『ゼルダ』の衝撃
──そして、もう皆さん堪えきれず『ゼルダ』の話が漏れ出していますが(笑)、皆さん大絶賛ですよね。
岩崎氏:
いやね、『PONG』【※1】に始まり、45年間ずっとゲームで遊んできた僕にとってのオールタイムベストは、PCでルーカス・アーツが出した『Star Wars: X-Wing』【※2】だったんです。それを超えるものはもうないと信じていたのに……。
※1 PONG
1972年にATARIから発売されたアーケード用タイトル。内容は卓球をビデオゲーム化したものであり、世界ではじめて商業的に成功したビデオゲームとも言われる。
※2 Star Wars: X-Wing
1993年にルーカス・アーツから発売された、PC用タイトル。プレイヤーは『スター・ウォーズ』の反乱同盟軍のパイロットなり、戦闘機X-Wingに乗り込み戦う。当時はコクピットからの視点を含むリアルさが評価された。
一同:
(笑)。
岩崎氏:
発売前日に公開された電ファミのインタビューで「自由度が高いんですよ」ということを青沼英二【※1】さんがずっとしゃべっていますが、「祠【※2】を見つけるのが楽しいんですか?」というスタッフの質問に対して「ひたすら説得をしていた」というのを読んで、「この人は何を言っているのか?」と最初は思ったわけです。
まず2Dゲームで開発、社員300人で1週間遊ぶ!? 新作ゼルダ、任天堂の驚愕の開発手法に迫る。「時オカ」企画書も公開! 【ゲームの企画書:任天堂・青沼英二×スクエニ・藤澤仁】
「まあ、やればわかるか」と思って翌日からプレイしたら……「バカじゃねえの? このゲーム!」となった。もう大絶賛。
※1 青沼英二
「ゼルダの伝説」シリーズにディレクション・プロデュースで多く関わり、最新作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でもプロデューサーを務める。
※2 祠
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界に点在する施設。中で「試練」と呼ばれる謎をアクションによって解き明かすと、克服の証が手に入る。祠の中には宝箱が隠されており、実質、以前の「ゼルダ」シリーズのダンジョンを細分化したようなものになっている。
一同:
(笑)。
岩崎氏:
発売前、僕は任天堂がオープンワールドを作ることにとことん懐疑的だったんですよ。しかも「ゼルダ」で。僕の中の「ゼルダ」は、ものすごく緻密なレベルデザインの中で、緻密なアクションをくり出して手に入れたアイテムによって、つぎの目的に向かって進んでいくワンオフ、というイメージだった。なのにオープンワールド。「どうするんだ?」と。
島国氏:
俺も「ゼルダ」は、「ボスなど全部ワンオフで、やっぱり緻密に作ってあってこそ」という感覚がすごく強かったので、馴染むまではわりと不満が多かったです。今回のボスはぜんぜんワンオフじゃありませんからね。
hamatsu氏:
ダンジョンがガッツリあるのかなと思ってたら、神獣【※】も意外とあっさりしていたし……。
※神獣
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界に4体存在する、古代の巨大な兵器。内部が祠より複雑なダンジョン構造になっており、クリアーすることで制御下におけるようになる。
島国氏:
ダンジョンは全部狭いですしね。「あの判断は正しいな、スゴいな」と思いました。祠を全部小さいサイズにする判断なども、なかなかできませんよね。シリーズの続編を作るとなったら、たいていみんな「盛るぞ」と言うからね。「祠なんか狭くていいんだ」って言った人は本当にエラいと思います。しかもわざと深くしないなど、よくわかっている作りをしていて。
でもあの作りは、チームを設けてツールを使って、「はい、ひとりノルマ何個ね」と言って作らせて、そこからチョイスしていく、横に広げやすい海外のゲームっぽい作りですよね。昔の、広いダンジョンを作ろうとすると、あんな作りかたは絶対にできない。
hamatsu氏:
ああやって小分けにするときは、ひとりの企画マンがチェックしていたりしますから、おそらく新人の子の研修に使っていたんじゃないかなと思いました。
昔のダンジョンのようなものだと、最初から最後までキッチリ設計できる人じゃないと作れませんが、ひとネタくらいだったら各人で仕上げられるという側面もありますしね。きっとネタ募集みたいなものがあったんだろうなと(笑)。
島国氏:
社内slack【※】にネタ募集のルームとかがあってね、「みんなここに書き込め」とかね(笑)。
※slack
2013年にリリースされたアメリカ発のチャットツール。エンジニアを中心に広く使われている。
岩崎氏:
「実際そうなんじゃないのか」と思うくらい、限られたルールの中で、祠のひとつひとつを全部違うものにするという目標をちゃんと達成している。ただ、おもしろくなかった祠を潰して、そこに力の試練【※】を突っ込んだのかな? と僕は思いました。
※力の試練
祠のうち、謎解きではなく、古代兵器ガーディアンとの1対1バトルが行われるもの。全域で20ヵ所前後ある。
島国氏:
たくさん祠を作るから、プレイヤーへの報酬がたくさん必要になるというときに、「そんなものインベントリを増やしておけばいいんだよ」って言った人がいたのもエラいなあと俺は思います。非常に打算的なんだけどうまくまとまっている。そういう数値の上げ下げだけで、あれだけのボリュームに対してのプレイヤーの意欲を持続させるというのは、とんでもないこと。
そうした工数的にスゴく安いものが、スゴく大事な報酬になっているのは本当に巧い。「行った先に何もなければコログ【※】を置いておけ」みたいなね。報酬として「アバターを作れ」と言われたらスタッフが死ぬわけだし。「すべてで新しい衣装をあげましょう」なんて、わりと言いがちじゃないですか。
※コログ
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界に棲む、葉っぱのような顔が特徴の“木の精霊”。世界のいたるところに隠れており、見つけるとコログの実というアイテムをくれる。この実を集めてボックリンというキャラクターに渡すと、インベントリが拡張できる。
岩崎氏:
“発見”がプレイヤーの動機になっているから、より発見しやすくなる数値の報酬は整合性が高いんだよね。
ほかにもばらまくために必要なデザインというのがあって、「ついでにそれをランドマークにしなくちゃいけないよね」、「ファストトラベル【※】のネタにならなきゃいけないよね」という感じで、マップもああいう形になっていったと思うんです。
※ファストトラベル
オープンワールドゲームなどで一度到達した地点間を、ショートカットなどで移動できる方法。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では、塔と祠がファストトラベルの到着ポイントになる。
島国氏:
「塔【※】は縦に伸ばして光らせておけ」みたいな、スゴいわかりやすい作りを突っ込んでいる。
岩崎氏:
あれは明らかに「アサシン クリード」だよね(笑)。
hamatsu氏:
『レッド・デッド・リデンプション』や「アサシン クリード」など、海外のオープンワールドを相当意識していますよね。
岩崎氏:
めちゃくちゃ研究していると思いますよ。
hamatsu氏:
「そんなに意識していなかったですね」とインタビューで言っていましたけど、絶対に研究しているでしょう(笑)。
岩崎氏:
それは任天堂のプライドでしょう。主要なMMOのマップを大量に研究したと思います。たとえばインパ【※】のいる村に向かっていく道の設計が、ものスゴくMMOぽい。というか、『World of Warcraft』ぽい(笑)。平原を走って行ったら、だんだん山が近づいてきて、道も狭くなってきて、峠を越えてふと見たら、山の上から村を臨む構造になっているところとか。
※インパ
「ゼルダ」シリーズに登場する七賢者のひとりで、シーカー族の族長。年齢や容姿は一定していないが、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では老婆の姿をしている。
hamatsu氏:
そのあたりの話はCEDEC【※】でも語っていましたよ。景色が急に開けて見せたいものが飛び込んでくるというのは、「グランド・セフト・オート」でもそういうデザインをやっていますよね。
※CEDEC
Computer Entertainment Developers Conferenceの略称。ゲーム会社からなる一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 (CESA)が主催する、日本国内最大のゲーム開発者向け技術交流会のこと。1999年に第一回が開催されて以降、毎年開催されている。
TAITAI:
あのへんは遊園地の設計にも通じますよね。ユニバーサルスタジオ・ジャパンのハリーポッターのアトラクションは、狭いところへ進んで、最後に空間が開けてドンと城が見えたりします。
島国氏:
狭い広いを交互にするのは飽きさせない基本なんですよ。最初の『バイオハザード』で、狭い廊下、広めの中庭、また通路みたいな感じで視覚の印象を変えつつ先に進ませるということをちゃんとやっていて、「エライな」と思ったことがあります。
TAITAI:
登攀で言えば、パラセールもどのタイミングで入ったシステムなんでしょうね?
これがないとどうにもならないという、決定的なシステムですよね。
島国氏:
「登る」を入れるなら、「飛び降りても死なない」を入れざるを得ないので、たぶんほぼ同時、最初から構想にあったんだと思います。むしろ「どの時点で渡すか」ということを考えたでしょうね。
hamatsu氏:
『風のタクト』【※】でもパラセールに近いアイテムもありましたし。
ただ、TAITAIさんの言うように、ここまで根幹になるということを確信できたのはどのへんなんだろう? と僕も思います(笑)。
TAITAI:
なるほど。『ブレス オブ ザ ワイルド』での発明ではなく、自然な流れだったんですね。
島国氏:
『風のタクト』も個人的にスゴく好きな「ゼルダ」なんですけど、みんな「海ばっかりじゃないか」と文句ばかり言うんですよ。
岩崎氏:
『風のタクト』はすごくよくできてるよね。というか「ゼルダ」でよくできていないゲームはひとつもない(笑)。
hamatsu氏:
ないです(笑)。
島国氏:
1個や2個は何かしら発明が入りますし。
hamatsu氏:
「ゼルダ」って95点を切ると叩かれ始めますよね。「91点ってナシでしょ」みたいに。ツラそうだなあ……。
島国氏:
最先端をいってほしいタイトルなので、むしろ「マリオ」より洗練度などは期待されていますよね。「FF」が「粗削りでいびつでも、何か尖っていれば」というタイトルであるのに対して、「ゼルダ」は尖らせたあと、トゥルントゥルンになるまで磨きますからね。
──ホント、トゥルントゥルンですよね。
岩崎氏:
今回、「ゼルダ」の当たり前を見直す【※】ときに、まずオープンワールドにするということは決まっていたんだと思うんですよ。
つぎに、「オープンワールドの中でゲームのテーマって何なんだろう?」という話になったんじゃないかな。そこで、「オープンワールドでせっかく世界が広いんだから、テーマは“発見”にしよう」と。そこから全部始まったんじゃないかと思うんです。
※「ゼルダ」の当たり前を見直す
今回の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を作るにあたって、青沼氏始めスタッフ一同が掲げたテーマ。詳しくは青沼氏と藤澤氏の対談で語られている。
──もともと「ゼルダ」って、「この解きかたを発見したのは俺だけでは?」と思わせる謎解きやアクションの絶妙さが楽しいゲームですもんね。
岩崎氏:
海外では、たとえば「黄色いものをたどると物語が進み、レベルも上がる」というような誘導をするレベルデザインをしているタイトルがあるけど、あれをやると、「黄色いものがないところには発見がない」ということが逆説的にわかってしまう。
その制約をなくすためには、「行きたければどこにでも行けなければならない」という結論が出るわけで。だから登れそうなら登ってみようというゲームになったと。
hamatsu氏:
「どこでも登れる」も、誰がどのタイミングで言い出したんでしょうね。
制作後半に言われたら100%無理なので、それを考えると最初から組んでおかないとダメ。
でも最初からそれを発想できたら本当に天才なので……そこそこ……「1年くらい経ったあとくらいじゃなかったのかな」と思うわけです。もちろんチーム内でも、まあまあ揉めただろうし。
島国氏:
任天堂さんは昔から、なんとなくざっくり作ってみて「よし、これでいこう」って言って全部作り直しますもんね。そのタイミングはわからないけど、そこで判断が入ったんでしょうね。
TAITAI:
整合性のよさというのか、美しさというのか、あれはディレクターの力になるんですか?
岩崎氏:
役割としてはディレクターですよね。海外だとリードゲームデザイナー、もしくはデザインディレクターの切り取りかたがうまかったということになりますね。
日本だと、ディレクターかプランナーのリーダーですね。スタッフロールにはゲームデザイナーと書いてありましたが、リードゲームデザイナーって、あのゲームにはじつは3人くらいしかいないんですよ。その3人の切り捨てかたがうまかったんだと思います。
ゲームって、基本的に作ることがすごく怖いんです。そんなとき、おもしろさを保障するためにいちばん簡単なのは盛ること。だから盛りたくなるんですよ。
島国氏:
そうすると工数を横に伸ばして、ダラーッとしたゲームを作っちゃうんで、まったくダメなんですけど。
今回の『ゼルダ』は「これを切ったらみんなに反対されそう」というようなものを、けっこうバッサリ捨てたところがめちゃくちゃあるんだけど、みんな捨てたところに文句を言う前に、新しく増えたところを褒めている。取捨選択を本当にうまくやったなと思います。
hamatsu氏:
モノを拾ったりするときに、けっこう距離が離れているのに、ふつうに取れたりするのを、「これをよしとする」という割り切りもその選択ですよね。
任天堂のロジックだと、「ちゃんと地面にリンゴを落としてから拾うんだ」みたいなことを大事にしそうなのに、そこらへんをけっこう端折っている。おかげでテンポを崩さず、サクサク取れるわけです。
TAITAI:
今回の『ゼルダ』は、省略によって面倒くさくなくなったところと、面倒くさいところが併存していますね。
たとえば、気温があるところとか。いまはオープンワールドですら気温はないじゃないですか。そういう面倒はキッチリ入れつつ、簡単なところは簡単。
島国氏:
オープンワールドを作るときって、「ここから先に行けない理由」をどう作るかの戦いで、気温やドブなどの制限を作るしかなく、腹が立たない範疇でいいものを探すしかないんですけど、今回の気温はうまいチョイスがされていると思います。
岩崎氏:
僕がゲームを作るときは、気温というのは、わかりにくいし、扱いにくいし、わりとやっちゃいけないコントロール法なんですよ。でも、ゲームの重要度とのバランスの中で、今回選択しているのはスゴいと思いますね。プレイヤーの行動に対して、あえて制約をつける方向なんですよね。
皆さんの言うように、『ゼルダ』はいろいろ切り捨てながらもマイナスの選択はわりと残している。けっきょく物理エンジンなどから発生する問題を解決する方法として、いっぱい手段を残しているんですね。
気温は問題になるんだけど、寒かったら厚着をする以外にも、炎の剣でも火の点いたたいまつを持って歩いていてもなんとかなるし、食べ物でもなんとかなる。解決策がいっぱい用意してあって、そこがユーザーの工夫として受け取れるように作ってある。
ただ、総じて僕だったら「そんなことやめてよ」っていう選択をしているのが無茶。なのにおもしろい。
hamatsu氏:
始まりの台地【※1】に防寒着【※2】ってあるんですよね? 俺、いまだに見つけてなくて。たいまつで強引に進みました(笑)。
岩崎氏:
じじいに料理を作ると防寒着をくれますよ。
hamatsu氏:
ああ! そうなんですか……。
岩崎氏:
あのじじいはあっちこっちに居ますけど、あいつがチュートリアルとして機能するように作ってある。
hamatsu氏:
本当に最低限のチュートリアルですよね。
岩崎氏:
極限まで少なくしてあってスゴいよね。「いちばん凝ったチュートリアルって何ですか?」と訊かれたら、最初の祠から出るまでがひとつと、最初の村の近くにある力の試練の祠に入ったときのがひとつ。あれはアクション指南だからだと思うけど、非常に正確なチュートリアルをやる。あのふたつ以外は何もない。
島国氏:
ロード中のTIPS【※】も、あそこでほとんどのことは説明しちゃっているけど、わりと読まなかったりするし(笑)。そういういろいろな怖い判断が全部当たってるからスゴい。
服の着替えも一瞬でできる“面倒くさくなさ”がありますね。
崖に貼り付いてるときに寒くなったら一瞬で着替えられる。さらに「そんなもんだ」と、そのことに誰も文句を言わない。これが洋ゲーだったら何かしようとしますよね?
※TIPS
ちょっとしたコツ、秘訣、ヒント、豆知識などを指す。
岩崎氏:
洋ゲーだったら、インベントリから出してあらかじめ何かのキーにセットしている状態じゃなければ着替えられませんとか、「行く前に全部準備しておこうね」みたいなことを言うんだけどね。そういうのに対する割り切りがいい。
hamatsu氏:
武器が壊れるのとかも相当反発があったはずですよね。マスターソードが一時的に使えなくなるのも、納得できませんからね。「まあでもしょうがないか」と、遊んでいるとぜんぜんそこが不満にならなくなる。何だったら「バンバンぶっ壊して、使い捨てにしていきたい」くらいな感じで(笑)。
──『ゼルダ』の当たり前を見直すときの取捨選択が、いちいち神がかっていたというのが、作り手でもある皆さんの話からもよくわかります。というか、ホントここまで絶賛しかしていませんね(笑)。
『ゼルダ』の賛否
岩崎氏:
でもね、今回の『ゼルダ』がリリースされた瞬間って、評論家は絶賛だったけど、果たしてユーザースコアがどうなるのかに僕はすごく興味があったんですよ。
hamatsu氏:
海外の評価サイトなんかだと、ユーザースコアの賛否の割れかたがスゴかったですよね。
岩崎氏:
ええ。発売直後はユーザーの反応がスゴくて、6割ちょいが5点満点をつけて、残りの3割ちょいがなんと0と評価していたんですよ。
──ああ、それほどまで。
岩崎氏:
不満として書いてある文句がみんな同じで、「これは「ゼルダ」じゃない!」と。北米のファンの中にはものすごい強烈な反発があって、「こんなの「ゼルダ」じゃない」というのがズラッと並んでいた。
hamatsu氏:
でも最近だと相当ユーザースコアも上がっていますよね?
島国氏:
後から「そういうものだ」とわかって入ってきた人もいますし。
岩崎氏:
最初のうちは「ゼルダ」という名前で始めた人がいるわけです。そういう人たちが求めていた「ゼルダ」は、広いオープンワールドなんだけど、でっかいダンジョンがあって、そこでフックショット【※】が手に入って、というものだったと思うんですよ。
※フックショット
「ゼルダ」シリーズに頻出するアイテム。クサビ(フック)の後ろにチェーンが付いたような形状をしており、発射すると直線的にある程度の距離まで届いて突き刺さる(フックする)。このアクションによって、遠くのアイテムを引き寄せたり、クサビが刺さったポイントまでリンクが移動できたり、敵を攻撃したりすることができる。
島国氏:
正解がきっちりあるゲームですね。「ゼルダ」の作りは3Dになって以降、そういうものだったから。いままでの「ゼルダ」と比べると、今回は戦いかたに変化がないけど、でもそれは捨てて、ほかを盛ったんでしょう。
hamatsu氏:
ああ、敵キャラクターも思ったより数は多くないですしね。
島国氏:
そうですね。バリエーションは多いんですが。
岩崎氏:
あれは割り切ったんだと思うんだ。
島国氏:
割り切りをして反対意見を言う奴を、ディレクターなり、リードプランナーなりが順番に殴り倒していったのかと考えると、「たいへんだな、これ」と思います(笑)。
それまでの仕様を変えると、反対意見は必ずみんな言い出すんですよ、ホント。
hamatsu氏:
CEDECの講演でも、「いままでの「ゼルダ」とオープンワールドの折衷みたいなものを途中で一度作ったら大不評だった」という話が少しだけ語られていましたね。そこから舵を切っていまの形に着地したらしいんですが、そのあいだにもうちょっとなんかあったと思うんですが……。
島国氏:
ねー。紆余曲折は当然あっただろうし。ぜんぜんSwitchとは操作性が合っていないから、もともとはSwitchじゃなかったんだろうなと思います。
岩崎氏:
それそれ。僕も含め「ゼルダ」を絶賛する人は多いけど、ゲーム的な見かたをするとUI【※】がよろしくない。これだけのゲームを作りながら、なぜあのUIなんだと。
※UI
ユーザーインターフェースの略称。人間が機械を扱う際に必要な情報を表示したり、コントロールするための方法やデザインのこと。ゲームでいう「プレイ画面」や「操作性」にあたる言葉。
hamatsu氏:
UIは、まあ……。褒めてる人も、「UIはさておき」と言っていますし。
島国氏:
あそこまでゲームのクオリティを上げておきながら、UIがよろしくないのは、よっぽど後々になっていじったんだろうなと思います。
hamatsu氏:
Wii U前提で作っていたんじゃないかなあ。
岩崎氏:
いきなりある日、「これちょっとSwitchに移植してもらうから」って言われたんだろうね。それでも僕は尊敬するけど。肝心なところでひとつもミスがないから。
島国氏:
QA【※】がスゴいですよ。表彰ものですよ。
※QA
Quality Assurance(品質保証)の略称。この場合、メーカーの品質管理部門やセクションを指す。ゲームの場合は、割れ、欠けなどの製品としての不備以上に、バグなどを含む内容のクオリティチェックで活躍する。
岩崎氏:
そこに関してはCEDECなどで任天堂さんがしゃべっていないことが絶対あると思っていて。あのゲームはとにかく、アニメーションエラーが起こらないんですよ。
──ほうほう。
岩崎氏:
触るところに合わせてモーションが決まるという構造になっているから、崖とかがめちゃくちゃな形でも、アニメーションエラーがほぼ起こらないんです。
それほどエラーが起こらないというのは、ツールか何かを使わないと実現できないはずなので、CEDECで「デバッガーがバグ報告のタグとか貼れるのがスゴい!」と言っていたけれども……。
島国氏:
あれは言っていいことだから言っている(笑)。
岩崎氏:
そうそう。作った瞬間にチェックできるデバッグツールがないと無理ですし、今回は基本的にスーパー物理ゲームですから、物理エラーが絶対に発生するはずなんですよ。
鉄に鉄を積んだら空中に飛べちゃう物理エラーがありましたが、ああいうエラーはもっと本当だったらたくさんあるはず。
ところが、それがほぼないということは……自動ツールを使わない限りは絶対に回避できないだろうから、「どんな自動ツールを使ったんだろう?」と思っていて。僕はそれをCEDECでしゃべってくれると信じてたのに、ひと言も触れない!
hamatsu氏:
肝心なところは隠しますよ(笑)。
岩崎氏:
だから、あのCEDECの講演は、僕としてはものすごく不満。「『タグを貼るなんてことは、すごく手間暇がかかるけど、こんなのはなんとかなることなんだよ』じゃなくて! あのクソ広い、わけのわからないヘンな構造のマップで、物理エラーを起こさず作るためのどんなツールがあるのか、俺に教えてくれ!」という(笑)。
一同:
(笑)。
岩崎氏:
「300人のチームがとにかく毎週デバッグをやっていました」とかいって、それでバグが取れるのかといったら取り切れるはずがない! いったい何を使ったのかと!
hamatsu氏:
自分も何ヵ所か穴は見つけましたよ?(笑)
岩崎氏:
あー、やっぱり探しますよねえ?(笑)
hamatsu氏:
でも驚くほどの少なさですよね。ふつうはもっとある。ポリゴンとポリゴンが重なってパリパリしていたり。
島国氏:
本当に、QAチームに拍手したいと思います。すばらしい!
岩崎氏:
まあ、とにかくいろいろなところで無茶なゲームですよ。何度考えても、『ゼルダ』は間違いなく今年のナンバーワンゲームです。
島国氏:
確定でしょう。
岩崎氏:
1時間プレイして、「冗談じゃねえぞ!」って自覚したし(笑)。
ゲーム開始時に、丁寧なガイドがあるのに、それをぜんぜん無視できることに度肝を抜かれて、「マジか! これマジで任天堂が作ったのか!」となりました。
島国氏:
「「よし、こんなのを作ろう」って、誰も言い出さないからウチが作るけどいいよね?」って(笑)。
──発売された後でも誰も言い出しそうにもありません(笑)。
島国氏:
そう。あんなものを経営会議に持っていく奴はいないでしょう。
岩崎氏:
青沼さんの前に僕がいて、青沼さんに「作るよ」って言われたら「やめましょうよ。無茶ですよ」と言う。「こんなことやろうとしたら、どれだけコストがかかるかわかってるんですか?」と反論するね(笑)。
島国氏:
完成品を見たら、「こうやって作ればできるんでしょう?」と言えるのはわかるんだけど、「同じ工数をかけて同じようなもののさらに上を行きなさい」と言われたら、尻込みますよ。
岩崎氏:
本当に作るのもたいへんだったと思う。プロはみんなわかってるからビビっているよね。
hamatsu氏:
後の作品に影響が出るとしても、たぶん数年レベルで後になりますよね……。
岩崎氏:
作りかたはわかるんだけれども……。お金も時間もさることながら、少なくとも僕にはその度胸はない(笑)。
TAITAI:
さっきのメタスコア【※】の話じゃありませんが、ファンの期待を裏切る勇気ですよね。
※メタスコア
ゲームレビューサイト「Metacritic」によって算出される、複数のレビューサイトやメディアの評価点を集計して、100点満点に換算したもの。
hamatsu氏:
任天堂は3DS版の『神々のトライフォース2』で、アイテムをいきなりレンタル扱いしてお店で配ったりなど、けっこう定石外しみたいなことをちょっとずつやっていたんですよね。
そういう下地があるのかなと思います。そこらへんで手応えを得たから、今回、「始まりの台地でアイテムを配っちゃえ」みたいなことができたのかなと想像されます。
『トライフォース2』はコンパクトな作品。そこで検証をしているから大作にフィードバックができたのかなと。
岩崎氏:
確かにそれはあるかもしれないね。『トライフォース2』をやったときに、いきなりフックショットをもらってびっくりしたもの。
hamatsu氏:
「このダンジョンはフックショットのダンジョンね」と思った瞬間に、だいたいネタはわかる仕組みで、「この仕組みいいじゃん」と思っていたんですけど。
島国氏:
まあ、ファンの求めることだけに応え続けていたら、ずっと縮小再生産するしかないですから。どこかで「見たいものじゃないものを見せるけど、これで喜んでね」というものを突っ込まないと、IPは死にますよ。
hamatsu氏:
これだけ今回の『ゼルダ』が革新しちゃった、さらに言えば宮本茂さん【※】以外の人で革新したということは、たぶん向こう10年や20年、任天堂はまた「ゼルダ」を作っていくんだろうなと思います。
任天堂ってけっこうちょいちょいやらかすこともあるので、10年後ぐらいにデカいやらかしもあるかもしれませんが。Wii Uはやっぱりいろいろ問題が多かったと思うので、その反省をSwitchに活かしているんでしょうし、その先鞭として登場した今回の『ゼルダ』は想像以上の衝撃でした。
※宮本茂
任天堂株式会社 代表取締役 クリエイティブフェロー。1977年に任天堂に入社後、1981年にアーケード『ドンキーコング』を完成させ、以来、任天堂の代名詞たる「マリオ」シリーズや「ゼルダ」シリーズに始まるさまざまな作品を、つぎつぎとディレクションやプロデュース。ビデオゲームの第一人者として国内・海外問わず名高い。
ファンタジーとリアルを行き来する『スーパーマリオオデッセイ』の特殊さ
──『ゼルダ』はいつまでも語れちゃいますね。作品を跳び越えて任天堂全体の話にもなっていましたが、『スーパーマリオオデッセイ』(10月27日発売)を皆さんはどう捉えているのでしょう?
岩崎氏:
『オデッセイ』は『ゼルダ』と逆に、スーパー王道でびっくりしたんですよ。
hamatsu氏:
ああそうですね。僕も同意見です。原点回帰で、3Dのいちばんおいしいところをアップデートしてきたなと思いました。
岩崎氏:
僕は『オデッセイ』をアクションゲームじゃないと思っているんです。
TAITAI:
ほう。というと?
岩崎氏:
あれはパズルゲームに近い。なぜそう思ったかというと、『オデッセイ』最大の特徴は帽子【※】。極論から言うと、「そこにあるものに必ず帽子を乗っけることで、なんとかできまっせ」というレベルデザインなので。
島国氏:
それは場に仕掛けがあって、「アクセスすれば何かが起きる」をくり返していくというここ数年のトレンドです。「ドラクエ」もそっちに振りましたし。この仕組みはスキルは要らないんだけど、自分で考えていろいろやっている気分になれる、という最近見つかったもので、「これだったらプレイヤーは怒らないよ。かつ、見栄えもいろいろ変わるしね」というところに振ったのかなという気がしています。
岩崎氏:
『オデッセイ』は恐ろしいくらいそれを贅沢にやったゲーム。あらゆるものにあの帽子が乗っかりますよね。乗っかると全部違うアクションをする。「金かかってんなー!」と思いました(笑)。
hamatsu氏:
かかってますね。帽子にスゴいお金がかかってますよ。
島国氏:
あれはどうチェックしたんでしょうね。3Dアクションで帽子を投げるのって、わりと操作との相性が悪くて、もしかするとずっとストレスを溜めながらプレイしなきゃならないので(笑)。
TAITAI:
任天堂のゲームって、あんまりコスト感の話は出てきませんよね。
hamatsu氏:
でも「マリオ」と「ゼルダ」は突き抜けてコストをかけていると思うんですよね。
島国氏:
「ゼルダ」はコストをかけているとわかるんですけど、「マリオ」はわかりづらいので、なんとリッチなゲームなんだろうと思います。
hamatsu氏:
僕は『オデッセイ』はどちらかというと、「ゼルダ」っぽくなったと思いましたね。そのダンジョンにある、たとえばフックショットなら、フックショットを取ってすぐ使うというような、その場にあるものを使うという仕組みが応用されていて。
キラーだったら、「このステージはキラーを中心にムーン【※】を取るのね」というように。
※ムーン
『スーパーマリオ オデッセイ』の世界に散らばる「パワームーン」を指す。上位に「グランドムーン」もあり、これらを集めて拠点に持ち帰ると新たな世界への冒険ができるようになる。
岩崎氏:
言われてみれば、確かに。
hamatsu氏:
『ゼルダ』は、体ひとつでどこまでも行けるようになっちゃったわけですが、それは逆に昔の「マリオ」っぽいんですよね。
島国氏:
最後全裸で、お鍋のフタで勝てますもんね(笑)。
岩崎氏:
ジャストガードを100%出せれば、みんな弾き返せる(笑)。
hamatsu氏:
NINTENDO64の『マリオ』【※】では、最初の城がいちばん面白いと思っていたんですが、今回の『マリオ』はそのお城の面白さをいろいろなフィールドに展開した趣きがあって……と思っていたら城が来た(笑)。
※NINTENDO64の『マリオ』
1996年に任天堂が発売したNINTENDO64用アクションゲーム、『スーパーマリオ64』のこと。初代ファミコンから続く「スーパーマリオ」シリーズの中で、初めて3D空間を跳び回るものとなった。3Dスティックによるキャラクター移動、Cボタンユニットによるカメラの操作、画角の切り替えや固定、それらの連携によって生まれる新しいアクションゲームの楽しみなど、この作品によってスタンダードとなった概念も多く、その画期性はシリーズを超え、後の3Dアクションゲーム全般に影響を与えたと言われている。2004年には『スーパーマリオ64DS』というニンテンドーDS専用ソフトも販売された。
島国氏:
やっぱりこれだったんだと(笑)。
岩崎氏:
(笑)。
hamatsu氏:
CMにもお城は出ているから言っていいと思うんですけど、城が出たという時点で、64をすごく意識しているんだと思いました。
島国氏:
64の『マリオ』は当時衝撃的でした。あのとき、任天堂さんとライバル関係にあるところの下のほうで働いていたんですけど、「うわあ、負けた。任天堂に負けた」って思ったんです。
とくに具体的に何かが負けたということもなかったんですが、
「3Dのゲームはこうやって作るんですよ」というものが全部入っていたのに衝撃を受けたわけで。
なんというか64というハードウェアの性能が、そもそもあのタイトルを作るためのもの。だから、ほかのゲームが作りにくいったらありゃしない(笑)。でも、そのぶん64の『マリオ』は異常にデキがいいわけです。
岩崎氏:
64の『マリオ』で苦労してるのは視点だけ。欠点はカメラだけだよね。当時はカメラをコントロールする技術がぜんぜん確立されてないからしかたないけど。
TAITAI:
とはいえ、あの当時の水準からしたら文句なくスゴいですよ。
島国氏:
まともなTPSアクションはあれが初めてですからね。いまだにタイムトライアルをやっている人たちがいっぱいいるくらい、相当よくできたゲームだと思います。
岩崎氏:
『オデッセイ』は、言われてみれば確かに昔の「ゼルダ」に近い。「アクションに問題がある」と言われることもあるようだけど、そんなの百も承知でやっていると思うんですよ。その証拠に、アクションゲームとして見ると異常に緩いじゃないですか。自分の当たり判定もじつはすごく小さくて、たとえ敵に当たっても減るのはほとんどHP1だし。
島国氏:
「マリオ」以外でも、任天堂さんはわりとそっちに振り切っていますね。『ゼルダ』には予想外に難しいモードがたくさんあったので驚きましたが、『マリオカート』【※】を買ってきて子どもにやらせたら、簡単に1位2位を獲っていくので「なんだこれは」と(笑)。お客さんの層を狭めないようにしていると感じます。
※マリオカート
ここでは2017年に発売されたNintendo Switch用の『マリオカート8 デラックス』を指している。
hamatsu氏:
64のときも、「あ、このくらいでスターは取れるんだ」というのはありましたよ。そのぶん、ガッツリ遊ばせたうえで取らせるスターもあるし。比重がバラバラだったのがよかったと思います。
『オデッセイ』もそういうところへ戻している。キューブの『サンシャイン』【※】のときは、1回ごとにそれなりのタスクをこなしてやっと1個取れるような、けっこう均一な重さがあって、だんだん「重いなあ」と感じていたんですが、『オデッセイ』はその軽重の落差がハンパじゃなくて、「こ、これだけやって1個?」というものもあるんですよ(笑)。
島国氏:
『サンシャイン』はタスクリストがザーっと残っている気分がして、ちょっとツラいんですよね。
hamatsu氏:
『オデッセイ』はムーンがふつうにそのへんの木の上にあったりもする雑な感じもいいなあと。
TAITAI:
しかもあれ、余るのにびっくりしたんです。全部集めなきゃいけないと思っていたら、余るんですよ。
岩崎氏:
あれは、スキルが足りずに行けない問題を解決するためでしょうね。
島国氏:
ストレスがないので、本当に巧い作りだと思います。アクションには納得いってませんけどね。アクションじゃないからしかたがないか(笑)。
岩崎氏:
うん。あれはアクションのフリをしているだけでしょう。
hamatsu氏:
3DSの『マリオ』から“つかまり”がなくなったんですが、それはかなりガチめな3Dアクションを作ろうとしたからだと思うんです。ところが今回それが復活していたということは、「おおらかにステージを楽しんでね」ということだったんだと思います。つかまりを入れちゃうと、一瞬ゲームが止まるので、絶対にゲームのリズムは崩れるんですよ。
岩崎氏:
それはすごい納得がいきますね。
hamatsu氏:
あと、自分は背景のデザインをやっているので、やっぱり『オデッセイ』の背景のデザインが気になりました。じつは『オデッセイ』って相当キてて。
──どういうところがですか?
hamatsu氏:
リアリティーライン【※】が変動しすぎているんですよ(笑)。リアルだと思うとファンタジーになって、ファンタジーだと思うとリアルになって。意図的でしょうけど、あれはちょっと常軌を逸したデザインですね。雲の国はファンタジーでほわほわなんですが、つぎはニュードンクシティでグッとリアルになる。そしてなんと言っても料理の国。
料理の国とニュードンクが並立する世界! だけど「マリオ」だとふつうにアリになれるんです。そういうリアリティーラインを変動させることで発生するリズムは意識的に作っていたんでしょう。
※リアリティーライン
フィクション作品でリアリティーの水準を決める閾値を指す。具体的な数値などがあるわけではないが、どこまで現実的な描写をすべきかを制作者たちが考えた結果として現れる。フィクションラインとも呼ばれるが、ともに造語。
島国氏:
リズムのため? それはいい。スゴいなあ。いま若いスタッフたちに絵を作らせると、みんながスゴいリアル寄りにしてしまうんで、そうじゃないことをどう説明すればいいかと思っているんですが、それはいいですね。今度から『オデッセイ』を例に説明しよう!
岩崎氏:
すごく腑に落ちました。僕は国ごとに意図的に環境の状態を振り分けているなと思っていたんですが、環境じゃなくて、ファンタジーとリアルか。
島国氏:
その方法だと、チームを分けてうまく作れますね。
hamatsu氏:
「マリオ」って2Dのころだと、「とりあえず通常ステージに水のステージ、それにツルツル滑る雪のステージに、マグマが滾るクッパ城を」みたいな感じで大雑把に特徴をつけて作っているわけですが、グラフィックの表現力が上がると、『サンシャイン』のように「同じ夏の中でいろいろなバリエーションを作ろう」みたいなものになる。
今回はそれを逆の方向、超リアルな国とリアルじゃない国みたいなバリエーションを極大化する方向に振っているわけです。
TAITAI:
それはプレイヤーの感じるハードルを下げる効果があるということですか?
島国氏:
同じ味付けの料理を食べ続けなくても済む仕組みですかね。
hamatsu氏:
『サンシャイン』の夏のバリエーションというのも真っ当かつ正当進化な作りかただと思うんですが、でも『サンシャイン』を遊んでいると、「やっぱり氷のステージもほしくない?」となる。そこで今回はふつうに氷の国を作るのではなく、砂漠の国にしていて。
2Dで記号的に表現していたものを、より繊細に表現したのが『サンシャイン』だとすると、2D的な表現を取り入れつつ、より抽象性を高めたり、「マリオ」とは思えないほどリアルな表現に挑んでいたりするのが『オデッセイ』。
とにかく表現の振り幅がありえないほど広い。かなり面白いことに挑戦していると思います。
『スパロボ』【※】に、リアルロボットとスーパーロボットという区分けがありますよね。
あれもスゴい区分けですが、『スパロボ』ではマジンガーZとガンダムが同時に戦うというあり得ない世界をずっとやっていた。それの背景版を『オデッセイ』はやっている感じです。
ふつうは並列しない世界を、「マリオ」という枠で強引にまとめたと。「マリオ」だったらまとまっちゃうんです。
島国氏:
ニュードンクを走ってるときに、めちゃくちゃ「ソニック」【※】を思い出しましたけどね(笑)。なるほど、おもしろいですね。そのステージ設計の振り幅は。
※ソニック
ハリネズミの主人公ソニックがステージを縦横無尽に駆け回る、セガのアクションゲーム「ソニック」シリーズを指す。
岩崎氏:
『マリオ』は、『ゼルダ』と違って発想の方法の想像がつくので、「ディレクションして」と言われればできなくはないと思うんです。
でも、どうかしている。お金もかかりすぎだろうと。勝たないといけないゲームだからしかたがないんだけど、ふたり協力プレイも、コストがハンパないですよ。ここまでやっちゃうのか……こんなゲーム作っちゃって……。
一同:
(笑)。
島国氏:
後がたいへんですよね(笑)。でも、こういう勝たなきゃいけないタイトルに浴びせるほどお金を注ぎ込んで勝ってくれるところがあるというのは、たいへんありがたいことです。冒険してナンボのエンターテイメントを引っ張ってくれるわけですから。
宮本さんの形
TAITAI:
なんと言うか……言いかたが難しいんですが、たとえば『FFXV』もお金をかけて勝たなきゃいけないゲームですよね? でも、『XV』と、『オデッセイ』や『ゼルダ』から受けるあの感じは別物だと思うんですよ。その差を考えているんですが……。
岩崎氏:
僕の知り合いで面白い表現をした人がいて、任天堂の本当の意味でびっくりするゲームというのはみんな同じ形をしていると言っていて。とにかくあらゆるテストをして、徹底的に削って、キレイなツルツルの形にして出すから、みんなが面白がれるんだと。
その人いわく、昔の任天堂にはそのツルツルの形がひとつしかなかったそうなんですよ。それは何の形かというと、宮本さんの形だと。
【飯田和敏連載】あの日、宮本茂の講評が美大生だった僕に与えた衝撃…『アクアノートの休日』を形成したクリエイター達。「若ゲ」前日譚を語ろう
宮本さんの形というのは、よくも悪くもまん丸。ところがいまの『オデッセイ』や『ゼルダ』は、まん丸じゃなくてちょっとひずんで変わった形になっているのが、いままでの任天堂と違うんだと。でも、ツルツルなのは変わらないと。
hamatsu氏:
(笑)。
島国氏:
0点から50点は取れるんだけど、80点以上を得ようとすると、コストがとてもかかるんですよね。でも、任天堂はあからさまに最後のツルツルにコストをかけているんですよね。
岩崎氏:
そう。そのツルツルコストを狂ったようにかけている。
TAITAI:
でも資金力という側面でいったら、別に任天堂に負けない会社はあるわけで。アクティビジョン・ブリザード【※1】やノーティドッグ【※2】などそうでしょう。でもなんで任天堂だけがちゃんとやれるのか? まあ、ブリザードも同じくらいできています。任天堂とブリザードは別格かも。
※1 アクティビジョン・ブリザード
RTS『Warcraft』、アクションRPG『ディアブロ』などで名を馳せたブリザード・エンターテイメントが仏企業ヴィヴェンディの傘下となり、そのゲーム部門ヴィヴェンディ・ユニバーサルゲームズが2007年に老舗アクティビジョン社と合併し、成立したアメリカのゲーム会社。2013年には親会社であるヴィヴェンディから株式を取得し、独立した会社となっている。
※2 ノーティドッグ
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の傘下にある、アメリカのゲーム開発会社。「クラッシュ・バンディクー」シリーズや「アンチャーテッド」シリーズなどで知られ、近年では『The Last of Us』を作り上げている。
岩崎氏:
任天堂さんのツルツル度というのは、ずっと常軌を逸しているんです。
島国氏:
ブランドとしては役に立つツルツルですが、1個1個のタイトルの売り上げには貢献しづらい磨きかたですね。
hamatsu氏:
「ウチが売れている理由はそこにある」と思っているからできるんじゃないでしょうか。
TAITAI:
そこが任天堂が勝てる領域ならいいんだけど、いまの説明だと「10年後などには負けるのでは?」という感じがする。どうなんだろう?
岩崎氏:
僕は無茶が差になっていると思うんですよね。
島国氏:
無茶な戦いかたをしていると、その無茶が好きな奴が寄ってくるし(笑)。
hamatsu氏:
『オデッセイ』と『ゼルダ』が、『マリオ64』と『時のオカリナ』【※】をバージョンアップしただけだったら、どんなに磨いてもキツかったと思うんです。『オデッセイ』はまだ原点回帰的なところがあるとはいえ、『ゼルダ』であれだけ変えて、任天堂っぽさもちゃんと入れたのはスゴすぎる……。
※時のオカリナ
1998年に任天堂から発売された、NINTENDO64用タイトル『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のこと。シリーズ最初の3Dゲームであり、『スーパーマリオ64』と並んで、その後の3Dタイトルのありかたに多大な影響を与えた。
岩崎氏:
なおかつツルツルですからね。僕の知り合いいわく、宮本さんは、いまはツルツルになるところだけを見ているんだそうです。元の形はスタッフに任せる。でもツルツルにするためのチェックはするという。で、どうなったかというと、僕は任天堂のいままでのソフトの中でも『オデッセイ』と『ゼルダ』がいちばんおもしろかったんです。スゴいびっくりした。
島国氏:
『ゼルダ』は群を抜いておもしろいですね。形がいびつ。いびつなものをいびつなままツルツルに磨いてきたから、スゴい楽しくて。『NieR』【※】などもあからさまにいびつさが面白い。
イビツなものは、先が見たくなるんですよ。丸いものは触る前から手触りがわかってしまうので。
※NieR
2017年2月23日発売のプレイステーション4用アクションRPG、NieR:Automata(ニーア:オートマタ)のこと。2010年にスクウェア・エニックスより発売された主人公違いの双子の作品『NieR: RepliCant』/『NieR: Gestalt』の続編にあたり、出荷と配信を合わせて全世界で200万本以上のヒットとなった。
岩崎氏:
宮本さんくらいに完璧にツルツルだと触りたくなっちゃうよね(笑)。触るとスゴく気持ちいいので。
島国氏:
それは超わかります(笑)。
hamatsu氏:
「ゼルダ」と「マリオ」を同じ年に出すという相当なハードルの高さを、Switchはよくもまあクリアしたなと思います。
島国氏:
Switchは、それでハードの価値が一気に上がりましたよね。
hamatsu氏:
その2タイトルが同時に出た年を調べたんですが、ディスクシステム【※】のときの『スーパーマリオブラザーズ2』と『ゼルダの伝説』1作目のときと、『サンシャイン』と『風のタクト』のときくらいしかないんです。
1作目はどちらもディレクターが宮本さん。『サンシャイン』と『風のタクト』で初めてディレクターが分かれて、そこから基本的に「マリオ」は小泉歓晃さんがやられて、「ゼルダ」は青沼さんがやられて、そのとき賛否が相当あったというか酷評もされていたんですけど、ここまでツルツルになるほどずっと続けられたのは、やはり任天堂という会社の凄みだと思います。
※ディスクシステム
1986年に任天堂から発売された、ファミリーコンピュータ用周辺機器。専用のディスクメディアからゲームを読み出してプレイしたり、プレイ内容の一部を書き込んで記録させたりすることができた。
──ほかの会社であれば10年経ったら、まったく人が入れ替わっていることも多そうですね。それだけ宮本さんが偉大だし、その看板の下でじっくり時間をかけていまのエースたちが育っていったと。
hamatsu氏:
昔、『ギャラクシー』のときのCEDECで小泉歓晃さん【※】が登壇されていた講演に参加したんですが、そのときに宮本さんが64の『マリオ』は、さっき話した“つかまり”とか、カメラ操作とかがあって、「いままでの「マリオ」とはリズムが変わっちゃったんじゃないか?」と言っていたんですよ。
宮本さんはカメラ操作を嫌うんです。カメラ操作はゲーム操作にとってもノイズだと基本的に思っていらっしゃる。だからカメラ操作を極力しないゲームを作られるんですが。
※小泉歓晃
任天堂 企画制作本部副本部長。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』ではキャラクターデザインとともに3Dのシステムをディレクション。話題となっている『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』では青沼氏とともにディレクターを務め、ゲームの中心街であるクロックタウンを担当。同作の独自性に大きく寄与している。
──64でのその変化を嫌っていたと。
hamatsu氏:
ええ。宮本さんて、究極的に言うとレースゲームの人だと僕は思っています。「マリオカート」などのレースゲームを作るのが、つまりどこにもぶつからずに、ノーミスで最高のコースアタックをひたすら磨いてい楽しむというゲームを作るのがいちばんうまい人だと思うんですね。
そういう中で“つかまり”やカメラ操作みたいなものは、基本的にノイズでしかなくて、だから排除する方向にあるんじゃないかと思うんです。だからまん丸に喩えられる。
島国氏:
RTA【※】みたいなものが、本来目指すべき方向で、究極ということ?
※RTA
Real Time Atack(リアルタイムアタック)の略称。特定のゲームの特定の区間をタイムアタックする遊びかたで、ストリーミング放送や動画配信との相性がよく、近年盛んとなっている。なお、英語圏ではRTAではなく、Speedrunと呼ばれる。
hamatsu氏:
ええ、そういうプレイをしているユーザーを、宮本さんはニヤニヤしながら見ているんじゃないかなと(笑)。
岩崎氏:
ああ、それは僕もそうだと思うな(笑)。
僕は『ピクミン』が、リソースコントロールから何から、宮本さんらしさがいちばん出たゲームだと思っています。
hamatsu氏:
『ピクミン』も突き詰めていくと、レースゲームみたいになっていきますよね。
岩崎氏:
そうそう!
島国氏:
いやー、でもあれはたぶん、ピクミンというリソースのコントロールと、謎解き的なメインのゲームとを正しく両立させないとうまく解けないゲームを作るという、宮本さんの悪い癖が出ただけだと思うんですけど(笑)。なかなかいまだとやっちゃいけないワザをやりまくってるみたいなところがある。
岩崎氏:
『ピクミン』1作目はそれが異常におもしろかったの。
島国氏:
でも趣味に振り切りすぎたから、「マリオ」のように人々がついて来ませんでしたよね。
hamatsu氏:
ほぼ日か何かのインタビューで、宮本さんは右腕たる手塚卓志さん【※】を指して、「手塚さんは「マリオ」でピースとかしたがるんだけど、僕はそれすらいらないと思ってる」というようなことを言っていて。「マリオがピースとかちょっと違うと思っていて」と(笑)。
※手塚卓志
1960年生まれのゲームクリエイター。任天堂情報開発本部所属。ファミリーコンピュータの頃からゲーム開発に携わり、マリオが登場する多くのゲームでディレクションやプロデュースを行っている。
──それはきびしい!
hamatsu氏:
手塚さんが主導したタイトルと言えば「どうぶつの森」。そう考えると「どうぶつの森」って、どう考えても非宮本タイトルの代表みたいなタイトルだと思うんです。宮本茂は絶対にああいうものを作らない。宮本茂でほんわかした世界を作ろうとすると「ピクミン」になっちゃうという(笑)。
島国氏:
絶望の物語!(笑)
TAITAI:
(笑)。
hamatsu氏:
「ほんわかのつもりが、よりガチになってる!」というようなものですね(笑)。どちらかというとピースは、その非宮本的な「どうぶつの森」のように、余剰の豊かさを楽しむものにハマる行為なんですね。
──宮本さん伝授のツルツルさこそあれ、ここ10年をかけて育んできた下の世代という花が、Switchという場で大きく開いたのが任天堂の2017年ということですね。「ゼルダ」、「マリオ」と開花しているので、ぜひ2018年は「どうぶつの森」の花も開いてほしいところです。
迷いの見えた『スプラトゥーン2』
──そうだ。『スプラトゥーン2』(7月21日発売)はどうだったんですか?
岩崎氏:
ゲームの出来としては文句なしにいいと思うんですけど、『スプラ2』でいちばん引っかかるのは……マッチングかなあ?
hamatsu氏:
1作目から鮮烈にデビューもしたし、人気も出て、実際売れたし。でも「次はどうしたらいいんだろう?」というところで若干迷いがあるというか。
TAITAI:
そうですね。期待していた伸びを感じなかったですね。
島国氏:
でも、1作目で鮮烈デビューして、2作目が期待されすぎちゃったのはたいへんなんだろうなと思います。
hamatsu氏:
今回は、相当バランス重視なマッチングにしているんですよ。
岩崎氏:
任天堂版の『コール オブ デューティ』をやられても困るというか……。方向性を見誤ったんじゃないのかなと思います。任天堂版の『オーバーウォッチ』というか。
島国氏:
自分はクソFPS野郎なんですが、「そういうシューティングであることをうまくごまかしてきた」というのが1作目だったんですが……マッチングの場をもっと大事にするべきだし、いろいろなところでいろいろ抜けていると思いました。ほかにうまくやっているタイトルはいっぱいある中でなので、なおのこと思います。
TAITAI:
まあ、それこそ『PUBG』的な何かが求められていたはずなんですけどね。
hamatsu氏:
ちょっと、ガチシューターに寄りすぎてるのかなあ。当然そういうガチなモードがあってもいいんですけど、もうちょっと別の方向を据えてないとさらに広まらないなと思います。
TAITAI:
いちおう“サーモンラン”【※】とかがそういう方向性なんだろうけど。
※サーモンラン
『スプラトゥーン2』で協力プレイ可能な「サーモンラン」のモードのこと。シャケを退治するバイトで、報酬のポイントを貯めるとギアなどと交換できる。
島国氏:
いやあ、残念ながら人はアクセルを踏んだらいちばん速くまで出したいんですよ。いちばん高い山があったら、そこに行けないと不満が出る。
hamatsu氏:
『マリオカート』とは別の方向を目指しているんだと思います。違う方向に行こうとはしているんだけど……。
島国氏:
レースゲームでいう「マリオカート」の位置に、FPSでは「スプラ」を持ってきたのかと最初は思っていたんですけどね。『スプラ2』がわりとガチで来たから、「ああ違うのか」となりました。
hamatsu氏:
何かのインタビューで、プロゲーマーのウメハラさんが「バランスを正常にするより、壊れ性能を残したほうがゲームとしておもしろい」みたいなことを言っていたけど、それなのかなあ。どちらかというと、『スプラ2』はバランスを取る方向に進んだというのがあると思いますね。
TAITAI:
バランスはもちろん大事なんだけど、コンピューターゲームの面白さって、もっとその手前にあるというか。
単純なボタンを押した時の気持ちよさだとか、もっとプリミティブな快楽なんですよね。
島国氏:
アリカ西谷さんのインタビューで、「完全にバランスを取ったら、全部同キャラ対戦になっちゃう」という話と同じだね。
『ストII』で格闘ゲームを生んだ伝説の男、西谷亮が挑むジャンルの再構築──『FIGHTING EX LAYER』にアリカが社運をかけて臨む理由【聞き手:「鉄拳」原田勝弘】
TAITAI:
極論を言うとそうですね。
hamatsu氏:
とはいえ、国産TPSでいつのまにか百何十万と売れているのはスゴいこと。みんな当然のように対戦をする環境まで持っていったのは単純にスゴいことだと思います。おそらく今後も定番タイトルとして売れ続けるでしょうし、個人的にも今後も遊び続けると思います。
さらに言えば、いままでは、対戦型のFPSとかTPSって国内では熱心にやる人はやっていたけど、やらない人はやらないという断絶した状態だったのが、『スプラトゥーン』で共通の場ができて「ツラいわー」なんて皆が語り出した。そういう不満を言える環境まで作っちゃったのがスゴい。
岩崎氏:
それは思うね。このゲームって勝負はマジでガチだから、「けっこうちゃんとe-Sports並みのゲームをみんなやっちゃてるんだけどいいの?」みたいに思うときはありますね。
hamatsu氏:
『スプラトゥーン』も『ARMS』(6月16日発売)もそうなんですが、いま任天堂って真面目にスポーツと呼べるくらいのゲームを作ろうとしているのかなという感じがします。でも、そのガチな路線と任天堂がもっとも得意とするファミリー向け路線との齟齬も若干感じるのですが。
TAITAI:
ああそれはありますね。
岩崎氏:
確かに任天堂はスポーツみたいなゲームを作ろうとしてるのかもしれないな。言われてみてそうかもと思った。
島国氏:
でも、わりと真面目にスポーツゲームを作るのなら、SwitchのJoy-Con【※】って合いませんよね。
岩崎氏:
それも言えてるな。任天堂は操作系でまだ問題を抱えてるんだなあ。
──Wii、Wii Uと幅広い層にゲームを楽しんでもらうため、犠牲にした操作系が、ここへ来てのハードプレイを要求するゲーム群の中でネックになっているという話ですね。Joy-Conでそのいいとこ取りを目論んでいたり、そのためのプロコン【※】などもあったりしますが……。幅広さと専門性のあいだで揺れ動く任天堂の気持ちみたいなものが見え隠れしますね。
※プロコン
「Nintendo Switch Proコントローラー」の略称。Joy-Conのように左手部分と右手部分が分離しておらず、Xbox系統のコントローラーに近いレイアウトをしている。USBで充電し、ワイヤレスプレイが可能。