世界最大級のゲームショウ「E3」。2017年は初の一般公開を迎えた年であり、会場には仲睦まじいカップルたちや、マリファナ吸ってゲームをプレイする若者など、多種多様な来場者により大きく盛り上がった。
『CoD』ゾンビモードを毎週遊ぶおじいちゃん、マリファナ吸ってゲームする若者…“ぶっ飛びすぎ”な海外ゲーマーたちに迫る【E3 2017:来場者インタビュー】
電ファミでは、その変化と現地の様子を通してお伝えしてきたが、一方で、この現状について実際に取材をしていたメディア関係者は、今回のE3を、そしてそこから見える“これからのゲーム業界の動向”をどのように見ていたのだろうか?
普通、ゲーム編集部のE3取材というと、ゲームやクリエイターを取材するのが通例(当たり前)なのだが、そういう記事はファミ通や電撃さんにお任せすれば……以下略。
というわけで、我々は、各国のメディア関係者を対象としたショートインタビューを実施。皆が忙しく仕事をしているプレスルームで、「今回のE3はどう思いました?」という質問を聞いてまわるという、はた迷惑な取材を敢行してみた(本当に申しわけありません)。
仕事中の彼らの時間を奪うことは心苦しいことだったが、幸いにも笑顔で応じてくれ、大変興味深い話が聞けたので、さっそく本稿でお伝えしていきたいと思う。
大混雑となったE3はどうだったのか、VRやARなど、今後のトレンドはどうなるのか。そして日本のゲームをどのように見ているのか――。そこには、仕事でゲームに携わるメディア関係者だからこそ思う、ゲーマーたちとはまた違った視点があったように思う。
【海外メディア】
GameSpot / IGN / Game Informer / The Gamer Access / Road to VR / Yahoo! / GamesRadar+ / Xbox Addict / Eggplante! / RE-PLAY / Haymarket / PlayStation Universe / The Nation / Cheap Ass Gamer / Games.CZ / 1LIVE
【国内メディア関係者】元電撃総編集長・江口聡氏 / 電撃PlayStation・西岡美道氏 / (善)力疾走・西川善司氏 / フリーライター/ジャーナリスト・西田宗千佳氏 / 週刊ファミ通・林克彦編集長 / PANORA VR・広田稔氏 / ファミ通App・目黒輔編集長
海外メディアその1:グラフィックス、グラフィックス、グラフィックス!!
――今年のE3はどうでしたか?
Chastity氏:
今年は一般公開されたからすごく混んでいるわ。歩き回るのが困難なくらいよ……これが私の唯一の批判ね。特に来場者は増えたのに試遊台の数が例年とそんなに変わらなかったのが問題だと思うわ。だから来年はそれを改善した方がいいわね。
――GameSpotさんは大きなブースも構えられていますが。
Chastity氏:
私達GameSpotとしてはとても楽しかったわ。だってユーザーの皆さんと交流ができるんだもの。
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
Chastity氏:
グラフィックス、グラフィックス、グラフィックス。これがトレンドね。今年のE3は4Kへの傾向が明確に示されたように思うわ。とはいえ、そういったゲームが必ずしも“プレイするべきゲーム”というわけではないの。だって、私は『Cuphead』のリリースを心待ちにしているもの。『Minecraft』も決してグラフィックがいいゲームではないし、今回出展されていた『ドラゴンボール ファイターズ』の様なタイプのゲームも素晴らしいと思うわ。
――VRについてはいかがでしょうか。
Chastity氏:
今年もVRは健在だったわ。でも昨年から少し増えた程度。VRが今後どうなっていくかは私には分からないけど、むしろビデオゲームではなく、私達の生活をサポートする方面で広がっていくような気がしているわ。
海外メディアその2:Xbox One Xがユーザーをどう楽しませるのか
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
IGN:
情熱的なユーザーが会場を歩き回っていたよ。そして僕らのブースに来て「Hi!」って話しかけてくれるんだ。全体的に素晴らしいショウで、誰もがゲームを愛していたよ。だから私達は今から来年がとても楽しみなんだ。でもこの混雑は解消してほしいな。
――今年の見どころや注目すべきタイトルはありますか?
IGN:
『Wolfenstein II: The New Colossus』。そして今年は『The Last Night』などのインディーゲームが素晴らしく、注目すべきタイトルだと言えるね。個人的には『South Park』が好きだから、『South Park: The Fractured But Whole』も楽しみさ。
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
IGN:
まずはVR。やはり多くのメディアが注目しているね。ただトレンドになるのはもう少し先だよ。デバイスの価格が高くて、それゆえにマーケットがニッチ。お客さんの数も絞られちゃうから、結局儲からないとなってしまう。そしてXbox One Xだね。あのマシーンがユーザーをどのように楽しませるのか……とても気になるよ。
海外メディアその3:『マリオ オデッセイ』『Destiny 2』『CoD WWII』はいずれも大きくヒットする
――今年のE3はどうでしたか?
Andy氏:
今年の記者会見はすごく良かった! ソニー、マイクロソフト、ベセスダ、任天堂……どのメーカーも素晴らしいラインナップを見せてくれたよ。特に印象的なのが任天堂だね。彼らが何をしたくてどこに向かっているのか……今回の発表やあそこのブースを見れば一目瞭然さ。
――タイトル面ではどうでしょうか。
Andy氏:
ユーザーたちは、シンプルなデザインに戻った『Call of Duty: WWII』にすごく興奮しているよ。
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
Andy氏:
リニアなゲームではなく、プレイヤーに多くの選択肢を与えるようなゲームが今後も増えていくと思うよ。例えば『Destiny』や『Anthem』さ。また、『スーパーマリオ オデッセイ』、『Destiny 2』、『Call of Duty: WWII』はいずれも大きくヒットすると予想しているよ。
――日本のゲームをどのように見ていますか?
Andy氏:
最近の日本のゲームはとても素晴らしいと思うよ! 大きく戻って来ている感じがする。……僕は思うんだ、“一番良いゲームは今まさに、日本から来てる”ってね。特に『モンスターハンター:ワールド』がよかった。あの場で発表したことにより、世界にアピールすることができたから、とてもいい機会になったと思うよ。
――今年もVRの話題をよく耳にしますが。
Andy氏:
VRは急速に大きくなってしまったがために、いくつかの課題を抱えているね。まずは値段が高いこと。そしてビジョンの共有やメーカーの宣伝により、多くのユーザーがVRに対して“すごいイメージ”を持ってしまったことさ。そのイメージを実現させるには、まだ技術が足りないんだ。デバイスにも課題があって、もっと簡単かつ手軽に装着できるようにする必要があると思うよ。今のヘルメットは重かったり、配線がいっぱいで動きにくかったりするからね。
海外メディアその4:なんだか口が無感覚なってきたんだけど、これ大丈夫かな?
Bronson氏:
ポッドキャストをしながらのインタビューでもいいかい?
――えっと……もちろん大丈夫なんですが、一体何をしているんですか?
Bronson氏:
なにってフードチャレンジだよ! 僕たちは毎年E3でフードチャレンジをやっているんだ。去年はケーキだったんだけど、2回も吐いたね(笑)。でも今年はいいよ~! ライス・クリスピーだからね! 喉にマシュマロが引っかかるから吐かないんだ。
……しかし! 私は今、ライス・クリスピーが私の鼻の中に徐々に上げってきているのを感じる!
――どれぐらい食べているんですか(笑)。
Bronson氏:
もう2パウンドも食べたよ。この離れ業を成し遂げたあとは……Dumpster Fire Dot Com! HAHAHA、なんてこった! そしてその様子を撮る。僕たちはGOODだよね。
Ray氏&Stamatis氏:
HAHAHA!!
Stamatis氏:
でも僕はもうこんなクソみたいなことは二度としたくはないよ。
Ray氏:
もし、カメラのバッテリーが終わったら僕たち絶叫するよ。
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Bronson氏:
すごく忙しかった。僕たちはたった3人の小さなチームだろ? だからこの1つのチームで北から南まで走り回ったよ。
Stamatis氏:
もうこの状況は狂っているよ!
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
Ray氏:
『スーパーマリオ オデッセイ』はすごかったね。
Stamatis氏:
Yeah.
Ray氏:
2時間以上の列だったよ。
Bronson氏:
超最悪!
Stamatis氏:
そして『Call of Duty: WWII』ね。
Ray氏:
Yeah. 『Call of Duty』はどの時間も常にスーパー忙しかった。
Bronson氏:
そして刺激的だったのは『LawBreakers』だね。あとは『ドラゴンボール ファイターズ』! これも2時間待った。
Ray氏:
僕は『二ノ国II レヴァナントキングダム』と『龍が如く6』がすごくよかったよ。Oh yeah! いつかゲーム・オブ・ザイヤーを受賞するよ!
Stamatis氏:
本当に?(笑)
――日本のゲームをどのように見ていますか?
Bronson氏:
僕たちは日本のゲームが好きだよ。特に任天堂は今年絶好調! そして『龍が如く0』は今年の僕の中で一番さ。
Ray氏:
僕は「二ノ国」が好きなんだ。
Bronson氏:
『ドラゴンボール ファイターズ』のゲームも日本のスタジオだよね。今年の日本は本当に勢いがあるなぁ。……(お菓子の山を見ながら)ところで、この13個あるのは誰の?
Stamatis氏:
君が自分でお菓子を引き寄せたんだと思う。
Bronson氏:
Oh, shit…….
Stamatis氏:
……あぁ、もう手に負えなくなってきたよ。
Bronson氏:
既に1ヶ月分の砂糖を食べてしまったよ……。
Stamatis氏:
ねぇねぇ、なんだか口が無感覚なってきたんだけど、これ大丈夫かな?
――えっと……大変申し上げにくいのですが……ビデオが切れているような気がするんですが……。
Bronson氏:
本当!? いつから?????
――たぶん2~3分前です。
3人:
Awww damn!!!!!!
海外メディアその5:AAAのVRゲームが出ることを確信した
――E3で気になったタイトルやメーカー、会場から感じたトレンドなどはありますか?
Ben(S)氏:
ラインナップを示しつつ、新ハードを持ってきたマイクロソフトは興味深かった。ただ、彼らはプレイステーションの『Spider-Man』や『God of War』といった大きなフランチャイズを持っていなかった。唯一あるのが『Forza』の新作だけど、レーシングゲームは万人受けではない。そこが少し気になったね。
Daniel氏:
今年のE3から、ゲーム開発者たちは創造性ではなく価値の提供に重点を置いているように感じたよ。つまり、外さない安全なアイデアさ。例えばソニーのカンファレンスを見てごらん。それぞれは違うゲームだけど、どこか似ているだろ? 成功したゲームの創造性を真似ているのさ。だから次の2年間は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の様なゲームが沢山生まれると思うよ。
――それこそがトレンドですね。
Daniel氏:
そうだね。そして、それは決して悪いことじゃない。AAAゲームは莫大な費用が掛かるから、だから失敗しない安全なアイデアを採用するのは当然とも言える。そしてそういったゲームは素晴らしい出来栄えなんだ。しかし、それは数あるうちのバリエーションの一つでしかない。
――タイトルだといかがでしょうか。
Daniel氏:
『Star Wars Battlefront II』には大きな価値があると思うよ。そして『Anthem』。ただ、基本的には昨年とそんなに変わらなかったイメージだよ。
Ben(L)氏:
『Fallout』、『Doom』、『Skyrim』のVRだね。これらの作品を見て、最終的にはAAAのVRゲームが出ることを確信したよ。人々は長い間、そういうゲームを待っているんだ。VR以外だと『二ノ国II レヴァナントキングダム』には興奮したよ。私は個人的なゲーマーとして、絶対にプレイしたいタイトルさ。
――日本のゲームをどのように見ていますか?
Ben(S)氏:
私は“日本の”ゲームという見方はしていないんだ。昔は「これは日本のゲーム。これはアメリカのゲーム。これはヨーロッパのゲーム」という感じで見ていたけど、今はグローバル時代じゃないか。だって任天堂は日本のゲームメーカーで、『ゼルダ』は日本のゲームだけど、日本人のクリエイターだけが作っているわけじゃないよね。
Daniel氏:
そうだね。グローバルなゲームマーケットは、全てが混ざり合い続けている。もちろん昔は、特にRPGにおいて僕らと日本人の美学は違うから、日本のゲームと海外のゲームには厳密な区分があった。でも、今はそれがなくなってきているよ。
――今年もVRの話題をよく聞きますが。
Ben(L)氏:
私達は、VRが作り出す世界を理解するのに数十年を費やした。でも、まだ想像の域を出ていない。本当に面白い体験をするには、まだまだなんだ。だから優秀なエンジニアやデザイナーには期待しているよ。
Ben(S)氏:
今回のE3では、VRの大きなニュースや今後の方向性といった情報がなかったと思うんだ。そして開発者たちは「リビングルームは本当に攻略しづらい」と言っていて、基本的にはPCのVRデバイス向けに開発をしているよ。
――たしかにVRの新体験的なものはなかったですね。
Ben(S)氏:
また、今VRの記事を書いている人たちはテック系のジャーナリストで、その情報を追っているのは小さなグループの人たち。私の妻の様なカジュアルなゲーマーはVRの世界を追いかけていない。もし、VRが成功するならば、メーカーたちは来年か再来年に、コードを無くしてもっと安くしないといけないと思うね。
Daniel氏:
VRはとても刺激的だよ。でも皆が言っているように、ワイヤーとプラグが多すぎる。それがマスマーケット向けに正しいと思ってはいないから、今後の各メーカーの展開には興味があるよ。
Ben(L)氏:
そういえば、バンダイナムコが『マリオカート アーケードグランプリ VR』を発表していたよね。日本人が作るVRゲームのセンスはまだインサイドなレベルだけど、『マリオカート アーケードグランプリ VR』のように、すごくエキサイティングな取り組みも行っているから、とても興味深いよ。
海外メディアその6:今年のカンファレンスはショウではなかった
――今年のE3はどうでしたか?
Kirby氏:
とにかく混んでいて大変だったね。AのブースからBのブースまで無事に辿り着けるか心配になるほどにさ。私は1999年からE3に参加しているけど、ここまでとは……って感じ。また、今まではコスプレイヤーや叫ぶほど熱狂的なファンなんて居なかったから驚いたよ。
Christopher氏:
でも一般公開は素晴らしいことさ。皆それを望んでいたから、このE3にはゲームコミュニティーのほとんどが集まっているよ。
Kirby氏:
そうだね。E3はある意味それ自体がゲームコミュニティーで、ゲーマーたちは皆ゲームコミュニティーで繋がっている。だからE3は神秘性を持っているんだ。
――たしかにその神秘性はよく感じます。
Kirby氏:
でも僕はチケットが250ドルと高額なことを懸念しているんだ。今年は初の一般公開だからよかったけど、ゲームを遊ぶには何時間も並ばなければ行けないことがユーザーたちは知ってしまった。今後も250ドル払って3~4時間も並ぶのかなって。
――テーマパーク以上ですよね(笑)。
Christopher氏:
今回は会場の使い方もよくなかったと思うよ。もっと効率のいい空間の使い方があるはずさ。
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
Christopher氏:
任天堂のブースを見て彼らの成長を感じたね。とても素晴らしかったよ。他のメーカーも色々出していたけど、任天堂はマリオだけですごいインパクトだった。何より打ち出している方向性がクリアなんだ。
またXbox One Xも興味深いね。かなり高額な設定だけど、その価値を知っている人にとっては許容範囲内で、そういう人たちに向けたハードだから、価格はあれでいいはずさ。
Kirby氏:
私はソニーがユーザーから栄冠を得たと思うよ。E3を見ていると、彼らはメーカー同士の戦いで先頭に立っていた。タイトルの方向性としては、外さない安全策を取っていたけど、彼らは大きなタイトルを複数持ってきたんだ。その意味は大きかったように思うよ。またXboxはXboxで、すごくいいショウだった。Xbox One Xは魅力的なマシーンだね。このマシーンにより、彼らは独占市場を進むことになると思うよ。
Christopher氏:
ただ僕は思うんだけど、今年の各メーカーのカンファレンスはショウではなかった。あれはもはやトレーラー。映画館に行くと新作映画の映像が流れて「来年公開予定!」って告知があるだろ? それと一緒さ。果たして僕たちは現地に行く意味があるのだろうか……って特に今年は強く感じたね。
――それは我々も強く感じています。
Christopher氏:
そしてユーザーたちから「ゲームメディアは役に立たない」って言われるのさ(笑)。でも待ってほしいんだ……トレーラーだけじゃ情報不足ですごい記事なんて書けないだろ? だから、僕らは少しでも多くの情報を得ようと各ブースに何時間も並んだけど、そこにあったのは……またトレーラーだったんだ! まぁ昔からそうだったと言われれば、そうだった気もするけどね。
――日本のゲームについてはどうですか?
Kirby氏:
個人的な意見として、アメリカでは日本のゲームは流行してないと思うよ。まず日本のゲームをアメリカで売ろうとしたら、いくつかの変態な要素をカットしなければいけない。例えば「龍が如く」シリーズはキャバクラがカットされているけど、そういう文化の違いというハードルをクリアする必要があるんだ。
――ローカライズ、カルチャライズの難しさですね。
Kirby氏:
また、日本ってまだまだポータブルゲームやモバイルゲームが主流なイメージがあるんだけど、アメリカは違う。僕らは家でゲームをするんだよ。
Christopher氏:
日本人はエンターテインメントだと思って作っていても、アメリカ人は「狂っている」って感じることがあるんだ。でもアメリカ人はそういうことに神経質すぎるから、よくないとも思うよ。
Kirby氏:
もちろん、そういう要素がない日本のゲームは沢山あるし、どのゲームもユニークな作品だと思うよ。「ゼルダの伝説」、「マリオ」、「モンスターハンター」、「ポケモン」とかね。
Christopher氏:
これはもう文化の違いだと思うね。だって日本だと「Call of Duty」や「Skyrim」も大ヒットしていないだろ?
海外メディアその7:『ブレス オブ ザ ワイルド』は本当に驚異的なゲーム
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Peter氏:
僕にとっては初めてのE3なんだけど、とても混雑してるなぁ。
Robert氏:
まさしく! かつてない混雑だよ。そして、来年はそれについて考える必要があると思うよ。
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
Peter氏:
大規模なマルチプレイゲームだね。新作がいくつも展示されていたけど、僕はすごく驚いたよ。
――見どころ的な部分はどうでしょうか。
Peter氏:
もちろんVR。Bethesda Softworksが発表したVRゲームはどれも期待しているよ。でも、それらを遊ぶためには、無線のVRゴーグルがないと大変そうだな……。
Robert氏:
XBox One XとPS4 Proを比較することができたことだね。どちらのハードもハイスペックを打ち出しているけど、ここで重要になってくるのが、このモンスターマシンの利点をどう活かすか。開発者はそこを考える必要が出てくると思うよ。
――なるほど。たしかにそこを活かせないと宝の持ち腐れですもんね。
Robert氏:
でも今年は新規IPが少なかったなぁ……新作は発表されたけど、どれも既にあるフランチャイズのゲームだったから残念だったよ。
――日本のゲームをどのように見ていますか?
Robert氏:
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は本当に驚異的なゲームだったよ。そして日本のゲームにとって、今年は大きな年になり、多くの日本の開発者は、素晴らしいゲームを届けることになると思うよ。特に『スーパーマリオ オデッセイ』はすごくオリジナルの道を進んでいる。それは大正解で、すごく楽しくて斬新なことなんだ。
――今年もVRの話題をよく聞きますが。
Peter氏:
VRはより安く、そしてコードレスになってほしいね。そうすれば、ずっとユーザーにとって親しみやすくなるよ。
Robert氏:
VRはまだニッチなマーケットさ。テクノロジーも進歩してきているけど、デバイスが高価過ぎるんだ。むしろ僕は、コンソールやオンラインゲームが成長エリアだと思っているよ。
海外メディアその8:トレンドはリアルではなくオープンであること
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Zachary氏:
楽しんでいるよ。でもとにかく人が多くて大変だね。僕はメディアだから優先的にゲームをプレイすることができるけど、もし一般として参加していたら……(笑)。
――タイトル的にはどうでしょうか。
Zachary氏:
『Detroit Become Human』だね。今まではトレーラーだけだったけど、今回は実際にプレイすることができて、とても楽しめたよ。そして『Moss』。ソニーのプレスイベントで見せられたマウスのゲームだけど、プレイヤーがVRを通してマウスと対話する方法は本当によかった。本作のためにPS VSが欲しくなったよ。
――E3からどのようなトレンドを感じましたか?
Zachary氏:
リアルではなくオープンであることだね。プレイヤーには様々な選択肢が与えられ、自分で色々試すことができる。そんなゲームが今のトレンドだね。
――日本のゲームについてはどう?
Zachary氏:
僕は「Final Fantasy」や「キングダムハーツ」の大ファンなんだけど、もっと多くの日本のゲームを手に入れたいと日ごろから思っているよ。でも僕はそれらのタイトルを気軽に遊んでいるから、批評することができないんだ。
――今年もVRの話題をよく聞きますが。
Zachary氏:
VRは皆のイメージするものや期待するものに、まだ追いついていない“まやかし”だね。嘘をついているわけじゃないけど、なんかまだぼんやりしたような……。でも、そのまやかしが長く続いていることは事実だと思うよ。でも、期待はどんどん高まっていて、それがゲームの土台になっているとみんな言っているよね。
その流れが、どんどんマーケットをニッチな方向に進めている。でも僕は一般消費者が受け入れる新しいマーケットをターゲットにした方がいいと思っているよ。
海外メディアその9:『モンスターハンター:ワールド』はとても興味深い
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Andrew氏:
とにかく人が多く、列が長かったね。そのためか、多くのブースはユーザーにフォーカスした内容になっていたよ。各メーカーのグッズショップも新しい試みだね。でも……まぁぼちぼち良かったかな。過去のカンファレンスほどの感銘は受けなかったよ。
――E3から感じ取れるトレンドはなんですか?
Andrew氏:
VRだね。ここ2~3年は大手メーカーのVRゲームばかりが目立ったけど、今年は多くのインディーVRに取り組んでいてね。各所でVRの採用率が上がっていることを感じたよ。そしてVRは、よりソーシャルな方向に行くと思うよ。Facebookのようにね。これはVRだけじゃなくて、『ポケモンGO』のようなモバイルゲームもそうだし、コンソールゲームもそう。e-sportsもソーシャルなことさ。
David氏:
多くの人はVRに期待しているけど、デバイスが高すぎるね。もしこのままならどうなるか分からないけど、それが解消されるなら成功するんじゃないかな。
――日本のゲームをどのように見ていますか?
Andrew氏:
『モンスターハンター:ワールド』はとても興味深いね。私は一度も作品をプレイしたことがないけど、人気シリーズであることは知っている。それも日本だけではなく、世界中でね。だから今回のプレゼンテーションは本当に興味深かったし、本当に大きな波に乗ってくると感じたよ。
海外メディアその10:今年のE3は“狂気の館”
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Jared氏:
どこも混み合っていて、全てを見るのはとても大変だったよ。特に初めの2日間は“狂気の館”さ。これこそが今年のE3のビックニュースだよ。
――今注目しているゲームのトレンドは何かありますか?
Jared氏:
まずはアニメとのクロス。そして『Moonlighter』の様な“自分自身の村が作れる”タイプのゲームだね。人々は自分自身の王国を作ることができる『二ノ国II レヴァナントキングダム』のようなゲームを待っていると思うよ。
――日本のゲームをどのように見ていますか?
Jared氏:
とてもクール。 Cheap Ass Gamerの読者の多くがアニメ好きなんだけど、彼らにとってアニメとゲームが交差してるのは自然なことさ。 だから『ドラゴンボール ファイターズ』はただただ素晴らしい。
――今年もVRの話題をよく聞きますが。
Jared氏:
Cheap Ass Gamerの読者にとってVRは興味がないものだと思うよ。デバイスがすごく高価だし、家の中に置くスペースがなかったり、子供がいたりと、解決すべき理由が沢山ある。
海外メディアその11:VRの理想が現実に追いつくには、あと4~5年はかかる
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Ales氏:
一般ユーザーを沢山目にしたけど、まぁいつもと同じじゃないかな。そんなに大きな何かはなかったよ。
――今注目している大きなトレンドは何ですか?
Ales氏:
4KとHDRだね。
――日本のゲームをどのようにみていますか?
Ales氏:
僕は日本のゲームが好きだよ。そんなに大きくない、小中規模のタイトルをもっと持って来てほしいね。僕たちはそういうのが好きなんだ。
――今年もVRの話題をよく聞きますが。
Ales氏:
ビジョンはすごくいいんだけど、まだ技術がそこまで追いついていないって感じだね。だからブームが来るのはもう少し先で、理想が現実に追いつくにはあと4~5年は掛かると思うよ。
海外メディアその12:『Uncharted: The Lost Legacy』はすごくいいトレンド
――今年から一般公開されましたがいかがでしたか?
Anja氏:
人が多すぎてとても怖かったわ(笑)。私はドイツから来たんだけど、まるでGamescomみたい。でもGamescomみたいにはなってほしくないわね。
――今年のE3はどうでしたか?
Anja氏:
『ワンダと巨像』や『Life is Strange: Before the Storm』は素晴らしかったわ。そして『Uncharted: The Lost Legacy』。主人公が女の子なのが特に気に入ったの。すごくいいトレンドだと思うわ。
女性のメインキャラクターって、強くてタフかすごくセクシーのどちらかばっかりでしょ? だから私はその中間的なデザインを探していたの。もちろん、ゲームのキャラクターたちは戦わなければならないし、そのためには強くなくちゃいけない。でも世の中には色んなゲームがあるんだから、もっと色んなキャラクターを作るべきなのよ。
でも一番の驚きは、ここに大きな驚きがなかったことね。
――日本のゲームをどう見ていますか?
Anja氏:
日本のゲームについてはそんなに詳しくないんだけど、日本の e-Sportsは今大きくなっていると思うわ。日本には優れたプレイヤーが沢山いて、今後「スタークラフト」の様な戦略ゲームの分野でも活躍していくはずよ。
様々なメディアの方々に話を伺ってきたが、まずE3の変化については基本的にはポジティブなようだ。だが、混雑状況については改善が必要そうだ。
またインタビュー内容を見返してみると、ゲームのトレンドやVRの今後についていくつかの共通点があったように思う。
まずトレンドだが、PS4 ProとXbox One Xの登場により、ゲームはよりニッチになり、「いよいよ4K体験が来るのでは?」という見方。国内ではあまりXboxの話題を聞かないが、海外ではしっかりと注目されているようだ。
そしてゲームデザインとしては、リニアではなくオープンワールドの様に自由度が高く、プレイヤーに様々な選択肢を与えるデザインが今のトレンドで、今後もその流れは継続し、AAAタイトルはそういったゲームばかりになってしまうのではという見方。実際、E3で注目を集めた『スーパーマリオ オデッセイ』、『God of War』、『Spider-Man』、『Anthem』、『Assassin’s Creed Origins』は、発売前であるため全貌は明らかになっていないが、そのトレンドを取り入れていると思う。
VRについては、値段が高い、ケーブルが邪魔、理想とするゲームが登場するのは数年後――と、ほとんどのメディアが同じようなことを言っていた。これには筆者も同意見で、我々はVRに対して、大きすぎる期待を寄せ、それがすぐに来ると思っていた気がする。また、現状のVRデバイスをカジュアルな層に勧めることは非常に難しい。
そして今回のインタビューでは日本にゲームについても質問を行ったが、『モンスターハンター:ワールド』、『二ノ国II レヴァナントキングダム』、『ドラゴンボール ファイターズ』の名はよく出ていた。いずれも日本ならではのタイトルであり、それが注目されているのは、一人の日本人ゲームプレイヤーとしてただただ嬉しく思う。なお、インタビューの雰囲気から、任天堂ゲームは日本のゲームではなく、グローバルなゲームとして語られていたことも伝えておきたい。