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RPGの歴史に残る対談、ここに実現──『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏と『ウィザードリィ』のロバート・ウッドヘッド氏が語り合う、ふたつの作品の原点

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作った人に直接聞く、「『ドラゴンクエスト』と『ウィザードリィ』の呪文の由来」

──『ドラゴンクエスト』も『ウィザードリィ』も呪文のネーミングが結構独特だと思うのですが、その由来や理由などをおふたりにお聞きできればと思います。

ロバート氏:
 『ウィザードリィ』の呪文の名前は基本的にアンドリューが考案しています。『ウィザードリィ』の呪文に明確な文法が存在するわけではないんですが、呪文の名前にもなんらかの法則性を持たせようとしていました。

  ただ、あの当時の私たちはメモリ領域を節約するために常に格闘していました。「プログラムをメモリに収める」という技術的な要求のために、アンドリューが元々考案していたものから、呪文名の一部をわずかに変更する必要がありました。

 初代以降も新しい呪文を作ったりはしたのですが、「この言い方、この綴りだと『ウィザードリィ』の呪文としては偽物っぽいような感じがする」などの新たな悩みも生まれていきましたね。

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『ウィザードリィ』1作目に登場する呪文一覧。堀井さんの言う通り、独特な単語が多い。

堀井氏:
 とにかく『ウィザードリィ』の呪文は「英語じゃない」のがすごいんですよね。文法とかもないし、よくわからない単語なんですけど、逆にそれがすごくワクワクしました。

 「呪文だからそうなんだ、意味がわからなくて当然なんだ」という変な納得感もありました(笑)。

 『ウィザードリィ』の呪文の「言葉としての意味はよくわからない」という面白さを取り込むために、『ドラゴンクエスト』の呪文は「擬音」から作っていたりします。メラとか、ギラとか、バギとか……「日本語でも英語でもない言葉」の呪文を結構意識しました。

 それに加えて、『ウィザードリィ』の呪文には「三段活用」っぽさも感じました。呪文が強くなると、それに合わせて名前も3段階に変化する。『ドラゴンクエスト』にもそれを活かさせてもらって、「メラ・メラミ・メラゾーマ」、「イオ・イオラ・イオナズン」といった三段活用の呪文を作っていきました。

ロバート氏:
 当時はGoogle検索もできない時代ですし、『ウィザードリィ』の呪文の命名法則は本当に謎だったと思います(笑)。

 堀井さんはマンガ家を志望していたそうですし、擬音を駆使した呪文になるのは納得感があります。

──すごく細かい質問で恐縮なのですが、『ウィザードリィ』の呪文が回数制になっている一方で、『ドラゴンクエスト』の呪文はMP制になっているじゃないですか。この呪文の仕様を変えたのは何か理由があったのでしょうか?

堀井氏:
 なんとなく……「回数ちょっと嫌かな」と思って(笑)。

一同:
 (笑)。

堀井氏:
 個々の回数制ではなく、MP制にすることで呪文全体をどれくらい使えるか把握できますしね。セーブも「ふっかつのじゅもん」でしたし、回数制だと「どの呪文を何回使ったか」を覚えていられないんですよね。MP制だと復活したあとも、そこを見るだけで判断できます。

 『ドラゴンクエスト』の呪文が「魔法」ではなく「呪文」になっているのも『ウィザードリィ』からの影響だったりします(笑)。

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──『ウィザードリィ』が出た当時のコンピューターゲームは本当にシンプルなものが多かったのですが、『ウィザードリィ』はワードナなどのキャラクターなども含めて世界観やストーリーを表現するゲームの先駆けと言える作品だったとも思います。なぜ、コンピューターゲームでストーリーや世界観を表現しようと思ったのでしょうか?

ロバート氏:
 まず『ウィザードリィ』の世界観に関しては、主にアンドリューが考案したものだったりします。当時私たちが通っていた大学でD&Dが大流行していて、週末はほぼ寝ずに二日間連続でD&Dを遊び続けていました。

 そのくらいD&Dに熱中していた中で、「D&Dのこの世界に入り込む没入感を、どうにか自分の作品で作ってみたい」という思いが強くなっていきました。ただ、TRPGは想像や妄想に制限はありませんが、コンピューターゲームで世界を表現するには当然制限があります。しかも当時の性能では相当厳しい。

 そんな制約の中で、どうにかシンプルな要素で世界観を伝えるためにわずかなテキストやイラストなどを使って工夫していきました。『ウィザードリィ』のテキストやイラストなども、一部アンドリューの友達が作ってくれています。とにかく、D&Dへの熱量はすごかったですね(笑)。

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『ダンジョンズ&ドラゴンズ』公式サイトより

堀井氏:
 『ウィザードリィ』は世界観も素晴らしかったですね。

 泊まる場所なんか馬小屋でしたから。
 「うわぁ~馬小屋かぁ! 安いのかなぁ?」って(笑)。

 あとキャラが死ぬと灰になったり、テレポートで石の中に閉じ込められるのも厳しかったですよね。

ロバート氏:
 やっぱりキャラクターの永久死は私から見てもかなり厳しい罰だと思います。当時はキャラクターが死んでしまう直前に、ディスクをペタン! として読み込まないようにしたりとか……(笑)。

堀井氏:
 僕もやってましたよ(笑)。

一同:
 (笑)。

堀井氏:
 『ウィザードリィ』でその経験があったので、逆に『ドラゴンクエスト』では「死んでもお金が半分持っていかれる=キャラロストはない」というやさしいペナルティにしました(笑)。

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──ちょっと脇道にそれた質問なのですが、『ウィザードリィ』には忍者や侍といったジョブに加え、「MURAMASA BLADE」という名前の武器も登場するなど、和風テイストが入っている印象があります。なぜ和風要素を入れようと思ったのでしょうか?

堀井氏:
 それは僕も聞きたかったです(笑)。

ロバート氏:
 当時アメリカで放送されていた『将軍 SHŌGUN』【※3】という、三船敏郎さんが出演されていたテレビドラマの影響があります。ドラマ自体もすごく人気でしたし、私としても「和風要素はめちゃくちゃカッコいい!」と感じていました(笑)。

 ですので、そのドラマの中から「これは良い!」、「これはカッコいい!」と感じた和風な要素を『ウィザードリィ』の中に組み込んでいきました。

※3「将軍 SHŌGUN」
1980年にアメリカ・NBCで放送されていたテレビドラマ。オランダ船の乗組員でもあったジョン・ブラックソーンが江戸時代初期の日本に漂着するところから物語が始まる。三船敏郎も出演。

堀井氏:
 『ウィザードリィ』で忍者を作るのには相当苦労しましたし、「MURAMASAはこんなに強いのか!」ということを再認識しました。「刀つええ!!」って(笑)。

ロバート氏:
 そうですよね(笑)。

 そのくらい、「とにかく日本刀は強い」という印象があります。さまざまなRPGにおいて日本刀が一番強い理由は、「日本刀だから」とも言えますね(笑)。

──堀井さんから見て、西洋ファンタジーっぽい世界に侍や忍者が出てくることは、当時斬新に感じたのでしょうか?

堀井氏:
 そうですね。すごく新鮮で、存在そのものが強い気はしましたよね。あの世界観に侍や忍者が登場するのはなんか嬉しかったですし、上級職を育てることにかなり燃えました。

──個人的な印象ですが、「忍者はクリティカル率が高い」、「侍は防御力が低いけど、その代わりに攻撃力が高い」といった、RPGにおける「侍や忍者の性能の定義」のようなものは現在も『ウィザードリィ』をベースに作られている部分があると感じます。『ウィザードリィ』における各ジョブのパラメーターなどはどのようにして決めていったのでしょうか?

ロバート氏:
 『ウィザードリィ』に登場する上級職は、既存の2つの通常職を合体させた性能として設計しました。正直に言ってしまうと、「侍のイメージに合わせて攻撃力を高くしよう」、「忍者のイメージに合わせてクリティカル率を高くしよう」というジョブの背景に合わせた計画的な設計はあまりありませんでした(笑)。

 ただ、プログラミングの面から見て「キャラクターのジョブを増やせるだけの容量」はある程度残っていました。そこで上級職のパラメーターをプログラムするうえで一番簡単だった方法が、「既存の2つのジョブの性能を合体させる」だったというわけです。開発当時としては、「こんな感じでいいんじゃないかな」という考えでした。

──なるほど……。一方、『ドラゴンクエスト』の世界観はベースに西洋風なところがありつつも、ハイファンタジーすぎるわけでもなく、ちょっとおとぎ話っぽい要素も入っていたり、『ドラゴンクエスト』独自のファンタジーが形成されている面はあると思うんですよね。あの独特な空気はどうやって作られていったのでしょう?

堀井氏:
 当初は、忍者や侍が登場する日本をベースにした世界観でやる手もあったと思うんですよ。でも、最初に『ドラゴンクエスト』をプレイするのは日本人だから、和風ベースの世界観だと「ゲームの嘘」が見えちゃうような気がしたんですね。

 だから逆に、日本ではないヨーロッパ風の剣と魔法の世界にすれば、プレイヤーの想像力をかき立てるんじゃないかと思いました。馴染みのない世界観だからこそ、プレイヤーにはリアルに受け取ってもらえるかもしれない……という考えでしたね。

ロバート氏:
 『ドラゴンクエスト』が日本ではあまり馴染み深くない西洋風の世界を構築してエキゾチックな空気を出すことに成功したのと同じように、『ウィザードリィ』もアメリカではそこまで馴染み深くない和風要素を取り入れることで独特な空気感を出せたと思います(笑)。

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現在ではJRPGでも馴染み深い存在となった「侍」や「忍者」といった和風のジョブ。上級職的なイメージは『ウィザードリィ』が影響を与えているのかも?「FINAL FANTASY XIV: ENDWALKER – Job Actions」より

RPGは、ゲームに詰まってもやることがずっとある。堀井さんが「RPG」を作った理由

──もともと堀井さんは『ポートピア連続殺人事件』などのアドベンチャーゲームのストーリーを手がけていたと思うのですが、『ウィザードリィ』などに触れて、「RPGのほうが物語を作れる」と感じたのでしょうか? それとも、RPGのシステム的な部分に惹かれたのでしょうか?

堀井氏:
 アドベンチャーゲームは、謎解きで詰まるとやることがなくなってしまうんですよね。一度詰まったらもうどうしようもない。

 逆にRPGの場合は、ゲームに詰まっても味方を強くさえすればいい。ゲームに詰まってもやることがずっとあるんですよね。

 そしてレベル上げをしているうちに打開策が思いついたりもするので、「これは良い!」と思い、RPG……というか『ウィザードリィ』のシステムを使わせてもらいました。

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スクウェア・エニックス公式サイトより

ロバート氏:
 『ドラゴンクエスト』の優れた点として、やはり「物語性」があると思います。プレイヤーに向けた物語の語り方がとても上手いと感じました。

 一方『ウィザードリィ』はストーリー性をそこまで全面に出すことはできず、キャラクターを育成している時などの没入感によってストーリーの薄さをカバーしています。『ウィザードリィ』と比較すると、『ドラゴンクエスト』のストーリー性を全面に出したスタイルはとても素晴らしいと思います。

 『ウィザードリィ』シリーズ全体としては、1作目から3作目まではストーリーは薄いままだったのですが、4作目の『ウィザードリィⅣ ワードナの逆襲』【※4】では、やっと面白いストーリーを出せた手応えがあります。

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※4「ウィザードリィⅣ ワードナの逆襲」
『ウィザードリィ』シリーズの4作目。1作目のラスボスでもあった「ワードナ」を主人公として操作する衝撃の展開で始まるゲーム。攻略には1作目~3作目までの知識が求められ、かなり難易度が高いことでも有名。

堀井氏:
 『ウィザードリィⅣ』は自分がワードナでしたもんね。あれはビックリしましたよね(笑)。

 僕としては『ウィザードリィ』を作った人に『ドラゴンクエスト』をプレイしてもらえて、それで褒めてもらえて……ホントにすっごく嬉しいです!!

 こんな日が来るとは思わなかった!
 もう『ウィザードリィ』を初めて遊んだのが40年前くらいだから、40年越しですよ。

ロバート氏:
 私としては当たり前のことを言っているつもりです。良いものは良いものですから(笑)。

 『ドラゴンクエスト』というゲームが業界に与えた影響を私なりに考えたとき、やはり「RPGでストーリーを語るのはこれが基本だよ」というような、RPGのストーリーテリングの基礎を作ったのが影響としてはかなり大きいと感じました。

 マンガのストーリーの語り方を、ゲームという新しいメディアに持ち込んだのはすごい実績だと思います。先ほどの「鎖」の例えにも通ずるところがありますが、『ドラゴンクエスト』は『ウィザードリィ』だけではなく、マンガからの繋がりもあって作られたゲームだと感じました。

 ……なんか段々お互いを褒めちぎってる感じになってきましたね(笑)。

──(笑)。『ドラゴンクエスト』のストーリーの語り方でいうと、「主人公がセリフをしゃべらない」ことがシリーズ全体で徹底されています。ロバートさんから見て、この「主人公がしゃべらない」こだわりはどのように感じますか?

ロバート氏:
 私個人の考えになってしまうのですが、『ドラゴンクエスト』で主人公がしゃべらないことには2つの理由があるのではないかと思います。

 まずひとつ目は、プレイヤーに「この主人公は自分自身だ」と感じさせる没入感の演出。そして2つ目は……メモリの削減だと思います(笑)。

一同:
 (笑)。

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ロバート氏:
 そして、その主人公のセリフを描く手間を省くこともできる(笑)。

堀井氏:
 最初はメモリの削減も理由のひとつでしたね(笑)。

 特に初代の『ドラゴンクエスト』はファミコンの容量が64キロバイトしかなかったですから、本当に色々キツかったです。

ロバート氏:
 私たちは最初48キロバイトでしたよ!

──いや、ホント今じゃ考えられないですよね(笑)。実際、『ドラゴンクエスト』の「主人公がしゃべらない」という点を堀井さんが徹底している明確な理由はあるのでしょうか?

堀井氏:
 やっぱり『ドラゴンクエスト』の主人公はプレイヤー自身であるべきだと思っているので、「プレイヤーと乖離しないため」という点が大きいです。主人公キャラクターがしゃべっちゃうと、プレイヤーは「あ、自分じゃないんだ」と思ってしまう。

 最近ではハードの進化に比例してグラフィックも向上し、画面がリアルになっていますから、あまりにも主人公がしゃべらないと逆に変な絵になっちゃうのが難しいですね。ある程度主人公もリアクションをとらないと、ただボーッと立っているだけの人になる(笑)。

 ゲームがリアルになった分、より想像力を働かせる必要が出てきているとは感じます。

ロバート氏:
 今だと「主人公のセリフに選択肢を用意する」という手法も取れますよね。ストーリー的に一番面白いセリフを用意したり、ゲームプレイ的に最もメリットが大きそうなセリフを用意したり……。

 逆に、主人公への自己投影と画面のリアリティを両立するには、どうしてもセリフの選択肢やリアクションを取らせる方法になってしまうのかもしれません。

──今のお話に繋がるところもあると思うのですが、『ドラゴンクエスト』も『ウィザードリィ』もスタートから40年ほど経ったシリーズです。時代やテクノロジーが変化していく中で、ゲーム開発において明確に変わったところ、あるいは「変えなければならない」と思うことがあればお聞かせください。

ロバート氏:
 なかなか難しい質問ですね。

 ゲームクリエイター全体の話とするのであれば、その時代のハードのスペックやシステムに合わせて、「そのときの技術水準で作れる一番良いもの」を目指すべきだと思います。さまざまな制約を踏まえたうえで、その時代における「できる限りのもの」が実現できたのであれば、それは時代を問わずに「良いゲーム」として受け入れられると感じています。

 たとえば、シリーズとして続いてる作品の中で、「ハード上の制限があってこういう仕様にせざるを得なかった」部分を、次回作や現代で再現する必要はあまりないと考えています。基本的に、現代のハードやスペックに合わせてゲームを作ればいい。そしてその時代に合わせたデザインや設計に自分自身で満足することができれば、それは良い作品に繋がるんじゃないかと思います。

堀井氏:
 特に変わっていったことは、「開発人数とコストのかかり方」ですね。たとえば、初代『ドラゴンクエスト』は数人くらいの規模で、半年もかからずに作りました。ところが今は、何百人の開発規模で、4~5年かけて作ったりする。コスト的にも跳ね上がっているし、いろいろなことを考えなきゃならない。

 ただ、昔の『ドラゴンクエスト』も今の『ドラゴンクエスト』も、「面白さの原点」はそれほど変わらないと思うんですよね。「戦って、強くなって、物語を体験する」という骨組みの部分は変わらず面白い。なので、『ドラゴンクエスト』の骨組みにある部分はこれからもそんなに変わらないと思います(笑)。

 でも、現代はいろいろな娯楽があります。その『ドラゴンクエスト』以外の娯楽と比べたときに、「それでも『ドラゴンクエスト』をやりたい」と思ってもらわなきゃいけない。「他の娯楽と比較したうえで、『ドラゴンクエスト』をやってもらう」ことを意識していますね。骨組みの面白さは変わらないけど、ちゃんと「今」に合わせていきます。

 変な言い方かもしれないですけど、僕個人としては「今の子供たちが最初の『ドラゴンクエスト』三部作を遊んでも面白いと感じてもらえるんじゃないかな?」とは思っていたりします。

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「ドラゴンクエスト“ロト伝説”シリーズ」公式サイトより

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──ちょっと話が戻りますが、堀井さんが『ポートピア連続殺人事件』に地下迷路を用意したのも『ウィザードリィ』の影響なのでしょうか?

堀井氏:
 そうですね。中村くん【※5】も『ウィザードリィ』のファンだったから『ポートピア連続殺人事件』をファミコンに移植するときに、「地下迷路を入れちゃおう!」と。

 それで「もんすたあ さぷらいずど ゆう」【※6】のメッセージも入れちゃって(笑)。

※5「中村光一」
スパイク・チュンソフトの取締役会長でもある中村光一氏。『ドラゴンクエスト』シリーズのディレクションやプログラムを担当。『ドラゴンクエスト』だけでなく、『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』『弟切草』など数々の作品を手がけている。

※6「もんすたあ さぷらいずど ゆう」
『ポートピア連続殺人事件』のファミコン版に登場する地下迷路に描かれているメッセージ。『ウィザードリィ』にてモンスター側の先制攻撃で戦闘が始まる際に表示される「Monster surprised you」のパロディ。

──当時プレイしていた子供たちの中にはあのメッセージの意味がわからなくて、ゲーマーの大人から「これは『ウィザードリィ』というゲームがあって……」と教えてもらった人も多いと思います(笑)。

ロバート氏:
 やっぱりそういう隠し要素やパロディなどは入れたくなってしまいますよね。『ウィザードリィ』にも有名な映画のセリフやパロディなどが結構入っていますしね(笑)。

──『ドラゴンクエスト』や『ポートピア連続殺人事件』を通じて『ウィザードリィ』を知った人はかなりの数になりますよね。日本国内において『ウィザードリィ』は面白い広がり方をしているような気がします。

堀井氏:
 『ウィザードリィ』はPCゲームだったけど、そもそもPCって当時の時点で高価なものじゃないですか。高くてなかなか手が出ない。

 でも日本の場合はファミコンが流行って、多くの子供たちがファミコンを持っていた。その時代にファミコンで『ドラゴンクエスト』を作れたのは僕的にもラッキーでした。

ロバート氏:
 最初の『ウィザードリィ』はファミコン版の出来栄えがかなり良かったと記憶しています。私はファミコン版の開発には一切手を出していないのですが、もっとも出来が良かったと思います(笑)。

一同:
 (笑)。

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堀井さんとロバートさんにとっての「RPG」とは?

──やや抽象的な質問になってしまうのですが、おふたりにとって「RPGとはどういうものなのか」、「RPGを通してプレイヤーに何を体験してほしいのか」をお聞きできればと思います。

堀井氏:
 僕のRPGの作り方は物語先行なところがあるので、「いかにプレイヤーに感情移入してもらうか」という部分を大切にしています。

 『ドラゴンクエスト』は自分の名前を入力したら、ゲームの中の王様に自分の名前が呼ばれるじゃないですか。当時、「テレビの向こう側から自分の名前を呼ばれる」という体験そのものが全く味わえないものだったと思います。

 そこに先ほども説明した「戦って強くなる」システムが綺麗にハマった。戦ってレベルアップして、強い武器を手に入れて、クエストをこなすと褒めてもらえて……そういう「欲望の連鎖」が続いていく。

 その連鎖の中で物語を体験していくように、『ドラゴンクエスト』を作りました。

ロバート氏:
 私がRPGにおいて一番重要だと思っているポイントは、やはり「ありえない世界、現実には存在しない世界を冒険する」ことだと思っています。

 自由に探索しながら面白い場所を見つけたり、とてもセオリー通りとは言えない攻略方法を自分で見つけ出したり、とにかく自分の手で見知らぬ世界を冒険することができるのがRPGの一番楽しいところでもあると思います。

 特に、プレイヤーの意外な行動……「例外」のパターンも想定したうえでデザインされているRPGが好きです。今のゲームにも、例外を想定した作品があるのが嬉しいですよね。

堀井氏:
 『ドラゴンクエスト』も一応「ストーリーのレール」自体は敷いているんですけど、プレイヤーがそのレールから外れることも考えたうえで面白いセリフを用意したりしています。

 もっとも顕著なのが、初代『ドラゴンクエスト』に仕込んだセリフですね。

 ドラゴンを倒してローラ姫を助けたらそのあとは普通に帰ればいいんだけど、そこで僕は「ローラ姫を連れたまま、わざわざ宿屋に泊まる人もいるだろう」と考えました。そしてローラ姫を連れたまま宿屋に泊まると……「ゆうべは おたのしみでしたね。」というセリフが出る(笑)。

一同:
 (笑)。

ロバート氏:
 意図的に「これは開発の想定していない例外だろう」という行動を試してみた際に、その行動に応じたセリフが出ると「あっ、私のことをよくわかってくれているな」とデザイナーさんに感謝してしまいます(笑)。

 こういったストーリーから脱線したり、例外すぎる行動に対してゲーム側で何かしらの反応を仕込むのは近年のゲームでは難しくなってきているかもしれませんが、やはりゲームを遊ぶときの楽しみのひとつではあります。

堀井氏:
 そういうのを見つけるのって楽しいですよね(笑)。

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──『ウィザードリィ』はシリーズ最新作、『Wizardry Variants Daphne』が配信予定となっています。そちらのタイトルにロバートさんはどういった関わり方をされているのでしょう?

ロバート氏:
 基本的に『ウィザードリィ』シリーズにおいて、1作目から4作目までは私が大きく関わったタイトルなのですが、以降の作品にはあまり関わっていません。ですので、今回の『Wizardry Variants Daphne』の開発にも直接関わってはいません。基本的に、自分の意思を別の開発チームに伝えるべきではないと考えていますし、そのときの開発チームに任せています。

 ただ、個人的に今回の最新作をプレイした感想としては、『ウィザードリィ』の面白さや感覚は十分伝わるタイトルになっていると感じました。過去の『ウィザードリィ』の良さが、しっかり最新作にも受け継がれています。最初に『ウィザードリィ』を作った自分たちが今、別のチームが作り上げた『ウィザードリィ』の世界を冒険できるのは面白いことだと思います(笑)。

──『Wizardry Variants Daphne』はコンセプトとして、「RPGとしての原点回帰」、「時を戻す」といった要素が挙げられています。偶然だとは思うのですが、『ドラゴンクエストXI』に近い要素が含まれているのかな、と感じました(笑)。堀井さんは最新作のPVなどはご覧になりましたか?

堀井氏:
 いろいろ見てます。もうあのタイトルロゴを見ただけでワクワクしちゃいますよね(笑)。『ウィザードリィ』のロゴ、すごく好きなんですよ。

 しかもそれがスマホで出るんですから、Daphneはぜひプレイしたいなと思っています。キャッチコピーが「危険(リスク)を、味わえ。」になっている通り、難易度も結構厳しいんじゃないかと予想してるんですが、それはそれで『ウィザードリィ』らしくて面白いだろうと(笑)。

ロバート氏:
 難易度が10%くらい難しくなっている「堀井モード」を用意してもいいんじゃないでしょうか(笑)。

一同:
 (笑)。

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堀井さんとロバートさんにとっての「『ドラゴンクエスト』らしさ」「『ウィザードリィ』らしさ」。『ウィザードリィ』がひとりのうつ病の少年に与えた影響とは?

──今回の対談を通して、お互いの話から受けた印象はいかがですか? また、それぞれに聞いてみたいことがあれば、ぜひ投げかけていただければ。

ロバート氏:
 今回の対談を通して、「ゲーム作り」の楽しかった思い出をたくさん振り返ることができました。やっぱりゲーム開発は時間がかかるし、苦労するものではあるけど、それでも自分たちにとっては楽しかったのです

 アメリカのコメディアンの名言のひとつに、「自分が人を笑わせるのは単に自分が好きなことだから、本当は無料でやってもいい。でも、それでお金をもらえるのはとてもラッキーなことだ」というものがあります。まさに私もそれと同じで、ゲームの開発やアニメの英訳をする現在の仕事【※7】も単純に自分が好きでやっていたことなのに、それを通してお金がもらえているのは本当にツイていると思います(笑)。

 そして堀井さんも私と同じく、「ゲーム開発を楽しんでいる」人なのだということが今回の対談でよく伝わってきました。

※7「ロバートさんの現在のお仕事」
ロバートさんは1988年から(株)アニメイゴ(AnimEigo)の創業者兼CEOとして現在も活躍されている。アニメイゴは、アニメや日本の実写映画(主に時代劇や芸術作品)に英語の字幕や吹替えをつけ、海外でブルーレイなどでリリースする会社である。アニメは『うる星やつら』『ああっ女神さまっ』など、実写は『子連れ狼』『座頭市』などをリリースしてきた。

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堀井氏:
 『ドラゴンクエスト』をⅠ・Ⅱ・Ⅲと作って人気が出たのはいいんですけど、一方『ドラゴンクエストⅣ』で何をすればいいのか一番悩んでしまったんですよね。そして『ウィザードリィ』も4作目でワードナが主人公になる大きな変化が起きて、4作目でロバートさんが制作から降りてしまった。
 
 ちょっと聞いていいのかはわからないんですけど……なんで『ウィザードリィⅣ ワードナの逆襲』でああいった変化が起きたのか聞いてみたいです(笑)。

ロバート氏:
 まず『ウィザードリィⅣ』を作るにあたって、「ウィザードリィはこうあるべき」という考えもあったのですが、それと同時に「どうしても新しいことをやりたい」という気持ちが強かったんです。とにかく新しいことに挑戦してみたかった。

 結果として『ウィザードリィⅣ』は前作に比べて難易度が高かったり、売り上げの面でそれほど実績を残すことはできなかったんですが……「新しいことを常に試したい」という自分のやりたいことは達成できたと思っています。

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スクウェア・エニックス公式サイトより

ロバート氏:
 そして『ウィザードリィⅣ』が完成した後に、会社側と開発側のあいだで「シリーズとしての『ウィザードリィ』をこれからどうすべきなのか」という点で方向性の違いが生じてしまいました。

 以降は会社側に『ウィザードリィ』の新作をお任せして、自分は自分のやりたいことをする形に落ち着きました。そこから私の人生は大きく変わっていったんですが……今になって振り返ってみれば、やはり自分がやるべきことをやるのが一番だと思います。結論としては、「とにかく新しいことに挑戦してみるしかない」ということですかね(笑)。

堀井氏:
 そこから日本のアニメを英訳する仕事になっていく……というわけですかね?

ロバート氏:
 いえ、アニメのリリースの会社を始めるのは『ウィザードリィⅣ』の開発よりもう少し先の話ですね。あの当時は一度アメリカから日本に引っ越して、2つのプロジェクトを進行していました。

 まずひとつ目は「MMORPG」の開発でした。そしてふたつ目が……今の奥さんと結婚することですね。前者のプロジェクトは失敗してしまったのですが、後者のプロジェクトは大成功しました(笑)。

一同:
 (爆笑)。

ロバート氏: 
 その2つのプロジェクトが終わり、ここからどうするべきか迷っていたタイミングで、自分の趣味にも合っていた「アニメを英訳する」という仕事を始めてみた……というわけです。

 そして現在のアニメイゴは「昔の日本のアニメを残していく」ことを中心に活動しています。当時の関連資料やアートなどを、なるべく未来に残していけるように頑張っています。どんなアニメにも制作された人の意志や愛が込められているけど、時間が経つにつれて忘れられたり、記憶から消えていったりします。

 私は「多くの人が関わって制作されたアニメが忘れられてしまうのはすごくもったいないこと」だと感じており、未来の世界のためにそれらの作品を残していけるよう、活動しています。

堀井氏:
 いやぁ、素晴らしい活動ですね。

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──最後の質問になるのですが、まず「『ドラゴンクエスト』らしさ」をロバートさんにお聞きして、それに対する返答を堀井さんからいただきたいです。そして逆に、堀井さんの中の「『ウィザードリィ』らしさ」を語っていただき、それに対してロバートさんの返答をいただけますか。

ロバート氏:
 「『ドラゴンクエスト』らしさ」と言うと、やはりストーリーが一番重要なポイントだと思います。ただ、単純にストーリーが良かったということではなくて、「作者の思いがストレートに伝わってくるようなストーリーの語り方」が面白い部分だと感じました。

 たとえば、ゲーム画面に薄く自分の顔が反射して映り込んでしまうときがあるじゃないですか。『ドラゴンクエスト』の場合、その映り込んだ自分の顔と一緒に堀井さんの顔も浮かび上がってくるような感覚があるんです。テキストやストーリーを通して、堀井さんと一緒に冒険をしているような気持ちになります(笑)。

 そこが何よりも「『ドラゴンクエスト』らしさ」に繋がってるんじゃないかと思います。

堀井氏:
 ありがとうございます(笑)。

 自分はゲームを感覚で作り上げているところが大きいので、改めて「『ドラゴンクエスト』らしさ」と言われると難しいんですが……あえて言うのであれば、「冷たいイメージがあったコンピューターの世界で、あったかい世界を作ってみたかった」という点が大きいと思います。

 それに加えて、人間は何をしたらいいのかわからないときが一番辛いから、「何をすればいいのかわかるようにする」、「安心して遊べる」ということも『ドラゴンクエスト』の制作において重視しているところですね。あと僕自身がイタズラ好きなので、ちょっとしたところで意表を突くのも好きなんです。

 ロバートさんがおっしゃったセリフやテキストなど、そういうことを全部含めたのが「『ドラゴンクエスト』らしさ」なんじゃないのかなと思います。

ロバート氏:
 堀井さんのそういうこだわりは『ドラゴンクエスト』の随所から伝わってきますよね。

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堀井氏:
 『ウィザードリィ』の画面って、最初は線画なんですよね。ダンジョンには線と数字しかない。でも、そこからその世界に対するイマジネーションがすごく湧いてくるんです。

 石の中に閉じ込められたり、馬小屋に泊まったり……世界の中にあるひとつひとつの要素がプレイヤーの想像力やイマジネーションをかき立てる。その自分で想像する「楽しさと怖さ」こそが、「『ウィザードリィ』らしさ」なんじゃないかと思います。

ロバート氏:
 『ウィザードリィ』において、「ゲームの中に入り込む」という体験がどれほど楽しいものなのか、どれだけ凄いメカニズムなのかは制作段階では全く意識していませんでした。何度か言っていますが、もう当時は「とにかく作ってみよう」という気持ちでした(笑)。

 そして実際に『ウィザードリィ』が世に出た後に、たくさんのファンレターをいただきました。その手紙の中でもっとも印象に残っているのが、ある精神科医からの手紙です。宛先の病院にはひとりのうつ病の少年が通っており、その精神科医は「どうやってこの子と会話をすればいいのか、どうやってこの子と接するべきなのか」という点ですごく悩んでいたそうです。

 あるとき、その医師はうつ病の少年が病院内にあったAppleⅡをすごく気に入ってくれていることに気づきました。そこで少年に『ウィザードリィ』をプレイさせてみて、「その子自身の話をするのではなく、『ウィザードリィ』の中で制作したキャラクターについて話を聞く」という治療法を思いついたそうです。

 そしてその『ウィザードリィ』を使った治療法は実際に効果を発揮し、少年にとっても良い影響を与えたと手紙の中に書かれていました。その手紙をもらって、私は初めて「『ウィザードリィ』のゲーム内に入り込む体験はそれほど重要な要素なのだ」ということに気がつきました。

堀井氏:
 素晴らしい話ですね。
 僕も『ウィザードリィ』をやっていると嫌なことを忘れられたりします。

ロバート氏:
 あの手紙をもらって、「この作品はこれだけ人の人生に影響を与えたのか」と初めて気がつきました。だからあの手紙はどうしても忘れられないし、私たちとしても大切な思い出になりましたね。

──いやぁ、最後に本当に素晴らしいお話をありがとうございました。(了)

RPGの歴史に残る対談、ここに実現──『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏と『ウィザードリィ』のロバート・ウッドヘッド氏が語り合う、ふたつの作品の原点_031
握手を交わす堀井さんとロバートさん。

 …………すごい対談じゃない?

 「いつもは堀井さんが「『ドラゴンクエスト』のここに影響を受けました」と言われる側ですが、今日は逆でした」。

 対談が終了した後のスクウェア・エニックスの広報さんが放ったひと言が非常に印象的だった。確かに堀井さんが「影響を受けた側」となるのは、ロバートさんとの対談くらいかもしれない。

 対談中でも何度か語られていましたが、とにかく「RPG」は人に大きな影響を与えるジャンルだと思います。画面を通して、その世界に入って、自分だけの冒険を独り占めにすることができる。そして『ウィザードリィ』を心の糧にした少年のように、現実を生きる活力とすることができる。

 私もそんなRPGに多くのものをもらってきた人間だから、今回の対談はなんかもう……おふたりがしゃべってるところを見てるだけですごかったです……歴史上の偉人どうしがしゃべってるみたいな……そういう不思議な感覚を味わいました。

 『ドラゴンクエスト』も、『ウィザードリィ』も、まさしく遊んだ人々に生きる希望を与えてきたタイトルであり、そしてこれからも多くのRPGが人々に希望を与えていくのでしょう。そんな素晴らしいジャンルが、楽しいゲームが、面白いRPGが、これからも末永く続くことを祈っています。

 ゲーム、これからも続け!!

【ウィザードリィシリーズ最新情報】

◾️『Wizardry Variants Daphne』2023年リリース予定
Wizardry最新作。ーーさあ、危険(リスク)を味わい尽くせ。
徹底した主観視点で描かれる、スマートフォン向け3DダンジョンRPG。
https://wizardry.info/daphne/

RPGの歴史に残る対談、ここに実現──『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏と『ウィザードリィ』のロバート・ウッドヘッド氏が語り合う、ふたつの作品の原点_032

◾️『ブレイド&バスタード』DREノベルスより第1~2巻が好評発売中
『ウィザードリィ』の世界観で繰り広げられる蝸牛くも(代表作『ゴブリンスレイヤー』)とso-bin (代表作『オーバーロード』)によるダークファンタジー小説。コミカライズがDREコミックスにて好評連載中。
https://drecom-media.jp/drenovels/series/blade

RPGの歴史に残る対談、ここに実現──『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏と『ウィザードリィ』のロバート・ウッドヘッド氏が語り合う、ふたつの作品の原点_033

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編集長
電ファミニコゲーマー編集長、およびニコニコニュース編集長。 元々は、ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営全般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。本サイトの方でも、主に「ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。
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