”ゲームの魅力”を他人に伝えることは難しい。大なり小なり、ゲーム好きであればこの課題に直面したことがあるはずだ。ゲームメディアで記事を作り続ける人たちも最適解を探すために日々奮闘している。
ゲーム実況者のshu3氏は、その最適解を見つけたひとりだと言えよう。shu3氏は「ナポリの男たち」という実況ユニットで活躍する傍ら、個人の活動として狂気的と言える“やりこみ実況”で注目を集めている。
そんな彼が2020年3月11日に投稿した『まずゼルダ全作品クリアしました(100日経過)|すべてを越えた超やりこみBotW #1』という動画を冒頭だけで構わないので観てほしい。
この企画内容に多くのゲーム実況ファンは驚愕し、ゲーム実況界隈を震撼させた。
■企画内容
・全ゼルダシリーズ収録しつつクリア済み
・収録をもとに全ゼルダ史をざっくりと解説
・すべてをコンプ
(ハイリア図鑑、コログ、宝箱、祠、チャレンジ、巨大魔物退治など)
・すべての魅力(自由度の高さなど)を紹介
・主夫の英傑縛り(日用品縛り、料理で攻略)
・マスターモード(最高難易度版)をプレイ
・Switch版「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(BotW)」の実況プレイ
・「すべてやりつくす」がテーマ
そもそも完走できるか心配になってしまう程てんこ盛りな内容。しかし2021月5月5日に最終回である『(完)何者でもない主夫が世界を救う|すべてを越えた超やりこみBotW #60』を投稿し、無事に完結した。そう、shu3氏はやってくれたのだ。
多くのファンを感動の渦に巻き込んだ、本実況シリーズ。shu3氏の他にも称えなければいけない人物がいる。それがアニメーションやサムネイルを担当したAkino Fukuji氏だ。彼女は現役で活躍するアニメーターで、最近ではテレビ東京系「きんだーてれび」内で放送されたパペットアニメーション『PUI PUI モルカー』のタイトルカードも担当した。
ゲーム実況では珍しい凝りに凝ったアニメーションとサムネイルは、一目見ただけで心が踊る。shu3氏とFukuji氏のコラボレーションは、飽和しつつあるゲーム実況の歴史に新たな風を吹かせた。
本インタビューでは、ふたりがいかにして全60回の実況動画を完走したのか、ふたりがどのような思いで作品を創り上げてきたのかを伺った。
”何者でもない主夫”はいかにしてゲーム実況の歴史を変えたのか、ぜひ注目していただきたい。
聞き手・文/tnhr
編集/クリモトコウダイ
やりこみ力ナンバーワンのshu3が生んだ新実況シリーズ
──「すべてを越えた超やりこみBotW」シリーズ完結おめでとうございます。かなり長いシリーズでしたが、最終的にはどのくらいかかりましたか?
shu3氏:
準備期間が8カ月ぐらいあったと思うんで、全部で2年かかりましたね……。
──本当にすごい……お疲れ様です……!
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下『ブレワイ』)のシリーズを始める前にゼルダシリーズをすべてクリアされていましたが、なぜ全シリーズをクリアするところから始めたんでしょうか。それでいて、その部分がほぼカットされていて本当に驚きました。
shu3氏:
ゼルダシリーズはあまりやってこなかったんですが、「ナポリの男たち」で一緒にゲーム実況をしている蘭たんから「ゼルダシリーズって話が全部繋がってるんだよ。」っていう話を聞いて、すごく興味持ったんです。ちょうどその時『ブレワイ』はいつかやりたいなとも思っていて。
だから今回『ブレワイ』をやるにあたって、繋がってるんだったら全部やっておかないとなんかダメだなって思ったんですよね。
──なるほど……。
shu3氏:
『ブレワイ』っていろんな人の努力の結晶を感じるゲームだったんです。その実況やるんだったら「こんくらいやっとかなきゃ失礼だ」と思ったのと、あとゼルダシリーズの解説を動画の最後に入れているんですけど、そこで使える映像として、撮影しておきたかったっていうのもあります。
──shu3の実況動画ってストーリーをすごい掘り下げるし、縛りプレイもやってるし、コンプリートもするしでいろいろ要素てんこ盛りですよね。
動画を編集するにあたって、これらの要素をどう見せていくか、どういうところを意識していくかなど、特にこだわった部分はどこでしょうか。
shu3氏:
第1目標としては「ゲームの魅力が分かりやすく伝わる」っていうことですね。縛りやストーリーの掘り下げもそうですけど、今回アニメーションも付けていただいたっていうのがかなり大きいですね。
──あのオープニングには本当に驚きました。一般的な実況シリーズですと、あれほど凝りに凝ったオープニングはつけませんよね。
shu3氏:
そうですよね(笑)。
──どういう繋がりでFukujiさんとタッグを組むことになったんでしょうか?
shu3氏:
今回の実況シリーズを始めるにあたって「アニメーションを付けたい!」と思いまして。それで、Twitterでアニメーターさんを探していた時に、Fukujiさんのイラストを拝見して。それが理想としてた絵柄・タッチだったんですよね。
絵本みたいな感じというか、優しい感じというか。色使いも自分が想像していたものとぴったりあってて、ぜひお願いしたい!と思ったんです。
それで早速、企画書みたいな、10枚ぐらいのプレゼン資料みたいなのを作って、送ったんですよね(笑)。
Fukuji氏:
そうでしたよね(笑)。
shu3氏:
なんかもう「お願いします!」みたいな感じで。
──熱いアプローチから始まったんですね。
shu3氏:
ダメ元で「受けてもらえるかなあ?」ぐらいの感じでお願いしました。
Fukuji氏:
今からちょうど2年前ほどにメールをいただいて。その時に、すごい熱量だなあと最初びっくりしましたね。
プレゼンの資料もしっかりしていて、その時から既に全てをやり込むという内容が書かれていたんです。最初は全然理解が追いつかなかったですね(笑)。
shu3氏:
最初はそうですよね(笑)。
──ではとにかく熱量に押されてというか。
Fukuji氏:
そうですね、私自身もゲームがすごく好きだったので、熱の入ったプレゼン資料を見た時に「どうにかして協力できないか」と物凄く心を打たれまして。それで今回の動画シリーズに携わらせていただくことになりました。
ゲームの世界に思いを寄せて、想像力と感情を爆発させる
──shu3の実況シリーズといえば狂気的なやりこみが特徴的だと思うんですけど……。
shu3氏:
実は自分ではそんなに「狂気的なやりこみ」って実感がないんですよね……。このスタイルでやっているのは、分かりやすく、そして見てもらうための最低限の努力というイメージなんですよ。「これくらいやらないと見てくれないだろうな」っていう気持ちがまずあります。
もちろん、ここまで時間をかけれるのはそのゲームが好きだっていう気持ちがまずあります。だからこそ、特殊なことをやってるっていう実感は自分の中ではあまりないです。
──なるほど。では見られるためには「これをやるのはマストだ」ということですか。
shu3氏:
そうですね。『ブレワイ』自体が発売してからすごい時間経ってるゲームなので、普通のことやっても見てもらえない。だから「ここまでやらないとな」っていう感じで、いつもやっています。
──他のシリーズでもやり込みをされていると思うんですが、どういった基準でゲームを選ばれているんですか?
shu3氏:
ここはシンプルに時間をかけても「苦じゃない」ゲームを選ぶようにしてます。自分が好きなゲーム、時間をかけれるゲームじゃないと、本当に無理ですね。それこそ狂ってしまいます。特にこのやり込みシリーズに関しては、膨大な時間かかりますから……。
──今回のゼルダですと、全部でどのくらいかかったんでしょうか。
shu3氏:
収録時間はたぶん400時間とか500時間とかですね。
──それに加えて準備とか編集があるんですよね……。
shu3氏:
編集……そうですね(笑)。編集が収録以上に時間がかかってるんで、相当費やしたなという感じはありますね。
──動画を制作する前から『ブレワイ』はやり込まれていたんですか?
shu3氏:
いえ、実はプレイしたことがなかったんです。今までは自分の思い出のゲームをやってたんですが、今回はそこが違っていて、「実況をやろう」と思い立ってからプレイした初めてのゲームなんです。今回はそれも新しい取り組みのひとつでした。
それが自分にとってはすごく新鮮で、やりながら感動したことがたくさんありました。
──確かにクエストを掘り下げて、町の人たちとコミュニケーションをとっていくと「え、こんなこと言うんだ」みたいな感じで驚かれていましたもんね(笑)。
shu3氏:
そうですね(笑)。すごく驚いたのはカカリコ村です。カカリコ村の作り込みが、本当びっくりして。ドゥランさん、プリコ、ココナの話がすごいんですよ。
Fukuji氏:
本当にすごいですよね。
shu3氏:
村にいるひとたちが、とても細かく行動するんですよね。昼はここにいる、朝はここにいる、雨の日はここにいてみたいな感じで。これに感動してFukujiさんと相談してアニメーションを1個、シーンチェンジで作ったんです。
Fukuji氏:
当時はアニメーションと実況動画が、ひとつの空間にいていいのかなと不安に思いながら、Part4まで制作していました。
Part5で登場するカカリコ村の回になってようやく、その作品には語られてない部分をアニメーションによって補完する事ができて、とても手応えを感じました。
shu3氏:
あともうひとつ、ゾーラ族のイベントで手紙を川に流して届けるイベントがあるんですね。で、最終的にそのハイリア人の青年がゾーラ族の子と会うんですけど、ゾーラ族ってとても寿命が長いので、「このふたりが付き合っていったらどうなってしまうんだろう」というようなことをポロっと動画の中で言ったんです。そしたら見事にそれをアニメーションで表現していただいて。
それが本当にすごいなと思って、これのためにアニメーションをお願いしていたのかもって気持ちになりました。
Fukuji氏:
ありがとうございます。shu3のプレイスタイルがこのゲームを主体にしているので、そのスタンスを崩さず、さらにアニメーションで魅力を深掘りしていけるように、常に良い按配を模索していましたね。
shu3氏:
このアニメーションですごいのは、青年が車椅子に乗るんですけど、車椅子の車輪がゾーラ族が作ったっぽい仕上がりになっているんですよ。
──本当にあそこは感動しました!
Fukuji氏:
ゾーラの里にある鍛冶屋さんでミファーの槍を修復できる場所があるので、きっとあそこで車椅子を作れないかと2人で頼んだのだろうなと、いろいろ思いを馳せながら描きましたね。
shu3も驚くFukujiさんの技術力
──とても細かいネタまで拾っているアニメーションが多くて、かなりリサーチをされているんだなと思いながら見ていました。
Fukuji氏:
ありがとうございます。それでも細かい部分など足りない知識があったので、実際に歴代のゼルダシリーズをプレイされているshu3にお話を聞きながら、アドバイスをいただいて制作していきました。
──じゃあふたりで話し合いながらオープニングは制作していったっていう感じですか。
Fukuji氏:
大まかにはそうですね。
shu3氏:
オープニングの全体の流れは、Fukujiさんにほとんど考えていただいたんです。けど、これはアニメーション全体の話になるんですけど、僕のほうから「ここ修正してください」って言った記憶がないんですよ。
毎回、僕の想像以上のものができあがって来るのでいつも「バッチリです!」と返してました。本当に「ありがてえ……」という感じです。
Fukuji氏:
冥利に尽きます(笑)。
shu3氏:
今回の動画シリーズは全60回もあって、いままでのやりこみシリーズで一番長いんです。なので何かヒキがないといけないなと考えていたんですけど、こうやってFukujiさんと共同制作で良い動画を作れたので良かったです。
毎回冒頭にあらすじのアニメーションがあるんですけど、それも1週間で作ってもらってるんで、本当に大変だっただろうなあと……。
Fukuji氏:
当初は、あらすじ以外にも攻略時の作戦説明や、最後に次回予告をつけるかどうかなど、どこにアニメーションを入れるかという部分も相談しながらでしたよね。
shu3氏:
僕がまったくアニメーションについて知らないので「この量いけますか」、「いや、これはちょっと1週間では……」みたいにコミュニケーションを取りながら調節していきました。
最終的にシーンチェンジを3つと、あらすじひとつとサムネみたいな感じのに落ち着きましたね。
Fukuji氏:
「この内容であれば、1週間でなんとか制作できるだろうな。」みたいな感じで(笑)。
shu3氏:
本当にギリギリだったと思うんですけども(笑)やってくださり感謝です。
Fukuji氏:
いえいえ。こちらとしては、shu3のプレイスタイルとゼルダシリーズの魅力の両方を引き出せるような立ち回りを最終回まで意識しましたね。
──本当に全てがマッチしていると思います。『ブレワイ』の音楽であのオープニングが始まって、shu3の声が聞こえてくるっていうのが本当に心地良くて。
shu3氏:
そう言っていただけると嬉しいです(笑)。
──世界観がいろいろ馴染んでますよね。
shu3氏:
実況シリーズを始める前に、全体の編集のテイストというか、テロップはこんな感じでつけるとか、シーンチェンジはこんな感じするとか、そのへんを設計したりするんですけど、かなり『ブレワイ』っぽいテイストに近づけたと思います。
筆のタッチみたいな演出でシーンチェンジするとか、あとテロップ文字の白色もゼルダホワイトっていう色なんですよね。白にちょっと黄色みがかったようなもので。そういう細かい工夫をしながら、馴染ませるような努力をしました。
──細かいところを見ると「すごく『ブレワイ』っぽい!」みたいなものがたくさんあったりしましたよね。
shu3氏:
編集を馴染ませることでより『ブレワイ』が引き立つように意識して作りました。
──動画本編ももちろんですけど、サムネイル毎回ちゃんと凝ってて目の引くデザインになっていて素晴らしいと思いました。
Fukuji氏:
そうですね。やっぱり「多くの人に見てほしい」という考えがあったので、サムネの「掴み」もあったほうが良いなということで、サムネイルの制作も担当しました。
あと、オープニングもずっと同じ内容ではなくて、見る人が飽きないよう何か変化があった方が良いなと思ったので、Part10を超えた頃shu3に「少しであればオープニングに何かアニメーションを追加できるかもしれないです」という提案をしたんです。
shu3氏:
ご提案いただいたのが、英傑のやつですよね。
Fukuji氏:
そうですね、shu3が「じゃあ、神獣を解放するごとにオープニングに英傑が増えるというのはどうですか?」と最初にアイデアを上げてくれたので、「その発想はなかったです!」と即決で採用しましたね(笑)。そこからは、作業の合間に英傑たちの作画も同時進行で進めていました。
shu3氏:
最後のオープニングにいたってはゼルダ姫も入ってて、本当にびっくりしたというか。ここにも手を入れてくれてたのかと感動しました。
Fukuji氏:
最終回のオープニングはこっそり作っていましたから(笑)。
shu3氏:
最後のオープニング、僕も完成版で初めて見たんですけど、あれは……泣きました(笑)。
Fukuji氏:
動画シリーズが投稿されてからの期間は、毎週のように二人三脚で「ああでもない、こうでもない」とあらすじやサムネイル、シーンチェンジに関する会議があって、個人的にすごく楽しかったんですよね。
それで、視聴者の皆さまもいろんな層の方がいて、家族や親子で見てくださっている方や、友達に勧められて見ている方もいたり。改めて、本当にいろんな人に愛されるシリーズになったなあと、ふと最終回手前でものすごく思いまして。
なので最終回のオープニングは今までの攻略や行動を踏まえつつ、shu3とブレワイ を制作してくださった方々と、あとは最後まで見てくださった視聴者の方々に対して感謝を伝えられるようなものを作ろうと思っていていたんです。
『ブレワイ』はユーザーを信用して様々な行動を許容してくれる自由なゲーム
──単刀直入にお聞きするんですが、この実況シリーズを通して『ブレワイ』というゲームにどういった印象を持ちましたか?
shu3氏:
動画の中でよく「奇跡みたいなゲーム」って言うんですよ。『ブレワイ』って奇跡みたいなゲームだなあ、みたいな。
ゲームクリエイターの宮本茂さんがテストプレイされたときの話がとても好きで。宮本さんがプレイされた時、ひたすら木を1時間ぐらい登ってたそうなんです。つまり登って降りて、それだけで楽しいゲームなんですよね。木を登るとか、歩くとか、崖を登って空を見たらすごく綺麗だったとか。ただそれだけで、たくさんの感動がある。
──ほんとにそうですよね。てくてく歩いて写真を撮ってるだけで遊んでいられる。
shu3氏:
あとプレイしててびっくりすることが多いんです。例えば「雷鳴の試練」っていう試練があって、そこは常に土砂降りのステージなんですよ。雨でリンクが滑るんで、壁に登るのが難しくなる。通常プレイであればなんとかクリアできるんですけど、リンクのがんばりゲージが1本とかだと登るのが難しい場所があるんです。
けどちょっと離れたところに木箱が置いてあって、その周りにオクタロックっていう、タコのモンスターがいる。あ、これは、このオクタを倒して風船で箱に乗って飛んでいきなさいよっていう開発者の方々からのメッセージなんだと感じて。
──ひとつの謎解きでも様々な回答の仕方を提示してくれていると。
shu3氏:
こんな細かいところをデザインしてるのかと驚きましたね。『ブレワイ』って広大なフィールドなんですけど、そういうのが各所にいっぱいあるんですよ。
あと、もうひとつエピソードをあげると、雷のカースガノンっていうボスがいて、僕はそこで「シーカーストーンは使わない」っていう縛りをしてたんです。
そんな縛りをしてしまったら、普通は倒せない作りになってると思ってたんです。これ倒せないから、縛りを緩めないとダメだなと折れかけたんですけど、リーバルトルネードっていう、空中に浮く技で直接雷のカースガノンを叩けばクリアできるぞっていうことに気がついて「これも想定してたのか」みたいなこともありました。
──shu3の縛りプレイって初期ステータスで、さらに主夫縛りっていう武器も防具も弱いし、持っていけるご飯も1種類だけみたいな超ストイックな縛りをしているじゃないですか。
shu3氏:
そうですね。
──だけど、それでも完走できちゃうレベルデザインって本当にすごいなって思いました。どんな縛りプレイしても『ブレワイ』はクリアできるって、実は凄まじいことですよね。
shu3氏:
色々と許容してくれるんですよね。ユーザーがどんなに変なことをしても、クリアできる仕組みになっている。僕がよくやってたのは、オクタ風船なんですけど(笑)。
──プレイヤーが好き勝手することを許してくれるというか。
shu3氏:
そうですよね。任天堂のゲームでよく思うのは「プレイヤーを信頼してる」ということです。『ブレワイ』はそれがめちゃくちゃ出てるゲームだなと思って感動しました。
fukuji氏:
そのお話と関連して言うと、part25の「無敵の箱」がかなり好きなんですよね。この回は、ストーリーやサブクエがあまり関与していないのですが、とにかくshu3のプレイならではのおもしろさが詰まっていて。動画を見ていくと徐々に鉄の箱に愛着が湧いて感情移入してしまうんですよね(笑)。
shu3氏:
実は、僕が1番つらかった回があのあたりなんです(笑)。あそこのエリアって雪山だけでイベントが少ないんです。
だけど収集する宝箱、収集物がめちゃくちゃ多い。つまり収録時間は長いけど動画的にはカットするところしかないんです。
けど、どうにか動画として成立させたいなあと思って「あ、じゃあこの鉄箱と一緒に生活してみよう」みたいな発想で撮ったんですが、やってる途中でなんかハイになってしまって(笑)。それがたぶん、Fukujiさんに伝わったのかもしれないですね。
fukuji氏:
道中でその鉄箱に「ウィルソン」と命名したりして、めちゃめちゃ笑いました(笑)。その次回のあらすじでも、鉄の箱と過ごした日々に焦点が当てられていて、かなり鉄箱に愛着を抱きつつ制作していましたね。
shu3氏:
あれはおもしろかったですね。やはり、ああいうのもアニメーションの力だと思います。想像を膨らませてくれるような。
実際はただの箱とハイになったおじさんが、なんかやってるだけなんですけど(笑)。
Fukuji氏:
(笑)
shu3氏:
やはりアニメーションがあることによってしっかり締まった印象がありますね。
Fukuji氏:
そう言っていただけて何よりです。
──いやー、箱関連、本当感動ですよね。
Fukuji氏:
いろんな意味で笑あり涙ありでしたね(笑)。
──箱でチクチクとイワロックとかヒスノックを倒すのもすごいですよね。やり込み実況はすごく色んな要素に触れてると思うんですけど、shu3ならではみたいなところとして、箱がすごい象徴的だと思うんです。
shu3氏:
箱に関して、ヒノックスは他の方の動画を参考にさせていただきましたね。その派生でイワロックの攻略もしました。あれは特に楽しかったです。そのほか、今回の動画シリーズでは先人の皆様の多種多様な攻略方法を紹介させていただいています。この場を借りて感謝申し上げます……!
あとオクタ風船が意外と使われていなかったので、こんなすごいアイテムなのに!と知ってもらうためにめちゃくちゃ使うようにしました(笑)。RTAだとタイムが遅くなってしまうのであまり使わないんですよね。だけど、めちゃくちゃ壊れアイテムだぞっていうのを伝えたかったんです。
これはいろいろと悪いことできるなあ、と思いながらやりましたね。