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EU、対ロシア制裁で「ゲームコントローラー」の輸出を規制対象に採択。戦場で使われるドローンの操縦の用途に使われていることが背景に

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EU(欧州連合)は2月24日、ウクライナ戦争に関連し、対ロシア向けの「制裁パッケージ第16弾」を採択した。

またそのなかで軍民両用輸出制限の追加品目を拡大し「ゲームコントローラー」の輸出をあらたに規制対象にしている。

今回の「制裁パッケージ第16弾」は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに向けて圧力をさらに強化することを目的とした制裁となり、ウクライナの永続的な平和に向けたEUの取り組みとなる。

エネルギー、貿易、輸送、イ​​ンフラ、金融サービスなど、ロシア経済のシステム上重要な分野を対象としており、74隻の船舶を新たに制裁対象にした。また貿易措置としてロシア産アルミニウムの直接輸入禁止、軍事用途のクロム鉱石および化合物、さらに「ビデオゲームコントローラー」の輸出も規制対象となっている。

武器の製造に使用されるコンピュータ数値制御(CNC)マシンツール関連のソフトウェア、およびロシア軍が戦場でドローンを操縦するために使用しているビデオゲームコントローラー

「EU adopts 16th sanctions package against Russia」より(PDF

ゲームコントローラーは戦場で使われるドローンの操縦の用途に使われていることを背景に輸出規制対象になっている。なおゲームコントローラーに関係する事業者などは言及されていない。

なお1月30日のロイターの報道によると、EUの「制裁パッケージ第16弾」の提案文書では「ゲーム機」も含まれていたが、今回は決議では「ゲーム機」に対しては明確に言及されていない形となった。

しかしゲーム機本体にはゲームコントローラーが同梱されていることが多いことから、暗黙的にゲーム機本体も規制対象になっている可能性がある。

このほかEU外務・安全保障政策上級代表/欧州委員会副委員長のカヤ・カラス氏もコメントで、ゲームコントローラーについて言及している。

この3年間、ロシアは執拗にウクライナを爆撃し、彼らのものでない土地を奪おうとしてきた。この新たな制裁措置は、ロシアの影の艦隊だけでなく、危険な石油タンカーの運航を支援する者、ドローンの操縦に使用されるビデオゲームコントローラー、我々の制裁を回避するために利用される銀行、そしてプロパガンダを垂れ流すメディアも標的としている。誰が侵略者であり、誰が代償を支払い、この戦争の責任を負うべきかは明白だ。各制裁措置はクレムリンの戦費を削ぐことを目的としている。現在、ロシアの侵略を終わらせるための交渉が進行中だが、我々はウクライナを可能な限り強い立場に置く必要がある。制裁は交渉におけるレバレッジとなる。

カヤ・カラス(EU外務・安全保障政策上級代表/欧州委員会副委員長)

ライター
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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