『薄桜鬼』シリーズは、女性向けゲームが好きな人はもちろん、TVアニメや2.5次元舞台が好きな人なら、おそらく誰もが知る“乙女ゲーム史に残る名作”のひとつです。
その1作品目は、今から10年前の2008年9月18日にプレイステーション2で発売された『薄桜鬼』です。
乙女ゲームといえば“甘いシチュエーションを楽しめるもの”だった頃、『薄桜鬼』は新選組という組織を通して、武士の生き様とはなにか、隊士たちがそれぞれ胸の内に秘めている“誠”とはなにか、彼らはなぜ、命を賭してまで誠を貫くのか……。といった、歴史スペクタクルのシナリオを打ち出してきたのです。
さらに“時代劇”という枠をも超え、鬼や羅刹といった創作設定まで。新選組の隊士が主人公を守るため、誠を貫くため……自身を羅刹にしてまで刀をふるい続ける姿に、プレイヤーたちは胸を打たれ、涙なしでは語れない作品となりました。
こうして『薄桜鬼』は、ゲームをはじめ、TVアニメ、ミュージカルなどさまざまな展開を迎え、いまもなお、新作が出るなど多くのファンに愛されています。
そして、2018年9月8日〜9日に東京国際フォーラムで開催された「オトメイトパーティー2018」では『薄桜鬼』の新作が発表されました。タイトルは『薄桜鬼 真改 月影ノ抄』『薄桜鬼 真改 銀星ノ抄』の二作品です。
今回は、10周年という節目において、『薄桜鬼』シリーズのプロデューサーである藤澤経清氏に『薄桜鬼』がどのように生まれ、今日までどのような歴史を辿ってきたのかを改めて語っていただきました。
初期原案は2000年代初頭!? 男性向けに考えていた作品が乙女ゲームになるまで
──2008年9月18日にシリーズ1作目となる『薄桜鬼 』が発売されました。あれから10年……。いま、あらためて振り返るとどのような気持ちでしょうか?
藤澤経清氏(以下、藤澤氏):
乙女ゲームもいろいろな作品が生まれる中で、単独イベントや10周年イベントができるのがすごいですね。つまり、10年経ったいまも続いている作品のひとつになれたということがすごく嬉しいなとしみじみ感じております。
──藤澤さんは『薄桜鬼』を世に出したとき、乙女ゲームファンにどのように受け入れられると想定していたのですか?
藤澤氏:
武士の生き様を描くという、男性との甘いシチュエーションを楽しむ乙女ゲームとは全く違うので、受け入れてもらえないかも……と思っていました。ただ、最後まで頑張ればきっと心に響くというのを信じて作っていましたね。
──今日はその10年間をあらためて振り返りいろいろとお伺いさせてください。まず作品そのものの成り立ちですが『薄桜鬼』(以下、本編『薄桜鬼』)の原案となる構想が8〜9年ほど前にあったという話を「オトメイトスタッフブログ/ワリコミ! 薄桜鬼祭り(2009年3月11日)」で拝読しました。つまり、『薄桜鬼』のベースは2000年初頭からあったということなのでしょうか。
藤澤氏:
たしかに、2000年ぐらいに原案のようなものは考えていました。ただ、少年が主人公だったので乙女ゲームではありませんでした。
一般的な新選組は“人斬り集団”というイメージが強いと思うんですが、考えていた原案においても、新選組は何かしらの目的や理由があって人を斬っているという設定がありました。そして、その過程で主人公の少年が羅刹【※】になってしまい、血を吸うことを隠すために斬り殺す……そして主人公を手助けしてくれる女の子たちが攻略対象になるという、男性向けの作品を考えていたんです。
──では、そのころから『薄桜鬼』のキモとなる“羅刹”という設定はあったのですね。
藤澤氏:
そうですね。羅刹という言葉はなかったけれども、何かしらの形で吸血鬼になってしまった隊士たち、それを引き連れている新選組……みたいなイメージはその頃から思い描いていたんだと思います。
──本編『薄桜鬼』をプレイしていた当時、新選組の隊士たちが“羅刹になる”ことがセンセーショナルでした。その着想がその当時からあったということが、まず驚きです。
藤澤氏:
ありがとうございます。原案の時点では変若水(おちみず)【※】を飲んで羅刹になるわけではなく、死んでしまった人が羅刹になるという設定でした。新選組で粛清された隊士が羅刹となり、影で羅刹隊が結成され、新選組に引きいられている……というイメージだったんです。
『薄桜鬼』になり大きく変わったのは、攻略対象の隊士が羅刹になり生き延びて、どうやって新選組の終わりと連れ添っていくか……という話になったところですね。ですから、最初の入り口は一緒なんですけど、中身は全く違うものになりました。
──では、風間千景【※】のような“鬼”という設定もその頃からでしょうか?
藤澤氏:
鬼は最初の原案の構想からありました。主人公が少年で、恋愛対象の女性のひとりに鬼を入れていたんです。ただ、『薄桜鬼』に出てくる鬼の設定とは違いました。羅刹の設定と同じように『薄桜鬼』になるときに、構想を活かしながら乙女ゲーム仕様に変更しています。
※風間千景……薩摩藩に所属している剣士。そして西の鬼の頭首でもある。純血の鬼の子孫を残すため、じつは純血鬼だった主人公を追いかけている。なお『薄桜鬼』では、鬼は人間より強い力を持っている。そのため風間は変若水を飲み羅刹となった人のことを「まがい物の鬼」と表現している。
──本編『薄桜鬼』が発売されたころは、乙女ゲームといえば“甘い恋愛もの”という印象でした。「オトメイトスタッフブログ/ワリコミ! 薄桜鬼祭り(2009年3月11日)」でシナリオライターのいわた志信【※】さんが「甘さや萌えよりもキャラクターの生き様を重視したゲームが果たして受け入れられるかどうか心配だった」と語られていたんです。藤澤さんは、このあたりの“産みの苦労”はいかがだったんでしょうか?
藤澤氏:
乙女ゲームの中で、新選組の話を作ろうとなったときに、まず考えたのが「本当に新選組の隊士と女性が恋愛できるのか」だったんです。どうしても新選組の隊士たちを史実に照らし合わせて、生き様をまっとうさせようとすると“恋が成就しました、ハッピーエンドです”とはならないと思うんですよ。それよりも“表向きは死んでしまったけれど、実は生きていて結ばれました”という感じかな……と。
それでも、何度考えてみても、隊士との恋愛は難しい。不可能ではありませんが、恋人というよりは、隊士たちの“目標や生き様”に連れ添うことができるパートナー的な存在でなければ、話が成り立たないと感じたんです。
だから、相手の女性の存在をどこに置くかは難しいなぁと感じていました。
※いわた志信
乙女ゲームのディレクター兼シナリオライターとして活動。代表作は『薄桜鬼』シリーズ、『ワンド オブ フォーチュン』シリーズなど。
──その着想から主人公である雪村千鶴【※】が生まれたんですね。彼女はしっかりと隊士たちの気持ちを組み、傍にいる主人公ですよね。千鶴のキャラクター性にも気を使われていたんでしょうか。
藤澤氏:
はい。一番気を遣ったのは、主人公がどこまで出てきていいのかってところですね。軸となっているのは新選組という武士の物語で、自分たちが属している幕府や将軍のためとか、あの時代における弱い者を助けるため……といった志をもって戦っています。
たとえば、主人公の女性が“女性剣士”だったら、新選組に基づいたストーリーにしようとすると女性剣士として活躍してしまうんです。すると隊士たちの立場がなくなってしまうと感じたんですよ。だから、主人公の立場のバランスは、ものすごく気を遣いました。
──主人公もですが、そもそも“新選組”といえば、昔から小説や映画などで人気の題材なので、“新選組や隊士”の扱いはなかなか難しいのではと感じるのですが……。
藤澤氏:
そうですね。日本人って負けそうな側に滅びの美学みたいなものを持っていて応援したがるんですよね。だから幕末だと新選組の人気が高いと思うんです。
戦国時代は豊臣家が天下を治めるんですけど、紆余曲折あって最後は徳川幕府になりますよね。でも、最後に天下をとった徳川家ファンよりも、豊臣家ファンが多いんです。豊臣秀吉は息子の豊臣秀頼に天下を譲ったのに、滅ぼされて徳川に天下を取られてしまった……そういった物語に惹かれるんだと思います。
それが、同じ徳川家でも幕末になるとその徳川家に属する新選組のファンが多いんですよ。日本人ってやっぱり滅んでいく中で、駄目だと分かっていても頑張ろうとしている者に美学を感じるんだろうなと感じています。
そこで、新選組を描く中で……新選組の京都時代は多くの方が知っていると思うんですけれど、その後の部分はぼんやりしていると思うんですね。
──たしかに、屯所が壬生や西本願寺にあったころの活動はよく知られていて、その後に伏見の奉行所に赴いたところまでは……。なぜかその後がゆるっと抜けて、なんやかんやで土方歳三が五稜郭で戦死した、となる方が多い気がします。新選組に詳しい人でなければ、その間の史実は知らないかもしれません。
藤澤氏:
そうなんです。でもその間にも新選組はいろんなことがあったわけで……じゃあ『薄桜鬼』では、新選組を書き切ろう! となったんですよ。
──だから、『薄桜鬼』をまるっとプレイしてから聖地巡礼したら、新選組についてはだいたい理解していたということになるわけですね(笑)。
──本編『薄桜鬼』の発売当時を思い返すと、直後にバカ売れして大ブーム! というよりは……じわじわと広まっていき、半年ほどしたら多くの女性がプレイしている状態だった。そのようなイメージがあるのですが、実際はいかがでしたか?
藤澤氏:
その通りで、最初の出荷本数はそう多くなかったんです。ただ作品の可能性に気がついてくれた方が多く、関連書籍などの発売から広がっていきましたね。
──そこから10年……いまも変わらず大切にされている『薄桜鬼』における軸……みたいなものは何でしょうか?
藤澤氏:
世界観を崩すような派生物を本編と混同しないことでしょうか。『薄桜鬼』は基本的に、本編『薄桜鬼』、『薄桜鬼 随想録』(以下、『随想録』)【※1】、『薄桜鬼 黎明録』(以下、『黎明録』)【※2】の3作品が本編としてあり、大きな柱を担っているんです。
この内容をもとに、ちびキャラが登場する『薄桜鬼 遊戯録』や学園物スピンオフ『薄桜鬼SSL ~sweet school life~』が発売されています。
本編にはちびキャラを入れたり、恋愛を濃く描いたりはせずに、新選組隊士それぞれの考え方や志をベースに作っています。その軸や基礎がしっかりしているから10年間にわたりみなさんに支持していただいていると考えています。
──プレイヤーである女性たちの“好きなキャラと楽しくワイワイしたい”や“もっと甘い恋愛も楽しんでみたいな”という心には“ファンディスク”で応えるというわけですね。いま、『随想録』と『黎明録』の話がでてきましたが、この2作品を制作することになったきっかけを教えてください。
藤澤氏:
本編『薄桜鬼』では、千鶴が江戸から京に来たのが1863年(文久3年)の12月で、そこから1868年(慶応4年)までを描いているので、約5年半くらいの物語なんです。経過時間が長いこともあり本編では出来事を追いかけるのがギリギリだったんですね。その隙間を埋めようということで生まれたのが『随想録』です。
せっかく作るなら、本編のような殺伐としたものではなく、気兼ねなくプレイできるような……肩の力を抜いた中で『薄桜鬼』を思い出していただこうと。本編『薄桜鬼』と比べると『随想録』は甘いシチュエーションが多いのが特徴ですね。
── 一方の『黎明録』は主人公が井吹龍之介【※】という男の子ですが、提案されたとき、社内から「乙女ゲームなのに主人公が男の子!?」のような、ざわざわ感はありませんでしたか。
藤澤氏:
ざわついたとは思います(笑)。乙女ゲームというジャンルにおいて主人公が少年というのは、『薄桜鬼』だから成立したのではないでしょうか。『黎明録』は千鶴が京に来るより以前の物語なので、千鶴を主人公にはできないんですよ。だからといって、千鶴以外の女性は考えられなくて。そこで龍之介という案が出てきました。
乙女ゲームというよりは『薄桜鬼』のひとつの外伝として受け取ってもらうしかないなというイメージでしたね。
──龍之介の「武士なんてクソ食らえだっ!」や「見栄や誇りなんて、なんの役にもたたないじゃないか!」という考え方は、新選組の隊士たちとは真逆なんですよね。あえて相反するタイプを主人公に据えたのはどのような理由があったのでしょうか?
藤澤氏:
龍之介の立ち位置については、社内でもいろいろな意見が出ました。最終的に“武士が嫌いな龍之介と、武士になりたい人たちとの反発と認め合い”になりました。
──『黎明録』といえば芹沢鴨ですが、やはりその存在は土方たちにとっても大きなものだったのでしょうか?
藤澤氏:
そうですね。『黎明録』は近藤や土方たちが、本物の武士の道を突き進んでいく物語でもあるんです。武士になるために心を鬼にしていくところに殺伐感があり、本編『薄桜鬼』にも繋がっています。
──殺伐感といえば、歴史物が題材であっても乙女ゲームになると、内容が多少柔らかくなることも多いですが、魅力的な部分とはいえ『薄桜鬼』はシリアスがシリアスのまま……。藤澤さんは『薄桜鬼』シリーズにおいてシリアス度と糖度【※】のバランスはどのように考えられていますか。
※糖度
女性向けゲームにおいては男性キャラクターとの甘いシチュエーションの頻度や甘さレベル。
藤澤氏:
僕が作ってしまうとシリアス部分はいいんですけど、糖度が足りなくなってしまうんですよ(笑)。ですので、女性のディレクターやライターの方をはじめ、スタッフの意見を取り入れています。糖度に関してはいまもそうですが、やはり僕はまだまだ悩むことが多いですね。
史実にとらわれすぎない隊士たちのキャラクター像
──『薄桜鬼』の作品全体についてお伺いしてきたのですが、新選組隊士たちのキャラクター性もかなり人気の秘訣だと感じているんですね。シナリオを発注するときは、どのような指示を出されていたのですか?
藤澤氏:
キャラクターにもよりますね。たとえば、斎藤一は無口なイメージが強いんですけれど、“無口にはしないでください”とお願いしました。「……」が多用されがちなんですけど、千鶴とふたりになったときは、無口にならないようにと。
──千鶴の他にも藤堂平助、永倉新八、原田左之助の3人と一緒のときは、ツッコミ役みたいな感じで、意外と喋っているイメージが強いのですが……。
藤澤氏:
そうそう(笑)。心を開いた人だとしゃべるんですよね。そういうところは忘れないでくださいってことをお願いしました。
逆に、みんなが盛り上がっているときにツッコまないのが沖田総司。率先してはしゃいで後で後悔するのが藤堂平助(笑)。キャラによって細かな注文がいろいろあります。
──キャラクターについてもう少し具体的に聞かせてください。新選組というテーマは人気だからこそ“土方歳三【※】といえば鬼の副長”“沖田総司といえば労咳で夭逝”と、一般的な隊士のイメージがあると思うんです。そのように人が持つ既存のイメージを崩すことなく、新しいキャラクター像を描いたことが『薄桜鬼』の新しい部分だと言えると思うんですね。史実プラスアルファという形の人物像というのは、それぞれどうやって作られていったんでしょうか?
藤澤氏:
土方は、みなさんのイメージから大きく外れていないと思いますね。新選組というものを率いていく人物像として、これまでに発表された作品を見ても研究されて作られているので、そこは『薄桜鬼』においても大きくはズレていないと思います。ズレようがないのかもしれません。ただ他のキャラクターはかなり既存のイメージから変わったかもしれません。
──先程の話にも出た、斎藤一などは顕著なのかなと……。『薄桜鬼』以前だと『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社)に登場する斎藤一が有名で、冷静かつ無口なぶっきらぼうで高身長というイメージが強かったのですが、『薄桜鬼』の斎藤一は口数が少ないけれど、人間味もあるし、いいアドバイスをくれる隊士でした。
藤澤氏:
そうですね。『るろうに剣心』の斎藤一は、いわゆる本物の斎藤一をイメージしやすいと思います。じつは本編『薄桜鬼』を作っているとき、ほぼ同時ではあったんですけど、斎藤より沖田のほうが先にキャラクター設定ができたんです。
──沖田総司もびっくりしました。『薄桜鬼』以前だと、天真爛漫で常に笑顔でも見かけによらずめっぽう強いけど短命というイメージだったんですけど……。
藤澤氏:
沖田総司【※】なら、華奢で薄幸の美少年っぽいイメージが強いと思いますよね(笑)。ただ、僕の持っている沖田のイメージが全然違うものだったんです。「じゃあ、ウチの沖田はこういう子にしてみようか」ということで作ってみて、いままでにないような沖田が出来上がりました。
──たしかに……まさか沖田総司が主人公に「殺すよ」といってくるとは思ってもいなかったので、「この沖田像はとても新鮮だ!」と感じました。
その沖田と対になるキャラ……と考えたときに、沖田がおしゃべりで軽口なのに対して、無口で人見知り、仲間にしか心を開かない寡黙な斎藤が生まれました。
史実の斎藤一は背の高い方と伝えられていますが、『薄桜鬼』の作品として考えたとき、土方を挟んで長身のキャラがふたり立ってしまうと、バランスがとれないんですね。そこで、いろんなことを考慮して斎藤の身長を設定しました。
──そういう部分は史実を乙女ゲームとして脚色したということですね。では、3人コンビのような原田左之助、永倉新八、藤堂平助の誕生経緯もお聞かせください。
藤澤氏:
最初のグラフィックでは……僕が持つ永倉のイメージで、原田があがってきたんです。特に注文をつけていたわけじゃなかったんですけど「僕のイメージだとこれは永倉だな」となって。原田はどの作品でも“言動が荒っぽい”というイメージが共通していると思うんです。ただ、僕の中の原田は“カッコいい男”という印象があったんですよ。
そこで自分なりにいろいろ考えて、細マッチョのカッコよさを出していきました。史実でも原田は美男子という話がありそのイメージから「豹のようなしなやかな筋肉を持っているキャラがほしい」と原田のグラフィックイメージをお願いしたのを覚えています。一方の永倉は「ちょっとゴリラっぽい感じ」と(笑)。
藤堂は幹部の中で一番若くて元気なキャラクターというイメージだったので、デザイン的には若くてやんちゃで背が低めという感じになりました。服装やあの長い髪型は、デザイナーが作ってくれました。
刀と銃……そして歴史への想い
──『薄桜鬼』シリーズはもちろんですが、藤澤さんがこれまでに手がけられてきた作品には歴史物が多い印象なのですが、昔からゲーム業界で歴史にまつわるゲームを作ろうと考えられていたのでしょうか?
藤澤氏:
じつは、以前は建築業界で働いていたんです。もともと僕はゲームやアニメが好きで、趣味で小説を書いていたんです。ちょうどその頃、務めていた会社の先輩がデザインの分野で独立し、グラフィックの仕事をするようになりました。それでアイディアファクトリーと縁があって仕事をするようになったんです。
そうしたら先輩から「ゲームを作るんだけど、小説書いてたよな? シナリオでやってみない?」と声をかけられたんです。それがキッカケでゲーム業界に入っていきました。
──異業種からゲーム業界に入られたんですね。そこから『薄桜鬼』の世界観につながるきっかけなどはあったのでしょうか?
藤澤氏:
歴史物や吸血鬼という設定は幼いころから興味があったんです。中学生、高校生くらいのとき、ソノラマ文庫【※】が好きで菊地秀行さんの『吸血鬼ハンター”D”』と夢枕獏さんの『キマイラ』を愛読していました。そして挿絵を担当されていた天野喜孝さんの世界観。そういうもので育ったんです。その他、恐怖映画やゾンビ映画もリアルタイムでした。
あの頃は、吸血鬼とバイオレンス、銃、刀が流行っていて。吸血鬼は小説の中によく登場していたんですよ。だから、僕にとって刀や銃、そして吸血鬼は物語の中では普通にあるものという感じだったんです。
僕は1969年生まれなんですけど、少し年下のクリエイターたちはインスピレーションを形にした世代だと感じていて、勝手に“ゴールデン世代”と呼んでいたりします(笑)。
──(笑)。ということは藤澤さんと同年代の方の作品には銃や吸血鬼をモチーフにされてきた方が多い感じなのですね。
藤澤氏:
そうじゃないかなと思います。交流があるわけではないんですが、虚淵玄さんはニトロでデビュー作の『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』を作られたあと『吸血殲鬼ヴェドゴニア』【※1】を発表していて。奈須きのこさんは『Fate/stay night』で有名ですが、最初に作ったのは『月姫』【※2】ですし。平野耕太さんは『HELLSING』【※3】とか。……皆さん一度は吸血鬼を題材に作品を書かれていますよね。
それと、広江礼威さんの『BLACK LAGOON』、僕より少し上の世代の方だと内藤泰弘さんの『血界戦線』や『トライガン』【※4】。やっぱり銃なんです。
※1『吸血殲鬼ヴェドゴニア』
2001年1月26日にニトロプラスより発売されたアダルトゲーム。 企画・監督・脚本:虚淵玄。吸血鬼をモチーフとするダークな物語に変身ヒーロー物とガンアクションを取り入れた作品。
※2『月姫』
1000年に同人サークルTYPE-MOONで製作された同人ビジュアルノベル。シナリオは奈須きのこ、イラストは武内崇。とある事故により死を“線”としてみることができるようになってしまった少年、遠野志貴がある少女と出会ったことから非現実的な猟奇殺人に巻き込まれていくという伝奇ストーリー。
※3『HELLSING』
平野耕太著の漫画。少年画報社『ヤングキングアワーズ」にて1997年から2008年11月号まで連載。主人公は絶大な力を有する吸血鬼、アーカード。王立国教騎士団・通称「ヘルシング機関」とヴァチカンおよびその直属機関「イスカリオテ」、そしてナチス残党による組織「ミレニアム」の戦いが描かれる。
※4『トライガン』
内藤泰弘著の漫画。1995年より連載開始。
当初の掲載誌『少年キャプテン』の廃刊後、『ヤングキング アワーズ』にて『トライガン・マキシマム(TRIGUN MAXIMUM)』と名を変え連載再開。砂漠の星を舞台に、600億$(ダブドル)の賞金首「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」ことヴァッシュ・ザ・スタンピードが戦いを繰り広げるガンアクション漫画。
──そういった影響もあって、藤澤さんも刀や銃がお好きだったのですね。とはいえ、銃と刀はどうしても“男性的”なイメージが強いですよね。そこから乙女ゲームに携わるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
藤澤氏:
当時アイディアファクトリーがブランドを3つ立ち上げていたんです。そのひとつのアイエフ メイト【※】というところでギャルゲーを作っていたんですね。だから『薄桜鬼』の原案も男性向けゲームだったんです。
ところがそのころに、いまで言う乙女ゲームがじわじわと伸び始めていて。そのタイミングでアイディアファクトリーによる乙女ゲームの制作が決まり、僕も女性向けゲームに携わることになりました。
※アイエフ メイト
アイディアファクトリーの男性向け恋愛ゲームブランド。第一弾『ステディ×スタディ』は、2004年3月25日にプレイステーション2用ソフトとして発売。他にもPS2用ソフト『ゲームになったよ! ドクロちゃん ~健康診断大作戦~』(2005年)などを発売している。
──なるほど! そういう経緯があったのですね。ちなみに最初に携わった乙女ゲームはどのタイトルですか?
藤澤氏:
アイディアファクトリーから2005年に『IF 乙女いと♪』(アイエフ オトメイト)というブランドができまして、そこで最初に作ったのが『ふしぎ遊戯 玄武開伝 外伝 鏡の巫女』【※】です。
イラストを担当したのは『薄桜鬼』と同じカズキヨネ【※1】なんです。僕もカズキも刀が好きということもあり、そこから『星の降る刻』【※2】、『緋色の欠片』【※3】と続いていきます。
そして、「もっと刀を振れる話も作ってみたい」となり、原案として考えていた男の子主人公の新選組の物語を女性向けにしようという話になり『薄桜鬼』が生まれました。
──たしか『ふしぎ遊戯 玄武開伝 外伝 鏡の巫女』はアクションゲームのテイストも入っていたと思うんのですが、『薄桜鬼』にはアクション要素はなく、ストーリー集中型に切り替われていますよね。そのあたりは藤澤さんの中でどんな変化があったんでしょうか。
藤澤氏:
主人公の気持ちをより物語で伝える展開にするため、かと思います。もともと弊社デザインファクトリーは名前の通りデザインを得意とする会社です。グラフィックで勝負していけるということで『薄桜鬼』ではアクション要素がないんですね。
──歴史という観点から考えると、『薄桜鬼』では脚色は加えても、歴史の大きな流れが変わったりはしませんよね。そこには、藤澤さんの歴史に対する思いが関係しているのでしょうか?
藤澤氏:
歴史というのは、誰が何をしたかという真相は、誰もわからないと思うんです。史実というのは、何年にどういう事件が起こったということだけだと思うんですよ。
だから、それ以外は二次創作。誰が何を言って、何を話したかという本当のところは誰も知らないので、その本当にあったかもしれない話を僕なりに作ってみようという感じに近いですね。
──たしかに、司馬遼太郎は歴史小説ではあるけれど歴史書ではないし、大河ドラマも史実ではない。どちらも後世の人がつくったフィクション作品であると言いますもんね。
藤澤氏:
だから、僕なりに物語をつくるときは、何年にどんな事件が起きたかってことだけを残して、そこに出てくるであろう人物を僕の中で消化して作るんです。そうして生まれたのが『薄桜鬼』『十鬼の絆』【※1】、『真紅の焔 真田忍法帳』【※2】です。そういう気持ちで歴史モノを作るというのが、僕の意義かなと思っています。
──まぁ、史実というのは新しい手紙などが発見されると更新されていきますしね(笑)。昨年も坂本龍馬の手紙が見つかっていましたし。
藤澤氏:
そうなんですよね。僕が学生時代に習った歴史もいまではいろいろと変わっていますし。鎌倉幕府の成立にしてもいい国(1192年)つくろうでしたけど、いまは1185年……。史実ってどんどん変わっていくんですよ。
もちろん『薄桜鬼』を作るにあたっては、いろんな史料や本を読みましたが、軸としたのは何年に何があったかという“年表”。そこから肉付けをして作品に仕上げていくのが僕の仕事かなと思います。
イラスト、音楽……そしてメディアミックス『薄桜鬼』の広がり
──少し話を『薄桜鬼』全体に戻しますが、初めてプレイしたときに、圧倒的なイラスト力に感動しました。イラストについて、藤澤さんからはどれくらい注文をされたのでしょうか。
藤澤氏:
僕が注文すると乙女ゲームなのに、斬り合いのシーンや戦闘シーン、引きのカット、複数キャラが入ったCG……などの指示が多くて「乙女ゲームなんだからもっと甘いCGを注文してよ」って(笑)言われちゃいますね。本当にごめんなさいという感じです。
──ではキャラクターデザインを担当されていたカズキヨネさんのイラストに対して、注文をされることはあったんでしょうか?
藤澤氏:
いや〜何も言うことはないですね。カズキは天才だと思います。通常、何パターンか構図を切るんですけど、それが本当に丸と線のものすごいラフなものなんです。。でも、その中の1枚を「こんな風に回してみて」「こっちから見た感じにして」と言ったらそれができちゃう。空間把握能力が優れているというか……360度見るのではなくて、360度から見られるタイプ。イメージを俯瞰で見ることができるんでしょうね。
──イラストに加え、『薄桜鬼』を語る上で外せないのが、オープニング、エンディングを歌われている吉岡亜衣加【※】さんの存在かと。……ゲームを立ち上げて吉岡さんの歌声が流れると「きたきた〜」と一気に『薄桜鬼』ワールドに没入していけます。
藤澤氏:
「歌唱力があって、力強く歌える人がほしい」ということを相談していたときに紹介されたのが吉岡さんだったんです。本編『薄桜鬼』のオープニング曲「はらり」は伸びやかに歌われる印象を持たれると思いますが、当時吉岡さんのデモを聴いたときはまた違った印象で「パンチがある良い声だな」と感じていたんです。
それで歌っていただこうかなと思ったのがキッカケですね。一歩間違えたら演歌っぽくなってしまう歌をいまの時代に合わせて作ってもらい、それが自分の中でハマった感じがありました。
※吉岡亜衣加…シンガーソングライター。ゲーム『薄桜鬼』シリーズ、及びアニメ『薄桜鬼』シリーズの主題歌を数多く担当。その柔らかな雰囲気とはうらはらに、凛とした力強さとせつなさを持ち合わせた歌声で聴く者を魅了する。
──「一歩間違えたら演歌っぽくなる」という言葉がありましたが、『薄桜鬼』もあと少し道を変えたら時代劇みたいなところがあると思うんです。「いまの時代に合わせて」というところに『薄桜鬼』との親和性を感じたのですが、それも吉岡さんを起用し続ける理由のひとつなのでしょうか?
藤澤氏:
そうですね。吉岡さんの歌が一番マッチし続けていたというのはあります。あと、自分で作品を作っているとき、すでに吉岡さんの歌声が入っているんです。イメージしやすいということもあるかなと。
──『薄桜鬼』と言えばテレビアニメ【※1】や2.5次元舞台などのメディアミックス展開もあり、2.5次元ミュージカルにおいては『薄桜鬼』以降、「女性向けゲームがヒットしたら2.5次元舞台化」の流れができたといっても過言ではないと思うんですね。藤澤さんはメディアミックス展開にどのような立場で関わられているんでしょうか?
藤澤氏:
最初に派生作品として生まれたのがテレビアニメでした。テレビアニメは基本的には構成やシナリオの監修ということが多かったかと思います。ゲームの場合は5人それぞれの話だったんですけど、テレビシリーズは土方をメインにしながら他のキャラクターが動いていく、という感じだったので、オリジナルの話、シーンを作らなければいけなかった。そういうときはどういう風にキャラクターを動かしていけばいいのか……ってところをいろいろとご相談させていただいた感じですね。
──TVアニメでは“新選組”という題材もあってか、男性ファンの流入があったように感じているのですが、感触はいかがですか。
藤澤氏:
『緋色の欠片』のころからずっと考え方は変わっていないですけど、女性男性問わず心に響く、感動できるストーリーを作りたいというのが根底にあります。
常に「シナリオアドベンチャーとしてどこまでできるか」と考えていて、それまでにも、先ほども述べましたニトロプラスの『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』、TYPE-MOONの『月姫』『Fate/stay night 』、そしてKeyの『AIR』【※2】などがありましたから、そういった作品の影響は大きいですね。
※1 『薄桜鬼』と言えばテレビアニメ……2010年4月から同年6月まで、チバテレビほか独立UHF局系およびAT-Xにて『薄桜鬼』のタイトルで第一期が放送。第二期は『薄桜鬼 碧血録』のタイトルで2010年10月から同年12月まで、第三期は『薄桜鬼 黎明録』のタイトルで2012年7月から9月までTOKYO MXをはじめ独立局にてそれぞれ放送された。
※2 『AIR』(エアー)
Keyが制作した恋愛アドベンチャーゲーム。完成度の高いシナリオが話題を呼んだ。
──では最初の舞台である『薄桜鬼 新選組炎舞録』【※1】、ミュージカル『薄桜鬼』【※2】に関してはどうでしょうか? とくにミュージカルは今年も上演されているロングラン作品です。
藤澤氏:
『新選組炎舞録』は基本的にはお任せでした。ミュージカルになってからは演出家の毛利亘宏【※3】さんがメインで、僕が監修しながら作っていきました。一番の問題は、尺でしたね。時間内にどうやって詰めるかというところ。あと、僕には想像が出来なかったのは、ミュージカルの中に歌と殺陣をどうやって入れるかというところだったので、「毛利さん凄いなぁ」と思いながら見ていました。
※2 ミュージカル『薄桜鬼』……「殺陣×ダンス×歌」で新選組を表現するという斬新な演出で多くの観客を魅了してきたミュージカル。ファンには「薄ミュ」という愛称で親しまれている。これまで、2012年公演の「斎藤 一 篇」を皮切りに本公演を8作品、その他ライブコンサート形式の「HAKU-MYU LIVE」を2公演行っている。2018年の最新公演では演出に西田大輔氏を迎えている。
※1『薄桜鬼 新選組炎舞録』(しんせんぐみえんぶろく)
2010年10月1日から17日まで天王洲 銀河劇場で上演された舞台。土方歳三は早乙女太一が熱演。黒川智花、木村了、窪田正孝、中村倫也などが出演している。
※3 毛利亘宏
劇作家、演出家。劇団「少年社中」の主催。『宇宙戦隊キュウレンジャー』など特撮モノの脚本を手掛けていることでも知られている。『炎舞録』では脚本を、『薄桜鬼』ミュージカルでは、脚本・演出・作詞を担当。
新作の恋愛対象キャラと『薄桜鬼』のこれから
──さて、9月6日に『薄桜鬼 真改 風華伝 for Nintendo Switch』が発売されましたが、これはPS Vitaで発売されている薄桜鬼 真改 風ノ章』と後篇『薄桜鬼 真改 華ノ章』が1本になったものだと伺っています。
『薄桜鬼 真改』では恋愛攻略対象の隊士として永倉新八、山南敬助、山崎烝が増えただけでなく、新キャラクターが3名登場したり! 『黎明録』ぶりの斬新な展開だと思うのですが……。
藤澤氏:
最初、攻略対象に入れたいと思ったのは、相馬主計だったんです。新規の攻略対象人数は3人ぐらいにしましょうとの話だったので、残りふたりをどうしようかと考えていたんですよ。実はそこで作ったのは、三木三郎【※1】と武田観柳斎【※2】なんです。ただ作ってはみたものの、どうやっても攻略対象にならなかったんです(笑)。
──それはつまり……主人公の千鶴とうまく結ばれなかったということでしょうか。
藤澤氏:
そうですね。武田観柳斎は途中で亡くなってしまう生き様も含めて、山南敬助と被ってしまうんですよ。
三木三郎に関しては、鳥羽伏見の戦いが始まると、薩摩藩として所属したり赤報隊に加入したりと、新選組の立場からすると敵側になってしまうんですね。
だから、千鶴が追いかけていくと……完全に新選組と離れ離れになってしまうんです。とはいえ、「争わないで!」と千鶴が間にはいるのかというと、それは違うなとなりました。そこで、僕が好きだったこともあり、伊庭八郎【※1】が候補としてあがってきたんです。同じ幕府側から新選組を客観的に見られる立場として、丁度いいと。
一方の相馬主計【※2】は、土方が五稜郭で亡くなった後に、新選組が箱館戦争で降伏するときに隊長として署名したため、“新選組最後の局長”と呼ばれている人物。だから、新選組を最後まで見届けてくれるという意味で攻略対象キャラになりました。
これまでは千鶴がその役を担っていたんですが、千鶴の代わりとして新選組を最後まで見届ける人物になったわけです。
──では、坂本龍馬はいかがでしょうか。“新選組とは相反する”イメージが強いかと思うのですが……。
藤澤氏:
内部ではなく、外の立場から新選組を見る人がほしいと考えて登場したのが坂本龍馬【※】でした。
坂本龍馬は新選組を敵だと言いながらも、第三者的な視点から見ることができるキャラクターで、新選組を完全に敵視するのではなく、飄々と見られる人がほしかったんですね。そういう意味でちょうどよかったというのはあります。それで坂本を入れてみました。
──坂本龍馬は新選組を含めあの時代を大局で見ることができる人物……ということでしょうか。
藤澤氏:
それもありますね。ただ、僕は個人的に土方と坂本ってどこか似ていると思っていて。土方の実家は薬屋で、坂本の実家は郷士ではあるけれどその本家が商家。そして、ふたりとも“実家や本家がそれなりに裕福”なんです。年齢や姉に育てられたなど、家族構成なんかも似ているかもしれません。
もちろん土方は多摩(東京都日野市)に生まれて武士を目指し、坂本は土佐(高知県高知市)に生まれ、最終的に大政奉還を進めていったので、その生き方や考え方に違いはあるんですけれど。
坂本はピストルを愛用していたことで有名ですが、土方も洋装になってからピストルを持っていたようです。
──新政府軍はもちろんですが、“刀”のイメージが強い新選組も、銃隊化されていったとありますよね。
藤澤氏:
そうなんです。ふたりとも「銃の時代になる」ことには気づいていたと思うんです。ただ、最後まで坂本も土方も刀を腰にさげているんですね。そこに、どこか似ているふたりの魂を感じてしまいます。
──10年の歴史があると、例えば16歳で始めてプレイした方は26歳になるように、学生だった人が社会人として成長しています。もちろん、その間には「『真改』で初めてプレイした!」という新しいファンの方もいるかと思います。ファンの方が成長したり、流れ行く時代の中で、『薄桜鬼』という作品は、何かが変わるものなのか、それとも変わらずに貫いていくのでしょうか。
藤澤氏:
気持ちはふたつあります。まずひとつ目として、新選組の話って日本人の心根にあるものなので、抱いているイメージはある程度、同じということ。
浅葱色の隊服を着て、京で刀を振るっている。そして、最後には滅びてしまう……。そんな彼らはなぜだか“桜がよく似合う”。これは多分、世代、年代を超えても変わらないイメージだと思うんですね。先ほどの話とかぶるかもしれませんが『薄桜鬼』というものは、そういったベースをきっちり作っているので、そこは変えなくていい。10年もっている理由はそこだと思っています。
もうひとつは、『薄桜鬼』シリーズは『黎明録』から考えると6年半くらいの話なんですね。千鶴が江戸から京にやってきたときは16歳でしたが、エンディングを迎えるころには20歳を超えています。もちろん、千鶴だけじゃなく隊士たちも成長しているんですよ。
──そう考えると、千鶴と隊士が結ばれるころって、新選組が衰退に向かっていく時代……。千鶴の心中を察すると、10年前にプレイしたころとは違う意味で泣けてくるんですよね。
藤澤氏:
千鶴の若い頃に共感する年齢の方もいれば、成長した千鶴の苦悩が自分と重なる方もいるのかなと感じます。『薄桜鬼』という物語は、ほんの一時の物語を描いているわけではないので、どの年代の方でも、何年経っても楽しめるのだと思いますね。
──“新選組”というテーマは、何年かに一度、女性たちの間でヒット作が出るというイメージがあったんです。1990年代から連載が開始された少女漫画の『風光る』【※1】(小学館)や『新選組異聞PEACE MAKER』【※2】(エスニック/マックガーデン)ですとか。「次はどんな新選組がくるんだろうな?」と思っていたころに『薄桜鬼』が登場したんですね。ただ、その次の新選組がなかなか出てこない気がしています。それほどまでに、『薄桜鬼』が残した新選組のイメージが大きすぎたのかな、と感じているのですが……。
藤澤氏:
そうだと嬉しいですね。なんというか、みなさんが持っている新選組のイメージがありますよね。個人的に面白いなと思った作品が、ビートたけしさんが土方を演じた大島渚監督の『御法度』【※】という映画なんです。黒い隊服だったり、意外性と独創性がすごいんですよ。
※『御法度』…1999年に公開された映画。司馬遼太郎の短編小説集『新選組血風録』収録の「前髪の惣三郎」と「三条磧乱刃」が原作。幕末の京都を舞台に、新選組を男色の視点から描いた時代劇である。監督は13年振りにメガホンをとった大島渚。
世の中にはいろいろなイメージの新選組があって、皆さんの心の中にそれぞれの新選組がある。そういう中で新選組の物語が『薄桜鬼』としてひとつの形になったのは嬉しいなと思っています。(了)
©IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY
乙女ゲームを愛する女性だけでなく、TVアニメや舞台と展開したことで、『薄桜鬼』は乙女ゲームという枠を超え、新選組を描いた物語作品として、10年に渡り愛され続けてきています。
そこには、武士の生き様を描くというぶれないテーマのもとに、これまでのイメージにとらわれすぎないキャラクター性や、羅刹や鬼といった目新しさを取り入れた意外性があったことが伺えます。
また藤澤プロデューサーの歴史作品をつくるという視点が「年表重視」というのは、やや意外とも思えましたが、だからこそ他とはかぶらない、新たな新選組隊士像が生まれ……10年に渡りファンたちに愛されてきたといえるでしょう。
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