日本人がコマンド・ターン制RPGに飽きてしまったのはクリエイターの責任?
──Davidさんに「中国ではJRPGやコマンド・ターン制RPGがどのように受け取られているのか」を具体的にお聞きしてみたかったのですが、ここまでの対談を聞いていて、「コマンド・ターン制RPGのスタイルをやや古いものだ」と思っているのは我々日本のゲームユーザーの認識だけなのではないか、という気がしてきました。
David氏:
まず『崩壊:スターレイル』開発チームの話になってしまうんですが、やはりJRPG好きのスタッフはかなり多いです。そして、私個人の友人や同僚にもJRPGが好きな人が多いですね。友人とは『軌跡』シリーズの新作が出るたびに熱く盛り上がっていました(笑)。
先ほど言った通り、やはり企画段階のマーケティングで「中国国内におけるコマンド・ターン制を採用したRPGの成功例」、「世界的なユーザー数」、「売り上げのデータ」などを調査した段階で、JRPGやコマンド・ターン制RPGが一定数のファンやユーザーを獲得していることはわかっていました。
もちろん、「やはりコマンド・ターン制は古いものとして受け取られるのではないか」という心配もあったのですが、既に2回開催している『崩壊:スターレイル』のベータテストのアンケート調査の結果としては、95%のユーザーから「ゲームが面白ければ・クオリティがしっかりしていれば、このままプレイしたい」という反応をいただいています。
ここからは私個人の意見になってしまうのですが、インターネットなどで反応を確認する際、作品に対して好意的な人はあまりコメントを残さないため、逆に批判的な意見がどうしても大きく見えてしまう……と考えています。
そして、HoYoverseの方針としても「しっかりと良い作品を世に送り出せば、プレイヤーは自然と手に取ってくれる」ことをスタッフ全体に伝えています。
近藤氏:
日本ファルコムのタイトルは現在、北米でも展開しています。しかし、10年前までは北米地域ではあまり遊んでもらえませんでした。それがここ10年くらいの間で、『軌跡』シリーズをきっかけにユーザーが増えています。
その北米市場での反応を見て、「やはり日本ではターン制RPGは飽きられてしまっているのではないか?」とも感じました。しかし、日本人がターン制RPGに飽きてしまったのは、私たちゲームクリエイターの責任でもあるとも思います。
私たち作り手側が、「ターン制RPGのシステム」をこれ以上発展がない頭打ちの状態で止め続けてしまっているため、ここを上手くリブートさせて、次世代のターン制RPGの可能性を見せて行かなければならないと考えています。今回『崩壊:スターレイル』のPVを拝見させていただいて、「ターン制RPGはまだまだ可能性がある」という勇気をもらった気がします。
David氏:
ありがとうございます(笑)。
私も、統計上のデータも含めてターン制RPGにはまだまだ可能性があると思っています。やはり、同じ内容のターン制RPGを続けるのではなく、「何か新しい要素」を入れることでプレイヤーにサプライズや新たな体験を提供し続けることが大事だと考えています。
──やや抽象的な質問になってしまうのですが、おふたりは「RPG」というジャンルが長く愛されている理由はなぜだと思いますか?
近藤氏:
そもそも、ジャンルを問わずに、ゲームというものは「普段できない体験を与えるもの」だと思います。スポーツゲームであればプロ選手のようなスポーツ体験、レースゲームであればプロのレーサーのようなレース体験が味わえる。
じゃあ「RPGでは一体何が体験できるのか?」と考えた時、「自分以外の人生を体験できるもの」だと私は思います。
私は大学生の時に、日本ファルコムのタイトル以外にもさまざまなRPGを遊んだのですが、その中で主人公の冒険や仲間との出会いを通して、たくさんの「自分ひとりの人生を生きているだけでは味わえないような体験」に触れました。
その感動は今でも忘れられませんし、RPGからその体験を与えてもらったこと・その体験を経て人間として成長してきた感謝のようなものが「RPG」というジャンルに対してあります。だから、やっぱり自分も今RPGを作っているのかなと思います。
近藤氏:
それに加えて、RPGには「プレイ時間」という要素があるじゃないですか。映画でも長くても2~3時間で終わってしまうところを、RPGの場合は短くても20~30時間、長くて50~100時間かけて物語や世界観に触れることができる。
自分の人生から見れば何百分の1、何千分の1の時間かもしれませんが、その中で時間をかけて物語を進めたりキャラクターを成長させていく没入感は他のメディアでは味わえないものだと思います。
そしてRPGでは、自分がコントローラーを通して起こした行動がゲーム内に反映されて、映像と音になって戻ってくる。そこに加えてキャラクターの思い出や物語への共感も乗ってくる没入感や実感が、「RPG」というジャンルの優れた点だと感じています。
David氏:
こちらも近藤さんに近い考えなのですが、やはり「人生を体験する」、「他のメディアにはない没入感」がRPGというジャンルの面白さだと感じます。
たとえば、「普段の生活では味わえない何か新しい体験をしてみたい」と考えた時に、まずは別の国に行くために航空券を買ったり、旅行の荷造りをしたりといった「準備」の段階が大変だと思います。しかし、RPGは端末がひとつあれば、私たちの知らない世界や新しい体験を簡単に味わうことができます。
そんな「日常では味わえない体験」をプレイヤーに提供することができれば、RPGはこれからも変わらず愛され続けるジャンルになると思います。
近藤氏:
人生の最後に「これまで食べて美味しかったもの」とか「行って良かったあの場所」とかの走馬灯が浮かぶって言うじゃないですか。私の場合、あの走馬灯の中に必ず「あのRPG、面白かったな」という記憶があると思います(笑)。
RPGは間違いなく人生の思い出に残るジャンルだと感じますし、それを信じて今後も開発を続けたいと思っています。
David氏:
やはりユーザーにはRPGを通して「自分の人生とは違う体験」を提供したいと考えています。テクノロジーの向上に伴い、プレイヤーにできる臨場感と没入感も日々進化しています。
たとえば、『崩壊:スターレイル』ではさらに没入感を味わってもらえるように、NPCの行動パターンにAI技術を取り入れています。細かい部分はまだお話しできないんですが、これまである程度は定められていたNPCの行動パターンがAI技術でより自然になることで、「本当に『崩壊:スターレイル』の世界に行っているような没入感」をユーザーの方に感じていただけるように作っています。
「1つの星を作るのに1年かかる」『崩壊:スターレイル』の圧倒的な作り込み
──続いては、日本ファルコムのタイトルと『崩壊:スターレイル』の共通点や共通する考え方などについて、Davidさんにお聞きしたいと思います。
David氏:
やはり共通点だと、「コマンド・ターン制のRPG」、「世界観とストーリーを重視している」の2点が大きいと思います。
明確に「『軌跡』シリーズにインスパイアされた部分」を挙げるとすれば、「今作で巡るそれぞれの星の違う文化や、その背景に合わせたストーリー」を展開しているところです。ゲーム内に登場する星のデザインや設計にとにかく力を入れており、1つの星のテキストやグラフィックの設定が完成するまでに1年かかったりします。
David氏:
加えて、キャラクターのデザインにもすごく力を入れており、キャラクターを通して斬新な体験をユーザーに提供したいと考えています。
たとえば、私が初めて『零の軌跡』でティオちゃんに出会った時に、そのキャラクターデザインから斬新なインパクトを感じました(笑)。
一同:
(笑)。
David氏:
具体的に何が「斬新」なのかというと、ティオが携えている「魔導杖」という武器のデザインです。先ほどの世界観の話でも触れましたが、やはり「魔法とテクノロジーが融合している」武器を使っているところに斬新さを感じました。
『崩壊:スターレイル』に登場するキャラクターでも、私が『軌跡』シリーズで味わったような斬新なインパクトを提供できればと思います。
──近藤さんから見た「日本ファルコムのタイトルと『崩壊:スターレイル』の共通点」はありますでしょうか。
近藤氏:
真っ先に感じた共通点としては、「世界という大きな箱を作り、その中のあちこちに舞台を用意して旅をしていく」という世界観の作り方や、ゲームとしての構造的な部分ですね。やはり『軌跡』シリーズも「大きな大陸のいろいろな国を回っていく」というアプローチをすることが多いですから、そこがまず第一の共通点だと思います。
個人的な話ですが、『崩壊:スターレイル』は「その壮大な世界観のひとつひとつのエリアを描く熱量」が凄まじいタイトルだと感じています。
少しプレイ映像を拝見させていただいたのですが、エリアの中に置かれているゴミ箱を開いた時の「ゴミ箱の説明のテキスト量」に驚かされました。そこら辺に置いてあるゴミ箱の説明に何ページ分ものメッセージが詰め込まれていて、あのテキスト量が宇宙のひとつひとつの星に割り振られていくと考えると、これはエラいことだなと(笑)。
『軌跡』シリーズも、街で暮らしている人ひとりひとりにストーリーが用意されていたり、そのセリフが随時更新されていくテキストの細かさはユーザーの方に支持していただいているのですが、『崩壊:スターレイル』の世界を描こうとする熱量は「下手したら僕ら以上にすごいんじゃないか?」と感じてしまいました。
David氏:
『崩壊:スターレイル』はテキスト周りを担当しているライターがすごい熱量で仕事をしてくれていて、私自身もあのゴミ箱のテキスト量には驚きました(笑)。
近藤氏:
何かもう……ゲーム全体の熱意がゴミ箱のメッセージひとつから溢れ出してるんですよね(笑)。
あとはやはり、『崩壊:スターレイル』のビジュアル面に日本ファルコムのタイトルとの共通点を感じました。「中世ヨーロッパの街とSFっぽさを融合させている」ようなあの街並みが、特に『軌跡』シリーズと共通している部分だと思います。
先ほども「列車のデザインが好き」と言いましたが、ああいう「最先端のテクノロジーの中に、少しノスタルジーを感じさせる古いものが入っている」ビジュアルがすごく好きなんですよね。『軌跡』シリーズでも意識して「テクノロジーの中に、ちょっと古いものがある」デザインを取り入れることが多いですし、そのあたりに『崩壊:スターレイル』とのシンパシーを感じました。
David氏:
『崩壊:スターレイル』は「SF的な要素とヨーロッパ風やシルクパンク【※2】などの文化・カルチャーをどのように融合させるか」という点を重視しています。
たとえば、「シルクパンクをテーマにした大きな宇宙船」というロケーションが登場するのですが、「宇宙船」というSF要素と「シルクパンク風」という特徴的な文化を融合させることで、これまでにないようなビジュアルを生み出せています。
「仙舟羅浮」と呼ばれるこの大型宇宙船は『崩壊:スターレイル』のアートワークの象徴でもあります。正式リリース後はシルクパンク要素に満ちた「仙舟羅浮」の賑やかな街並みを探索したり、この宇宙船の壮大さを体験できます。
※2「シルクパンク」
SF作家ケン・リュウ氏の『蒲公英王朝記』という小説の世界観を表わす言葉。英国ヴィクトリア朝時代のテクノロジーが描かれたSFを「スチームパンク」と呼称するように、古代の東アジアのテクノロジーを描くSFを「シルクパンク」と呼ぶ。『崩壊:スターレイル』に登場する「仙舟羅浮」はこのシルクパンク的な世界観を盛り込んだエリアとなっている。
──『軌跡』シリーズと『崩壊:スターレイル』のどちらも、「SFとファンタジーが融合した世界観」が魅力のタイトルだと思います。その中では「銃を持っている相手に剣で立ち向かって互角」「巨大ロボットに生身で立ち向かって互角」などの、その世界観独自のケレン味が生まれる箇所もあると感じます。
少し曖昧な質問ですが、おふたりにはその「ケレン味の出し方、丸め方」についてお聞きできればと思います。
近藤氏:
少なくとも私たちの場合は、「日本のアニメを見て育っている」ところにそのケレン味の下地があるのは確かだと思います。
出張でアメリカに行った時に、ちょっと北米ユーザーの方に「剣と銃が互角に戦っているのってやっぱり変に見えますか?」と聞いてみたことがあるんですが、やはりみなさんが「おかしい」と言います(笑)。
一同:
(笑)。
近藤氏:
でも、やっぱり日本のアニメを見て育ってきた日本人の感覚として、「銃を持っている相手に剣で立ち向かう」ようなところに「ロマン」を感じているのだと思います。そのケレン味に憧れや「こうなってほしい」という憧憬のような願いが自分たちの中には間違いなくあります。
正直、「巨大ロボットに日本刀で立ち向かう」なんて作ってる自分たちが考えても変なシチュエーションだとは思います。でも、そのケレン味溢れるシーンをちゃんとカッコよく見せることができれば、文化が違う人にも受け入れてもらえるとは考えています。
そのド派手なケレン味溢れるシーンを「どういった表現でプレイヤーに見せていくのか?」という点で、作中の世界観の時代との整合性や開発の制約の中で、毎回四苦八苦はしています(笑)。
ユーザーの方もこのケレン味は「『軌跡』シリーズの味わい」として望まれている部分でもあると思いますし、自分たちが見てきた日本のアニメやこれまでJRPGというジャンルが育んできたものをベースにしつつ「その期待に応える」形でケレン味溢れる表現を入れています。
ですので、正直「銃と剣が互角なんておかしくない?」、「巨大ロボットに日本刀で立ち向かうなんて変じゃない?」という疑問に対する整合性……ケレン味の丸め方はあまり気にしていません。
David氏:
私も近藤さんに近い考えなのですが、単刀直入に言ってしまえば「ユーザーが納得すれば問題ない」と思っています。
こういったケレン味溢れるシーンなどを作っている最中、制作側としては「こんなシーン本当にいいの?」と考えてしまう時があるのですが……そんな時は一度、プレイヤーの視点になってそのシーンを見てみます。そして、いちゲームユーザーの自分が「こういうアニメ調の世界なら、こんなことが起きてもいいだろう」と思ったらプレイヤーとしての自分自身を信じます。
ちょっと昔話になるのですが、私は学校でコンピューターサイエンスの専門的な知識を学んでから『崩壊3rd』の制作をしていました。なので、コンピューターサイエンスを専門としていた自分としては、「ゲーム内のケレン味溢れるシーンや設定に、科学的・物理的な裏付けをしたい」と考えていた時期もありました。
その結果として、『崩壊3rd』には「実はこのシーンにはこういう物理的な裏付けや科学的な考証がある……」という細かい設定があったりするのですが、ユーザーの反応を見ていく中で「ほとんどのユーザーはその裏付けをあまり気にせずに世界観を楽しんでくれている」ということがわかりました(笑)。
もちろん『崩壊』シリーズの細かい設定を楽しんでくれているプレイヤーもいるのですが、この経験を経て「ユーザーが納得してくれれば、そこまで徹底的に設定の裏付けや考証をやらなくてもいい」ということに気付かされました。
日本ファルコムと『崩壊』シリーズの「ストーリーの作り方」
──日本ファルコムも『崩壊』シリーズも、ストーリーやキャラクターが魅力的なタイトルを多く世に送り出しています。ここからはそれぞれの物語やキャラの作り方についてお聞きできればと思います。まず最初に、日本ファルコムではどのように作られているのでしょうか?
近藤氏:
日本ファルコムは結構タイトルによって違ったりするのですが、『軌跡』シリーズの場合は「舞台となる世界観」を最初に作ります。まず最初に「この作品のテーマ」、「この世界にはどんな国があるのか」といった大きい設定を決めて、そこから「政治はどうなっているのか」、「社会階級はあるのか」、「どんな人種が暮らしているのか」などの細分化した設定を練っていきます。
その「世界観」が一通り決まった後に、キャラクターを考えていきます。たとえば、「描いていく物語の舞台の代表者」を選出する形でキャラクターを作り上げるパターンもあったりします。
中華風な舞台が登場するのであれば東方由来のキャラクターを登場させたり、帝国を出すのであれば軍人のキャラクターを登場させたり……『軌跡』シリーズのパーティーメンバーは世界観の設定から逆算して考えられていることが多いです。
それ以外にも、「場合によっては悪人ともやり取りをするようなグレーゾーンを生きる主人公を書きたい」と考えた際に、「どうすればその主人公で物語が描きやすいか」を前提にしてキャラクターを作り上げていくパターンもあったりします。基本的には世界観とストーリーが先にあって、そこからキャラクターを生み出す形が多いですね。
David氏:
『崩壊:スターレイル』もさまざまな星が登場する設定なので、近藤さんがおっしゃった「世界観からキャラクターを作り上げる」という考え方に近いと思います。
たとえば、先ほど説明した「人間が暮らしているシルクパンクの宇宙船」では、「どうして人が宇宙船の中で暮らすようになったのか?」、「この宇宙船の中ではどのような特殊な文化が生まれているのか?」という背景の歴史と文化を最初に考えていきました。
そして世界観の設定が決まったら、次は「その星のテーマ」を考えます。今回のシルクパンクの宇宙船では、不老不死を求めるキャラクターが登場し、この「不老不死」というテーマを深く掘り下げています。
『崩壊』シリーズ自体が「ハードすぎないソフトなSF」を目指して作られているので、設定そのものの科学的考証よりかは、「こんなテクノロジーがあったらどんなことが起きるのか?」という空想的な発想を面白くストーリーに組み込むことを意識しています。
David氏:
これらの世界観の設定とテーマが決まったら、「この舞台にはどういう役者が必要なのか」……つまり、このストーリーにおいて求められるキャラクターを考えていきます。
大まかなストーリー内における役割を決めたら「そのキャラクターはどこ出身なのか」、「このキャラクターは何をしたいのか」といったキャラひとりひとりのストーリーや背景設定などの細部を練っていきます。
まず最初に舞台となる星の世界観とテーマが決まり、そこから詳細なプロフィールなどを練ったキャラクターが生み出され、最終的にシナリオが作られる。基本的にはこの順番で『崩壊:スターレイル』のストーリーは組み立てられています。
近藤氏:
Davidさんのお話を聞く限り、『崩壊:スターレイル』と日本ファルコムのストーリーの作り方はかなり近い気がします。最初に決めた世界観の上にキャラクターを配置すると、ある程度「キャラが勝手に走り出す」ような感覚があるんですよね。
その「勝手に走り出す」状態を作り出すことで、このタイトルのそのキャラクターにしか言えないセリフが生み出されていく。自分たちが作為的にセリフを書き上げるよりかは、「その世界観に合ったセリフが自然と見えてくる」ところがあると思うので、「その世界に合ったキャラクター」をしっかり作ることを大事にしています。
シナリオが失敗するパターンとしては、シナリオライターが「自分がこのキャラクターをこう動かしたい」という欲望や下心を抱いてしまった時に、ここまで作り上げてきた世界とキャラクターの自然な流れが阻害されて問題が発生したりします。
David氏:
おっしゃる通りですね。HoYoverseのシナリオライターも「ライターのさじ加減で本来そのキャラクターがしないような行動を取らせてしまうことは、あってはならない」と考えた上で、『崩壊:スターレイル』のシナリオを描いています。例を挙げるとすれば、「三月なのか」というキャラクターが面白い背景を持っています。
彼女は比較的早い段階で仲間に加わるのですが、ゲーム内のキャラクターたちもすぐに「三月なのか」という名前の不自然さに気が付きます。そしてストーリーを進めていくことで、彼女の「漂流する恒氷の中から目覚め、自分のついての記憶を全て失っている」という衝撃の事実が明かされます。つまり、「三月なのか」という名前は彼女が氷の中から目覚めた日である「3月7日」から名付けられているんです。
もちろん、彼女の過去は主人公の運命やストーリー全体に大きく関わってきますし、ゲームを進めていくことで徐々に判明していきます。彼女に隠された秘密は……実際に『崩壊:スターレイル』を遊んで確かめてみてください(笑)。