TRPGには、一緒に遊ぶ友達が付いて来ない。
TRPGに限らず、どんなマルチゲームでもそうなのだが……遊ぶうえで最も困難な壁は「メンバー集め」だったりする。
そもそも興味を持ってもらうところから始め、遊んでくれそうな知り合いを誘ってみて、OKがもらえたらスケジュールを調整し……一度そうして遊べたとしても、実際に遊んでみたらスタイルが合わなかった、なんてこともあるし、一度遊んでくれたから次も来てくれるとは限らない。

もちろん、気心の知れた友人と遊ぶTRPGは本当に楽しいものだ。なのだけど、たまには、というか割と頻繁にこう、もっと気軽に「TRPGの自由なロールプレイ感」を味わいたいよな……と思うことはある。
そんな欲求を満たしてくれるのが、物語錬成ゲーム『サーガ&シーカー』(以下『サガシカ』)だ。「AIがゲームマスターをしてくれるデジタルTRPG」とも呼ぶべきこのゲームは、キャラクター作成や関係性の構築、実際のロールプレイなど、TRPGにおける創作の美味しいところを1人で手軽に楽しめるゲームとなっている。
今回はそんな『サガシカ』を利用して、筆者がキャラクター作成から実際に遊んでみた記録を「リプレイ風記事」としてお届けする。一部筆者による注釈が行われているが、キャラクターのセリフや描写はすべて生のままの未編集で掲載しているので、プレイの参考にしてほしい。
『サーガ&シーカー』ゲーム紹介
『サーガ&シーカー』は、文章生成AIの力で無限の物語を楽しめる「文字だけRPG」。アドベンチャーゲームのような選択式ではなく、プレイヤーが直接、やりたいことや言いたいセリフを書き込むことで、その書き込みが物語の一部になるのが特徴となっている。
キャラメイク:本当に誰も気にせずに性癖全開でキャラ作っていいんですか?
『サガシカ』では、TRPGの設定欄のように、キャラクターの設定をプレイヤーが自由入力で書き込むことができる。これらの設定は文章生成AIが隅から隅まで読み込み、ゲームプレイに反映してくれるのだ。

実際に人とTRPGを遊ぶときは、相手の負担やシナリオの流れを考慮して「設定の作成に全力を出せない」なんて方もいるのではないだろうか。かくいう筆者もそのタイプだ。
でもサガシカなら関係ないもんね!!
ということで、今回は可読性も配慮もガン無視で、とにかく自分が使ってみたいキャラクターを作って遊んでみることに。一応キャラクターシートは別途閲覧できるようにしているが、ひとまずここでは簡易版のキャラクターシートを紹介する。
なお、設定は読まなくても本編は楽しく読める(はず)なのでご心配なく。
ロクス(操作キャラ)
そんなわけで今回作ったのが、こちらの「強者オーラ溢れる飄々系魔術師お兄さん(好奇心旺盛)」になります。名前はロクス。設定は好みを詰め込みつつ、どんなクエストでも活躍できるベテラン冒険者として、便利そうなスキルを一通り取得してみた。
彼は体内に異界に繋がるゲートを持つホムンクルスで、無限に魔力を取り出すことができる万能魔術師という設定。余裕を崩さず、いつも大人びているが、好奇心にはものすごい勢いで負けるタイプだ。知識欲の強い成人男性が好きです。よろしくお願いします。
基本的には状況を一歩引いて見つつ、本気を出さない程度に仲間を守る、後方腕組み保護者面お兄さんを目指していきたい。ちなみにアイコンはがんばって自力で描きました。やめて拡大しないで!!
※ボタンを押して開いた画面で右クリック→「名前を付けて保存」で、キャラクターシートを保存することができます。保存したキャラクターシートは、実際に『サガシカ』ゲーム内で読み込んで使用することが可能です。
リリカ(プリセットキャラ)
1人で旅をしてもいいのだが、せっかくなので仲間キャラも連れて行くことに。
まずはこちらのリリカちゃん。うっかり者の魔術師見習いだが、とにかくいい子だ。「飄々系の男」と「積極的に人助けに首を突っ込んでいく若者」はセットにするのがお約束ですよね?
魔術師同士の組み合わせなので、ロクスとは先生と生徒のような関係性かなと想像。危なっかしいリリカをロクスがしれっとサポートしつつ、リリカの優しさや善良さにロクスも無自覚に救われている、そんな関係性だと……いいな!
※ボタンを押して開いた画面で右クリック→「名前を付けて保存」で、キャラクターシートを保存することができます。保存したキャラクターシートは、実際に『サガシカ』ゲーム内で読み込んで使用することが可能です。
エイリク(プリセットキャラ)
このままでは魔術師だけのパーティになってしまうのと、関係性が固定されてしまいそうなので、護衛役にもう1人追加。チャラ系エルフのエイリクさんです。
彼は振る舞いこそチャラいものの、実はエルフの旧王家の生き残りであり、正義の心を持つベテラン冒険者だ。表面上は飄々としてるけど、裏に重い過去と決意を秘めている男、いいよね。
設定上はその過去は仲間には積極的に明かしていないと思われるが、この辺りはAIゲームマスターがどう料理してくれるのか気になるところだ。
※ボタンを押して開いた画面で右クリック→「名前を付けて保存」で、キャラクターシートを保存することができます。保存したキャラクターシートは、実際に『サガシカ』ゲーム内で読み込んで使用することが可能です。
クエスト選び:サガシカなら初手「〇〇しないと出られない部屋」も許される
キャラクターを作ったら、次は記念すべき最初のクエスト選びだ。
『サガシカ』には様々なクエストが用意されており、普通のファンタジーの冒険っぽいものから激重な選択を突きつけられるクエスト、「〇〇しないと出られない部屋」まで各種揃っている。

本来のTRPGなら知り合いのキャラと交友を深め、互いのスタイルを把握し、お互いのことが分かってきてから挑むような「コミュニケーション的難易度」の高そうなクエストも、『サガシカ』なら設定の擦り合わせも気にせず「気になるから」でほいほい選んでいいのだ。
今回は過去に傷を持つキャラクターが多いパーティになったので、その辺りの設定が生きそうなクエストを選んでみた。概要はこんな感じ。
クエスト名:闇よりの刺客
いつもと変わらぬ旅路に突如現れた”刺客”。
それは容赦無くあなたと仲間の命を狙い襲いかかってくる。冒険の最中、いきなり謎の刺客に襲われることになる戦闘重視のクエスト。敵の正体や襲われた理由は毎回変化し、パーティメンバーの能力や敵の襲撃スタイルによって異なる戦い方が必要になるだろう。
このクエストなら、さくっと戦闘のロールプレイができそうだし、“刺客”が襲って来た理由によっては過去の掘り下げも楽しめそうだ。もちろん、襲われる理由もAIがいい感じにしてくれるので、設定の整合性とかをこっちが考える必要はない。言いたい放題だ。
キャラクターとクエストを選んだらプレイ開始!次の項からは実際のプレイログの掲載部分となる。

なお、いくらリプレイ風とはいえ文章だけだと味気ないので、今回は筆者がなけなしの画力を振り絞って下手なりに挿絵を入れてみた。アイコン描くのと場面イラスト描くのじゃワケが違い過ぎる!そんなわけで、ゲームのスチル風イラストが描ける方、募集してます。
判定に勝たなくても飄々系強者ムーブしていいんだ…!(プロローグ~ターン1)
※太字で書かれたテキストはプレイヤーによるゲームへの入力です。
それ以外の文字装飾はすべてゲームが出力したものをそのまま使用しています。
また、本文中にはこのような形でプレイ時のコメントを挿入しています。
コメントは完全に筆者の独り言であり、ゲーム内容には含まれていません。
リリカは甘い匂いを漂わせながら、袋からクッキーを取り出して嬉しそうに頬張っている。
「ロクスさんも食べる? 頭を使う魔法使いには、甘いものが一番なんだよ! お祖母ちゃんもよくそう言ってたし!」
エイリクは陽気に笑いながら手を伸ばそうとしたが、ふと、その緑色の瞳が鋭く細められた。欠けた長い耳がピクリと動き、周囲の風の音とは違う微かな異音を捉えたのだ。
「……ん? ちょっと待って。なんか、嫌な風が吹いてるね。」
木々の影から放たれた黒い矢が、恐るべき速度で一行へと飛来する。それは単なる矢ではなく、どす黒い魔力を帯びた呪わしい一撃だった。狙いは正確に急所を捉えている。
エイリクが瞬時に身を翻し、腰の剣を抜いてその矢を叩き落とす。チャキンという甲高い金属音が響き、弾かれた矢が地面に突き刺さって周囲の草を瞬時に枯らした。
「……挨拶もなしに物騒なモン飛ばしてくるとか、マジでセンスないっしょ。どこのどいつか知らないけど、出てきなよ!」
チャラ男を維持しながら冷静ムーブ維持できるのすごない?
木々の枝葉が揺れ、黒い覆面で顔を隠した白髪の男が音もなく着地した。その手には、禍々しい光を放つ黒い弓が握られている。
「我らの悲願のため、ここで死んでもらおう。」
リリカは慌てて食べかけのクッキーをしまい、大きな魔法帽子を直しながら杖を構えた。
「でも、わたしたちの仲間を傷つけようとするなら、容赦しないからね! ロクスさん、わたしもサポートするから、指示をお願い!」
暗殺者は単独のようだが、その身のこなしと放たれる魔力は尋常ではない。エイリクの過去に関わる追手なのだろうか。敵は再び弓を引き絞り、次なる一撃の狙いを定めている。ロクス、まずはどのように動いて仲間たちに指示を出す?
飄々系強者ムーブとしては、ここはエイリクの事情をしれっと探りつつ
スマートにリリカとエイリクを守りたいところ……
ターン 1

ロクスは大きな杖を構え、リリカを庇うように一歩前にでる。そして、魔術師組の数歩前で暗殺者に向かって剣を構えているエイリクに、彼にだけ聞こえる小さな声で問いかけた。
「……エイリク、知り合いかい?話を聞ける状態で捕まえたいなら、手加減するけど」
「手加減するけど」とかいう強者にしか許されないセリフも許される、だって本当に強いから
ちなみに毎回プレイヤーに判断を仰いでくるのはAIゲームマスターの特性です
ターン 2

リリカの光の盾に魔力を与えて補強しつつ、素早く魔法の弾を生み出し、矢継ぎ早に暗殺者に浴びせかける。直接ダメージを与えることを狙ったものではなく、エイリクが斬り込む隙を作るための陽動だ。
「……エイリク!」
リリカには戦いの中でも丁寧に教えつつ、エイリクには一声かけるだけでの以心伝心を図る。
エイリクなら分かってくれるはず……
暗殺者は弓を素早く振るい、迫り来る魔法弾を次々と叩き落とすが、その一瞬の隙こそが致命的であった。
魔法弾の弾幕を縫うように、エイリクが疾風の如き速度で暗殺者の懐へと潜り込む。鋭い踏み込みから放たれた剣閃が、黒い覆面を掠めるように下から上へと斬り上げられた。
「おらっ! 遠距離チクチクばっかじゃなくて、たまには接近戦も付き合えっての!」
リリカは胸を撫で下ろしつつ、両手で杖を握り直す。
「エイリクさん、いけーっ! わたしもいつでもサポートできるように、しっかり魔力を練っておくからね。怪我したらすぐに回復魔法をかけるから、思いっきりやっちゃって!」
暗殺者はエイリクの猛攻に後退を余儀なくされ、苛立ちの声を漏らす。近接戦闘では分が悪いと悟ったのか、その足さばきは距離を取るためのものへと変化した。
エイリクは軽口を叩きながらも、その緑色の瞳は冷徹に敵の重心の移動を捉えている。
「……こいつ、逃げ腰になってるね。でも、ただ距離を取るだけじゃなさそうだけど。なんか嫌な予感がするっしょ!」
とはいえそろそろ戦いを終わらせたいし、“本気”出しておくか……




