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電ファミ執筆陣の超めんどくさいオトナたち(岩崎啓眞、島国大和、hamatsu、TAITAI)が言いたい放題! 2017年歳末ゲーム大放談【特濃】

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『ゼルダ』の雛形としての『ゼノブレイド』

hamatsu氏:
 皆さん『ゼノブレイド2』(12月1日発売)ってやりました? 自分はまだ冒頭しか触れていないんですが。

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画像は『ゼノブレイド2』公式サイトのスクリーンショット。
(画像は『ゼノブレイド2』公式サイトより)

岩崎氏:
 ちょうどいま遊んでいます。よくできているとは思います。

hamatsu氏:
 僕はモノリスソフト【※】が任天堂にとって重要なパートナーみたいな感じになっているなと思いました。『ゼルダ』にもガッツリ関わっているんですよね?
 Wiiの『ゼノブレイド』の時点で、モノリスはオープンワールドみたいなことをやっていたので、あそこでそれをやっていなかったら、逆に今回の『ゼルダ』も、ここまでオープンワールドに振れなかったと思うんです。

※モノリスソフト
高橋哲哉氏をはじめとする、『ゼノギアス』の開発スタッフを中心としたメンバーがスクウェアから独立して設立した会社。1999年の独立当初はナムコ(当時)の資本提供を受け、2002年には『ゼノサーガ エピソードI[力への意志]』をリリース。以降は「ゼノサーガ」、「ゼノブレイド」シリーズを中心に開発している。2007年には株式がバンダイナムコゲームスから任天堂に譲渡されている。

──モノリスのノウハウが『ゼルダ』のフィールドに繋がったと。

hamatsu氏:
 モノリスソフトってほんとにフィールド作りが得意な会社なんでしょうね。このフィールドへの情熱はいったいどこからくるんでしょう? そのくらい凝りますよね。モノリスのフィールドは草をいっぱい生やしたりなどして豊かに見えますが、そこは恐らく別処理であったり、広いフィールドを軽めに密度高めに見せる技術だったりをいっぱい持っているんですよね。おそらくその技術を『ゼルダ』にも活かしているんでしょう。

岩崎氏:
 『ゼルダ』はフッサフサに草が生えていますもんね。Switchって中身は実質的にNVIDIAのShield【※】じゃないですか。そのShield のGPUって、パフォーマンスの程度がだいたいわかっているけど、そこから考えると、エライいい絵が出るなと感心していたんです。

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(画像はゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 3rd トレーラーより)

 フィールドに情熱を持っているモノリスソフトさんがそこに関わっていると考えると、すごく納得しますね。

※Shield
PC用のグラフィックボードで著名なNVIDIA社が開発した携帯型のゲーム機。ポータブル機やタブレット機がある。Nintendo SwitchはNVIDIAと任天堂の共同開発であり、カスタマイズされたTegraプロセッサーを載せている。同プロセッサーを使うShieldの技術と同根と言える。

hamatsu氏:
 フィールドのデザインにしても、どうしても海外のゲームはリアル思考というか、「本当にこういう地形があってもいいだろう」みたいな考えかたで作るんですが、モノリスソフトは超巨大な巨人をフィールドにしてしまうような、中二っぽい要素を足すのが画期的なんです。『ゼルダ』を遊んでいて、「これはモノリスがやったんじゃないの?」と思う場所はあったりしますね。

岩崎氏:
 すげぇ言いたいことはわかる。まあ『ゼルダ』はフィールドもイカれてるよな。あんなに端から端までイカれたゲームはなかなかない。
 しかし『ゼノブレイド2』もシェーダーが風変わりだよね。何のゲームに似ているかというと、「テイルズ」だ。「テイルズ」っぽいシェーダーの乗せかたやレンダリングの作りかたをしているけど、モンスターが「テイルズ」よりもリアルっぽい側に押していて、ミスマッチに近いくらいキャラとモンスターのあいだに差があるのが特徴だね。完全にいま風のアニメキャラで、揺れモノもいっぱい付いていて。

──画面の中に質感の異なるものが同時にいる感じですね。

岩崎氏:
 ええ、『ゼノブレイド2』で謎なのは、そのキャラクターが以前に比べてえらくいまウケする感じになっていることです。

hamatsu氏:
 それはおそらくなんですけど、「ファイアーエムブレム」【※1】でコザキユースケ【※2】さんなどがキャラクターデザインをするようになり、そのコザキさんは『ポケモンGO』もやっていたりする。たぶんそのあたりで、ワールドワイドにウケやすいイラストを描く人々の人脈が、任天堂の中にできつつあるんじゃないかなと。ちなみにキャラクターは『楽園追放』【※3】のキャラデザをやっていた齋藤将嗣さんが担当されていますね。

※3 楽園追放
東映アニメーションとニトロプラスが合作した、2014年公開のアニメーション映画。肉体を棄て、データとなって生きていた人類が住まう世界に異変が起き、その謎を追って生身の身体を手に入れた捜査員が活躍する。水島精二監督、虚淵玄脚本。キャラクターデザインは齋藤将嗣。

※1 ファイアーエムブレム
インテリジェントシステムズが開発し、任天堂が発売しているシミュレーションRPGシリーズ。略称は「FE」。第1作目の『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』は1990年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売された。シミュレーションRPGというジャンルとその人気を確立した作品で、現在も続編が制作されている。

※2 コザキユースケ
1978年生まれのマンガ家。アニメやゲームのキャラクターデザインの仕事も多く、『NO MORE HEROES』、『ファイアーエムブレム 覚醒』以降の「ファイアーエムブレム」シリーズ、『ポケモンGO』などを手がけている。

島国氏:
 ナムコさんの下にいたときと、芸風がゴビョっと変わりましたね。

hamatsu氏:
 キャラクターはいろいろ言われていたから、「変えよう」という思いはあったんじゃないですかね。

──その甲斐あってか、シリーズ最高の売上を記録していますね。北米でも過去シリーズの人気から年末商戦でも健闘しているようで、こういうタイトル含め、今年は“和ゲー”の復権の兆しが感じられますね。

AAAタイトルは曲がり角に来ている?

──だんだんとまとめる方向に向かいますが、忘れてはならないのがSteamというマーケットです。今年は『Undertale』(8月16日日本発売)や『Cuphead』(9月29日発売)が目立っていましたが。

hamatsu氏:
 どちらもインディーズですね。今日のためにクリアしてきました(笑)。『Undertale』はそこそこ開発人数がいるようですが、それでも少人数開発ですね。

岩崎氏:
 『Undertale』も『Cuphead』もダウンロードとSNSの組み合わせが力になって、こういうインディーズでもちゃんとメシを食わせてくれるチャンスをもらえるようになったということが、スゴくすばらしいと思います。もしかすると、横スクロールのシューティングを5年かけて作っても、売れる夢が持てるのかなと……。

──それはどうでしょう?(笑)

島国氏:
 『Cuphead』はすごく跳ねたんで、つぎを1本くらい外してもいいんじゃないですか? それは本当によいことだと思いますね。当てに行くとおもしろくもなんともないですからね。

hamatsu氏:
 『Cuphead2』とかがあったら、超絶やさしい感じになっちゃったりして(笑)。

島国氏:
 『Minecraft』の制作者が、作って売れて売却して、あとは悠悠自適にされているので。

岩崎氏:
 『Cuphead』で僕がいちばん気になるのは、こういう系でヒットを飛ばした人たちは、つぎでだいたいダメなことが多いこと。きっと何を作ったらいいのかわからなくなるんだろうなと。

──好きなモノが作りたくて全身全霊を込めたインディーズならではの悩みですね。逆にAAAタイトルなどはどうでしょう?

岩崎氏:
 ああ……『シャドウ・オブ・ウォー』(10月12日発売)は僕的にガッカリゲームでしたね。

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画像は『シャドウ・オブ・ウォー』ゲーム画面。
(画像は『シャドウ・オブ・ウォー』公式サイトより)

島国氏:
 あ、言っちゃった。

TAITAI:
 前作の『シャドウ・オブ・モルドール』は絶賛されていたじゃないですか?

岩崎氏:
 前作はオープンワールドにしては、たぶん予算がなかったんでしょう。リソースの制約が厳しくて、その中で彼らは敵に人格が生まれていく“ネメシスシステム”という、「これだけはちゃんと表現したい」ということがあり、いろいろなものを切り捨てて、それで動的世界を作ることに集中したからよかったんです。
 オープンワールドとして見ると、典型的なパルクール型【※】の、タワーに登るとマップが見えるという構造で、ストーリーもある意味割り切った、遊ぶだけじゃ10時間かからないんじゃないかなというくらいのサイズ。でも、「プレイヤーが死ぬ」ということにちゃんと意味がある、ゲームデザイナーが大事にしているところだけはちゃんと守ったゲームだったわけです。
 ところが、『シャドウ・オブ・ウォー』は、前作の大ヒットのおかげで、ちゃんと予算もある、「ひととおりあれもこれもみんな入れました」というゲームになり、その結果、尖ったところがない、寝ぼけたゲームになってしまった。

※パルクール型
パルクールとは、跳躍、疾走、登攀などを組み合わせた運動のこと。近年はストリートの施設や建造物を障害に見立て、その上や側面などを利用してスピード感あふれる移動を続ける運動として見られる。パルクール型とは、そうした運動に見られるような、「跳躍や疾走、登攀などを中心としている」という意味合い。

島国氏:
 岩崎さんは基本的にいびつで尖ったものが見たいんですよね? ゲームをいっぱいやりすぎていて飽きているせいもあるんでしょうけど。初めての人が触ったらまた印象も違うと思いますよ。

岩崎氏:
 それもそうだけど、やっぱり前作が魅力的だったので、そっちに振り切ってほしかったという思いが強くあったんですよね。動的な世界の中で、プレイヤーがどういうふうに行動するかを問われるという、なんとも微妙な気持ちになるゲームで……。

hamatsu氏:
 こうやって見ると、洋ゲーのAAAタイトルも若干曲がり角というか、難しくなってきているようですね。

TAITAI:
 明らかにそうですね。

島国氏:
 スゴいいいまとめに入った(笑)。

hamatsu氏:
 『Holizon Zero Dawn』がゲリラゲームズなのに確変【※】に入ったみたいによくできていたと思うんです。あとは『アサシン クリード オリジンズ』も評判はいいし、よくできていると思うんですけど、なんと言うのか……。

 1~2年前にオープンワールドのタイトルが出まくって、そこでオープンワールドというジャンルすら洋ゲー的にはひとつの完成点に至ったのかなと思うんですが、そのつぎに何をやればいいかが、AAAタイトルはよくわからなくなってきていますね。

※確変
確率変動の略称。パチンコ類で“当たり”の確率を上げることにより、大当たりのチャンスが広がった状態。

岩崎氏:
 AAAタイトルって、お金がかかりすぎているという問題が強くあって。僕の知り合いがユービーアイのアートラインのマネジメントをしているんですが、とんでもない話をするんです。
 ユービーアイのAAAタイトルのアートのチームは100人単位で、「お前らにはこれ」と言って、分刻みではないけど、非常に超精密なスケジュールとタスクリストを作って渡し、それを正確に流していくという作りかたをする。

──欧米のプロジェクトマメジメントは、極まっているでしょうね。

岩崎氏:
 そう、100人単位なんていうサイズだから、彼らの手が1日空くだけで1億円くらいの穴がボカンと空くというわけですよ。だから、精密に流すことがものすごく大事なことになる。
 ところが、このアートのラインは実際にはものすごく乱れる。乱れるとその瞬間に億単位のお金が溶けていくと言うんですよ。1週間乱れると6億円が飛び、それをやらかすと、その後も緻密に組まれているから影響は強く、ラインが総崩れになっていくから、その更新とかでまたお金がぶっ飛ぶと。

島国氏:
 ツラっ! そうなるともうゲームを作ってる感はゼロで、完全にロジスティックス【※】ですよね。

※ロジスティックス
一般的には物流を指し、原材料の調達などから販売にいたるまでの、商品の物流する仕組みやその管理を表す。ここではゲーム制作がシステマティックに管理されているその姿をロジスティックスに喩えている。

岩崎氏:
 「アサシン クリード」など、2ヵ月発売が遅れると、だいたい10億円は予算が膨らむらしく、聞いていて顔から冷や汗しか出ない。「仮に崩れて、それでも何とかしないといけなかったらどうするの?」と聞いたら、「必死になって人をかき集めて組み立て直しをするしかないんだ」と。hamatsuさんの手がけているタイトルは、けっこうそれがありません? 大きなプロジェクトですよね。

hamatsu氏:
 20人に作業してもらうものが1ヵ月ずれたとき、翌月に40人で作業したいので、人をかき集めてこないとならないです。だから「絶対に遅れるなよ」とか「どうにか調整しろ」とかという話になりますね。残り3ヵ月あって20人月の作業がもし消えたとしたら「25、25、30だったらいけるかな?」とか、人を探して、外注先を探して、発注書を書いてと、そういう手配をすぐにしないといけないですね。

TAITAI:
 チーム制作や大規模開発とゲームの属人性はけっこう考えるべきテーマだなと最近思っているんです。どこかで属人性がにじみ出ているものが、だいたいヒットするというか、何か突き抜けた存在になる。それは「ダークソウル」もそうだし「ペルソナ」もそうだし『NieR』もわかりやすいくらいにそう。
 それで言うと海外のAAAが、飽きちゃってけっこうつまらなく感じられるようになってきているターンだと思うんですよ。実際の販売本数も本当のトップ・オブ・トップはともかく、その下あたりは100万本いかなかったり、売れて300万ギリギリだったりとけっこう落ちている感じです。
 属人性だったり、ちょっとシュッとした何かが求められ始めているのは確かですね。

岩崎氏:
 今回の任天堂の作品をたくさん並べたけれども、僕の魂をいちばん揺さぶったのは間違いなく『ゼルダ』で、そのつぎが『オデッセイ』なんだけど、それらにそこまで属人性は感じていないんですよね。ただ、あれを目指すのが属人性なんだろうと思うんです。プロデューサーが徹底的に皆さんの「マリオ」であろうとすること自体が属人性なんだろうと。

TAITAI:
 「ゼルダ」の属人性って、表現しづらいんです。「ペルソナ」の橋野桂さんへの属人性はわかりやすい。『ストII』だったら西谷晃さんとかね。でも『ゼルダ』は青沼さんかと言われると、それだけではない気がして。チームを人と見立てた、融合された属人性なんでしょうか?

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岩崎氏:
 僕は青沼さんといっしょに登壇したりしていた藤林秀麿さん【※】が、いい意味でちょっとブチ切れたタイプなのかなと思っています。

※藤林秀麿
1972年生まれ。任天堂所属のゲームクリエイター。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をはじめ、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』などでもディレクターを務めた。

TAITAI:
 あのタイトルの近年稀にみる濃厚さを作り上げたってことは、そうなんでしょうね。

hamatsu氏:
 テクニカルディレクターの堂田卓宏さん【※】けっこうキーマンだと思います。堂田さんが「まず2Dでプロトタイプを作ろう」と言って、聞いた青沼さんが「何を言ってんだ」と言ったっていう(笑)。

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※堂田卓宏
任天堂企画制作部に所属するプログラマー。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ではテクニカルディレクターを務め、GDCの講演にも登壇している。

TAITAI:
 (笑)。取材をしていて、あれは理想形に見えたんですよね。チームで作るのももちろん大事だし、かといって属人性も大事なんだけど、属人性が立っているだけだと、やっぱりそれはそれで総合力で負けがちじゃないですか。だけど、『ゼルダ』は総合力でも勝ちつつ、属人性も感じられる。

島国氏:
 陶芸の世界って、粘土をこねる人がいて、形を作る人がいて、釉薬を塗る人がいて、焼く人がいて全部別。それに近い感じはしますよね。

hamatsu氏:
 究極で言うと、属人性はインディーゲームの『Undertale』とか『Cuphead』になっちゃって……。

TAITAI:
 それらはそれでもちろんすばらしいんですけど、それがメインストリームかというと、何か違和感を感じるところもあるんです。

hamatsu氏:
 たぶん「ゼルダ」って今後も作られていくだろうし、ベースはやっぱりみんなで作るんでしょうし、あとは守っていく伝統みたいなものもあるんでしょうけど、今回の『ゼルダ』は属人的な部分に乗っかっているものが強いのかもしれません。

TAITAI:
 僕がいろいろな人の話を聞く限りでは、作りかたには2パターンあると思っているんです。
 システマチックな作りかただと、まずは枠を決め、そこにキレイに収まるように人の配置などをするパターン。これがどちらかというと先ほどのように欧米系に多いというやりかたかな。
 一方で、むしろ個人の個性に合わせて、形を決めるもの。最初からいびつなものが合わさっていて、カットするとキレイになるんだけど、もったいないから、いびつな形そのものを工芸品として製品にしてしまうというものです。いびつだから、整合性を持たせるための言い訳を必死で考えてプレイヤーを納得させるみたいなタイプですね。

岩崎氏:
 平さんが言う工芸品系のインディーズゲームからなら、おもしろいものが出てくる可能性というのは、今後もけっこうありそうですね。

島国氏:
 今年でいうと『どうぶつタワーバトル』【※】とか(笑)。

※どうぶつタワーバトル
Yuta Yabuzaki氏によるスマートフォン用対戦アプリ。ゾウ、キリン、シロクマなど、動物ピースの重心を考慮しながらフィールドに交互に積み上げ、崩して落下させたほうが負けとなる。以前から公開されていたが、2017年10月末の『どうぶつの森 ポケットキャンプ』のリリース後に“どうぶつ”つながりで注目され、手軽さとバランスの絶妙さなどから一躍話題となった。

──あれは驚くほど面白いんですが、見い出されかたが事故のようなもので(笑)。

hamatsu氏:
 工芸品もだんだん作り慣れてくると、「ペルソナ」のようにちゃんとシリーズとして重ねられますよね。一点ものの工芸品がいい意味で工業製品化するというか。『NieR』も、プラチナゲームズ【※1】とヨコオタロウ【※2】さんの組み合わせがなかったら、存在し得なかったもの。プラチナゲームズも「ベヨネッタ」をくり返し作ったりすることで、ちょっとずつ経験値を上げているはずで。それが『NieR』にいい形でフィードバックされていることは間違いないと思う。やっぱり、ゲームってくり返し作っていかないと練度が上がらないんですよね。自分もシリーズものを作っていたりするので、とことんそれを感じるんです。

ニーア、ペルソナ等の人気ゲーム開発者が激論! 国内ゲーム産業を支える40代クリエイターの苦悩とは【SIE外山圭一郎×アトラス橋野桂×スクエニ藤澤仁×ヨコオタロウ】

 マンネリという問題もまた当然あるんですけど、継続することで制作チームの経験値が上がり、制作スピードも上がっていく。「ペルソナ」チームも、フロムの「ダークソウル」チームもきっとそういうものが蓄積された、工芸品を安定供給する優れたチームになっているんじゃないかと思うんです。そういう10年越しのようなチームは「ゼルダ」チーム以外にも各メーカーに点々とあるのではないかと思うので、個人的には国内のゲーム業界の将来にもそこまで悲観していません。

※1 プラチナゲームズ
2006年に設立された日本のゲームメーカー。『NieR:Automata』(スクウェア・エニックス/2017)の他に、『ベヨネッタ』(セガ/2009)、『VANQUISH』(セガ/2010)などが代表作としてあげられる。

※2 ヨコオタロウ
1970年生まれ、愛知県出身のゲームクリエイター。大学卒業後、ナムコ、ソニー・コンピュータエンタテインメントで勤務し、2001年にキャビアに入社。「ドラッグオンドラグーン」シリーズや「NieR」シリーズのディレクションを担当する。現在は自身が2015年に立ち上げた、株式会社ブッコロの代表を務める。

──工芸品は反復して制作することで練度を上げる一方で、AAAタイトルはバジェットをかけたわりに飽きられているとなると、本当に曲がり角に来ていますね。先ほどのラインの乱れを億単位で切り盛りする話のような市場でチキンレースゲームに挑めるメーカーもそうないわけですが……。それだけAAA市場が爛熟し、どこも次の一手を模索している感がありますね。

2018年のコンソールは見通しが明るい

──長時間にわたりお話をいただきましたが、最後に2017年の総括と2018年の展望が伺えればと思います。

岩崎氏:
 ……しかしこうして語ると、2017年もいろいろなゲームがあったなあ。

島国氏:
 やったけど、語っても面白くないタイトルとかもありますよ(笑)。

岩崎氏:
 (笑)。いまって日本のコンソールゲームが、アメリカの市場でよく「日本のゲームなのに」みたいなことを言われますよね。あれはもうしかたがないんですよね。今年は、それがよくわかった年だったかなあ。
 困ったことに、日本で先に発表するだけでそのタイトルの売り上げが落ちる。「どのくらい落ちるの?」と聞いたら、「エエッ!?」っていうぐらいの数字が落ちる。

島国氏:
 いまの自分のテリトリーであるスマホでは「うわあ」という数字をいっぱい見ましたね。日本のユーザーは悪いほうにしか☆をつけないので、海外でそれなりの評価を得てから持ってきたほうがぜんぜん評価がよくなるというのは、確実にあります。コンシューマー【※】でもガクッと落ちるんでしょうか?

※コンシューマー
ゲームの文脈で用いる場合、家庭用のゲーム機、市場、ソフトなどを指す。アミューズメント施設などで稼働するアーケードゲームや、PCベースのゲームなどと区別するときに使われる。

岩崎氏:
 ええ。コンシューマーは、日本で先に発表すると、それだけでもう海外の人たちの視界の外に出ちゃうんですよ。ディストリビューター【※】の人たちが、日本のドメスティックなものだと判断しちゃうんですね。「ああ、日本向けなのね。わかった。俺たちのものじゃないよね?」で終わり。

※ディストリビューター
一般的に販売代理店や卸業者を指す。開発会社(デベロッパー)に対してよく用いられる。

島国氏:
 なるほど……。

岩崎氏:
 だから海外で売れなきゃいけないゲームは、海外で先に発表するようになりましたよね。『モンスターハンター:ワールド』はE3でいちばん最初に発表された瞬間に、「カプコンの皆さんはこれを今度こそアメリカで売りたいと思ってるんだ」とわかるわけです。そういう意味では『ゼルダ』もけっきょく海外で先に発表しているわけで。

島国氏:
 「モンハン」はゲームに入った瞬間に、日本的な味付けの濃さがハンパないですから。あのタイトルをアメリカに持っていくために、相当いろいろなことが考えられているんでしょうね。

岩崎氏:
 考えないわけがない。……今日振り返ったように、今年の任天堂にはいいゲームがいっぱいあったわけですが、日本のコンソールというのは、作り手は別として、市場としては完全に世界から田舎扱いされるようになったなあ。

──作品ベースで言えば、底を打ったあとで『ゼルダ』ですとか『NieR』ですとかが現れ、再評価されているという流れの年ではあるんですよね?

岩崎氏:
 それはそうです。ゲームアワードを観ながら、「これで『ゼルダ』じゃないとか、ありえねえだろ」って言っていたので、決まった瞬間に机叩いて喜んじゃいましたよ(笑)。

一同:
 (笑)。

──来年はいかがでしょう?

岩崎氏:
 来年のコンシューマーはけっこういい年になるんじゃいかなと。

島国氏:
 ハードウェア的に煮詰まっているので、楽しみは大きいですね。

──どういう根拠でしょうか?

岩崎氏:
 ここまで日本のコンシューマーでいちばん辛かったことは、ハード間の性能の乖離が激しくなっていたことなんです。大きな売り上げをあげたいと思ったとき、縦のマルチ対応をしようとするわけだけど、そのときに3Dのマニアックなゲームを作ると、下の機種は基本的にVitaだったんですよ。これが辛かった。PS4とVitaの縦マルチ制作がめちゃくちゃ辛くて。

島国氏:
 しかもVitaじゃ手をかけたほどは売れないしね。

岩崎氏:
 そう。でも、VitaしかなかったのでVitaに対応させていて。そうするとそのPS4との能力差が大きいんですよ。PS3はちょっとヘンタイすぎるマシンで、PS3とPS4のマルチを作るとこれもまた辛いので、ある一定以上の売り上げが見込めないと作れない。

──PS3のヘンタイっぷりは、たまにクリエイターの方々から伺いますね。

岩崎氏:
 で、いろいろなコストを考えると、PS3とPS4の縦マルチをやった場合、Vitaが作れなくなるという問題があった。それでみんな苦労していたんですが、それがSwitchが出てきてくれたおかげで、そちらでの展開が可能になったわけです。

電ファミ執筆陣の超めんどくさいオトナたち(岩崎啓眞、島国大和、hamatsu、TAITAI)が言いたい放題! 2017年歳末ゲーム大放談【特濃】_066
PlayStation3
(画像はWikipediaより)

 Switchの能力的な話をすると、CPUのトータル性能はPS3よりぜんぜん上だと思うんですけど、デスクトップモードでだいたいPS3にプラスしたくらいなんですよ。そうなるとPS3以上の絵が出せる携帯可能なでっかいハードウェアの市場が任天堂のおかげで出来上がりつつあるわけで、PS4とSwitchのマルチで展開すれば、それなりにちゃんと食べられる市場ができる。そう考えるとこれから先の日本の市場は、しばらくいい形でゲームを作れるんじゃないかなと思うわけです。

hamatsu氏:
 開発側も3Dのゲームを作るのにだんだん慣れてきたということもあると思うんです。海外で前提になっているところがあるFPSは、やっぱり日本の市場は相当限られてくる。そこで日本はどうすればいいのかという答えのひとつが『ダークソウル』とかで。
 任天堂はその中でも例外的に3Dのゲームを相当作っていたんですが、その任天堂ですら『マリオサンシャイン』や『風のタクト』のときはいろいろ問題を抱えていたのが、それから十数年を経てちょっとずつ洗練され、答えとして『オデッセイ』や『ブレス オブ ザ ワイルド』が登場したという経緯もありますし。

島国氏:
 日本のハイエンドって1回滅んでいるんですよね。ハイエンドで作れる開発者が、ケータイが儲かるというので仕事がなくなって。
 ロートルで一度辞めていった人たちが、スマホ用のドット絵師として呼び戻されたり、いろんなグダグダがしばらくあったわけです。そうした状況だったのが、いまこの瞬間にハイエンドをいっぱい作れる場所があるのは、いいことだなと思います。

hamatsu氏:
 PS3のときにコンシューマーを作る会社がガッと減りましたよね。

岩崎氏:
 そう。その影響はすごく大きい。あとはUnityとかアンリアルエンジンの成熟もある。

hamatsu氏:
 そうですね。誰でも使いやすい開発環境がここへ来て揃ったという。

岩崎氏:
 うん。そういう要因を考えると、2018年の日本のゲームというのは、AAAのスゴいゲームがわーわーと発売されるとは期待しないけれど、けっこういい年になるんじゃいかなと思うわけです。

島国氏:
 AAAは現場じゃなくて、組織の上のほうのお金の問題ですからね。

岩崎氏:
 あくまで僕の予測ですが、来年あたりはPS4のバージョンアップがまた発表されるんじゃないかと思っていて……。
 ひとつのプラットフォームを10年間くらい持たせようとすると、どこかで世代交代させざるを得ないので。PS4 Proも出ていますが、もっとそういったものを強く打ち出さないと、そろそろ初代PS4ではフレームレート的にツラいゲームがかなり出てくるんじゃないかなって。

──皆さん、開発なんだから答えを知っていそうなものですが(笑)。

岩崎氏:
 いや、僕はスマホだしね。でもスマホと同じ戦略だと思っているんで。スマホは2年に1回の更新ペースだけど、据え置き機はそこまでさすがにできないので、3年に1回くらいのペースだと考えると、PS4 Proが出て来年で丸2年だから、少なくとも発表程度はあっても不思議じゃない。
 Switchはさすがに変えはしないだろうけど、SoCをShieldのひとつ上のやつに取り換えたバージョンというのは同じように考え得るんじゃないのかなあと思う。

TAITAI:
 Proも、もうそんなに経つんですね。

島国氏:
 PSVRがもっとブバーと跳ねていれば、もっとブバーと早く新製品が上がってきたんでしょうけど。これ以上Unityとアンリアルエンジンだけを儲けさせるわけにはいきませんからねえ(笑)。

hamatsu氏:
 僕は来年は『モンハン』がどうなるかなというのが気になりますね。エンジンがまさかのMT Framework【※】。いろいろどうなっているのか興味があります。

※MT Framework
カプコン内製のゲーム統合開発環境およびそのエンジン。ここでは、UnityやUnreal Engineなど広く頒布されているエンジンを使った制作の流行に対し、昔ながらの自社製エンジンで高みを目指していることが驚きとともに期待されている。

岩崎氏:
 βテストを遊んだ限りでは、ものスゴくよくできていましたよ。

一同:
 おおー!

岩崎氏:
 まだβだから、けっこうバグったんですけど(笑)。それはしょうがない。「モンハン」版『ゼルダ』という感じで、いままでの「モンハン」で当たり前になっていたところを見直して、作り直したんだということがよくわかりました。僕が「モンハン」をだんだんやらなくなっていった理由はいっぱいあるんだけど、今回の『モンハン』はそれがけっこうなくなっているなと思った。とにかく快適だし。

TAITAI:
 何かを飲んだあとのポーズを辞めるとか、日本的で記号的だったところを、わりとまっとうに表現している感じですよね。

岩崎氏:
 「モンスターハンター」というゲームは、モンスターがあるアクションを終えたあとにできた隙に、自分の攻撃時間を差し込むことができるかどうかというのを図るゲームです。細かなことはいろいろあるけど、時間を使ったタイムパズルみたいなゲームなんですよ。

島国氏:
 それは単純にネットゲームとして、マルチ同時プレイでPvE【※】をしようとすると、プレイヤーのタイミングを合わせようとすると、通信の問題でそれしかできなかったデザインですよね。

※PvE
“Player versus Enemy”の略称。おもにMMORPGなどで、プレイヤー対CPUの扱う敵との対戦を指す。プレイヤーとプレイヤーが対戦するPvPと対で用いられる表現。

岩崎氏:
 そう。昔は通信の問題があってできなかったものを、今回は通信の問題が解決したこともあって、全部捨てた感じなんですよね。

電ファミ執筆陣の超めんどくさいオトナたち(岩崎啓眞、島国大和、hamatsu、TAITAI)が言いたい放題! 2017年歳末ゲーム大放談【特濃】_067

 だからたとえばモンスターのモーションのあいだに、すごくいろいろなことを連続的に仕掛けてもぜんぜん問題なくプレイできる。薬を飲むと止まるとか、そういう昔の通信の都合で決まっていた部分が中途半端に残ったゲームになっていたのを、一度全部バラして組み立て直した感じですね。さらにただ軽くなったわけではないというのがいいところで。最終的にどうなるかわからないけれど、少なくとも現時点ではスゴく面白いと思いました。

──おお。TAITAIの言う“違う視点で層を広げるタイミング”になり得そうですね。

岩崎氏:
 『モンスターハンター:ワールド』は、カプコンさんがちゃんとアメリカで売るために作ったもの、とプレイしていて実感しました。でも日本くさいというか、カプコンくさい、独特のアクションのキレというのはちゃんと残っているんで。

島国氏:
 ちょっと前までアメリカのデザイナーがブーブー文句言っていたやつだ。「ジャパニーズスタイルだ」って。「俺にジャパニーズスタイルのモーションをつけさせるな。なぜならあれを作っているとつぎの仕事がこないからだ」って言われたやつですよ(笑)。

岩崎氏:
 あー。溜めとキメのあるのを嫌うんですよね。それが手癖になっちゃうから。

TAITAI:
 そうなんだ。でも「ダークソウル」とかはその典型じゃないですか。

岩崎氏:
 昔はそうだったんですけど、香港アクションなどの映画がいい意味で影響したんだと思います。というのも、マーベル映画【※】などの格闘シーンが、溜めとキメのある、昔のジャッキー・チェンの映画のような格闘シーンになっていて。そこから逆にゲームに溜めとキメの流れが来たというのが、僕の見解です。

電ファミ執筆陣の超めんどくさいオトナたち(岩崎啓眞、島国大和、hamatsu、TAITAI)が言いたい放題! 2017年歳末ゲーム大放談【特濃】_068
マーベル映画……アイアンマン、キャプテン・アメリカ、超人ハルクなど、マーベルコミックスの人気ヒーローたちをモチーフにした映画群。そのヒーローたちが一堂に会するのが「アベンジャーズ」シリーズ。画像は『アベンジャーズ』トレーラーのもの。
(画像はMarvel’s The Avengers Trailer 2 (OFFICIAL)より)

TAITAI:
 その前の映画のアクションって大振りの『ダイ・ハード』みたいな感じか。確かにそういうケレン味はありますね。

岩崎氏:
 日本もアメリカも、昔よりアートが複雑化したぶん、昔みたいにアクションを2フレームでなんとかするというわけにはいかなくなったので、やっぱりあいだを埋めますよね。その間があるから、溜めなどのバランスは取れるようになった気がします。

hamatsu氏:
 いわゆるゲームくささ全開のモーションというよりは、それなりに自然に見せろみたいな。

島国氏:
 いまのゲームは解像度が上がっちゃったんで、間がもたなくなりますからね。

TAITAI:
 ああでもそれで言うと、やっぱり『ゼルダ』はちょっとゲームっぽいアクションをうまい具合に使っていますよね。

岩崎氏:
 『ゼルダ』を出すと例示が機能しなくなる。あれは最大の特異点だと思うので(笑)。

hamatsu氏:
 来年は無理でも再来年くらいに、思いっ切り『ゼルダ』をインスパイアしたようなゲームが出てくると面白いんですけどね。

島国氏:
 中韓だったら、来年くらいに出てくるんじゃないかと思いますが(笑)。『風のタクト』の後のタクトもどきが大量に出てきたときみたいに、スゴく楽しそうだ(笑)。

岩崎氏:
 いまは中国も韓国もお金をかけてゲームを作るし、『ゼルダ』ライクだったら時間はそれなりにかかるから、なかなか出ないんじゃないかなあ?(笑)。いまはまだ騰訊【※1のゲームだけでスゴく稼いでいるので、そういう方向にはみんな向いていますよね。ウチの会社も「『League of Legends』【※2】みたいなのを作りたい!」って言っていますし(笑)。

電ファミ執筆陣の超めんどくさいオトナたち(岩崎啓眞、島国大和、hamatsu、TAITAI)が言いたい放題! 2017年歳末ゲーム大放談【特濃】_069
※2 League of Legends……Riot Gamesが2009年(日本では2016年)にサービスを開始した、全世界でもっともプレイ人口の多いと言われるマルチプレイかつオンライン専用のバトルアクションゲーム(MOBA)。プレイ中にキャラクターを成長させる戦略性や十数分~数十分というプレイ時間の短かさなど競技性が高く、プロチームも数多く存在。億単位の賞金が出る大会が開催されている。
(画像はWhat is League of Legends?より)

※1 騰訊
英語名はテンセント。1998年に中国・深圳で創設された、世界最大のゲーム売上(2017年第一四半期の発表で約5783億円)を誇るテクノロジー企業。中国でもっとも使われているインスタントメッセンジャーQQやWe Chatを持ち、これを基盤に成長。ゲーム会社としては、株式の取得で既存の会社を吸収し続け、代表的な例でも2011年に『League of Ledends』のRiot Games、2012年にアンリアルエンジンのEpic Games、2016年に『Crash of Clans』のSupercellなどを傘下に収めている。

一同:
 (笑)。

岩崎氏:
 みんなあれにロマンを感じるみたいですね。

hamatsu氏:
 いやでも、やっぱり僕は『ゼルダ』をさらに発展させようと挑んだ作品に期待したいですね。2017年になってこんなに『ゼルダ』が面白くなるとは思っていなかったですから。

島国氏:
 まさかいま『ゼルダ』と『マリオ』がヤバいとか(笑)。

岩崎氏:
 1986年と何も変わっていない(笑)。

TAITAI:
 30年経ってまさか『ゼルダ』語りをするとは、っていう(笑)。(了)

電ファミ執筆陣の超めんどくさいオトナたち(岩崎啓眞、島国大和、hamatsu、TAITAI)が言いたい放題! 2017年歳末ゲーム大放談【特濃】_070

 Switch、『ゼルダ』、『マリオ』など、任天堂が話題の中心になった2017年。論客たちの語りも、同様に任天堂の話題が占める割合が高いものとなりました。加えて、AAAタイトルの逡巡とインディーズの台頭、属人性と組織論、PS4とSwitchでの縦展開の可能性など、なかなか示唆的なテーマも登場し、コンソールの行方を占うには、こうした視座からつぎの一手を読むのもいいかもしれません。プレイヤーとしては、ただひたすら楽しめばいいわけですが、ひとまずは1月の『モンスターハンター:ワールド』が日本で、世界でどういう捉えかたをされるのかが注目されます。

 それにしても語りに語って、気付けば6時間以上が経過。それでもまだまだ語り尽くせないめんどくさいオトナたちは、レコーダーが止まったあとも、キラキラと目を輝かせてしばしゲーム談義を続けていました。それは30年前、友だちの家に集まって「ゼルダ」や「マリオ」に興奮していたときの彼らと何ら変わるところがない姿なんだろうなあと想像し、「めんどくささも極まればスゴいもんだ」と感心しきり。とはいえ……ああ、めんどくさい(笑)。

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 この記事で大いに話題になった『ゼルダ』の開発秘話もお楽しみください。今年の『特異点』を生み出した驚きの開発手法とは?

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インタビュアー・著者
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週刊ファミ通、ファミ通.comなどを経て、電ファミニコゲーマーに参加。
Twitter:@koyamaondemand
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