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RPGの歴史に残る対談、ここに実現──『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏と『ウィザードリィ』のロバート・ウッドヘッド氏が語り合う、ふたつの作品の原点

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 みなさまにとって、「RPGの原体験」はどこにあるだろうか。

 『ポケットモンスター』シリーズからRPGに触れた人、『ファイナルファンタジー』シリーズから触れた人、『テイルズ』から、『ペルソナ』から、『原神』から……。

 きっと、「思い出のRPG」は人の数だけあるのだろう。

 そして、そんな「思い出のRPG」に、『ドラゴンクエスト』を挙げる人は多いのではないだろうか?

RPGの歴史に残る対談、ここに実現──『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏と『ウィザードリィ』のロバート・ウッドヘッド氏が語り合う、ふたつの作品の原点_001
スクウェア・エニックス公式サイトより

 『ドラゴンクエスト』……まさしく日本のRPGにおける特異点ともいえるタイトルにして、多くの方の「RPGの原体験」として刻み込まれているタイトル。そして、『ドラゴンクエスト』の生みの親でもある堀井雄二氏は、いくつかの作品から影響を受けてこの『ドラゴンクエスト』を作ったとされている。

 そのひとつが、『ウィザードリィ』。1981年に発売された3DダンジョンRPGである今作は、後世の『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』などのRPGに多大な影響を与えた、まさしく「コンピューターRPGの始祖」ともいえる作品。「✳︎いしのなかにいる✳︎」というメッセージをどこかで聞いたことがある人も多いんじゃないかな?

 そしてなんと今回、『ウィザードリィ』の生みの親でもあるロバート・ウッドヘッド氏と堀井雄二氏の対談が実現してしまったのだ。いちオタクとして、「嘘でしょ?」と思うのですが……本当に実現してしまいました。嘘でしょ?

 堀井氏が語る、『ドラゴンクエスト』の出発点。ロバート氏が語る、『ウィザードリィ』が作られていった経緯。堀井氏が明かす、『ドラゴンクエスト』が『ウィザードリィ』から影響を受けた部分。ロバート氏が明かす、『ウィザードリィ』に忍者や侍が登場する理由。そしてこのふたりが語る、「RPGの面白さ」とは?

 まさしく「RPGの歴史に残る対談」となった今回の記事。なるべくオープニングは短めに済ませて、早くメインストーリーに移ります!

聞き手/TAITAI・豊田恵吾
文/ジスマロック
編集/実存
カメラマン/佐々木秀二


「冒険を自分だけのものとして独占する」堀井さんが語る『ウィザードリィ』の魅力

──まず、堀井さんが最初に『ウィザードリィ』をプレイされたとき、どんな感想や思いを抱いたのかを教えていただければと思います。

堀井氏:
 いや、どこから話したらいいのかな……(笑)。

 今から30~40年くらい前に、コンテストで入賞したご褒美にエニックス(現:スクウェア・エニックス)がサンフランシスコのAppleフェストへ連れて行ってくれたんですよ。そこにちょうど『ウィザードリィ』が出ていて、その場で買って帰国してすぐ遊びました。そこからはもう……本当にハマりましたね!

 たとえば、当時よく一緒に働いていた鳥嶋和彦さん【※1】と延々と『ウィザードリィ』の話をしていました。鳥嶋さんとの打ち合わせ自体は5分で終わって、そこからの残り時間はひたすら『ウィザードリィ』の話だけをする(笑)。

※1「鳥嶋和彦」
『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』の編集者としてお馴染みの鳥嶋和彦氏。『ドラゴンクエスト』のキャラクターデザインとして漫画家の鳥山明氏を引き合わせたのも鳥嶋氏といわれている。

一同:
 (笑)。

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──堀井さんの目から見て、『ウィザードリィ』は他のゲームと比較して何が違ったのでしょうか。

堀井氏:
 「戦って強くなる」ところにすごく魅力を感じていました。

 もう『ウィザードリィ』に生活を支配される感覚というか、寝る前に「コイツをどう育てて忍者にしてやろう」とか「この真っ暗のマップをどうやって攻略してやろう」とか、そんなことばかり考えてました。もうダンジョンのマップや道もほとんど覚えちゃってましたね(笑)。

──相当ハマり倒していたのですね(笑)。それだけハマった『ウィザードリィ』から、堀井さんが『ドラゴンクエスト』などのゲーム制作で影響を受けた部分はどこだったのでしょうか?

堀井氏:
 やはり、戦って強くなる……「レベルアップ」のシステムです。

 そして、自分自身が本当に冒険しているような感覚や、暗いダンジョンから町に帰ってきてホッとした時の、あの「ゲームへの感情移入」の部分です。

 『ウィザードリィ』を遊んでいる時の感情移入はもう半端じゃなかったですね。「ゲームや冒険を自分だけのものとして独占している感覚」と言うのでしょうか。

ロバート氏:
 初代の『ドラゴンクエスト』を最近遊んだのですが、やはりそこにすごく影響を受けていることは伝わってきました。

 「ダンジョンでもう一回だけバトルするか、それともここで町に帰るか……?」という駆け引きや、無事に帰ってこれた時のホッとした感覚は『ウィザードリィ』も『ドラゴンクエスト』もすごく近いですよね(笑)。

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──実際、ロバートさんは『ドラゴンクエスト』を遊んでみていかがだったでしょうか?

ロバート氏:
 『ウィザードリィ』と同じ魂をすごく感じました。

 特に、「ゲームデザイン」の観点からですね。その時代のCPUの制限を超えようとする気合や、スペックの限界ギリギリまで要素を入れる意志は『ウィザードリィ』とも共通している部分だと思います。

──やはり『ウィザードリィ』は後世のゲームに多大な影響を与えた作品として、エポックな存在だと思います。ロバートさんはどういった経緯で『ウィザードリィ』の企画を立ち上げたのか、開発の意図などもお聞かせください。

ロバート氏:
 確かに『ウィザードリィ』は今見たらエポックな作品かもしれないのですが、開発していた当時の自分たちのあいだにそういう意識があったわけではありませんでした。

 どちらかというと、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、『D&D』)などの当時の自分がインスパイアされた作品をゲームとして作ってみたかった……という思いが強かったです。そしてそのゲームを自分のパソコンで動かし、当時のパソコンの機能をできるだけ突っ込みたいという気持ちから制作が立ち上がっています(笑)。

 そして自分の作品が後世に与えた影響に関しては、「鎖」のようなものだと思っています。たとえば、『ウィザードリィ』は当時私が好きだった『D&D』の影響を受けて作られています。そして堀井さんも『ウィザードリィ』の影響を受けて『ドラゴンクエスト』を作られました。

 それぞれの作品が鎖のようにつながり、それ以降の『ドラゴンクエスト』の影響を受けて作られた作品も加わることで鎖がどんどん伸びていきます。その連鎖を続けていくことで、100年前の作品だったとしてもその影響や存在が現代にも伝えられていく。できれば『ウィザードリィ』も100年先まで伝わるのが理想ですね。

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『ドラゴンクエスト』の出発点は、『ウィザードリィ』のシステムに〇〇を乗せようと考えたこと?

堀井氏:
 『ウィザードリィ』を最初に遊んだときは本当に楽しかったです。

 ゲーム内のパーティメンバーに自分の友達の名前をつけたりしながら、どうやってキャラを育てるのかをもうずっと考えてましたね。それであまりにも育成に夢中になりすぎてしまっているときに、友人が「ワードナ【※2】を倒した」と報告してきたんです。

 それを聞いて僕は「え、誰だそれ?」って(笑)。

一同:
 (笑)。

※2「ワードナ」
初代『ウィザードリィ』のラスボス。「ワードナ」(Werdna)という名前が開発者のひとりでもあるアンドリュー・グリーンバーグ(Andrew Greenberg)氏のファーストネームの逆綴りになっていることでもお馴染み。

堀井氏:
 「え!? ワードナなんていたの!?」と(笑)。

 その話のあとにワードナを倒しに行ったのはいいんですけど、あまりにもパーティを強くしすぎていたので、アッサリ倒しちゃいましたね。

ロバート氏:
 やはり『ウィザードリィ』のようなゲームだと、ゲームシステム自体はただの骨組みです。そこにプレイヤーが自分の意志や希望を組み込んでいくことで、ゲームそのものが拡大し、プレイヤーの独占的なものに進化していきます。

 たとえば堀井さんのように、「ワードナ」というゲーム内のひとつのパーツの価値を、堀井さん自身がプレイされて育て上げた仲間たちの価値が上回ったりするのが、『ウィザードリィ』の面白いところだと思います。

堀井氏:
 そうですよね。そして『ウィザードリィ』をプレイした僕は、なんとかこの「戦って強くなる」面白さを子供たちに伝えたいと思いました。

 当時、子供たちのあいだで流行っていたファミコンにはとにかくいろいろな制約があり、「このハードでRPGを作るのは無理だろう」と言われたりもしていました。でも逆にその言葉に燃えて、「パーティを諦めて、ソロプレイで遊ぶ」などの試行錯誤を重ねていきました。

 そして僕は漫画家を志望していたこともあるので、「『ウィザードリィ』のこのシステムに、マンガのようなストーリー性を乗っけてみたらどうなるだろう?」と思ったのが、『ドラゴンクエスト』の出発点なんですよ。

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──堀井さんが『ウィザードリィ』に影響を受けたうえで「子供に向けて」ゲームを作ろうと考えたのには、何か理由や背景などがあるのでしょうか?

堀井氏:
 単純に、「こんなに楽しいことは、大人も子供も楽しんじゃない?」と思いました。

 そして「子供向け」というよりかは、「大人も遊べたうえで、子供にもわかるようなゲーム」ということに気をつけましたね。「戦って強くなる」というゲーム性はシンプルじゃないですか。誰でも楽しい!

──なるほど(笑)。『ドラゴンクエスト』が子供にもわかるように『ウィザードリィ』の面白さを翻訳するにあたって、堀井さんが工夫したり強調したりした部分はありますか?

堀井氏:
 まず「マップ」ですね。『ウィザードリィ』の3Dダンジョンは楽しかったんですけど、少し難しいかと思って平面のマップにしました。そして「りゅうおう」……要は「こいつを倒しゃいいんだ!」という最後に訪れる城を最初の町から見えるように配置して、ゲームの目的を明確にする。

 さらに『ウィザードリィ』の場合は階段を降りたら敵が強くなっていたところを、『ドラゴンクエスト』の場合は橋を渡ったらモンスターが強くなる! ……といった感じの、「立体」から「平面」に移行するにあたっての工夫も凝らしました。

──『ドラゴンクエスト』が世に出てから、大人も子供も含めて日本では「RPG」というジャンルが一大ジャンルになりました。ロバートさんから見て、日本でRPGが一大的なムーブメントになったことについてどう思われますか?

ロバート氏:
 ゲームに限らずさまざまなエンターテインメントが新しいものに変わっていくのは素晴らしいことだと思っています。その進化に伴い、新しい伝統が生まれることはすごくいいことですよね。

 日本で『ウィザードリィ』から『ドラゴンクエスト』へゲームの世代が移り変わり、次の世代が今までにあったものをベースにしつつどう進化するのか? どんな新しい要素を入れるのか? どんなグラフィックになるのか? そういった「ゲームの進化」の全てを楽しみにしています。

堀井氏:
 『ドラゴンクエスト』以降もみんなで強くなれるMMORPGとか、いろいろな楽しさが生まれてきてますよね。

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初代『ウィザードリィ』は1981年にApple II用ソフトとして発売。当時はワイヤーフレームで描かれていたダンジョンは、最新作の『Wizardry Variants Daphne』では臨場感のある描画に。ビジュアルの変化も「ゲームの進化」のひとつと言えるだろう。

ロバート氏が明かす「『ウィザードリィ』が1作目の時点で完成されていた理由」

──『ウィザードリィ』に関して、堀井さんからロバートさんに聞いてみたかったことはありますか?

堀井氏:
 『ウィザードリィ』はとにかく「システム」が素晴らしかったんですよね。

 『ウィザードリィ』に近い体験はテーブルゲームで出来ないこともないですけど、「コンピューターがジャッジする」という点であらゆる要素が公平です。

 この「コンピューターのRPG」という入れ物を、どうやってテーブルゲームから思いついたのかはロバートさんに聞いてみたかったんです。

ロバート氏:
 最初に結論から言ってしまえば、『ウィザードリィ』を作れた・思いついたのは「運が良かった」としか言いようがないと思います(笑)。

 ただし、具体的にどこが「運が良かった」のかというと、シナリオやゲームバランスを担当したアンドリュー・グリーンバーグの友人たちがテストプレイをしてくれたところです。

 バランス調整などのかなり重要なフィードバックをアンドリューの友人たちからもらい、通常よりもかなり的確なチューニングを行うことができました。そこが「運」ということですね(笑)。

 このフィードバックがどれだけ重要なものか、当時は全く把握していなかったのですが、今振り返ってみれば、あのフィードバックが『ウィザードリィ』の完成度の高さにすごく影響を与えていると思います。

堀井氏:
 なんかもう初代の時点で完成されてましたよね。

 ジョブチェンジとか、パーティとか、いろいろなモンスターとか、3Dダンジョンとか……本当に完成され尽くしてて、素晴らしいゲームに出会ったと思います。

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ロバート氏:
 あとの制作はもう本当に『ウィザードリィ』でダンジョンに潜っている時のような、暗闇の中に手を伸ばすような感覚というか、試行錯誤というか、暗中模索というか……。

 具体的に何かを判断する基準が存在しているわけではなく、単純に「良いアイデアだ」と思ったものはどんどん取り入れていきました。ザックリ言ってしまえば、「それしか考えられなかった」感じですね(笑)。

堀井氏:
 「経験値」のシステムも素晴らしかったですね。
 今でこそ当たり前ですけど、あの当時に経験値とレベルアップのシステムを思いついているのは本当にすごいと思います。【※】

 パーティが6人いて、誰かのレベルが上がったら「あっ、次はこいつのレベルがもうすぐ上がる!」と気付いて、永遠にやめどきがない(笑)。

※編注
ここではあくまで「商用コンピューターゲームにおいて」という文脈で語られているが、経験値とレベルアップのシステムは、元々は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が源流となる。ちなみに「経験値とレベルアップ」の発明自体は、『D&D』の原型とも言えるミニチュアゲーム『チェインメイル』のプレイヤーが考案したもので、それが『D&D』に取り込まれたもののようだ。考案者であるデイヴ・アーネソンは、『D&D』の共同開発者である。

──堀井さんは『ウィザードリィ』をどの機種で遊ばれていたのでしょう?

堀井氏:
 やっぱりAppleⅡの初代を一番遊びましたね。もう半端なくやってました。方眼紙にマップを書いたりしてましたよ。でも、ファミコン版の『ウィザードリィ』が出た頃はもう『ドラゴンクエスト』の開発で忙しかったんですよね(笑)。

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『ドラゴンクエスト』が「『ウィザードリィ』の面白さを伝えるために段階を踏んだ」のはなぜ?

──『ドラゴンクエスト』が『ウィザードリィ』が持つ面白さを伝えるために「段階を踏んでいった」というのは有名な話だと思っていて。
 たとえば初代はひとりで冒険するけども『ドラゴンクエストⅡ』ではパーティ制に、そして『ドラゴンクエストⅢ』ではルイーダの酒場が登場し、『ウィザードリィ』の「キャラメイク」機能を取り入れていました。この「段階を踏んだ話」を改めて堀井さんにお聞きできればと思います。

堀井氏:
 本当は最初から『ドラゴンクエストⅢ』ぐらいのものをやりたかったんですよ(笑)。でも、やりたいことに対してファミコンの性能が追いついていなかったので、初代の勇者ひとりの状態から始めました。

 でも、今振り返ってみると逆にそれが良かったのかなとも思います。いきなり『ドラゴンクエストⅢ』のキャラメイクからシリーズが始まると、プレイヤーにはちょっと難しすぎたかもしれない。

 とりあえず初代のソロプレイから始めて、『ドラゴンクエストⅡ』では最初はひとりで始まり、徐々に仲間が増えていくシステムにしたりとか……「段階を踏む」工夫は色々しましたね。

ロバート氏:
 私が実際に『ドラゴンクエスト』をプレイしていて特に出来が良いと感じたのが、「NPCのセリフ」でした。あの時代のゲームの中では、『ドラゴンクエスト』のNPCのセリフや会話のセンスはずば抜けていると思います。

 日本に来日するための飛行機に乗ってる最中も『ドラゴンクエスト』を遊んでいたのですが、NPCのセリフや会話に何度も吹き出しそうになってしまい、飛行機の中で笑いをこらえるのが大変でした(笑)。

堀井氏:
 やっぱり僕はもともとマンガ家志望だったので、『ドラゴンクエスト』にも「セリフで話を進める」という形でマンガを描いていた経験が活かされたと思います。

 そういう意味では、僕も「運が良かった」のかもしれないですね(笑)。時代も良かったし、ちょうどファミコンも流行ってた。

──ちなみに、ロバートさんが笑ってしまったセリフは具体的にはどこでしょうか?

ロバート氏:
 あぁ……えっとね…………あのお風呂場のスペシャルサービスの……(笑)。

堀井氏:
 「ぱふぱふ」のシーンですね(笑)。

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──ちょっと興味本位でお聞きしてみたかったのですが、『ドラゴンクエスト』は「モンスターがかわいい」ところが魅力のひとつでもあると思います。「モンスターがかわいいRPG」は世界的に見ても珍しいと思うのですが、ロバートさんは実際に『ドラゴンクエスト』をプレイされてみて、その辺りをどう感じましたか?

ロバート氏:
 日本は「かわいい」を重視している国なので、そこが『ドラゴンクエスト』にも反映されてるんじゃないかなと思いました(笑)。

堀井氏:
 「かわいい」ってなんか世界の言葉になっちゃってますよね(笑)。

ロバート氏:
 私は英語版の『ドラゴンクエスト』をプレイしたのですが、すばらしかった要素のひとつとして、とにかく「ローカライズが上手い」という点があります。

 たとえば、『ドラゴンクエスト』のモンスターの名前はダジャレっぽくなっていたりとか、コミカルな雰囲気だったりすると思うのですが、そのあたりの細かいニュアンスもすごく注意を払って作られていると感じました。ローカライズの完成度がとにかく高かったですね。

堀井氏:
 そこはローカライズ担当の人たちが凝ってくれたポイントなんですよね。ちょっとダジャレっぽいところやNPCのセリフのニュアンスなども、すごく頑張ってくれています。

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編集長
電ファミニコゲーマー編集長、およびニコニコニュース編集長。 元々は、ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営全般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。本サイトの方でも、主に「ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。
Twitter:@TAITAI999
副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。
ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog

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