ResidentEvil.netの統計によれば、『バイオハザード RE:2』でMr.Xこと「タイラント」の追跡距離は2840万キロを超えている。異形の多い『バイオハザード』シリーズのクリーチャーの中でも比較的人間に近い見た目のためか、ハットにコートを着たどこか愛嬌のある見た目だからか、この恐ろしい暴君はプレイヤーによってイジられ続けている。本稿では恐れられながらも愛される、そんなタイラントを楽しくイジるModを紹介してみよう。
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タイラントのBGMや足音を変更するMOD
『バイオハザード RE:2』発売当初は、オリジナルの『バイオハザード2』にはなかった追跡者の存在はプレイヤーにとって大きなショックとなっただろう。存在そのものがネットミームとなり、ラッパーのDMX氏の“X Gon’ Give It To Ya”はタイラントのテーマとして再び脚光を浴びる事になった。
それを反映したのが「X Gon’ Give It To Ya Mod」だ。内容は単純にゲーム中に流れるBGM”Black Impact”を“X Gon’ Give It To Ya”に置き換えるものだが、動画でしかできないことを手軽にゲーム内で再現できるこのModは、最初期のタイラントイジりModだと言える。
ゲーム中のサウンドを別のものに置き換えるのは比較的簡単に行えるためか、ほかにも様々なタイラントイジりMODがリリースされている。タイラントの足音をアヒルのおもちゃの鳴き声に変更する「Mr. Squeaky X」は、わかりやすいタイラントイジりModだ。
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異彩を放っているのが、タイラントの足音を定規で手をたたく乾いた音に変更する「Mr X’s Basics in Education」だ。
これだけ聞くと意味がわからない方も多いと思う。このMODの元ネタは『Baldi’s BASICS in Education and Learning』というゲームだ。このゲームは、簡単な算数の問題を解く教育ゲームという体で配布されている。しかし、ゲームの途中に必ず絶対に解けない意味不明な問題が出され、本編が始まる。
このゲームは実際には不気味な3DCGで描かれたバルディ先生から逃げ回りながらノートを集めて脱出する、いわゆるスレンダーマンタイプの鬼ごっこホラーゲームだ。ゲームは高い人気を誇っており、多数の二次創作ゲームや続編『Baldi’s Basics – Field Trip』も開発中となっている。「Mr X’s Basics in Education」もそんなファン制作の二次創作と言えるだろう。
タイラントの見た目を変更するMod
タイラントの見た目を変更するModも続々とリリースされている。特に注目を集めたのはタイラントをきかんしゃトーマスに変更する「Thomas The Tank Engine over MR X」だろう。タイラントのBGMやSEをきかんしゃトーマスに置き換えるModと併用することで、さらに臨場感のあるゲームへと変貌する。
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タイラントを奇妙な別のものに置き換えるModはまだある。「Stuffed Doll over Mr X」は、タイラントをゲームに登場した不気味なぬいぐるみに変更する。製作者は上記のトーマスと同じZombieAli氏だ。
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タイラントをビキニパンツ姿にするMod「Beachboy X」もリリースされている。非常に目立つアンブレラマークが目が行くが、残念ながらここが弱点というわけではない。
後を追うようにしてレオンをビキニパンツ姿にするModもリリースされているが、男性主人公を差し置いていち早くビキニパンツ姿にされたのは、タイラントの人気の賜物と言えるだろう。
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満を持して登場したタイラントを消し去るMod
ここまでイジられ続けるタイラントだが、ついにゲームから彼を追い出すModまで登場してしまう。「X no more」を導入すれば、ある意味で完全なオリジナルの『バイオハザード2』のリメイクと言える状態になる。
散々イジられ続けた挙げ句ゲームから追い出されるというのはなんとも同情してしまう話ではあるが、このModを使えばマップの探索が楽になることは間違いない。タイラントが強すぎてゲームがクリアできないという方は、このModを入れて見るのもいいかもしれない。
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より高い難度を求めるプレイヤーには、リメイク版『バイオハザード』の隠しモードである「インビジブルエネミーモード」を再現するMod「Resident Evil 2 Invisible Enemy Mode」もリリースされている。「X no more」はタイラントの存在自体をゲームから削除するが、こちらはタイラントを含めたクリーチャーを目に見えなくするものだ。
さまざまな形で愛されるタイラントだが、ゲームディレクターを務める門井一憲氏は海外メディアPCGamerのインタビューにて、ここまでプレイヤーに愛される存在になるとは思っていなかったという。新たに追加された帽子など、プレイヤーの話題になることを願って追加した要素はあるものの、このように大きな話題になったことは幸せだと答えている。
ライター/古嶋誉幸