二次元ならではの「嘘」の付き方
――ちなみに、今日はパンチラだとかのエッチな表現へのフェチをテーマに、二次元と三次元の衣装表現の違いを聞いてみようという思惑も、本当はあったんですよ。まあ、半ば崩壊しかけていますが(笑)。ただ、例えば先程から「大前提」として語られている“ブラ透け”のような表現にこそ、三次元では実現できない理想が表れているように思うんです。
岸田氏:
それはありますよ。そもそも現実において制服の透けが発生する状況ってすごく限られていますしね……。というか、急に豪雨が降ってきて、かつ濡れると透ける生地のセーラー服だった、というケースしかない(笑)。それこそ生地からちゃんと考え始めたら、ガチガチには透けませんよね。
でも、『ブルー リフレクション』のリフレクター【※】はやはり変身衣装なので、カラーフィルムみたいな感じで超常的に透けるように描いています。
それはやっぱり、単に現実をトレースしちゃうだけでは、そんなに面白くはならないからなんですね。モーションの部分でも、わざわざ物理エンジンを使って、スカートがダイナミックに動くようにしているんですが、これも実際のスカートはあんなにペロンペロンに動くことはないんですよ。
――ただ、その一方で『ブルー リフレクション』のコンセプトイメージムービーは実写で撮られていましたよね。そのとき、そうした超常的な二次元のデザインを、三次元に「翻訳」する苦労があったのではないでしょうか?
岸田氏:
確かにそこは難しいところなんです。「翻訳」の過程でこちらの意図を汲んでもらえないケースも、やはりあります。
実写映像で使用した衣装は、どうしてもコスプレっぽいのは嫌だったので、仲の良い生地屋さんにお願いして入念に生地から選びました。ブラウスの生地はマジのブラウスの生地を使って、さっき言ったみたいなポリ混のギャバジンも使って、なおかつプリントもわざわざオリジナルのデータを渡して作ってもらいましたからね。
――意図を汲んでもらえないときのギャップは、どのようなところで出てくるのでしょうか?
岸田氏:
一番大きいのが「ライトの存在の違い」ですね。例えば、ビビットな色の絵があったときに、デザイナーの方がそのままの色の素材を持ってきちゃうんです。
でも、そもそも絵の中の色って、「そこでどういう光が当たっているか」を踏まえて描いているので、絵ごとにコントラストに強弱が出るんです。
――つまり絵における色は、“その瞬間”の光の状態でしかない、と。
岸田氏:
だから、その絵だけからの色の印象で作ろうとすると、だいたいチープな仕上がりになっちゃうんですよね。重要なのは、それが現実のライトに当たった時にどう映えるか、なんです。
山崎氏:
以前にメルさんから弊社に衣装の依頼をいただいたことがあるのですが、当時の担当者は「ここは影の部分だから、こういう色の光が当たっていて、それを取り除いた素の色は――」みたいに、まさにライティングの問題を含めて素材を選んだと言っていましたね。
※画像はその当時の資料。
岸田氏:
あのときは相当良い作りに仕上げていただけて、嬉しかったですね。
次元を超えた共通点――フリルへのこだわり
――やはり、この辺の話は面白いですね。でも一方で、お二人の作品を見ていると、いくつか次元を越えた共通点があると思うんです。例えば、スカートの内側へのかなり強烈なこだわりとか……。
岸田氏:
やっぱりパニエ【※】のようなフリフリはあった方がいいですね。
昔から好きなのですが、最初にいいなと思ったのは、CLAMP先生の『魔法騎士レイアース』で主人公の少女たちが着ているスカートでした。あと、映画の『バトル・ロワイヤル』の制服も、下からフリルが見えるものだったんですよ。その制服は「BA-TSU」という、当時人気のあったパンク系の服を作っていたレディースブランドがデザインしていて、「これをやりたいなあ」とは思っていました。
※パニエ
パニエ(panier)。元来はペチコートと同じものを指す語で、スカートやウエストマーク(ウエストを絞ったデザイン)のワンピースドレスの下に着用し、ボリュームをもたせるための下着。現代では固めでごわついた化学繊維の生地が主で、ワイヤーがはいっていることは少ない。ロリータファッションでは着用必須。
――「アトリエ」もそうですし、『ブルー リフレクション』のDLC「アーランドメイドコス」【※】とかもフリルですよね。
岸田氏:
最初に使ったのは、「アトリエ」で担当させていただいた「アーランド」シリーズです。これは、最初の段階でヴィクトリア朝というか、近代に近いイギリスの雰囲気にすると決まっていたんですよ。
――いわゆる剣と魔法の中世ドイツのイメージとは違いますよね。
岸田氏:
だから改めて、デザインをどうしようかと考えたんですね。そのときに思ったのが、ヴィクトリア朝って、中世から近代に移るときに産業革命があったんですが、その頃に現代の服のベースが出来上がっているんですよ。
例えばドレスの変遷を見ると、産業革命以前はクリノリン【※】とか、いわゆるめちゃめちゃ太いものだったんですけど、ヴィクトリア朝の後期になっていくとそれが今のドレスっぽい感じのシルエットになってくるんです。
だからヴィクトリア感を出すんだったら、ファンタジーとはいっても、普通に現代のテーラードやスーツっぽい感じのラインにしたほうがイメージに合ってると思って、デザインに取り入れてったんですね。
――歴史にもお詳しいのですね……なんというか、もう驚かなくなってきました(笑)。そうした歴史を踏まえてフリルを取り入れた感じでしょうか?
岸田氏:
フリルって実は当時のブームだったんですよ。例えばメイド。フランスのメイドとかイギリスのメイドとか色々ありますけど、どれもヴィクトリア朝をベースに作られている作品が多いので、そうなってくると、とにかくフリルが多いわけです。
だから、普通の人が思い浮かべるヴィクトリア朝のイメージって、やっぱりフリルだろうと。それまではあんま描いてこなかったんですが、世界観が表現できるっていうところで描いた感じですね。
――なるほど。「フリルミニペチコート」や「本気のパニエ」【※】という商品も手がけてるNO.Sさんは、フリルにどんなこだわりがありますか?
山崎氏:
フリルの付け方として、スカートの裾につけるのを採用されるところが多いと思うんですけど、その構造がチラっと見えてしまうと、ちょっと残念な気持ちになるんですよね。
だから、「フリルミニペチコート」は、風とかで一瞬翻ったときも、中までフリルで詰まっているようにこだわっています。
岸田氏:
スカートにつけたら、ギャザー【※】の広がり方がフリルに影響受けてきれいに回らなくなっちゃうし、ゴワってなっちゃうので……分けないとだめですよね。
ただ、布の量が多いパニエとかペチコートって、絵でやっちゃうと意外とウケが悪いんですよね。だからイラストでは一重だけで、パニエでもなんでもなくて、下にもう1枚布があるだけみたいに描いています。一部のファンの方には、カボチャパンツみたいに見えて嫌う人もいるみたいで……。
※ギャザー
布地を引き絞ることによってできるひだのこと。規則正しく折り畳まれる形のプリーツとは異なり、不規則で自然なひだのことを指している。
――まさに“女性目線”か“男性目線”かの差が出ているような気がしますね。
山崎氏:
フリルものって、すごく生地量を使うから最近減ってきているんですが、着る側としてはやっぱり中までフリルが入っていてほしいんです。だから中途半端に妥協せず、普通は1.2〜1.3倍しか使わないギャザー量を、NO.Sでは2.5〜4倍以上まで使って、本当にやりきってしまったからこそ生まれるシルエットというのを大切にしています。
その4倍以上、というのが「本気のパニエ」シリーズなんですが、これが本当に凄いボリュームなんですよ。でも履いてみると、スカートがふんわり膨らんで、普通に歩いても不自然な動きにならない。
昔ながらのパニエってボーン【※】を入れてるので、本当にその形通りに動いてしまうんですよ。でも、「本気のパニエ」はお洋服を着る人の動きに合わせたいと思って、ボーンを入れない構造にしたんです。だから、手を置いたらちゃんと凹むんですよ。そういうシルエットや、着た時の気持ちよさ、動いた時のなびき方なんかにこだわりをもって作っていますね。
※ボーン
パニエの骨組み部分に使用される硬い芯素材のことを指している。
岸田氏:
これ、ぺしゃってならないように、生地の厚みとかがちょうど良くなるよう、ギャザーの数とかを考えて作られているわけですよね。
山崎氏:
そうですね。あと、わりと静止画として写真に収めたときのシルエットは非常に重要視しています。
岸田氏:
ああ、僕もシルエットは最優先で考えますね。やっぱり人間がキャラクターの絵を見るときって、アウトラインで捉えているんですよ。だから、印象を大きく左右するんです。
――シルエットはやはり共通して気を遣うポイントなんですね。
山崎氏:
ちなみに、フリルの端の処理はどうしていますか? 輪にするか、メローにするか、三つ巻にするかというだけで、ラインの出方が違うと思うんですけれども。
岸田氏:
わかります……それはいつも考えるんですが、あえて省略して描いたりもしますよ。僕はめちゃくちゃ細い線で超エッジを立てて描いたりはしないので、端に1本ラインを入れるだけでちょっと重たくなるんですよね。
もし、こだわる部分があるとしたら、パッカリング【※】とかですかね。出ていた方がディテール的に生きるなと思っていて、「アトリエ」シリーズではちょっとしたシワをよらせてたりします。あとはあえてステッチ(縫い目)を入れていくのとかも意識してやっていますよ。
※パッカリング
縫い合わせ部分のシワのこと。
山崎氏:
わかります。「ここにポイントが欲しい」というところは出てきますよね。
岸田氏:
素材によっては、ギャザーとしてやらなくても普通に縫うだけでシワが寄るものもあって、メンズの服はそれでディテールをつけて雰囲気を出すことが多いですよね。結構古着が好きな人とかはそういうのが好きだったりもします。
そうしたディテールは絵にも取り入れていますよ。
――ちなみに……他のイラストレーターさんは、どこまでそうした細かい服の事情を気にしてデザインしているものなんでしょうか?
岸田氏:
服の縫い縮みまで意識して描いている人はあんまりいないですよ。例えば、テーラードジャケットの襟の切り込みが入っているラインとかを見るとすぐにわかります。あの高さって入りによって全然違うんですが、そこに無頓着に描いている人ってすごく多いんですよ。「ちゃんと考えて描いて欲しい!」と思うんですが(笑)。
とはいえ、今はおしゃれな絵を描く人が増えたと思います。10年くらい前は、どれだけ可愛くても、服に興味ない人が描くとダサイみたいなのはよくありましたね。特にアニメキャラの私服とか。
だから、僕が『花咲くいろは』【※】のキャラクターをデザインしたときは、きちんと高校1年生っぽい服装を着てほしくて色々と調べました。
主人公はもともと都会の子なので、「non-no(ノンノ)」【※1】とか「Seventeen(セブンティーン)」【※2】とか「Popteen(ポップティーン)」【※3】とかを読んでる層の、ちょっと明るい系の服を着せたりしましたね。
※1 non-no
は、1971年創刊の集英社が発売している月刊女性ファッション誌。10代後半から20代の読者層をターゲットに、カジュアル・ガーリーなファッションスタイルを押し出している。
※2 Seventeen
は、1968年創刊以来、集英社が発売している月刊女性ファッション誌。読者層は10代が想定されており、カジュアルで若々しいファッションを中心に組まれている。
※3 Popteen
1980年創刊の女性ファッション誌。10代の読者層をターゲットに、ギャル向けのガーリーなファッションスタイルを提案している。
次元を超えた共通点2――セーラー服へのこだわり
――そしてこれは共通点……というと言い過ぎかもしれませんが、お二人ともセーラー服ものの作品を手掛けられていますよね。セーラー服には、どんなこだわりを込められたのでしょう?
山崎氏:
女の子って、セーラー服に対するなんとなくの憧れや着てみたいという気持ちがあると思うんですが、一方で大人になってしまうと「今更ちょっと恥ずかしいんじゃないの?」という気持ちも同時にあるものだったりすると思うんです。だから今回の「セーラービーチウェア」では、その気持ちに応えるようなデザインになるように気をつけました。
具体的なポイントとしては、どうしても子供っぽく見えてしまう「襟」のかたちに気を使ってます。やっぱりプリントだけでペタッとしてしまうとティーンが着る感じのデザインになってしまうので、大人の方でも着れるような表現を考えた結果、二枚襟にしてみました。
――『ブルー リフレクション』の方はどんなところにこだわりましたか?
岸田氏:
『ブルー リフレクション』では全部同じ制服を着ているように見えて、それぞれブラウスの丈とかスカートの長さとか、基本的には何パターンか変えているんですよ。
例えば、この鳴宮圭というキャラはブラウスをすごく小さくして、ウエストのラインが高くなってます。というのも、この子はスレンダーな感じを出したかったので、スカートを長めにして、身長が高く見えるようにバランスを考えてデザインしたんです。
一方、菅本しほりという巨乳のキャラに関しては、その巨乳で内側から布が持ち上がっている感じを出したかったので、わりかし身幅を広くとってみたりしてみました。
山崎氏:
制服って、同じものをみんなが着るんだけど、やっぱり「ちょっと違うふうに着たい」という気持ちがありますよね。私も昔は何かしらアレンジを加えて着てました。
――そうしたセーラー服の魅力って、なんなのでしょう? もともとは水兵の服で、それが日本の学校空間の中で発達して……という歴史的経緯があって、あのデザインがあると思うのですが。
岸田氏:
というより、セーラー服に限らず、基本的にはカジュアルな服の原型はもともと軍服だったものが多いんですよ。男だとトレンチコート【※】とかがまさにそうですよね。女の子のブラウスや、ブーツやパンツもそうですし、おおむねアウターは全部軍服から発展しています。
――軍服って当時の最高のデザイナーが関わってるので、優れた美的感覚の服が多くて、今もなおデザイナーの着想の源なんですよね。まあ。完全にヲタのみぞ知るファッション史の「裏歴史」ですけども……。
岸田氏:
ただ、セーラー服に関してはブルマとかと一緒で、学校空間の中でずっとガラパゴス化していって、それが1人1人教育を受けている人たちのトラウマや思い入れに繋がっている部分が、良くも悪くもその魅力に繋がっていると思いますね。やっぱり、思春期のあいだをその格好で過ごすわけですから。
僕自身、制服は高嶺の花というか、やっぱり“憧れ”として描いている気がします。セーラー服そのものへの思い入れとかではなく、クラスメイトの女の子に感じていた距離感が表れているというか。……僕にとっては手の届かないものだったので。
――(笑)。ちなみに制服にはブレザーもありますが、なぜセーラー服なんでしょうか。
岸田氏:
実はブレザーかセーラー服かというのは結構考えたんですよ。でも今回は舞台が夏なので、まあ単にブレザーは着られないな、と。
これはそこから「じゃあセーラー服の襟をどうするのかとか、色合いはどうするのか」と考えた結果なんですね。一番ベーシックかつノスタルジーに訴えかけるのはやっぱり白と紺だけど、それだけだと普通のセーラー服になってしまうので、色のトーンは変えずに、上は普通のライン入りの襟で、下はチェックにしてみました。
山崎氏:
『ブルー リフレクション』のデザインを拝見すると、単純にセーラー服といっても、開きをどうするかという問題をちゃんと分かった上で作っていると、見ていて感じますね。
ブラウスって、被ることができないので比翼開き【※1】になっているのですが、こういう風にダブル【※2】にしないと、実際に着ることができないんですよ。
※1 比翼開き
前部についているボタンやジッパーが布によって隠され、表からは見えない仕様になっている打ち合わせのこと。主にコートやシャツに用いられる。
※2 ダブル
打ち合わせが二重になっている仕様のデザインのこと。
岸田氏:
細かな部分でいうと、セーラー服にもジップが入っていたりとか、色々ありますよね。ギャル系だとセンタージップになっていたり……そういうことを考えていた時に、セーラー服としては珍しいですがダブルがいいよなって。
山崎氏:
そういった実際の構造を考えてデザインしているからこそ、リアリティが感じられるんだと思います。
岸田氏:
パッと見だとベーシックなんだけど、よく見るとそれなりにこのゲームならではのデザインになっている――そのバランス取りはすごく難しかったですね。
岸田メル、パニエを初体験
――ここまでたっぷりと服の話をしてきましたが、そろそろ時間が迫ってまいりました。今後やってみたいことがあればお聞かせください。
岸田氏:
そうですね、趣味が高じてというか、これまでに何回も衣装をデザインさせてもらっているので、普通の市販向けの服やアクセサリなんかを作って売っていきたいとは思っています。
僕の絵に興味がある人だけに届く作品じゃなくて、「全然知らないけどこのアイテム可愛くていいよね」みたいに思ってもらえるものを作ることにすごく憧れます。具体的なビジョンがあるわけじゃないですけど、何かしらはやってみたいですね。
――NO.Sさんとしてはどうでしょう?
山崎氏:
先程のセーラー水着のほかに、秋からはキッズラインも展開していく予定です。
岸田氏:
NO.Sさんのキッズライン、売れそうだなぁ。親は、子供にちゃんとしたものを着せたいという願望がありますからね。
山崎氏:
まだふんわり考えているものですが、これまでのアイテムをそのまま小さくしたというよりは、たとえば白雪姫だったらお母さんが魔女になって、子供が白雪姫になる……みたいな、親子の関係で世界観を一緒に楽しんでもらえるものができたらいいなと考えています。お母さんって、自分が好きなものを子供にも好きになってもらえたら嬉しいという親心もあると思うので。
岸田氏:
いやあ、それにしても服の話がこんなにできるなんて……すごく楽しかったです(笑)。
――当初のテーマは半ば崩壊してしまいましたが(笑)、興味深いお話が聞けてよかったです。せっかくの機会ですので、実はメルさん用にパニエを用意していまして……最後にぜひ履いてみていただければなと。
岸田氏:
……えっ!? いや、今回はこういうネタっぽいことはやらなくていいかなと思ったんですが……。では、真面目な感じで入ったんで、最後も真面目にコメントしますね(笑)。
まず、上から見下ろしてみるとだいぶボリュームが出てますね。でも見た目に反して、軽いしとても動きやすいです。そしてシルエットがきれいなので、違和感がない。一見ボリュームありすぎるので服に着させられちゃう感じが出るかなと思ったのですが、思いの外しっくりきます。
――その魅力を全身で表現するとどうなりますか?
岸田氏:
キャピッ☆
――ありがとうございます(笑)。ちなみに、パニエを履くのは初めてなんですか?
岸田氏:
初めてだよ!(了)
おそらくはゲームメディア史上最もディープな服ヲタトーク(!)が掲載されたインタビュー、いかがだっただろうか。
ほとんど取材事故のようにして思わぬ方向へと話が加熱してしまったが、ただ、「こうした両氏の一線を超えた服へのこだわりこそが、ユーザーに支持されるものづくりの源泉となっているんだな」と、取材中強く印象に残ったことを記しておきたい。
特に岸田メル氏の「ブラ透けは大前提」「イラストになった途端に“パンツの絵”になってしまう」「3次元化するときに重要なのはライティング」といった言葉の端々からは、イラストに対する、普段からの徹底した洞察が垣間見えた。
そしてメル氏も驚嘆していたNO.SPROJECTの国内生産への徹底的なこだわりや、ユーザーの需要ベースでの新商品開発の話も印象的であった。
そうした次元を超えた共通点がある一方で、両氏の衣装表現は、“女性目線”か“男性目線”かという部分で大きく違いが出ていたように思う。
とりわけパニエのデザインの話が象徴的だ。「フリルミニペチコート」が「中までフリルが詰まっていてほしい」女性の人気を集める一方で、「カボチャパンツみたいに見えて嫌う人もいる」からイラストとしては描かないというメル氏。その違いは、作品への「着る欲望」に応えていったNO.SPROJECTの三次元のリアルクローズと、「見る欲望」に応えていったメル氏の二次元のイラストの違い――そんなふうにも言えそうだ。
今回のインタビューを通じて、そうした両氏の共通点や違いの面白さがお届けできていればと思う次第である。当初の想定とは大きく異なる展開となってしまったが、他では決して得られない貴重な資料がここに出来上がったのではないだろうか。
結局使うことのなかった“テカテカ”の縞パンを片付けながら、筆をおきたいと思う。
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【プレゼントのお知らせ】
今回の対談に登場したお二方からプレゼントをいただきました! 岸田氏からは『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』のポスターカード2枚セット、山崎氏からは「NO.S PROJECT」のアイテムの生地で作られた花束と、「NO.S PROJECT」オリジナルトランプ。
上記3アイテムをセットにしたものを、抽選で5名様にプレゼントいたします。
詳しい応募方法は電ファミニコゲーマーの公式Twitter(@denfaminicogame)をご覧ください。ご応募お待ちしております!
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【『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』】
「アトリエ」の「アーランド」シリーズを手がけたコーエーテクモゲームス・ガストブランドと岸田メル氏が再びタッグを組んだ完全新作RPG『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』。同氏はキャラクターデザイン・監修を担当し、シリーズ構成には『キノの旅 the Beautiful World』(電撃文庫)の時雨沢恵一氏や、『乃木坂春香の秘密』(電撃文庫)の五十嵐雄策氏、『なれる!SE』(電撃文庫)の夏海公司氏といった電撃文庫の作家人を起用している。
本作で描かれるのは、人間の本質と絆をテーマとした“少女たちの等身大の青春”だ。主人公・白井日菜子(CV:高田憂希)は将来有望なバレエダンサーだったが、怪我の後遺症によりバレエを踊れなくなってしまい、それ以降心を閉ざしてしまう。
しかし、体も心も十数年毎日続けたレッスンのことを忘れられず、いつか足が治るかもしれないと信じていた。そんなある日、彼女の日常はある2人の少女との出会いにより一変する。彼女たちは魔法少女「リフレクター」――世界の脅威と戦う存在。
2人の導きにより、日菜子も「リフレクター」として戦いに身を投じることになる。本意ではなかったが、リフレクターである時は体を自由に動かすことができるためだ。
だが日菜子は、リフレクターとして戦う理由も、敵の正体も、その先に何が待っているのかも知らずにいた――。
その結末は、ぜひご自身の目で確かめて頂きたい。
【DLC紹介】