コーエーテクモゲームスがDMM GAMESとSteamで配信しているバカンスゲーム『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』(以下、『DOAXVV』)。多くの方がご存知のように、『DEAD OR ALIVE』シリーズのスピンオフにあたる本作は、常夏の楽園「ヴィーナス諸島」で島のオーナーとなって、「ヴィーナスフェス」で強さと美しさ競うたくさんの女の子たちとのバカンスを楽しむゲームだ。
コーエーテクモゲームスでは珍しい運営タイトルで、毎週行われるアップデートや多彩なモーションと水着が評価されており、シリーズファンに親しまれてサービス開始から3周年を迎えている。
今年8月にはSteam版の配信もスタートし、新たな動きを見せる『DOAXVV』。そんな中コーエーテクモゲームスから「Microsoft HoloLens 2(以下、ホロレンズ)を使った開発テスト中のMixed Reality(MR)」を体験しませんか?」と編集部に連絡があった。
現実世界に高解像度ホログラムを投影し、操作が行えるホロレンズと『DOAXVV』に登場する女の子の融合!? 『DOAXVV』と言えば、常夏のビーチ、バカンス、水着、美女、セクシー。それがMRという複合現実で表現されるなんて、絶対にヤバいのでは!
ということでふたつ返事で取材を了承し、横浜にあるコーエーテクモゲームスの本社ビルでMR体験をする運びとなった。
いざ! ホロレンズ装着!
コーエーテクモゲームス本社到着後、早速『DOAXVV』ディレクター、作田泰紀氏による簡単なセッティングとレクチャーがはじまる。
作田氏は手際よくホロレンズを装着。空(くう)に指を立てて操作をはじめた。
作田泰紀氏(以下、作田氏):
「すみません、そこにウィンドウがあるので移動していただけますか?」
生まれてはじめてされるお願いに困惑しつつ「なるほど、現実の風景とバーチャルが重なっているからこういうことが起きるのか……」という感想を抱きながら、ジャマにならないように何もないところから何もないところへと移動した。
作田氏:
「では、準備ができましたので装着してください」
緊張の瞬間。ホロレンズを体験するのは初めてなので、どうなるのかまったく想像がつかない。手に持った感想としては思った以上に軽い。VRゴーグルとは異なり、窮屈な印象は一切なくメガネを掛けていても一切気にならない装着感。
いる! 本当に目の前にいる!
ホロレンズを装着してゲームを起動すると、地面にビーチボールがポツリと落ちている。
作田氏:
「ビーチボールをつまんでみてください」
つまむ…? ビーチボールを? バーチャルのものを私の肉体がつまむの?
正直よくわからなかったが、とにかく自分の指でビーチボールをつまむ動作をした。すると……。
『DOAXVV』の看板キャラクターである「みさき」がコーエーテクモゲームスの会議室に出現! 水着姿でパーカーをまとっているおなじみの姿だ。
本取材ではみさきのいるシーンのスクリーンショットはまだ撮影できないとのことだったので、編集部で作成したイメージをお届けする。
筆者:
「みさきが出てきました!」
作田氏:
「では、まずはみさきの周りを歩いてみてください」
なるほど。当たり前だが背後までちゃんと作り込まれている。どの角度から見てもみさきだし、どんなに近づいてもみさきだった。
作田氏:
「ではつぎに挨拶として名前を呼んでみてください」
『DOAXVV』と言えば、女の子とのコミュニケーションが特徴の作品。プレイヤーのほとんどがラウンジで女の子と戯れていることだろう。
筆者:
「みさき!」
筆者の声に反応して、挨拶を返してくれるみさき。私の言葉が通じている。
作田氏:
「手を握ったり、頭をなでることもできますよ」
来ました、本作の恒例行事。ということで早速手を握ってみる。
筆者:
「微妙に嫌がられました!」
作田氏:
「プレイヤーの行動に応じて、さまざまなリアクションをしてくれるようになっています。では、もうちょっと触れてみてください」
急に手を握ったのはマズかったか。じゃあ頭をなでてみることにしよう(急に頭をなでるのもマズいのだが)。
筆者:
「反応してくれました! 照れてます」
頭をなでられて照れるみさき。そんなみさきを見て照れる筆者。この破壊力を文字でしか伝えられないのが悔しい。このあと作田氏のサポートを受けながら手を振ったり、ピースサインをしてみたり。手を振ると「オーナーさん」とみさきも手を振って反応。ピースをすると「ちゃんと撮ってね」とピースを返してくれる。くそ! めちゃくちゃかわいいじゃないか!!
MRならではの体験の濃さ
さきほどまで男だらけだった会議室に突如現れたみさき。足の設置面が現実と遜色がないためか、ゲーム内の容姿そのままなのに「そこにいる」と感じさせてくれる。しかも、プレイヤーの動きに同期して、みさきがさまざまなリアクションをとってくれる。こちらの動きを目で追ってくれるので、見つめられているように感じてしまい、なにもしていなくても照れてしまうほどだ。
会議室での体験だったので周囲には椅子や机があったのだが、そこにみさきがいるのが不思議と自然に映る。説明をしてくれている作田氏のすぐとなりにみさきがちゃんといる。体験しないとなかなか伝わらないかもしれないが、現実とバーチャルが混ぜ合わせることによって現実世界にみさきがいるという感覚がより強くなった(作田氏がバーチャルの存在だという可能性もある)。
みさきはただ立っているだけではない。現実世界に椅子を準備したらそこに座ってくれる。腰掛けている姿勢や、足の設置面が驚くほど自然で、現実の椅子に実際に座っているようにしか見えない。現実の物体とバーチャルの存在が重なり合うことによって、より「そこにいる」感が強まっていく。
ちなみに、みさきに座ってもらってコミュニケーションを取ろうとすると、なんだか居心地が悪い。なぜ居心地が悪いかというと、みさきを見下ろしていると感じてしまうからだ。思わず、自然とこちらも目線を合わせるため座ってしまった。「そこにいる」感が強いからこその行動。おそらく、誰もがそうしてしまうはずだ。
『DOAXVV』ならではのバカゲー感
作田氏:
「じつはまだできることがあります。“うちわ”と言ってください」
筆者:
「うちわ!」
ビジュアル的な変化はない。
作田氏:
「そのまま手でみさきをあおぐ動作をしてください」
ま、まさか。言われるままにみさきをあおぐ。
筆者:
「風が発生しました!」
そうなのだ。手であおぐと風が発生したのだ。しかも振る方向で風向きも変わる。「うちわ」と発声した瞬間、私は神と化したのか。風を当てることで、みさきの髪や着ているパーカーが揺れる。
ごくシンプルで、身も蓋もない最先端の技術。なんて最高なんだ……。
作田氏:
「ではつぎに“霧吹き”と言ってください」
え!? それはもしかして?
作田氏:
「人差し指を倒すようにしていただくと……」
『DOAXVV』プレイヤーならみなさんご存知だろう。そう、オーナーたちのマストアイテムである霧吹きによるコミュニケーションがMRでもできてしまったのだ。目の前にいる等身大のみさきの衣服、そして肌が……と、ここでMR体験は終了。存分に破壊力のある体験をさせていただきました。
『DOAXVV』のMR体験はまさに「新しいコミュニケーション」だった。本当にみさきがそこにいるかのような感覚、バカっぽすぎるけど感動するレベルの技術。
ホロレンズでこんなことをやる必要があるのか? と感じるのと同時に、ホロレンズじゃなければここまでのことはできないだろう、と納得してしまう不思議な感覚。
この感覚は『DOA』シリーズきっての技術「やわらかエンジン」でも感じた人がいるのではないだろうか。それがコーエーテクモゲームスの『DOA』チームの魅力なのかもしれない。
前述したように『DOAXVV』のMRは開発段階とのことで、世に出るかどうかはまだわからないとのこと。体験後、作田氏にMR開発の意図や、3周年を迎えた『DOAXVV』のこれまでと今後について話をうかがってみた。
「島に行く体験」から「家に来てもらう体験」へ。MRで『DOAXVV』はどう進化するのか
──MR体験、まだ興奮しています(笑)。VRとはまた違った体験で、未来の広がりを感じました。
作田氏:
ありがとうございます。本当に「そこにいる」って感じですよね(笑)。
我々は『DOAXVV』の島に行く体験から「家に来てもらう体験」への進化を目指しています。もともと、ホーム画面でのコミュニケーションを軸とするゲームを開発していたので、リソースはたくさんあったため、それを使いながら制作しています。
──研究開発をされてどれくらいが経過しているのでしょうか。
作田氏:
じつは結構かかってしまして……。ざっくり言いますと1年ほど経過しています。このようにコンテンツとして楽しむことができる形になったのは、ここ3ヵ月の話です。
もう少し早く出したかったのですが、コロナ禍もあり、思うように開発が進まない状況でした。あと、ホロレンズというデバイスが貴重で、なかなか手に入らないということもあって。
──MRの女の子はVRからの流用ではなく、ゼロから作り直したモデルなのでしょうか。
作田氏:
立体視をするところまでで言うと、ある程度VRの技術を流用できるところがありましたので、新しくモデルをリファインしているわけではないです。
──MR単体で遊べるものを目指しているのでしょうか。それとも『DOAXVV』のサブコンテンツとして遊べるものになるのでしょうか。
作田氏:
まだそこまで決めていない状況です。そもそも研究開発なので、リリースするか、できるかもわからないですので。おもしろいものができたから、3周年に合わせてお披露目したいなと(笑)。
──今回はあくまで、デモのお披露目ということですね。
作田氏:
はい。そうですね。ユーザーのみなさんのアンケートでVRコンテンツをもっと作って欲しいという声をいただいているので、ちゃんとお答えしたいという気持ちがありました。
──先ほどは会議室での体験でしたが、想定はプレイヤーの自室ほどの広さなのでしょうか。
作田氏:
理想的にはそう考えておりますが、デバイスの特性を活かすなら、少し離れて対面で見ていただくことがいいのかな、と思っています。ここを何とかゲームデザインに組み込めないかという点が課題ですね。
──楽しみ方としては部屋の中に女の子がいて、さまざまなアクションやコミュニケーションをしていくことが軸になっていくということですか。
作田氏:
「おうちでバカンス」ということですね。オーナーが島に行くのではなく、女の子が家に来るという設計になっています。
先ほどプレイしていただいて感じられたかもしれませんが、課題はアクションとの紐づけ方なんです。プレイヤーが戸惑わないように、直感的に自分の動きが同期してくれるかどうか。アクションの仕様をいろいろと試している段階です。
あとは、ちょっとしたコミュニケーションゲームをやりたいなと思っています。先日、それ用にモーションキャプチャーも撮ってきました。基本的なアクションで楽しめる遊びであればできる段階には来ています。
ホロレンズには視線がどこを向いているかを検出する機能があるんですよね。目線を女の子から外したときなどでも、ちゃんと視線を追って検出してくれるんです。それを利用したコミュニケーションを組み込んでいきたいと考えております。
そもそもホロレンズは手の形状や腕の動きを認識することができるので、ピースをすると、ピースを返してくれたり。プレイヤーの動きを同期させて、本当に女の子とじゃれ合っている感じを楽しめるようにしたいと思っています。
──VRとは異なるコミュニケーションということですね。
作田氏:
ホロレンズのデバイスで設計されていることがすばらしかったので、その中の機能を利用させていただいて「『DOAXVV』だったらどうするか」ということを足しただけなんです。
ですが、そうやって技術を使うことにより、新しい「かわいい」の可能性が広がっていきました。まだ研究段階ですが、なんらかの形でこの体験をしていただくことを目標に開発を進めていきますので、ご意見などをいただければと思います。
『DOAXVV』が目指したビジョンは「ゲームが生活に馴染む」ということ
──ここからは3周年を迎えた『DOAXVV』の話を聞かせてください。プレイヤーと女の子の距離感に特化したゲーム性で3年やってきたのは、ある意味異例のことで、成功例としても珍しいと思っています。実際にどのようなビジョンを持って運営を行ってきたのでしょうか。
作田氏:
女の子を愛でるゲームとしていままで作ってきたのですが、とにかく重要なのはライフサイクルにこのゲームが馴染むことだと思っています。コンシューマーゲームですとコンプリート、クリアが前提になっていますが、運営タイトルは終わりがないことが幸せであり、終わりがないことが望まれています。
新しい要素を追加しながら毎週何かをアップデートして、今日はこんなことがあったよって、プレイヤーが毎日毎日新しい発見なり喜びなりを楽しんでいただければなと思っています。アンケートのご意見で「日常のひとつになりました」という声をいただいたときは、本当にうれしかったですね。
──毎日10分とか、30分プレイするという、生活の一部になるゲームを目指していたんですね。
作田氏:
はい、そうです。極端に言ってしまえば『DOAXVV』を起動しながらアニメを見るなどの楽しみ方を想定しています。つまり「ながらプレイ」がベースの設計に入っているんです。
ずっと同じゲームをやらなければいけないのはなかなか辛いじゃないですか。だから、なんとなく『DOAXVV』を起動しながらアニメを見たり、インターネットをしたりというプレイスタイルは最初からしっかり考えていました。
──なるほど。ブラウザゲームが多いDMMのプラットフォームの特徴を活かしたと。
作田氏:
もともと私はDMM GAMESさんのゲームをプレイしていて。いわゆる有名なブラウザゲームなどを遊びつつ、ネットを見たり他のゲームを遊んだりしていました。
画面を占有するスマホゲームと違って、PCゲームのいいところって、ネットサーフィンしながら遊べることだと思っていたので、自分が作るなら気楽に遊べる部分を大切にしようと考えたわけです。
守るところは守る。誤解されがちなゲームで意識していること。
──男性のユーザーが多いと思いますが、女性ユーザーからの反応はどのような感じなのでしょうか。
作田氏:
プレイしている割合で言うと圧倒的に男性が多いです。ですが、女性ユーザーの熱量もかなりすごいんです。
公式4コマに出たことがあるので知っている方もいるかもしれないですが、弊社のコアスタッフにも女性がいるんですね。彼女たちを見ていると、キャラクター愛の強さはすごいなと思います。水着のデザインやキャラクターの仕草に対して「かわいい!」「これがいい!」ってリアクションをしてくれて。
──『DOAXVV』ってどうしてもセクシャルな部分に目がいってしまうので、誤解されやすいゲームだと思うんです。けど、実際はそこだけではなくて、衣装やしぐさのバリエーションがすごいじゃないですか。しかも2Dではなく、すべて3Dで描かれているわけで。
作田氏:
女性の関係者から「リアルに欲しい服」、「普通にかわいい服」と言ってくれたことがあって。それはすごくうれしかったですね。
制作過程で気を付けていることがありまして。スタッフから水着デザインの提案をもらった際に、私から見ると「その水着を着せたいのはわかるけど、着せた女の子がかわいそうだよね」ということがあるんです。そうなったときは、しっかりと女の子が喜んでくれる、品が下がらないところを意識します。
そこはしっかりと守らなければならないと思っていて。線引きをしっかり行っているのが、女性ユーザーからも支持されていることにつながっているのかもしれません。
──その考えは男性にも響いていると思います。
作田氏:
そうであればいいですね。私が「下品は嫌です」って言うと、たまに「お前が言うな(笑)」というリアクションを取られるんです。けど、女の子が傷つかない形を守ることにはこだわっていきたいです。
魅力的な女の子は「かわいい」から生み出されている
──多数いる女の子の中からひとりの推しを作ってもらう、というイメージでゲーム設計をされているのでしょうか。
作田氏:
どのようにでも楽しめるデザインにしています。この女の子でなければ嫌だっていう方も、全員推しって言う方もいるじゃないですか。できる限り、どちらの遊び方でも間違いではないようにしています。
サービスが開始してからかなりの女の子を追加していますが、「どの子もかわいい」と言ってもらえるのがいちばんうれしいですね。
──正直、サービスが始まったときには、女の子がこんなに増えるとは思いもしませんでした。
作田氏:
僕もこんなに増えるとは思いませんでした(笑)。
──既存の魅力的な登場人物がいる中で新しい女の子を考えるのは大変な苦労があったと思います。新しい女の子を考えるときに意識したことはありますか。
作田氏:
新しい女の子が島に来るときに「どんな新しいかわいいが生まれるか」ということは常に意識していました。それがその子のオリジナリティでありゲームの拡張性なので。
他のゲームであれば、ステージ追加や新モード追加などでゲームの幅が広がっていくと思うのですが、それと同じ考えで新しい女の子を追加しています。
あと、既存の女の子のかわいさと重なってしまうことは極力避けていますし、既存の『DOA』シリーズとどう違いを出すのかをしっかりと考えています。
──『DOA』シリーズにも魅力的なキャラがたくさんいますからね。
『DOA』にも登場する女の子たちは格闘ゲームの登場人物なのでみんな遠い存在のスーパースターなんです。ですので、たとえばみさきは最初からプレイヤーに近いふつうの女の子という存在として描こうと決めました。
キャラの被りという点で言うと、紅葉とさゆりという「姉キャラ」についての議論が起きたりもしました。
紅葉は、オーナーのことを「ちゃんとやろうね」と導いてくれるお姉さんなのですが、さゆりは「やらなくていいですよ」と許してくれるお姉ちゃんになっています。同じ「姉キャラ」であっても、そうやって住み分けを行って、新しいかわいいを考えていきました。もちろんビジュアル面でも同じようなことをしています。
──『DOAXVV』から『DOA』へたまきが参戦するという逆輸入もあったじゃないですか。あれは『DOA』チームから「たまきを参戦させたい」とお願いされたのでしょうか。
作田氏:
そうですね。当時のプロデューサーから連絡が来て。誰にするかという議論はあったのですが、「やっぱりたまきだよね」と決まりました。
じつは『DOA』への逆輸入は、『DOAXVV』のサービスを始めるときに掲げた僕の目標のひとつだったんです。もちろん、『DOAXVV』のキャラクターが戦っているところは見たくないというユーザーさんもいらっしゃったので、表現などは慎重に行いました。
──『DOAXVV』のオリジナル登場人物で最初に手ごたえを感じたのは?
作田氏:
最初に「いけるかも」と手ごたえを感じたのはたまきですね。新しい女の子を紹介して、こんなに喜んでもらえるのかと感じました。
しっかりと手ごたえがあったので、『DOAXVV』チームが作り出せるものの強さを理解して、そこを伸ばしていこうというきっかけにもなりました。
そのほか手ごたえということでいうと、「おつまみピンチョス」という水着が追加されたときですね。インタラクション性のある水着を発明したことにより、ユーザーさんから良いリアクションをいただきました。
熱意のあるプランをどのようにユーザーに届けるか
──『DOAXVV』のチームはどのような方々が集まっているのでしょうか。
作田氏:
3年目になるので適度にスタッフを交代しながらやっています。サービス開始直後はベテランも若手もバランスよくいたので、私は41歳なんですけど年齢でいうと真ん中だったりしましたね。現在は入れ替えしながら長く運営するために若手を入れているので比率は変わってきています。
──当初は『DOA』本編を手掛けたスタッフが集まっていたのでしょうか?
作田氏:
当初数名はいました。私自身も『DOA3』から『DOA5』までは関わっていたので。ただ、3年前は運営型タイトルの知見がほぼなかったため、本当に手探りで進めていました。そのため、かなり特殊な運営タイトルになっていると思います。実際、いまでも「こういう運営のやり方をしているゲームはない」と言われますから(笑)。
普通のタイトルと同じく、半年、1年というマイルストーンを設定していたのですが、そのときそのときの状況に合わせて即時性を意識しながら開発を行ってきたんですね。運営タイトルをやっていて楽しいところはこの即時性。つまりライブ感だと思っています。
──その即時性に対応できる運営・開発チームは稀だと思います。
作田氏:
運営型タイトルはたいへんだというイメージがあるかもしれないのですが、僕は辛さがなくて。毎週あるアップデートのリアクションをいつも楽しみにしているので、運営するのはすごく楽しいです。他のスタッフはどう思っているのかわからないですけど(笑)。
ただ、ネタ切れだけが怖いです(笑)。生放送でなにをやるかもつねに考えなければいけないので、四六時中『DOAXVV』のことを考えています。
「かわいい」のために進化し続ける秘伝の「やわらかエンジン」
──この機会にお尋ねするのですが、やわらかエンジンはどう進化しているのでしょうか。2.0がいちばん注目されていて、以降詳細があまり語られていない気がしたので……。
作田氏:
やわらかエンジンはカスタマイズしながら進化を続けています。サービス開始当初は恥じらいを感じると赤くなったりするというものでしたが、今年4月にパティという女の子が登場したときは、前かがみになったときに見える緩んだ胸元を再現するためにエンジンを進化させました。パティの無防備さを表現するためには絶対に必要な要素でしたので。
8月に追加されたつくしに関しても、ショルダーバッグなどを肩からかけたときの胸の表現を再現するためにやわらかエンジンを進化させました。そうやって小さな改良が積み重なっているという状況です。
僕はもともとプログラマーだったので、「これだったらできるだろうな」というのがなんとなくですが予想できるんですね。実現するうえでのポイントを提案することで、比較的スムーズに実装できたと思います。ただ、最後は細部を製作するスタッフのこだわりのおかげです。やりすぎて止めることもあります(笑)。
──女の子の多様なモーションも『DOAXVV』の特徴だと思います。女の子のモーションはどういったものを参考にして作っているのでしょうか。
作田氏:
「こういう女の子だったらこういう動きをするよね」という考え方をしています。既存のものを参考にしたり、真似したりするのではなく、キャラクターのイメージを広げながら、「この子だったらこうしてほしいと思うよな」という構築の仕方ですね。
『DOAXVV』は動きや表情、衣装や声など、プロデュースしなければいけないところが多いんです。キャラクターを作る際には、最初にプランナーやCG担当者から幅広く案を出してもらって。方向性を決めたら、とにかく熱意のあるプランナーをメイン担当として置く。僕はサポートに回り、メイン担当が主軸に形にしていくという体制にしています。
──熱意のある方に任せて自身はサポートに回るというのは、なかなかできないことだと思います。
作田氏:
私自身はこういったコンテンツとの関わりはもともとなかったので、基本的な「歴史」や「お約束」に詳しくなくて。熱意あるプランナーの説明する「かわいい」に対して、そんな私が理解できるかどうかで判断しているんです。わからないことを聞きながら、「それはかわいいね」と良いところや共感できるところを探していく。そして、それをどうユーザーさんに伝えるかを意識しています。
──ここまでお話を聞いて、作田さんはファンのリアクションを事前に察知する能力に長けていると感じました。
作田氏:
僕は自分を翻訳者だと思っているんです。どちらかというと、生みの親ではない。基本的には熱意のある愛を、どうユーザーさんに伝えるかを考えています。
──そのやり方にしたのは、いつごろからなのですか?
作田氏:
なぎさが登場したあたりから明確にそうなっていきました。
オーナーのことを罵倒する女の子を作りたいんだという熱意あるスタッフが現れまして(笑)。アイデアを聞いたときに「尖ったキャラだけど、こうすればユーザーさんは嫌な気持ちにならないだろう」とミーティングを行って。
みさきの姉という設定を活かし、いままでみさきにいろいろなことをしてきたから何を言われてもしょうがない気持ちになるようにして。ユーザーさんが納得感のある作りにしていったんです。
──課金をしなくても楽しめるというゲーム性が根本にあると思います。ガチャをしなくても良いゲームというのは当時珍しかったと思うのですが、どのように勝ち筋を描いていたのでしょうか。
作田氏:
勝ち筋というよりも、がむしゃらにやっていたと言いますか。ガチャのSSR排出率が他のゲームに比べて低めになっていることは、よく特徴として伝わっているかと思います。でも、イベントを遊ぶと毎週40連は回せるようになっている。そもそもイベントを遊ばないということになってほしくなかったので、ガチャを回したいならとにかく遊んでいただくという形になっています。
正直、どれだけの方が課金していただけるのかがまったくわからなかったので、ちょっとずつ調整しながら、という感じでした。ゲームの楽しさと課金のバランス感覚は、いまでも難しい部分だと感じています。
──夏にはSteam版が配信になりました。
作田氏:
DMM GAMESのプラットホームでゲームをプレイしていただいているユーザーさんはたくさんいるのですが、そこでしか遊んでいない人が多く、Steamで遊ばれているユーザーとの重なりはないように感じました。ですので、我々側から「こんなゲームをやっているよ」と新たに提示できるようにSteamでの配信を始めました。
──反響としてはいかがですか。
作田氏:
正直まだ手探り状態ですね。Steamのプラットホームには魅力的なゲームが多いですし、買い切りのゲームが多いので、このような運営型のゲームをどのように紹介していくのかが課題となっています。
『DOAXVV』はいつ始めてもほとんど差がでないゲームですので、興味のある方はぜひ遊んでいただきたいですね。PCにインストールしなければいけないわけではなく、ブラウザ版でもプレイできるので気軽にはじめていただければ。
『DOAXVV』を運営していくにあたり、私の資質として、双方向のやり取りが行えるもの、運営タイトルに向いているのかな、ということに気が付いたんですね。コンシューマータイトルのように数年を費やして作って、リアクションが一度だけというのは向いていないかもしれない。
だからこそ『DOAXVV』でユーザーさんの声を聞きながら、毎週いろいろなリアクションを取っていく。『DOAXVV』はユーザーさんと我々で作り上げていくゲームだと思っているので、ぜひこの形で続けていきたいですね。(了)
キャラクターの「かわいい」を最大化し、ユーザーとともに3年を歩んできた『DOAXVV』。『DOAXVV』の成長は、自身を「翻訳者」であると評し、熱意あるスタッフに任せるべきは任せるという、ディレクター作田氏の人柄があってこそのものだというのが、今回の取材で伝わったのではないだろうか。
運営型タイトルが抱える「休みなく続く」という困難に対して、こともなげに「双方向のやり取りが行えるものに自分は向いている」と答えた作田氏。その穏やかな表情が印象的だった。
『DOAXVV』では3周年アニバーサリーでさまざまなキャンペーンが開催されているので、この機会に女の子たちとのバカンスを楽しんでみてほしい。
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