2002年に発売された遊園地開発ゲーム『ローラーコースタータイクーン2』(RollerCoaster Tycoon 2)(以下、『RCT2』)。発売から16年もの時を経た同作のジェットコースター作成機能を使って、自動計算機を作ったファンが現れた。
『RCT2』は海外で2002年、国内でも2003年に発売された、遊園地を建設、運営していくシミュレーションゲームだ。プレイヤーは自分の遊園地にさまざまなアトラクションやショップを配置し、思い思いの遊園地を開発していく。
海外では根強い人気を持つシリーズで、特に自由度の高いジェットコースター作成機能が魅力となっている。
ゲーム上で計算機を作るといえば、『Minecraft』でレッドストーン回路を利用したものなどがすでに有名だが、『RCT2』は16年前も前のゲーム。
本当にジェットコースターで計算機能が成立するのだろうか? 配布されているセーブデータから計算機を実際に使ってみた感触をお伝えしよう。
※ジェットコースター計算機の映像。なおこの映像で使用されている『RCT2』には、さまざまな要素を追加し、バグフィックスを施す『OpenRCT2』が適応されている。ただし『OpenRCT2』自体にはUIの改善などはあるものの、本来のジェットコースター作成機能を大きく変更するような追加要素はない。
オンライン画像共有サイトimgurには、作者が制作したジェットコースター計算機のマニュアルが公開されている。
マップ左下にあるオレンジ色の小屋がある地点は、ジェットコースターのスタート地点。
そこからレールは青い乗算マークと紫の加算マークで二股に分かれており、さらに数字が書かれている地下トンネルへと伸びていることがわかる。これが計算機における数字などの入力装置として機能する。
まずは加算と乗算のどちらを行うかをレール分岐を利用して指定する。
色のついたレールを右クリックしてブルドーザーのボタンを押し、さらに線路を作り直すことで、行き先を決めることが可能だ。レールの色が紫なら加算、青にすれば乗算に車両が向かう。
今度は計算する数字を、先ほどおこなった線路の再構築と同様の順番で選ぶ。線路が緑色になっている箇所を見るとわかるように、上の画像の場合は「3×6」という計算が行われる。あとはジェットコースターを発進させれば、計算結果が出力されるという仕組みだ。
何度かの失敗を経てマニュアルどおりにコースを組み立て、ジェットコースターをスタートさせてみる。車両は順調に進んでいき、計算機の心臓部へと到達。
しばらくすると車両が追突事故を起こして爆発、冷や汗をかいたが、これは間違いではなくジェットコースター計算機の正しい動作なのである。
車両は地下の旅を終えて、ようやく答えの「18」と書かれた場所へ到着した。これほど手に汗握る「3×6」の計算はなかなかないだろう。
「計算するたびにジェットコースターを一両犠牲にするのか」とか、「自分で計算したほうが早い」といったことが頭に浮かぶものの、ジェットコースター計算機が動作する様子は、下手なホラーゲームよりもスリリングだし、ピタゴラスイッチ的なワクワク感もある。
公開されている映像やマニュアルでは、じつはジェットコースター計算機の詳細な仕組みは解説されていない。それならばと地下の全体図を見てみると、地上以上に複雑な線路が敷かれていることがわかる。
作者によるわずかな解説によると、このオレンジと黄色のふたつのレーンは、列車の衝突するタイミングを正確に制御するためのもの。計算機の中でもっとも重要かつ複雑な箇所だ。
ここでは数字が大きいほど二番目にスタートする車両の遅延を大きくしているといい、それによってふたつの車両が衝突する仕組みを作っているようだ。
これらふたつの回路によって、200種類のすべての計算結果が正しく算出されるように設計されている。そもそもジェットコースターで計算機を作るという発想自体も驚きだが、思いつきからこれほど難解で複雑な構造を実際に作り上げてしまったManiacmarcel氏の発想には舌を巻くばかりだ。
『Minecraft』のようなクラフト系ゲームにおける“挑戦”では定番となっている計算機だが、それよりもさらにシンプルな2002年発売のタイトルで実現させたことには頭が下がる思いだ。
この計算機を作ったManiacmarcel氏はほかにも、お金を稼ぐのに最適なジェットコースターやナンバーディスプレイなど、さまざまな作品を『RCT2』で作り続けている。
開発のいざこざにより根強いファンからは新作以上に愛され続けている『RCT』のクラシックシリーズ。今後もさらなる驚きのジェットコースターに期待できそうだ。