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……
夜が終わった、
ああ、くそ。
それで結局、これか。
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【ゴニヤ死亡】
【3日目の夜明けを迎えた】
【生存】
ヨーズ、ウルヴル【死亡】
フレイグ、ゴニヤ、ビョルカ、レイズル
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「ムウ……朝か……
うおォッ!?
何じゃ、
鉄砲なんぞ向けおって!!」
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「──動くな。
あと、見るな。何も。
あんたが『狼』じゃないなら」
──私の脅しを無視して、
ウルヴルは長銃を払いのけた。
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そして見た。
変わり果てたゴニヤを。
ウルヴルは、叫んだ。
絞り出すみたいに。
頭掻きむしって。
地団太踏んで。
そして私に、
怒りの目を向ける。
演技か、これ?
一応、ウルヴルが起きる前に、
一通りは調べた。
殺しの痕跡は、残ってない。
ウルヴルにも、私にも。
ゴニヤの周りには、
足跡ひとつない。
ただしゴニヤは、
めちゃめちゃに死んでる。
禁忌のことを置いても、
自殺だとは思えない。
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「私はやってない」
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「だからワシじゃと!?
ワシとてやっとらん!!
きさまの言い分だけが
通る状況でもあるまい!!
きさまが──
きさまがっゴニヤをっ!!」
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「落ち着け。
これはもう、
私たちの善悪とか、意識とか、
そういう段階の話、じゃない、
かも」
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「──なにを言うとるんじゃ!?」
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「あー。あー。
糞。糞尿。説明だる。
……私たちは、自分が『狼』と
気付いてもないかも。
夜だけ『狼』になって、
殺してるかも。
つまり、無意味。
私らが、互いを疑っても、
罵っても、憎み合っても。
私ら両方、覚え無し。
それで、殺し合う?
不毛だけど」
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「……そもそも、
どうして殺し合える。
ワシらには禁忌がある。
『ヴァリン・ホルンの儀』の
他に、破る手立てがない。
気付いとるか?
残り2人になると、
『ヴァリン・ホルンの儀』は
機能せんようになる」
……それは、あれか。
私がウルヴルを指さし、
ウルヴルが私を指さすと、
それ以上は決選も、
何も起きない、ってこと。
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「……手詰まりなんじゃ。
もう、何もかも」
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「そうとも限らない」
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「なんじゃと?」
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私は、フレイグから引き継ぎ、
首からかけてた
『雪渡りの護符』を外して、
雪の上に──
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「──ビョルカが言ってた。
『誰も犠としない』の選択を
増やすのは、アリ」
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「……そ、それが何じゃ。
選んだところで、
『儀』が失敗するのと
何が違う……?」
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「自分が『誰も犠としない』を、
相手が自分を指させば、
殺してもらえる。
あー。つまり。
これだと1対1で決選だけど、
自分が嫌疑(けんぎ)をうけて外されて、
改めて相手が自分を指さして、
『犠』に決まるってことで……」
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「……いいわい。
言いたいことは分かっとる。
……じゃが、
ヨーズ、おまえ、それは……」
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「いいだろ。
死にたくなきゃ、
指さなきゃいい。
『儀』が失敗するだけ。
そしたら、別れようよ。
もう一緒にいる意味とかない。
めんどいのは、おわりで」
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「……
分かった……」
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「うん。
じゃ、いい?
『我らを導く死体の乙女よ』
……なんだっけ。
ま、いいか。
血と肉と骨にかけて。
みっつ。
ふたつ。
ひとつ──」
【ルート分岐:名案】
もう『狼』を見つける手も、殺す手もない。
気の利いた手なら、一つある。
『誰も犠としない』
これを選べば、禁忌にふれず己を滅ぼせる。
すごい名案。ウルヴルはそう思ってないけど。
さあ、どちらを指さす?