばしば人類は「いやこの建物は爆破できないんか~~い」というツッコミと共にモニターやPC、自宅に配置された全ての電子機器を破壊したい欲望に駆られる。そんな経験もゲーマーであれば決して珍しくないことだろう。
そんな「敵と味方を遮る破壊不可能のオブジェクト」によるストレスを一切感じずに遊べる、ヘルシーなFPSが『THE FINALS』だ。
この度、『THE FINALS』のメディア向け体験会が東京・池袋に位置するLFS 池袋 esports Arenaにて開催された。本記事では『THE FINALS』のプレイレポートをお届けする。
実際にプレイするとプレイヤーが「求めるとおりの爆発」とスリリングな乱戦がそこにある。そして「破壊」や「爆発」が連想させる偏差値3のオツムでは勝利できない奥深いゲーム性にも要注目。エイムではなく「ダイナミックに変化する環境」を制した者が勝者となるデザインはまさに「本作ならではの対戦」を提供してくれることだろう。
『THE FINALS』は基本料無料で、対応プラットフォームはPC(Steam)となる。
3月7日(火)夜20時よりSteamをとおしてプレイテストが開始される予定となっている。本記事を介して爆発と破壊の戦場の魅力が少しでも伝われば幸いだ。
取材・文/りつこ
「エイム力」よりも「適応力」が勝利へ導く。ダイナミックに環境が変化するFPS『THE FINALS』
まず、本作の概要をおさらいしておこう。
『THE FINALS』はバーチャル空間上で開催されるゲームショーを描く対戦型のFPSだ。プレイヤーは架空のゲームショー「THE FINALS」の挑戦者となり、チームメイトと共に賞金の獲得を目指して戦うこととなる。
開発はFPSの金字塔『バトルフィールド』シリーズを手がけるDICEの代表が2018年に設立した「Embark Studios」が担当する。Embark Studiosはネクソンの子会社となっている。
ゲームショーという設定は2021に世界的に人気を博した『イカゲーム』や『ハンガーゲーム』といった作品からインスパイアを受けており、「バーチャル空間」という舞台設定と相まった非常に「今っぽい」キャッチーな要素を採用。設定にならったスポーティーなビジュアルも魅力的だ。
そして本作最大の特徴が「マップ環境の破壊」だろう。ゲームではアサルトライフルやサブマシンガン、スナイパーライフルといった王道な銃火器が用意されているが、前述のとおりRPGやC4などを駆使してあらゆる建物の屋根や壁面、家具といった殆どのオブジェクトを破壊することが可能である。
また、持参するアイテムには設置型のバリケードのほか、GODグレネードおよびGOD GUNといった「発泡ウレタンフォームスプレー」のように射出した泡が即座に硬化し、障壁や「簡易的な橋」となる武器も存在する。
くわえて、試合中にはダメージが急増したり、空間の重力が低下するといったイベントも発生。よってエイム力以上に「変化する環境への適応力」が勝利への鍵を握ることとなる。
【基本ルール】キルより重要なのはお金。輸送や強奪で最も金を稼いだチームが勝利する
ゲームは基本的に3人一組のチームで挑み、4組計12人で実施される。試合が開始されれば、まずフィールド上の金庫を探しだし、金庫からお金が収められた金属のキューブ「キャッシュボックス」を確保。キャッシュボックスを確保すればマップ上の別の場所に配置されたキャッシュアウトステーションへ輸送したのち設置することで大量の資金を獲得できる。
設定された制限時間内に最も多い金額を獲得したチームが勝者となる。
なお、金庫からキャッシュボックスを取り出したり、キューブをキャッシュアウトステーションへ収める動作には時間を要する。各待機時間中に襲撃されれば大金獲得のチャンスを敵チームに奪われる可能性があるため、ゲームプレイの要領はいわゆる「コントロール」や「ドミネーション」に近い形式と言えよう。
ゲーム開始時には混乱してしまうかもしれないが、画面に表示される数字のアイコンが金庫でアルファベットのアイコンがキャッシュアウトステーションとなる。ボックスとステーションの組み合わせは自由であり、良くわからなければひとまず最寄りの数字のアイコンを目指そう。
このほかに、大量の金額を獲得しているチームメンバーを倒せばお金を強奪でき、敵チームの開錠時間などは割り込んで引き継ぐこともできる。奇襲や乱戦により“漁夫の利”を狙うことも有効な戦略となりそうだ。
ゲームモードは16チーム計48名が4つの予選を行ったのち、最下位チームが順に脱落していくラウンド制の最終試合を行う「トーナメント」と4チーム12名で1ラウンドの勝負を行うか「クイックプレイ」の2つが用意されており、体験会ではクイックプレイを体験できた。
モードによって規模間や終盤でのヒリ付きは異なるが、好みにあわせてじっくり遊んだり、短時間でサクッと遊ぶこともできるだろう。
体験会でプレイしたマップはフランスの地中海沿岸にある独立都市国家「モナコ」の市街地と、韓国の首都である「ソウル」の高層ビルのふたつ。用意されるマップはすべて世界の著名なロケーションとなっており、入り組んでいたり、縦方向に立体感が設けられていたりと異なる性質の戦闘が楽しめる仕様だ。
「破壊」するのはモノだけじゃない。「破壊」され拡張するFPSのセオリー
破壊、それはとにかく気持ちイイ。RPGを撃ち込み、C4を設置してスイッチを押せば見る見るうちにあらゆる建物の屋根や壁面、家具といった殆どのオブジェクトがブチ壊れていく。
「あの建物を爆破したい」「この壁をぶっ壊したい」と思えば破壊できる。破壊衝動のままに行動を移せば、そのまま実現すれば脳に栄養が補給される感覚を存分に味わえるだろう。
なお、本作のダイナミックな破壊システムはプレイヤーの行動と破壊のシミュレーションを全てサーバで処理する技術により実現しているという。
しかし、本作のダイナミックな「破壊」はただプレイヤーに単線的なスペクタクルを与えるだけではなく、プレイヤーが実行できる戦闘中の選択肢を大幅に拡張するのだ。
たとえば本作のシステム上、ゲーム終盤に他チームと大差をつけて1位になっていれば、そのまま狭い部屋のドアをバリケードやGOD グレネードで塞ぎ、室内にタレットを設置するといった防衛戦が有効であるように思える。
実際に筆者は上記の様な状況を構築し、余裕をぶっこいていたところ突然爆炎が画面を覆いつくし急速に落下。さながら「何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった」という心境で無事死亡した。
つまり、本作のRPGやC4は「遮蔽物に隠れて撃つ」「有利な状況を守るべく籠城する」といったFPSにおいて定番の強行動を見事に破壊するのだ。
この仕様により『THE FINALS』では、本作ならではの戦闘やゲームの展開を楽しめる作品となっており、一筋縄ではいかない防衛やオリジナリティのある奇襲攻撃を楽しむことができるだろう。
また、本作にはRPGやC4のほか、オブジェクトを破壊しやすいメインウェポンとして「スレッジハンマー」が用意されている。「スレッジハンマー」はアサルトライフルといったメインウェポンであり、立ち回りを大きく限定するかなりピーキーな武器となっている。
しかし、適切なパーティー構成やハンマーにマッチした立ち回りを意識することで、トリッキーな奇襲や防衛を可能とする。懐の深い本作では、ただの「ロマン武器」も独創的な戦略や戦術を生み出す手段として輝けそうだ。
スキルと武器を組み替えて“なりたい自分になる”ことも可能。ジャンルは「ヒーロービルダー」
『THE FINALS』はダイナミックな破壊だけでなく、「ヒーローシューター」を踏襲したスキルや多彩なキャラクターカスタマイズも魅力的なポイントだ。
まず、プレイアブルキャラクターにはスピードや体力といった基本性能、そして使用可能なスキルた武器が異なるライト、ミドル、ヘビーと3つの種別が存在する。
それぞれ素早い攻撃に長けていたり、即座に蘇生や回復ができたり、はたまたタンクのように前線を張ることができる。特定のタイプでメンバーを固めるよりは異なる種別で役割を補いあう構成が安定しそうだ。
スキルはひとりにつきひとつ装備でき、味方を庇える大型のシールドやオートエイムの回復銃といったラインアップのほか、透明化や高速移動、ジップラインの設置能力、グラップリングフックも用意。特に透明化や高速移動を使いこなせればスタイリッシュな陽動、攪乱を楽しめるはずだ。
また、一般的なFPSではメインウェポン、サブウェポンの双方がさまざまな状況下で恒常的にダメージを与えられる武器となるが、本作でのメインウェポンは1枠のみ。サブウェポンは3種装備できるいっぽう、長めのクールタイムや使用制限をもっている。
この仕様により、スナイパーライフルを持参すればスナイパーに徹し、ソードやハンマーといった近接武器を装備すれば出撃後は近接に徹しなければならない。いずれの装備も強力な美点を携えているいっぽう、チームで戦略的に行動しなければ欠点が目立つ仕様だ。
「なかなか全てを補う強力なビルド」はイメージし難く、貴重な装備スロットが絞られていることでプレイヤーは自ずと「やりたいゲームプレイ」にコミットしたビルドを構築できる。結果として好きなスキルを実戦のプランにあわせて取捨選択する必要があり、戦略的なカスタマイズ要素として楽しめそうだ。
すでに存在する魅力的なヒーローではなく、自身で考えて強力なキャラクターを制作するシステムにより、本作は「ヒーローシューター」ではなく「ヒーロービルダー」というジャンル名が与えられている。
「バーチャル空間」を舞台とする設定によりさまざまなビジュアルのスキンも用意されているため、オリジナリティのあるキャラクターで勝利を目指そう。
ハイスピードな乱戦は当たり前。『THE FINALS』のシステムを使いこなして勝利せよ
「ダイナミックな環境の変化」が発生する本作の戦闘は基本乱戦となる。
同時にキャラクターは比較的耐久力があり、装備やキャラクターの種別に関係なく蘇生可能であるためにリスポーン時間はかなり長い。そのため、様々な防衛手段を駆使した蘇生を行うメリットが大きく、同時に相手チームを一気に倒す突飛な奇襲が強い印象だ。
つまるところC4やRPGなどを駆使した「破壊」の本質は火力ではなく環境を操作する機能である。ユニークなスキルや武器で環境を巧みに操作し、独自のアイデアで敵を打ち負かそう。
【※更新 2023/3/7 10:55】記事初版にて「3月7日(火)夜18時よりSteamを介してグローバルベータテストが開催予定」と記載しておりましたが、ネクソンから追加の発表があり、ベータテストは3月7日(火)の20時から開催となることが明らかにされました。それにあわせて記事を修正しております。
『THE FINALS』は基本料無料で、対応プラットフォームはPC(Steam)。3月7日(火)夜20時よりSteamを介してグローバルベータテストが開催予定だ。
ダイナミックに変化する環境をハッキングするように加入していく本作。ぜひ実際にゲームショーの挑戦者として賞金を目指してみてはいかがだろうか。